偽マフティー先生のブルーアーカイブ   作:切嗣

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「偽マフティー先生 キヴォトスに立つ(前編)」の続きとなります。修正前の読者の方は「偽マフティー先生 キヴォトスに立つ(前編)」を先に読んでいただけると幸いです。


注:このお話は分割されたものになります。



偽マフティー先生 キヴォトスに立つ(中編) 

──D.U.外郭地区・シャーレの部室付近──

 

風が吹いている中、そこでは戦車の砲弾や銃弾が飛び交っていた。

 

「何なのよ、これ⁉ 何で私たちが戦わないといけないの⁉」

 

ユウカは思わず叫んだ。

彼女からすれば、自分は連邦生徒会に現状の不満を訴えに行ったはずなのに、それが今では不良たちと戦闘してこいと言われたのだ。理不尽ともいえるだろう。

 

「仕方がありません。サンクトゥムタワーの制御権を取り戻す為に、シャーレの部室の奪還は必須ですから」

「そうだけれど! なんで私が! ミレニアム所属で、これでもそれなりの扱いの、セミナーの私が!」

 

自分の置かれた状況に納得できず、興奮するユウカ。

 

「君たちには申し訳ないが、どうか力を貸してもらいたい。彼女たち連邦生徒会も猫の手を借りたいほど忙しい。この通りだ、頼む」

 

かぼちゃはユウカに頭を下げて頼み込んでくる。

 

「わ、わかりましたよ。やります! やりますよ!」

 

そんなかぼちゃの姿を見て、ユウカは申し訳なくなったのだろう。渋々納得するユウカ。このかぼちゃの言うことは正論だった。連邦生徒会がキヴォトスの混乱に対応するため、他にやることがたくさんあるということを聡明な彼女は気づいていた。

もともと常識人で情に厚い一面を持つ彼女だ。目の前の大人が頭を下げてまで頼み込んでいるのに、彼女は戦いたくないとは言えないだろう。それがかぼちゃマスクを被った大人であったとしても…。

 

「では先生。ここは危ないので下がっていてください。先生の安全確保が第一です。あの建物の奪還はその次です」

「ええ、ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスの外から来た方なので……」

「弾丸一つでも先生にとっては命の危機です」

「分かってるわ。先生、私たちが戦場にいる間は、先生は安全な場所にいてください」

 

キヴォトス外から来たかぼちゃにはヘイローがない。彼女たちが言う通り、キヴォトスの住民ではないかぼちゃに弾が当たってしまった場合、運が悪ければ命を落とすことになるだろう。

 

「後方にいてくれということは理解した。ただ、」

「私の指示に従って欲しい」

 

その言葉は彼女たちにとっては衝撃的だ。

 

「え、ええっ⁉ 先生が戦術指揮を⁉ でも先生だから……できるのか」

 

特にユウカが大きく反応した。目の前のかぼちゃが指示をする。そのことに疑念や期待、不安など様々な感情が入り交じっているのだろう。しかし、かぼちゃは連邦生徒会長自らが指名した男。そのため、連邦生徒会長のお墨付きというブランドが付いているため、能力面に関して信用はできると考えたのであろう。彼女は納得した様子を見せた。

 

「指示といっても本格的な戦術指揮をするわけじゃない。ちょっとしたアドバイスのようなものだ」

「なるほど。分かりました。先生の助言に従います」

「了解です。先生」

「よろしくお願いしますね。先生」

 

彼女たちは笑顔、生真面目な態度で承諾してくれる。

彼女たちがこちらの指示に従ってくれることを確認でき、かぼちゃは心の中で安堵する。

 

「編成だが前衛をユウカ、中衛をスズミとチナツ、後衛をハスミで頼む」

「ユウカはシールドで敵を引きつけ、スズミは銃撃と攪乱、ハスミは遮蔽物に隠れながら狙撃、チナツは援護射撃と回復剤を。投擲や投与のタイミングの判断は私が指示する」

 

指示をするのは原作知識を活かして、できる限りゲームでの戦闘を現実に行えるよう再現する。それがかぼちゃの考えだった。

自分の有する原作知識が実際の戦闘に役に立つのかを確認するためだ。

彼女たちの期待とは違い、かぼちゃは原作知識を持っただけの一般人。

自分の性格(キャラ)でもないのに、ガンダムに登場するキャラクターをエミュレートしているだけのはりぼてだ。

銃なんて握ったことも、触ったこともない。超人的な才能があるわけではない。そのため、指示は軽いものにし、かぼちゃは戦闘のほとんどをユウカ達に委ねることにした。自身は戦闘のプロではないので、彼女たちに任せた方が良いと判断したからだ。

 

 

戦闘が始まると、ユウカは不良たちの攻撃を引きつけ、その間にスズミが銃撃、ハスミが狙撃、チナツは援護射撃をする。かぼちゃは時折、閃光弾の投擲と回復剤の投与指示をする。ゲームのチュートリアルでの戦いとほとんど同じだ。

