新・ヒダマリを失った少女は錬金少女と復讐を夢見る   作:朝方紳士

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ビッキーの原型がなさ過ぎて既存キャラとの絡ませが難しい…




第三話 ようこそ、2課へ

 

「……何が目的?」

 

「ん~~?」

 

数日前のことをふと思い出していると、背後から剣呑とした声音が投げかけられた。

響がひらりと背後を振り返れば、案の定眉間にしわを寄せたままこちらを睨む翼がいた。

 

何と答えたものか、数秒悩んだ響だったが別段答える必要はないなと踵を返し、目的地へと足を進めることにした。

 

「ッ待て!」

 

ツカツカと冷たい足音が廊下に響く。

何度か廊下を曲がり、階段を降って……目的地へ近づくほどに、背後からの殺気は強まる一方だった。

そして、

 

「は~い。着きました♪」

 

「………ッ!!!」

 

気分はどこかの底意地の悪い友人だろうか。ふわりとその場で一回転。腰に手を当てて目的地の扉を指せば、翼は驚愕に目を見開きながら臨戦態勢をとった。

自身を射殺さんばかりに睨みつけ、半歩引きながらも即座に対応できるよう腰を低くする翼を前に、響は嗤いながら扉の向こう、今回の目的地へと続くエレベーターへと乗り込む。

 

「のらないんですかぁ? つ・ば・さ・さん」

 

「……乗ってどうする」

 

「またまたぁ——————下に行くんですよ 皆さんお待ちデショウ?」

 

なぜ当然のことを聞くのか。それが”分からない”響は嗤ったまま首を捻る。

ケラケラと、カラカラと。糸の切れた人形のようにかくんと首を落とす響に、翼は不気味なモノを見る目で更に一歩後ずさった。

無意識に胸元を掴む翼は、意を決したように口を開き

 

「問題ありません。ご案内しましょう」

 

背後からの声にハッと目を見開いた。

 

 

 

 

 

『ようこそ2課へ!』

 

翼を止めたスーツ姿の男性の案内で通されたのは、そんな頭の悪い横断幕がでかでかと掲げられた多目的ホールのような場所だった。

 

「待っていたぞ! 立花響君!!」

 

目を瞬かせる響に、クラッカーの破裂音とともに紙吹雪とテープが降り注ぐ。

おそらく機動部の職員であろうシルクハットを被ったガタイのいい男性が響へと歩み寄る。

 

「了子君から話は聞いている。私は特異災害対策機動部2課の責任者『風鳴 弦十郎』だ。よろしく頼むぞ!」

 

失礼、この人が頭だったようだ。

 

笑顔で右手を差し出してくる指令に、響は内心苦笑しながら笑顔で応じた。

 

「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします♪」

 

がっちりと握手を交わす二人だったが、ふいに指令が笑顔を消すと響の背後にいる翼を一瞥して言った。

 

「それとは別に翼からも話は来ている。”生身でノイズを撃退した”とな」

 

おや? 握られた手が離れないぞ?? この人の力可笑しくね?

 

軽く力を込めてもびくともしない握手に響が目を瞬かせていると、指令は突然目を見開くと握手した手を覆うように左手も重ねてくる。

 

「ほぼ初対面で無理なことだというのはわかっている! だが、どうか生身でノイズを倒す、その方法を、教えてはくれないだろうか!!」

 

「ひぇ!?」

 

ひぇ! 

 

シルクハットを被ったままひどく熱のこもった眼差しで迫りくる指令に響は素で悲鳴を上げ、一歩後ずさった。

それでも食い下がろうとする指令がさらに一歩前へ出る。と、

 

「はいはいそこまで」

 

響と指令の間に手が差し込まれ、二人は強制的に距離を取らされた。

 

「まったくもう。弦十郎君もあせり過ぎよ? うら若き乙女に詰め寄るなんて」

 

「むぅ。響君、すまなかった」

 

きっちりと頭を下げて謝る指令を横に、割って入ってきた女性は改めて響へ向き直る。

 

「ごめんなさいね? それから、改めて名乗るわね、私は『桜井 了子』よ。よろしくね、響ちゃん?」

 

そして笑顔で……笑っていない眼差しで響を見下ろしていた。

 

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