推しの子の弟は兄を推す   作:oz-ono

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転生した青年は徹夜後刺される。

 

「兄さんは人を応援するために自分の推し活よりもその人の幸せを願える生き物でした。到底自殺するようなタイプでもなかったですし、B小町復帰したら一緒に見に行こうなって話したりしてました。」

 

「だからこんな真似したのか?」

 

 

ぶっちゃけまともな精神でこんなところにまで準備して来ない。前世からの常識に照らし合わせてもやりすぎだ……が、それでも転生して、もう二度と自分の気持ちを押し込めるようなことはしないと誓った。

 

 

「僕を引き取ってくれた最愛の兄です。だから骨を見つけても応援のしているあなた達のために通報せずに骨はそのままになっています」

 

「それは……恨まれても当然だな」

 

「興信所も使わずにあれからずっとあなた達のことを調べていたんですよ?あ、僕になにかあったら部下がここに突入、情報がばらまかれるようになってるんで……。恨まれている相手は?」

 

「芸能界にいりゃあ星の数ほど恨まれもするさ、なんかエゲツねぇこと言ったな」

 

「せんせー、本当に死んじゃったの?私の……私のせい?」

 

 

星野アイさんが床にへたり込んで泣いてしまった。

 

 

「死んだのは本当ですが、あなた達が指示したんじゃなかったら貴女のせいじゃなと思います。間接的には関わっているかも知れませんがそれでも直接指示していないのなら恨む気はありません」

 

「そんな、でも……。」

 

 

星野さんからすれば犯人ではないにしても自分の活動から生まれたファンなんかが犯人の可能性が高いし、悔恨の念はあるのかも知れない。

 

自分も酸素缶を吸って落ち着く。想定していた中でも最悪の結果だ。社長に罪を告白させて、下の階で拷問してから山で獣に食わせてやろうと思ってたのに。

 

にーさんのことで明日ライブのアイドルの心までぐちゃぐちゃに乱してしまった。産婦人科医なんて忘れててもおかしくないだろうに。

 

 

「で、なにが望み?どうするの?こんな強盗まがいのことしてさ」

 

 

まだ壱護社長のことはムカつく。それでもこいつが犯人じゃないのなら、真犯人を捕まえるために絶対に必要なピースだ。

 

 

「故人の遺志、死んだ兄の望み通り星野さんには成功してほしいんです。だからこのタイミングで来ました」

 

「というと?」

 

「3人が兄を殺していないなら実行犯はまだ生きているはず、産婦人科の兄を狙ったということは子供が生まれなくするか、星野さんが標的の可能性がある。」

 

 

カバンから飲み物飲み物……やべ、これ自白剤入りだ。

 

適当にその辺にあったペットボトルドリンクを頂戴する。

 

 

「SNSでも怪しい発言をする人はいますし、もしもまだ恨んでるなら今回のライブはとても危険だと思います。……頭のおかしなやつなら今この瞬間にだってこの建物だって火をつけられるなりして危ないかもしれないですしね」

 

「そんなっ!大丈夫なんですかここはっ?!」

 

 

ミヤコさんはまだパニックになっているような気がする。

 

 

「俺がなんで来たか、現状がどうなってるか、理解しましたか?」

 

「おう」

 

「……はい」

 

「わかった!わかったわ!?ここが危ないならすぐに離れたほうが良いんじゃないの?!」

 

 

あまり大声を出してほしくはない、ブチギレた自分が言える立場ではないが赤ちゃんが起きてしまう。

 

 

「建物の下にはうちの会社の屈強な部下に寝ずの番をさせています。夜の間は異変があったらすぐに連絡が来ることとなっています」

 

 

ちらりと別室の赤ちゃんが寝ていることを少しだけドアを開けて確認し、土足であることが気になった。

 

 

「その、お祝いを台無しにしてすいません。これ、土足で入ったフローリングの修繕費です、お収めください」

 

 

星野さんに百万円程ポイっと渡しておいた。タワマンだしもっと高いかもしれないがこんなものだろう。

 

 

「ひゃっ、ひゃくまんえん!?」

 

「とりあえず靴脱いできます。犯人についてのお話があるので戻ってきます、警察に言ってもいいですよ?」

 

「そんな気はもうねぇよ。あんたがなんでこんな事しでかしたのかは分かったしな……何もこんな大事な日に来てほしくはなかったが」

 

「本当にミヤコさん、貴女は無関係なのに怖い思いをさせて本当にすいません」

 

「いえ」

 

「どう見ても犯人はこの3人のだれかだと思ったんだけどなぁ………。」

 

 

 

違うのなら違うでいい。あとは星野さんにはドーム公演のために寝てもらってスマホでSNSの怪しいやつについて下の部屋で壱護社長と社長夫人でピックアップして情報共有していった。

 

チェーンカッターは後ろを歩く壱護社長に渡した。何もしていないという信用のためだ。

 

もしも、自分の目が間違っていてこいつが犯人で、後ろからぶん殴られても屈強な部下がどうにかしてくれるだろう。

 

 

徹夜でSNSで怪しい発言をしている人間の情報や、壱護プロの周りで怪しい人間の写真何かを見せていく。今日ライブがあるがアシッドアタックや火炎瓶の投げ込み。もっと簡単に包丁で刺しにくるにしても犯人の目星がついているかどうかでは段違いだ。

 

おっと、サンドバッグの一護社長の写真を外さないと。

 

連絡先を交換し、仕事もあるからと行ってしまった二人、通報されないかな?

