新・ヒダマリを失った少女は錬金少女と復讐を夢見る   作:朝方紳士

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キャラ崩壊注意!!!


大人は夢を見て……

 

「いや~、”おひさしぶりです”了子さん」

 

頭を下げる指令と響との間に割り込むようにして手を差し出してきた今回の取引相手——桜井 了子に響は勝手しったるというように手を差し出せば、相手もそれに乗って優しく手を握り返してくる。

 

「ほんと、久しぶりね。ほんとーに、忙しいときに無理を言ってごめんなさいね? 響ちゃん?」

 

「何を言ってるんですかぁ。了子さんの頼みなら断れませんよ♪」

 

表面上はどこまでも朗らかに……しかしとて――

 

「指令、どういうことか説明していただけませんか」

 

と、いい加減に業を煮やしたのか今まで黙っていた翼が剣の籠った言葉を投げかける。

 

どうやらツバサさんには黙っていたらしい。

 

佇まいを直した指令は一度咳ばらいを挟むと翼へ一歩歩み出た。

 

「黙っていてすまなかった。だが、私も了子君から話を聞かされたのは今朝のことだったんだ」

 

「ごめんなさいね、翼ちゃん。もっと早くに教えるべきだと思ったのだけれど、話す前に拗れた出会い方をしてしまったから」

 

暗にお前の行動のせいだという流し目が刺さる。それを笑顔でへらりと躱した響は翼の前へ歩みでて先ほどと同じように右手を差し出した。

 

「改めまして、ヒビキです♪ 最近の異常なノイズ発生と2課への負荷軽減のためにお呼ばれしました。大体はツバサさんのサポートに回るのでよろしく~。 あ、あとこの前はごめんなさい♪」

 

後頭部に手を置きながら首を傾げれば、ピキリと走る立派な青筋が。

そのふざけた挨拶ゆえか、それともそんなふざけた相手に後れを取ったことを恥じているのか、しかし上の決定である以上は従わねばなるまいと必死に私情を押し殺して肩を震わせる翼。

そんな彼女を一瞥した響はくるりと踵を返すとそこには呆れ顔の了子と気難しい顔で眉を顰める指令の姿が。

 

「? あぁ、そうだ。さっきの指令さんのお話の件ですけど」

 

「! ああ」

 

響がそう言えば指令は瞬時に背筋を伸ばしまっすぐとした眼で響を見下ろす。

そんな指令に対する響の答えは決まっていた。

 

「教えられません♪」

 

「……もしよければ理由を教えてはくれないだろうか」

 

「ん~~? そもそも、指令さんは何でそんなこと(・・・・・)知りたがるんですか?」

 

「決まっている。人助けさ!」

 

純粋な疑問帰ってくる答えに、響はピクリと動きを止める。

そんな響を前に指令は握り拳を見せながら熱く語り始めた。

 

「特異災害機動部と名乗っちゃあいるが、実際の所は翼君におんぶにだっこで彼女一人に重荷を背負わせているのが現状だ。俺にできていることといえば、部下たちに迷惑をかけることと、翼君のわがままを少しでもかなえてやることだけ……ま、翼君はあまりわがままを言ってはくれないがな」

 

「……」

 

「だから、もしノイズと生身でも戦うことができるのなら、一人でも多くの人を救うことができる。翼君の重荷をともに背負うことができる。君のような未来ある子供の将来を奪わなくても」

 

「バカみたい」

 

ぴしり、

と笑顔の仮面にひびが付いた。

思わず零れた言葉に辺りは静まり返り、指令は握っていた拳をそっと下ろす。

 

「たかだかあなた一人が戦えるようになったから何が変わるっていうんですか?」

 

ああ、だめだ。抑えなきゃ

理性が脳裏で囁いている。キャロルちゃんの計画通りに動けと

 

「今更そんなこと言って何が変わるんですか?」

 

抑えなきゃ…

私情は挟むな。笑顔で道化を演じろ

 

「どうせ私のこと調べたんでしょ? なら知ってますよね?」

 

おさえなきゃ……

計画に綻びを見せるな

 

「あなたたちのせいで」

 

おさ…えな……

どうせ、何を言っても無駄ナンダカラ

 

「未来は死んだんですよ??????????」

 

「響ちゃん」

 

了子の手が肩に置かれて初めて、響は我に返った。

いつの間にか漏れていたらしい殺気に周囲の人たちは顔を青くしていた。しかし指令は奥歯を噛み締め、響の殺気に真正面から耐えている。

その姿に毒気を抜かれた響は殺気を霧散させると深い溜息を吐いた。

 

やっちった。ごめんキャロルちゃん

 

『……気にするな』

 

心の隅でぼそりと呟けば、あちらもため息交じりの応答が。

硬くなった表情を両手で揉み解した響は改めて指令に向き直ると頭を下げる。

 

「言い過ぎました忘れてください」

 

「いや、君にはその権利がある。私にできるのはただ謝ることだけだ。すまなかった」

 

そう言って再び頭を下げる指令に、しかし沸々と湧き上がる黒い感情は抑えきれない。

響は無言で周囲にも頭を下げると足早にその場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ

 

 

 

 

 

 

 

最後に見た――後悔と懺悔に濡れた翼の顔が、脳裏へ張り付いた。

 

 




指令描くの難しい!

元々はもっと明るく狂った話にする予定だったのにただ暗い話にしてしまった。

次回は2課視点をもりもりしつつ、キャロル陣営も見てイキマス
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