推しの子の弟は兄を推す   作:oz-ono

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投稿できていたことがわかってPCやスマホで確認して色々編集しました。


転生した青年は用意周到に踏み込む。

ドアが開いて、星野さんが出てきた。

 

「あ、こんにちは出産した時の病院のマッサージしてた白木です、中入らせてもらいますね」

 

「あ、ちょ」

 

 

明らかに困惑しているがチェーンはかけられていない。片手で強引に入る。

 

 

「警察を呼んでも構いませんが困るとしたらそちらだけです。明日のライブもできなくなるかもしれませんし大人しくリビングに戻ってください」

 

「ご、強盗!?」

 

「違います」

 

 

傘立てにチェーンカッターを起き、玄関の鍵を素早くしめる。

 

星野さんの肩をぐるりと回して押す。リビングに土足で向かって………奴がいた。

 

 

「!?」

 

「聞きたいことがある、全員、そのまま動かないでほしい」

 

 

座って固まったままの……夢にまで見た壱護社長。その奥さんの斉藤ミヤコさん。そして星野アイ……産まれてきた子供は別の部屋かな?

 

雨宮吾朗殺人の、最有力候補だ。

 

あっけにとられて動けないでいる二人、何が起きているかわからないが服を掴まれて押されている星野アイ。

 

サングラスのようなもので人相の分からない男が武装して入ってきたら驚くよな。

 

 

 

「警察沙汰にしたいところだが、兄さんの意思がある、大人しく言うことを聞いてもらいたい。できる限り危害を加える気はない」

 

 

ドンッ!!

 

ナイフを一本取り出して、テーブルにつきたてる。できれば壱護社長の手の甲にぶっ刺したいが我慢する。

 

緊張感をもって話をしてもらいたい。

 

 

「おい、なにかの冗談じゃあねえよな?」

 

「け、警察っ!」

 

「どういう、ことでしょうか?」

 

 

やっとまともに動き始めた三人、悲鳴を上げたりパニックにならないだけマシかな?

 

罪を認めて、机に突き立てたナイフを取って襲いかかってほしい。もしもそうなったら容赦しなくてもいいはずだ。

 

「僕のことを覚えている人はいますか?」

 

「あぁん?」

 

「病院のマッサージ師さんだよね?白木幸太郎?さん?」

 

「名前は違うけどそうです、だから来ました……言っている意味が分かる人はいますか?」

 

 

サングラスの壱護社長は驚いているようだがまだ確証は得られていない。

 

この反応は……良くないな。

 

 

「そこの女の人は、ミヤコさんですよね、初めまして」

 

 

この女性について詳しくはないがあの事件には一応関わってはいないはずだが………それでも可能性はある。

 

星野アイの子供を任せられるような、苺プロの裏面まで見せても問題のないような人間だ。

 

調べても特定の怪しさは見つからなかったが、それでもヤクザなんかが関わっている可能性もある。情報にはないが美人だしホステス上がりとかの可能性もあるか?

 

 

「は、はじめまして、な、なにかのドッキリですか?」

 

「いえ、このナイフは本物で、このテーザー銃も本物です……大丈夫、絶対に貴方には危害を加えたりはしないはずです。事件に関わっていなければ」

 

「何言ってやがるこの野郎!!」

 

 

おっと、あまり動揺させすぎてはいけない。

 

 

「まーまー……お姉さん、これを二人につけてください。もちろん服を脱がしたりもしなくていいですが服の下におねがいします」

 

「えっえっ??」

 

「なにが目的だ?!金かっ!!?」

 

 

この反応はどちらだ?本当にわけがわからないというのか、それとも二人には知られないように動いていて、動揺しているのか?