 

 

日も昇って――――星野さんの様子を見に行った。

 

インターホンを鳴らして……昨日の今日だというのにチェーンもなしにあけてくれた。

 

 

「昨日はすいません、これお詫びの品です」

 

「わわっ?!こんなに?良いんですか??」

 

 

もしも刃傷沙汰になったり真実を吐かせるのに人質が必要な場合、下の階には幼児グッズを大量に用意していた。

 

赤ちゃんには1mmも罪はないし、金に物を言わせて結構お高いグッズを集めていた。各種メーカーの玩具や絵本、おしめだけで1部屋埋まったほどだ。

 

 

「どうぞ」

 

「持ちきれないんで上がって行ってください」

 

「良いんですか?」

 

 

昨日の今日である。昨夜はナイフもって、結構な武装で入っていったっていうのに……良いのか?

 

 

「ごろーせんせーの弟さんで、私もお世話になったのに無碍には出来ませんよ」

 

「………お邪魔します」

 

 

ほんの少しの笑顔、作り物であるとわかるが……何を考えているのかわからないのが少し怖い。

 

赤ちゃんたちの名前は瑠美衣とアクアマリン……だったかな?ネーミングセンスは信じられないぐらい酷いが、どんなものでも前衛的とか、時代の先取りと考えられるのかも知れない。

 

 

「あの、マッサージでもしましょうか?」

 

「そんな、気を使わなくても」

 

「今日がライブで、昨日あれだけのことをやらかして罪悪感もあるんですよ」

 

「ならお願いしよーかなー、昨日あんまり寝られなかったし」

 

「全身全霊でやります」

 

 

マッサージは久々だけどかなりメンタルを乱してしまったはずだ。

 

 

「ねー、白木センセ」

 

「なんですか?」

 

「ごろーセンセのこと、愛してた?」

 

「はい」

 

 

愛してたっていうのは気恥ずかしいが、これだけは本当だ。

 

男女の恋愛などではなく、兄弟としてすごく仲良かったように思う。

 

少なくとも凶行に走る程には愛している。

 

 

「………そっか、ごめんなさい」

 

「貴女が手を下したわけではありませんし、貴女の活動の結果生まれた人間が犯人だとしてもそれは貴女のせいじゃないです。謝る必要はありませんよ……吾郎にーさんだって恨んだりしていないと思います」

 

「そっか、そうだと……良いなぁ」

 

「昨日のお詫びですが困ってることはありませんか?」

 

「瑠美衣とアクアに……いい暮らし………させてあげたい………かな………私に…………なにか…………あったと………………しても…………」

 

 

寝不足だったのか寝てしまった。

 

昨日ナイフもって部屋に押し入ったというのにな。

 

高級スイーツや幼児グッズは下の階の部下に用意させる。

 

 

マッサージは終わったが出るタイミングを失った。今日のライブまでできるだけ寝かせてあげたいが鍵はもっていない。

 

もしかしたら吾郎にーさん殺害実行犯が今にもここに来るかも知れないし、いや、移動中の車やライブ会場入りの瞬間を狙うかも……いや、一人殺してるならもう国外に逃げてる?分からないな。

 

 

ピンポーン

 

 

トイレに入っていると音が聞こえた。

 

このタイミングで客?社長たちは仕事に行くって言っていたし、鍵持ってるよね?

 

すぐに出るとナイフを持った男が

 

 

「星野さんっ!!?うぐぁっ!!!??」

 

 

無理やり割って入り、ナイフを下に弾いたが全体重で前に突っ込んできた男のナイフは内股を大きく傷つけた。

 

 

「何なんだよお前はぁ!!?男かよくそがぁっ!!!??」

 

「資格を持ったマッサージ師だボケぇ!!!」

 

 

一応社長たちが本性を表すんじゃないかと着ていたケーシィの下の最新の薄型防弾防刃チョッキで受け止めればよかったんだけどとっさの判断でやってしまった。

 

そのまま後ろにいかせるまいと掴みあって………どんどん力が抜ける。

 

熱く激痛が走った箇所を見ると太ももの内側が大きく切り裂かれて、血が噴き出している。

 

 

視界になにか黒いものが現れ、グラっときた。

 

全力で男の手首を握り、前に出て、肘で男を殴って――――

 

 

「なん  だよ  嘘吐き  って」

 

「砂  だよ  ね  馬鹿  たかな」

 

 

なにか話してる気がする。

 

気がつけば倒れていて、すぐ横に赤ちゃんがいた。

 

黒いフードの男はいない。

 

 

「星野、星野アクアマリン君だっけ?君は、なんとなく吾郎にーさんみたいだなぁ」

 

 

顔も違う、初めて生で見る赤ちゃん。なのに、なんで吾朗にーさんが浮かぶんだ?

 

ずっとにーさんのことばっか考えてたから、か?

 

自分でも何がなんだか、走馬灯が重なった?

 

 

「喋るなせーた!頭を下に、アイ!傷口を押さえて足を上げて!!」

 

「こ、こう!?」

 

「兄さんにもっと恩返ししたかったのに、あぁ、いや、でも、こうして兄さんの守りたかったものが守れたなら、良いかなぁ」

 

 

寒い、力が入らない。

 

 

「だめだセータ!意識をしっかりもて!アイ!!しっかり抑えて!瑠美衣!119番に電」

 

 

また、転生できると、良いなぁ…………。

 

 

 

アイドルB小町のアイさんの自宅にナイフを持った男が侵入、居合わせたマッサージ師の男性は意識不明の重傷。

 

アイさんは軽傷、ライブは中止となりました。

 




評価や感想などしてくれると僕はうれしーです(*´ω`*)<いっぱい読んでもらってた!
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