ラブライブ! -School life recorder- 作:Clown42
相変わらずのペースですがこれからも頑張りますよー
その手は誰が為に
俺と理事長が昇降口に戻ると、三人の少女たちが正門から走ってきた。
今回の学校案内をしてくれる生徒会の三人だ。
そして、これから1年間ともに学校生活を送る者でもある。
「遅れて本っ当にすみません!」
オレンジ色の髪の子が息を切らしながらそう言うと深々と頭を下げた。
いや、別に時間に遅れてはいないんだが。
「大丈夫ですよ、ちゃんと時間通りですから」
「でも......」
とりあえず落ち着いてもらい、そのあとに理事長とのことなどを話した。
「そうですか、もう案内していただいたんですね。すみません理事長、面倒をお掛けして」
「いいえ、私も少し暇を持て余してたから」
真面目そうな子が理事長に礼をする。
「でも、これからどうしよう?」
「んー......」
たれ目のおっとりしてそうな女の子がそう言うと。みんな少し悩み始めた。
「そうだ!まだ自己紹介してないよ!」
思い出したかのようにそう言うと自己紹介することになったのでそうすることにした。
「では、まず私から。初めまして、園田海未です。生徒会副会長を勤めさせていただいております3年生です。これから大変かと思いますが1年間よろしくお願いします」
あ、副会長だったのか。
そう思えるほど会長っぽい女の子は園田海未さん。
俺はぶっちゃけ人の名前を覚えるのは得意ではないのでなんとか早く覚えねば。
「わたしは南ことりといいます、同じく3年生です。生徒会書記をやってますよろしくお願いします。」
おっとりしてそうな女の子は南ことりさん。どことなく理事長に似てる気がするが、とりあえず置いておくことにした。
「初めまして、生徒会長をやらせてもらってます高坂穂乃果といいます。慣れない環境で苦労することもあると思いますしわたし自信至らないところがたくさんあるとは思いますが、1年間精一杯頑張りますのでどうかよろしくお願いします!」
なるほど、会長だな。
そう納得できるような自己紹介をしてくれた女の子は高坂穂乃果さん。
でも何で園田さんが少し感心してるかのような目で高坂さんを見てるのか。
もしかして、普段は全然違うのか?
まぁそれもここで過ごしてる内にわかるだろう。自分の自己紹介をすることにした。
「初めまして、神坂悠理です。3年生として編入することになりました。1年間皆さんにはご迷惑をおかけするかも知れませんが、自分にできることを全力でやっていこうと思います。もちろん、審査の事もありますが学校生活も頑張りますのでどうかよろしくお願いします。」
これで全員の自己紹介が終わった。
さっき理事長が言ったと通りざっくりではあるが案内は済ませてしまってるので代わりに残りの時間は校内を自由に散策させてもらうことにした。
まずは一番気になっていた道場の方に行くことにした。
「うわぁ......道場だ......」
当たり前なのだがとっさに出てきたのはこの言葉しかなかった。今まで俺はというか今でもだが武道とは無縁なので高校のとはいえ道場らしい道場を生で見るのは初めてだった。
「なにか武道に興味があるんですか?」
道場に釘付けになっていると後ろから園田さんが話しかけてきた。
「あ、いえ。今までテレビ以外で道場なんて見る機会は無かったので」
「そうだったのですか。ここでは剣道部と弓道部が主に部活動で使用しています。弓道部はもう少し奥の方でですが。」
「弓道部もあるんですか?」
「はい、ちなみに私は弓道部でもあります」
掛け持ちか......すごいな
そう思うのも束の間園田さんが話してくる。
「ところで神坂さんはいつも敬語なんですか?」
「え?いえ、普通にため口でも話せますよ?ただ、まだ会ったばかりなのでいきなりため口は失礼かと思って」
「真面目なんですね神坂さんは。でも、同じ3年生なんですからため口でも大丈夫ですよ?」
「そうですか?じゃあお言葉に甘えて......これからもよろしくな、海未。俺のことも悠理でいいよ」
「はい、よろしくお願いします」
「ってかいきなり名前で呼んでも大丈夫?」
「大丈夫ですよ、悠理さんは心配性ですね」
しばらく会話してから海未と別れてまた散策することにした。
「ここが普段は女子で賑わってるのか......」
そんな中に1人男子が来るとなると一体どんな感覚なんだろうか。
あまり期待しても仕方ないので気にしないことにした。漫画やアニメじゃあるまいしそんな都合のいいように女の子に話しかけられるとかは無いだろう。
廊下を歩いていると扉の窓の隅に小さな張り紙がしてある場所まで来た。
「アイドル研究部?」
なんじゃそりゃ。
とつい思ってしまったがそういえばそうか、この学院にはμ's(ミューズ)が、スクールアイドルがいる。
いや、正確には『いた』だな。
μ'sはラブライブ優勝を期に解散している。
でもこうして部室が残ってるってことは新しいスクールアイドルがいるってことなのか?