不良たちも負けじと銃を乱射するが、それもむなしくユウカのシールドに防がれる。ならばと、不良たちは守りに入ろうと盾を構えても、スズミの閃光弾で視界が見えなくなりってしまう。その隙にハスミやチナツが銃撃を加えていく。

次々と不良たちは蹴散らされていった。それは蹂躙であった。

 

「ぐわーーーーっ‼」「ぬおわーーーっ!」「やられ千葉ァ!!」「どわーーーーっ!」

 

不良たちの悲鳴が聞こえる。いや、何か変な声も混じったような。

 

「いつもより戦闘がしやすい気がします」

「先生の指揮(アドバイス)のおかげです。普段の時よりも戦いやすいです」

「素晴らしい戦闘結果です。この結果は適切なタイミングで先生の指示があってこそ、ですね」

「鎧袖一触ね。でも、これは先生の能力あってのもの……まあ、あの連邦生徒会長が指名した人だから当然のことか……」

 

周辺の不良たちをほとんど撃破した彼女たちは自分たちの出した戦果に驚いていた。そして、指示をくれたかぼちゃに感謝を伝える。

 

「いや、この結果は君たちがもたらしたものだ。私は少しアドバイスを出したに過ぎないよ」

「──ただ、次からの戦闘は指示を少しずつ増やしていく」

 

かぼちゃは彼女たちの戦闘を見て、自身の有する原作知識がある程度は通用するのではないかと考えた。それは相性補正だ。軽装備の不良には爆発属性のユウカやスズミの攻撃が貫通属性のハスミやチナツの攻撃よりも特に効いていたように見えた。その証拠に敵を倒すペースが速かったのだ。役割の違いもあるかもしれないが。この仮説が正しければ、ゲームシステムの一部が反映されているのではないかと考えることができた。どこまで反映されているかわからないが、これによりアドバンテージをさらにとることができるだろう。

また、自身の指揮能力をあげるという課題が見えてきた。これから、生徒たちを指揮していくのは確実だ。そこで、指揮の経験を増やしたいと考える。自画自賛かもしれないが、閃光弾の投擲と回復剤の投与指示は上手くできていたと思う。実際、彼女たちから良い評価をもらえていた。

先生という役割だから、そういう特別な能力があるのか。

そんな疑問がわくが、今考えても仕方ない。

 

「シャーレの部室まであと少しだ。この調子で頼んだぞ」

「「「「はい」」」」

 

 

 

 

シャーレの部室が近くに見える場所まで進むと、ズボンのポケットに入れた端末が震える。

連邦生徒会から支給されたものだ。

端末を取り出し、通話ボタンをタップする。

リンのホログラムが出現する。

 

「先生、今この騒動を起こした首謀者が判明しました」

「狐坂ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です」

 

騒動の主犯は狐坂ワカモということは原作通りか。

 

「彼女は似たような前科がいくつもある危険な人物です。どうか、気を付けて下さい。先生」

「そうか、分かった。報告ありがとう、リン」

 

 

通話を終了させると、端末をしまう。それをみはからかったかのように不良たちが前からぞろぞろと出てくる。

前よりも、敵の数が多い。

 

「戦闘用意!」

 

彼女たちは武器を構え、自分の配置について、銃撃戦を始める。

作戦はさっきと変わらない。さっきの戦いから考えて、ワカモが出るまでは楽勝だろう。

そう思っていた。

 

空気中にブウウウウーーンと特徴的な音が鳴り響くとともに、敵の後方から不良達がバイクに乗って、猛スピードで飛び出してくる。

 

「うおおおおおおおー‼」「死にさらせやーーー!」「速いぞぉぉぉーーーーーー‼」

 

バイクの数は5つ。そのうえ、そのバイクは空を飛んでいるのだ。

キヴォトスの技術力なら、ホバーバイクなどあってもおかしくはないだろう。

だが、そのバイク自体がかぼちゃを驚かせるものだった。

バイクというには形が歪だった。前と後ろの部分は円形になっていて、4つの車輪が付いており、機銃が付いている。

かぼちゃはそのバイクの事を知っていた。

 

あれはワッカ⁉ 間違えた! ワッパ!?

ジオンが開発したホバーバイクだ。

なぜ、そんなものがここに。

 

「あのバイクみたいなものはミレニアムのですか⁉」

「し、知らないわよ! あんなデザインのホバーバイクうちにないわよ! カイザーPMCとかじゃないの?」

 

チナツがユウカに尋ねる。ユウカの反応からすると、どうやらあのワッパはミレニアムで作られたモノではないらしい。

 

「ハスミ、バイクを狙えるか?」

「狙ってはみますが、動きが速いので難しいと思います。」

「構わない、やってくれ」

 

初代ガンダムに登場するワッパがなぜキヴォトスに出てくるのは気になるが、今はどう対処するかが問題だ。

 