 

高価な電極パッド、下の階にデータを飛ばしてスマートサングラスにまで情報を送るように準備している。

 

ノロノロとだが、二人に電極パッドと説明書を読んで貼り始めたミヤコさん……パニクってるのが見て取れるが素直でよろしい。

 

 

「違う、こちらは最愛の兄が死んでいる。確実にここにいる貴方達か貴方達を恨んでいる人間が関わっている。だから来た。後ろめたいことがないなら誰も傷つけることもない」

 

「はぁっ!?何いってんだよお前は!!警察呼ぶぞ!!!」

 

「斎藤壱護さんだよね?俺は!あの病院っ!に、きて!」

 

 

星野さんを横にどけてナイフを抜き、目の前に突きつける。

 

このまま刺してやりたくて仕方ない。

 

 

「間接的にでも兄さんが死ぬことになったてめぇに問答無用で高圧電流を流してやりてぇんだよくそがっ!!黙って言う通りにしろ!!!ぶっ殺すぞっ!!!!」

 

「わかった!わかったから!?」

 

 

殺したくてたまらないのに、真犯人じゃなかったらと思うと手が出せなくてもどかしい。怒りのあまりプランBで拉致って拷問してやりたくなってしまう。

 

腰が引けて、そのまま泣きそうな顔の壱護。怯えが見て取れる。

 

ナイフに怯えているのか、それとも殺人がバレたことにビビっているのか……わかりにくいし、室内でもつけているグラサンを奪ってソファーに投げる。

 

 

「お姉さんもつけてください。……失礼、これから質問するからはいかいいえで答えてください」

 

「こ、答えなかったら?」

 

「殺す。もしかしたら動けずに何十時間も悶えて獣に喰い殺されたかもしれない兄さんのように生きたまま地獄に落として最後に殺す」

 

 

少し抵抗する気だったような壱護社長だったが本気が伝わったのかもう手を上げている。

 

人に貼るのは簡単でも自分に貼るのは難しいのか、慌てているミヤコさん。下着が見えそうなので少し下がって目をそらす。

 

 

「あ、あのアクアと瑠美衣は?」

 

 

親としては、心配なのだろう。兄さんの死に出産が関係していたとしても、子供に罪はない。だから……

 

 

「あの二人の安全だけは絶対に保証する、もちろんまともに生きてもらうよ」

 

 

もしもここで誰か殺すことになっても、ちゃんと生きられるように金は用意している。

 

三人共に美奈子さんによって胸の近くに付けてもらった心電図のデータ、下の階のPCに飛んでそこからスマートサングラスに表示されるが、もうグッチャグチャで動揺しきっているのがわかる。

 

 

「まず第一の質問、アクアと瑠美衣の父親は社長、あんたか?」

 

「い、いいやちがう!!」

 

「はいかいいえで答えろといったぞ?」

 

 

実際ははいかいいえじゃなくてもいい、あまりにも動揺しすぎて一気に心拍数が上がるかを見ているだけ。選択肢を二択にすることでより動揺しやすくしている。

 

 

「アクアと瑠美衣の父親はこの男か?アイさん」

 

「違いますあり得ないです、ぷぷっ」

 

「……アイさんが睡眠薬でとか酒によった勢いでとかの可能性もありますからね。子供の髪の色も考えると……そうですし。ええっとミヤコさん二人の言ってるそれは事実ですか?」

 

 

二人の髪の色も加味すれば完全に当たりだろうと思ったが違うのか?

 

まだ重要な質問ではないがそれでも聞いてみた。もしかしたらこれこそが動機につながるかも知れないのだから。

 

 

「はい!はい、……いやいいえ?いや違いますそうじゃなくて壱護さんの妻は私ですが二人はそういう関係じゃなくてどちらかというと世話焼きなおっさんです!!はぁっはぁっ!!!」

 

「どうどう、落ち着いて、深呼吸深呼吸……酸素缶です吸ってください」

 

「ど、どど、どうも」

 

 

バッグから酸素缶を渡して吸ってもらう。この人は完全にシロだな。巻き込まれただけなのに可哀想にな……。

 

少し時間をとって心電図を確認する。

 

 

「………」

 

「………」

 

 

落ち着いただろうか?

 

 

「次の質問です。産婦人科医、雨宮吾郎兄さんの殺害に関わりましたか?」

 

 

目をカッと開いたミヤコさん。

 

 

「いいえっ!絶対に無いです、社長!してませんよねっ!!?」

 

「当然だろっ!!」

 

 

つばを飛ばして胸の底から言っているように見える壱護社長に嘘は感じられない。

 

もちろん星野アイさんからも……。

 

 

「お姉さんは?関与してますか?」

 

「シュー……してませんっ!!」

 

 

誰もはい、いいえで答えてくれないが仕方ないな。表情からも嘘は感じられない。多分シロだ。

 

心電図も動揺はしていても確証にもならないしなぁ……。

 

まいった、まさか夢にまで見たこの男が犯人ではないなんて。

 

 

「はぁ……最悪だ、もう危害を加えることはないです。俺を警察に突き出すのも結構、抵抗はしません。ただ話は聞いてもらえますか?」

 

「……おう」

 

 

これでは、これから、誰を恨めば良い?