「どうかしたんですか?」
不意に掛けられた声に反応すると南さんが立っていた。
「いえ、少しアイドル研究部について考えてただけです。今は音ノ木坂にスクールアイドルっているんですか?」
「今はまだメンバー募集中みたいな感じです」
へぇーじゃあそのうち活動するのか......
そう思ってると南さんが。
「あ、あと。わたしのことはことりでいいですよため口で構いませんし」
「ありがとう、ことり。俺のことも悠理でいいからね」
「うん、よろしく悠理くん」
「ところで、ことりはなんか部活やってるの?海未は弓道部だって聞いたけど」
「ことりはアイドル部以外はやってないよ。って言っても、活動も今はほぼしてない状態だから帰宅部同然だけど」
「そっか」
やはりと言うべきか、μ's解散後はあまり活動事態満足にできてるわけではないらしい、メンバー集めからしなきゃならないのでそりゃそうかとも思うが。
ついでなので少し気になっていたことを聞いてみた。
「そういえばさ、ことりってさっき理事長に電話した?」
「うん、したよ。なんで?」
「いや、理事長が電話で話してるときの感じがあまり事務的に感じなかったから親族かなんかなのかなーってさ」
そう言うとことりは少し驚いた顔した。
もしかして、当たりなのか?
「よくわかったね。そうだよ、理事長はことりのお母さんなの。」
「おかあっ...ええっ!?」
さすがに驚いた。
親族だとは思ったがまさか母親とは......
ともあれ、それなら余計に下手なことは起こせない。自分に釘を刺す意味では現状最大の抑止力だと言える。もっとも下手なこと起こすつもりは毛頭ないが。
「でも、あまり気にしないで接してくれるとうれしいかな」
「ああ、もちろん。ことりはことりだからな」
「うん」
そうだ。親が何であれことりはことりなのだ。
普段接する分には気にしないでいいだろう、知ってしまった以上忘れるのは無理だが。
それに返してくれた笑顔も雰囲気も普通の女の子のそれなのだから意識して接するほうが失礼である。
そうしてことりと別れ、次どこ行こうか悩みながら学院の地図を見ているととても気になる場所を見つけた。
「屋上かぁ......」
そう、屋上である。それ自体はなんの変鉄もない、むしろどこにでもあるだろと言われそうなものだが俺にとってはそうではなかった。
実は転校前の学校では過去にいざこざがあったらしく屋上はあれどそこへ続く階段に鉄格子が取り付けられ屋上にいけない状態だったためあってないようなものだった。
そういえばすっかり忘れてた。
「行くか、屋上」
階段を上がり屋上に着いたが......