ワッパは円陣を組んで、時には分散しながら連携攻撃を加えてくる。

ハスミは遮蔽物に身を隠しながら、ワッパを狙おうとするも狙いが定まらない。やはりワッパの俊敏さに苦戦しているようだ。

ユウカは不良達を引きつけているのでもちろん動けない。スズミはこれ以上敵が集まりすぎないよう、閃光弾や銃撃をして敵を抑え込んでいる。チナツはその2人に回復剤の投与や援護で手一杯のようだ。

これでは、彼女たちを命令してハスミを手伝うようには頼めない。

このままでは持久戦で、ワッパの攻撃によって全滅してしまう。

どうする。どうすればいい。

この状況を覆すには……

 

かぼちゃは考えこんでいると、ふと自分の腰のホルスターに視線を向けた。

そこには連邦生徒会から支給された銃──ベレッタM9A1があった。

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

ハスミはワッパの攻撃を遮蔽物で防ぎながら、じりじりと追いつめられることに焦っていた。このままいけば、全滅するのは時間の問題。彼女はそう感じていた。

? 何か後ろの方から声が聞こえてくる。どんどん声が大きくなっているような。ハスミは声が聞こえてきた方へと振り返った。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァーーーーー‼」

「ウッッキィー―――――‼ 今年は申年ィィィーーーーー‼」

 

この世のものとは思えない奇声を発しながら、こちら側に走ってくるかぼちゃがそこにいた。かぼちゃは両腕を大きく振り上げながら、戦場で目立つように走っていた。

ハスミはその光景を見て固まってしまった。

戦場でガンダム動物園など見てしまえば誰もがこうもなろう。

誰もがそう同意してくれるはずだ。

不良達も猿、ではなくかぼちゃの姿を見て固まっていた。もちろんワッパに乗っていた不良達も空中で止まってしまった。

 

「ハスミィーーーー‼ ワンチャンあるで! ワンチャンあるで!」

 

かぼちゃはワッパに対し発砲しながら、ハスミに呼びかける。

ハスミはかぼちゃの意図を理解して硬直から立ち直り、ワッパにライフルを向け発砲した。

銃弾はワッパの前側にあるホバーファンに命中した。

ファンが破損したことにより、バランスが取れなくなったワッパはぐるぐると回転しながら、近くにいたワッパに衝突した。

 

「グワーーーーッッ」「ウワーーッッッッ」

 

2台のワッパは空中から地上へと落ちていった。

 

「お前ら、大丈夫か⁉」

「○○―――!」

「よくもあいつらを!」

 

仲間がやられたことに義憤にかられたり、仲間に心配の声、名前を呼びかけたりするワッパに乗った不良たち。

彼女たちは仲間意識が強いのだろう。

だが、戦場でよそ見をする暇はない。

数秒あれば、ハスミにとって残り3台のワッパを打ち落とすことは造作もなかった。

ハスミは次のワッパを狙撃した。

固まったままのワッパたちは簡単に次々と撃ち落されていった。

 

 

 

 

その光景を遮蔽物から、かぼちゃは見ていた。

 

あははははは‼ いっ……やったああああぁぁぁぁ!!!

 

先ほどまで、かぼちゃは戦場の中を大声で叫びながら走ったのだ。そのため、彼は興奮状態にあった。

脳内に分泌されたアドレナリンがまだ残っていたため、ハスミがワッパを撃破したことにどこぞの盟主のように喜んでいた。

 

「先生‼ 危ないから前に出ないで下さいと言ったはずです!」

「ご、ごめ……すまなかった、ハスミ」

 

ハスミからのお叱りを受けて、かぼちゃは一瞬だけ素の自分に戻りかけるも、すぐキャラを演じなおして謝罪をする。

 

「先生、私たちも怒ってますよ!後で言い訳聞かせてもらいますよ!」

「勝手な行動をしてもらっては困ります」

「先生、さすがにあの行動は無謀だと思います」

 

ユウカ、チナツ、スズミからも先ほどの行動を咎められる。

彼女たちに注意されことで、自分が馬鹿げたことをしでかしたのかを改めて理解した。全滅の危機があったとはいえ、一歩間違えれば命はなかったことを今になって気づかされる。

思い出すと、恐怖で内心ガクブル状態だ。

もう二度とあんな無茶なことはしない。

心の中でかぼちゃはそう誓うことにした。

もっとも、今後のストーリーで体を張る機会はたくさんあるのだが、そのときばかりかぼちゃはこのことを忘れていた。

 




もう少し、怪文書要素とか与太話を増やしたり、はっちゃけたりした方が良いでしょうかね。
あと一人称と三人称の問題とか。読者の方はどっちがお好みですかね。
小説の書き方はまだまだ試行錯誤中ですね。
今回も読んでくれてありがとうございます。
ご意見は活動報告に、感想は感想欄にお願いします。
あと、投票もお願いします。
そうしてくれると、すごく嬉しいです

この小説に求めるもの

  • MSを出すこと
  • 生徒のかわいいところをかくこと
  • もっとガンダムネタを出すこと
  • ブルアカらしさを出すこと
  • 全てやってみせろよ、マフティー
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