新・ヒダマリを失った少女は錬金少女と復讐を夢見る   作:朝方紳士

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視点が三人称だったり三一人称だったり……ブランクが響いておるなぁ…

書き方がぶれて非常に読みにくいと思いますがご容赦お願いしますm(__)m


第二話 リディアン音楽院と特異災害対策機動部

 

海を見渡せる丘を占拠するように鎮座する城『私立リディアン音楽院』。

設立から10年という短い校史でありながら在学生が1000人を超えているのは、学費が安いからか、はたまた歌姫目当ての野次馬が通っているのか……。

 

そんなどうでもいいことにぼんやりと思考を巡らせているのは、目の前の現実から目をそらすためである。

 

「ねぇ、どこから来たの? 翼様とはどういった関係なの?」

 

「ご兄弟は? 彼氏はいるの??」

 

姦しくも自身の周りに群がる女子生徒ら。

右から左へ、左から右へ。

止むことのない彼女らの質問という波状攻撃に、さしもに苦痛に慣れた響であっても頬が引きつり愛想の仮面がメキメキと音を立てていた。

彼女らにとって転校生とは新たな話題の種であり、それも”憧れである『風鳴 翼』との縁者”ともあればそれへ向けられる好奇も段違いに大きくなるというものだった。

 

あちらに答えれば次にはこちら。

響は煤けた向日葵の毛先を弄りながら頬をぴくぴくさせていると、教室の入り口が急に騒がしくなる。

響に質問していた彼女らも騒動のほうへ振り返れば、そこには話題にも上がっていた風鳴翼が立っていた。

 

色めき立つ生徒らの向こうに驚愕に目を見開く翼の姿があった。

驚愕と疑いの目を向ける翼に、響はこれ幸いと流れるような動作で人の壁をすり抜け、しなだれかかる様に彼女へ腕を絡めた。

 

「いや~~人気者はタイヘンですなぁ~! ツバサさん? おた~すけ♪」

 

「ッ……皆、すまないが立花に少し用があってな」

 

ギリッ、と音が鳴りそうなほど奥歯を噛み締める翼は、幾重にも微笑みの仮面を被さると周囲を取り巻く彼女らを振り切るようにその場を離れた。

背後から上がる黄色と驚きの悲鳴に、響はケタケタと笑いながらなすがままに連行されるのだった。

 

 

 

 

それは数日前のこと。

 

「れでぃあん?」

 

「リディアンだ馬鹿」

 

拠点へと帰った響が定期的なバイタルチェックを受けている最中、端末を叩きながらそんな話を切り出してきたのは、淡い空色の瞳を持つ少女だった。

血に濡れたように赤いワンピースに、やや袖の長い白衣のようなジャケットといういで立ち。きめ細かく透き通るような金髪に不愛想な表情を浮かべる少女は、半透明のディスプレイに表示される数字の羅列に目を通しながら、呆れる様に溜息を吐いた。

 

定期健診サボったのまだ怒ってるのかな?

 

「リディアン音楽院。お前が遊んでいた奏者の通う学び舎だ。まぁ、奏者は今はどうでもいい。今回はそこの地下に用がある」

 

「ふむふむ」

 

「特異災害対策機動部……おままごとに付き合わされている国の機関がそこにある。お前はしばらくそこに所属してもらうぞ」

 

「ほぁ~……」

 

「……焼却処分されたいのか?」

 

気なしで返事をしていたら殺気の籠った視線が刺さる。

これ以上はまずいと響は寝台から体を起こし、真面目に話を聞くことにした。

「よっこいしょ」と気の抜けた声とともに身体を起こすと、適当にかけていたシーツがするりと床に落ち、響の裸体が露になる。

若干肌寒いが別段問題はないのでそのまま胡坐をかいて話を聞く体勢を作った響だったが、目の前の少女は死んだ魚のような目で自身を見るばかりだ。

 

「? どうしたのキャロルちゃん」

 

「……お前は羞恥心すら忘れたのか?」

 

「ん?     あ、えっち♪」

 

じっくりと数秒をかけて考えた響は合点がいったと目を見開き、恥じらうように乳房と秘部を隠した。

 

半目で睨む少女と体をくねらせニヤニヤする響。

 

「——————」

 

「あああごめんごめん待って!! すぐ服着ます!!」

 

少女を弄ぶように振舞う響だったが、少女の手のひらに幾何学模様が浮かんだ瞬間血相を変えてその辺に脱ぎ散らかした下着を取りに走るのだった。

 

 

 

 

「次同じ事をしたら本気で燃やすからな」

 

「はい。 それで結局私は何をすればいいんだっけ?」

 

眼前で仁王立ちする少女にきりりと返す響。

冷たい床の感触と燻る髪先を押さえながら改めて聞き直せば、少女は大きくため息をついた後、面倒くさそうに話しだした。

 

「女狐と取引をしてな。お前を一時的に貸し出す。お前は適当に過ごすだけでいい。よかったな、お得意の人助けができるぞ?」

 

「わーい」

 

ここは喜んでおこうと笑顔で万歳する響。

しかしそんな響を前に、少女は話を切り出してからずっと作っていた眉間の皺を解くと眉尻を下げ、

 

「……悪かったな。お前を売るような真似をして」

 

と、ぽしょりと謝った。

ばつが悪そうに視線を逸らす少女に、目を瞬かせた響は「やれやれ」と肩をすくめるとそっと少女を抱き留める。

 

「だいじょうぶ。キャロルちゃんは何にも悪くない。私の全部はキャロルちゃんのものだよ?」

 

「っ……でも」

 

響の言葉に食って掛かろうとする少女をぎゅっと抱きしめることで防いだ響は、あやすように背中を撫でながら続けた。

 

「私の夢は、復讐すること。でもでももうそれだけじゃないんだ。それを叶えてくれるキャロルちゃんの夢も叶えたいの。キャロルちゃんの夢は?」

 

「……パパとの命題を解くこと」

 

落ち着かせるように、ゆっくりと背中を撫でる。

互いの心音を交換するように身体を密着させ、互いの熱を交換するように首筋に顔を埋める。

 

「うん。あの時キャロルちゃんは言ったよね。『オレの命題の途中でお前の夢をかなえてやる』って、『その代わりお前はオレのモノになれ』って」

 

それは数年前、響が攫われた先での出来事のこと。

世界を憎む響へ提示した少女の取引。

 

「私はあの時の選択を後悔してないよ? キャロルちゃんのおかげ。だからキャロルちゃんも私を使うことを躊躇わないで?」

 

「……本当にいいのか?」

 

どこか湿り気を帯びた声音に、響は抱擁を緩め、カラカラと笑った。

 

「大丈夫。へいきへっちゃらだよ♪」

 

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