「うん、そりゃそうだよな。普通閉まってるよな」
よく考えればわかることだが鍵がかかっていて屋上への扉は開いてくれない。残念だが、こればかりは仕方ない。
「あ......」
「ん?」
ふと声が聞こえたので振り返るとそこには生徒会長の高坂さんがいた。なんかさっきもこんなことあったな。
「もしかして、屋上に行きたいんですか?」
「え、あ、はい」
俺の心を読んだかのようにそう言うと彼女は手に持っていた鍵で扉を開けてくれた。
「わたしも屋上に行こうって思ってたんです」
「じゃあ、鍵を取りに?」
「はい、戻ったら他の人がいてびっくりしました」
開いた扉からは光が溢れ、不思議と胸が踊る感覚がした。ここが始発点であるかのように、特別な場所ではないはずなのに一線を画した雰囲気を纏っていた。
俺はその白い光の中に誘われるかのように入った。
「うわぁ......」
新鮮だった。そしてただただ感動していた。
特別な景色があるわけでも、特別な物があるわけでもない。だが、それでも俺にとっては何か特別な感じがした。
「おーい、悠理くーん」
軽く放心状態になっていた俺は高坂さんに名前を呼ばれて元に戻る。
すると高坂さんは俺の顔を覗きこむように見ていて顔が近くてびっくりした。
そんな俺のことはお構い無しと言わんばかりに高坂さんは話し出す。
「ねぇ、どう?屋上は。っていうか普通に話してもいい?」
「え?あ、はい、いいですよ。」
「ありがとう。わたしのことも穂乃果って呼んでね。で、どう?」
「どうって......うまくは表現できないけどすごくいい場所だと思う。風も気持ちいいし」
「だよね!わたしもこの場所好きなんだーそれに、思い出もたくさんあるしね」
「思い出?」
懐かしむように、それでいて少し寂しそうな顔で穂乃果は話し出す。
「ここはね、μ'sの練習場所だったの」
「へぇ......」
「今はほぼ誰も使ってないんだけどね」
そう言って穂乃果は表情を戻す。
「でも、俺は好きだよこういう場所。前の学校になかった同然だったのもあるけど」
「気に入った?」
「うん、気に入ったかな」
「そっかぁ、なんだかうれしい」
自分のことのように喜ぶ穂乃果の笑顔は日の光に照らされていっそう輝いて見えた。
なるほど、まぶしい笑顔というのはこういうものか。
「そういえば悠理くんはなんで共学化試験生になったの?」
「なんで、か。まぁ、そりゃ気になるよな」
「うん、聞きたいなぁ」
「んー、結論だけいうと俺は試験生になりたかった訳じゃないんだよ」
「え?そうなの?」
「ってかその手の話は理事長に聞いたほうが早いと思うぞ」
「そうかもだけど、せっかく悠理くんと話せるんだしいいじゃない」
「ふむ。じゃあざっくりとだけ話すぞ」
「うん!」
「まず、試験生は共学化企画に参加した女子校から推薦された学校の生徒から選ばれる。」
「推薦された学校の生徒って......そんなに多くからたった一人を選ぶの!?」
「んなわけあるか、さらにその学校のなかで立候補した、もしくは他の生徒に推薦された生徒が校内面接でふるいにかけられて、それに残った生徒からさらに教育委員会が直々に面接したり学校での生活態度や動向を調べ尽くした上で参加女子校の分だけ選抜される」
「うわぁ......凄く厳しいんだね......」
「極力問題行動を起こさせない為には仕方無いのさ」
「でも、悠理くんは試験生になりたかった訳じゃないんだよね?」
「そう、さらに言うと本来俺はなれないんだ」
「どういうこと?」
「実は試験生になれる生徒は2年生限定なんだ。だから俺は異例中の異例なのさ」
「んーと、つまりスゴいの?」
「スゴいかどうかはわからんが間違いなく珍しいだろうな。しかも、俺はかなり急に選ばれたから他の生徒より結構優遇されてるんだよ。まぁ、ざっとこんなもんさ他にも試験生については色々あるけどそれはまた今度な」
「うん、頭がパンクしそう......」
「さて、そろそろ時間だし生徒会室に行こう」
「うん!あ、そうだ」
「ん?」
立ち上がって屋上を出ようとした穂乃果はこっちに振り返り手を差し出してこう言った
「ようこそ!音ノ木坂学院へ!これから1年間よろしくね!」
少し面食らったが俺も応えるように手を出す
「こちらこそよろしく。精一杯君らとの1年間のことを記録して、共学化させてみせるよ」
それは歓迎と宣誓の握手。
これからお互いがどうなるかはまだわからないが今は何も考えずに目の前の希望に向かって走って行ければいい。
かつての始まりの場所から新たなる始まりへ
俺と穂乃果はしばし互いに見合いただその場に流れる風を感じ取っていた。
こうして俺の。いや、俺たちの新たな物語は歩き出す。この学校での出来事を記録する者として、そしてこの学校で過ごす者としての日々が動き出す。
始まりの鼓動を感じながら走り出す。光に照された明日へ向かって。
小説を書くことの難しさを最近ひしひしと感じております。
ですが同時に楽しくもあります。
できれば絵里、希、にこは出したいですが作中の時期が時期なのでできるかどうか......
まぁ、きっとなんとかなるでしょう(笑)