 

 

「吾郎兄さん、雨宮吾郎を覚えてますか?産婦人科の」

 

「覚えてるよ」

 

「もう言葉の端に出てしまいましたが兄さんは殺されていました」

 

「!!!」

 

 

星野さんとミヤコさんが動揺しているが、壱護社長はそこまでか?二人に比べると同様していないというだけで動揺はしている。

 

 

「絶対人の行かないような崖に兄さんの死体は今でも転がっています。そして兄さんは人から感謝されることは多くても恨まれることは殆どない、産婦人科だからどうしようもないことはあっても恨まれるレベルはなかったはずだ……。」

 

「なんで、せんせは死んだの?」

 

 

ポロポロ泣いている星野アイさん、自分の目から見ても信頼関係を気づいていたように思う。

 

 

「あの時期、星野さんが出産するタイミングで兄は失踪、推しの出産で居なくなるかもとは一瞬思ったけど兄さんは、自分が傷ついても誰かを応援するような良い人だ。だから兄を殺す動機があるとしたら貴方達が関係してる場合しかない」

 

 

あれだけ憎くて、あれだけ恨んでいたのに、違うとわかってしまって、力が抜けていく。

 

 

「どういう、ことですか?」

 

 

0.1%ぐらいは事故死の可能性もあるだろうか?過激なファンも、彼らの関係者も関係ないような死亡……、推しの出産で何処かで一服しようとして崖から落ちてしまったり……やっぱりどう考えてもないな。やっぱり崖を突き落とされたか、崖に捨てられたとしか考えられない。

 

 

「まずは星野アイさん、貴女が兄を疎んで誰かに殺害させた場合」

 

「そんな事してません!」

 

「兄を信頼していたように見えたし、子供を産むためにそれはやるとは考えにくい。だけど僕が話した貴女は嘘をつくのが仕事で欲張りなんだと言っていたあなたにとって兄さんが邪魔になって産婦人科の情報を消すためにやった可能性は僕の視点からはあった」

 

「確かに?」

 

 

ちょっとしか話していないが、このこの表情は胡散臭い。兄さんは患者の嘘を見抜くのも仕事と言っていたが。転生者である自分の目から見てもこのこの表情は不自然だ。

 

こんなトップアイドルと話したことはないが、それでも何か引っかかるような顔をする。実は整形手術を疑っている。

 

 

「それとどう見てもヤクザで出産を応援する気のなさそうなここの社長さん」

 

「やるわけねぇだろ!?」

 

「社長のファッションセンスがヤクザなのは認める」

「確かに、そうね」

 

「お前らっ!」

 

「つーかてめぇだけは調子のんなクソが、兄さんが死んだ原因は二人じゃないなら二人の関係者から漏れてるか厄介なファンからだろうがっ!!!」

 

「その点は謝ってすむことじゃないが本当に済まない」

 

 

土下座されても、もうどうにでも出来ないことだ。

 

 

「あなた達芸能界からの刺客にストーカー……。兄さんは貴女のサポートのためにわざわざ俺を呼んだし情報管理には相当気を使っていた。

 

つまり、兄さんは、殺された原因はあなた達、もしくはあなた達に恨みを持った人間か関係者になる。

 

ファンがストーキングして行った可能性もある。だけど子供が生まれないほうが都合がいいと考えるならその情報を知ってる誰かの可能性が極めて高い………くそっ!どう見てもヤクザスーツに病院内でサングラスかけてるヤクザのおっさんが犯人だと思ったんだがな、犯人はわからずじまいだ」

 

「最悪な誤解だ」

 

 

推察は間違っていた。ここからは警察に捕まらないように……捕まってもいいがお話だ。なにせ真犯人が捕まっていない。

 

………他にも可能性は考えていたし、今ここで捕まるとしても情報だけは伝えないといけない。

 




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