ラブライブ! -School life recorder- 作:Clown42
ちゃんと生きてますよー
8月は色々ありまして少しずつ書くことしかできませんでした。
そしてなんだかんだで今回はかなり長くなりました。
元々頻繁に投稿できる人ではないですがこれからは今回ほど感覚を空けることなくできると思いますのでよろしくお願いします。
4月6日 月曜日
学校案内の日から実に10日程過ぎた今日は新年度初日。
つまり、音ノ木坂学院の始業式である。
始まりにふさわしい天候と心地よい風が吹いた絶好の春日和で。その風に乗って舞う花びらがとても美しく夢でも見てるかのようだった。
時間はまだ登校するには早すぎる6時半頃。
景色がよかったものだからつい外に出てしまったが、それがむしろよかったようだ。
俺と生徒会の人は諸々の準備で少し早めに登校しなければならず、その為に一度部屋に戻り準備を終える。
まだ電車の時間とか覚えてないので穂乃果の共に登校しなければならないのだが......
......ここに本当に夢を見てる人が1人
「おい、穂乃果。起きろーもうそろそろ準備しないと......」
「ん......もうちょっとだけ......」
「はぁ......しょうがない......」
これが春眠暁を覚えずというやつなのだろうか、俺は起きようとしない穂乃果を起こす為に冷蔵庫から氷を持ってきた。
さすがに背中に入れるのは無理なので、頬っぺたに......
「うひゃあ!?何!?」
「目は覚めたか?ほら、昨日お母さんが朝飯用意してくれてたんだからさっさと食べていくぞ」
「はーい......」
まだ少し眠そうな穂乃果が着替えてくるのを待ち、共に朝食を済ませて登校した。
ちなみに、俺が穂乃果のお母さんを『お母さん』と呼ぶのは本人の了承もあってのことである。元々親族でもない人におばさんやおじさんと呼ぶのは抵抗があるのもあって、承諾してもらえたのは素直に嬉しい。
「結局、制服間に合わなかったね」
「ん?ああ、そうだな。まぁ仕方ないだろ女子校なんだし」
「そうだけど、早く見たいな悠理くんの音ノ木坂の制服姿」
俺は今、前の学校の制服で登校している。
試験生とはいえ、一応その女子校の生徒になるので女子校側の生徒から見て試験生だとすぐにわかるように専用の制服を用意したりしなければならないのだが、この時期は店側も新入生分の制服を用意しなければならなかったりで俺のように前の学校の制服でしばらく過ごす試験生も珍しくないようだ。
ちなみに、必ず制服を用意する必要はないらしく。一部の女子校は腕章くらいで終わらせるところもあるらしい。実際俺は制服が来るまでは生徒会の腕章を着けることになっている。
「そういや穂乃果。生徒会長の挨拶の言葉考えてあるのか?」
「うん、大丈夫だよ!後は本番で度忘れしなきゃ完璧!」
穂乃果の場合それが一番不安なんだがな......まぁ言わないでおこう。
時刻は7時半頃となり、音ノ木坂学院に着いた俺達はとりあえず生徒会室に行くことにした。
「誰もいないね」
「いや、海未が来てるな。部屋にはいないみたいだが」
生徒会室には海未の鞄があるだけで誰もいなかった。
とりあえず始業式の準備までまだ10分程余裕があったので挨拶の言葉の確認等をすることにした。
「穂乃果。忘れるか不安だったらカンペとか用意しとけよ?」
「そこまでしなくても大丈夫だよーまだちゃんと覚えてるから!」
おい『まだ』ってなんだ忘れるかも知らんってか。
まぁ、いいか。俺は一応言っといたし後は自己責任で。
「そういえば悠理くん、すっかり家に馴染んじゃったね」
「そりゃ1週間以上過ごせば馴染むだろ。まぁまだ猫被ってるとこが多々あるけど」
「本当の家だと思ってくれてもいいのにー」
「そうは言っても他人の家。どこまで行っても越えられない壁はあるし、親しき仲にも礼儀ありだ」
「真面目だなぁー悠理くんは」
俺だって出来ればもっと砕けた感じで接することが出来ればとは思うが、年上にそんなことできるはずがない。あの家で俺がそんな風にできるのは穂乃果と雪穂だけで精一杯だ。
「そういえばさ、前の学校で好きな人いた?」
いきなり何を言い出しておるのかこの方は。
あまりにも唐突な穂乃果の質問に俺は何故か焦ったがきっぱりと否定してみせた。
「いるわけあるか、彼女いるように見えるか?」
「ううん、でもこんなに真面目だったらいたのかなーって」
「真面目でもできないことだってある。それに俺、前の学校ではそんなに目立ってる人じゃなかったし」
「へぇー」
もういいだろと話を切り上げると海未が帰って来た。穂乃果を見て少し驚いたようだが、何に驚くんだ?
「穂乃果......朝起きれたのですか?」
「あー海未ちゃんヒドイ!わたしがこういう大事な時はいつも寝坊すると思ってるでしょー!」
「俺に起こされなかったら遅れてたのによく言えるな」
「やはりそうですか。あ、悠理さん。理事長がお呼びでしたよ」
「ん?ああ、わかった」
「ちゃんと意識はあったもん!」
「起き上がらなきゃ駄目だろ......そういえば、ことりは?」
「直接講堂に行ったそうです」
「そうなんだ、悠理くん行ってきていいよ。わたしたちで先にやってるから」
「わかった」
理事長室に行くため俺は先に生徒会室を後にする。
扉越しに海未が「珍しいことを聞くのですね」って言ってたように聞こえたけど何のことなんだろ。とにかく俺は理事長室に向かうことにした。
「失礼します。おはようございます、お呼びでしょうか」
「おはよう。ええ、制服の事なのだけれど」
「はい、やはり遅くなりそうですか?」
「いいえ、その逆よ。明日の午後には届くそうだから明日の放課後は空けておいてね」
「わかりました」
「それと、はい。それが届くまでの『繋ぎ』よ」
「腕章ですね、ありがとうございます」
「以上、あなたからは特にない?」
「特にはありません。失礼しました」
何かと思えば制服の事だった。
明日の放課後には届くらしいのでそれまでは腕章を着けることになる。
なんで明日の放課後を空けておくかは学校で制服を受けとるからだろう。
これも、本来なら家に届くか自分で店に取りに行くのだが、俺は現在女子生徒の家に居候させてもらってる......つまり事情を知らない人が書類を見ると同棲してると思われても仕方ない状態な上、試験先の生徒の家だというのも家に届けるわけにはいかない状況に拍車をかけていた。俺がただの生徒なら問題ないが試験生である以上、そこらかしこに教育委員会の目があるため男女が関わる事柄には神経質なくらい気を付けていかなければならない。とは言うものの、普通にしていれば何ら問題はないのだが。
理事長室を出て講堂へ向かう。
時間は8時半前頃になっており一般の生徒もちらほら見えてきた。
新入生はまだいいとしても、在校生にはまだ見つかるわけにはいかない。仕方なく外から講堂に入ることにした。
「待たした!何すればいい?」
「あ、おかえり。ことりちゃんの方手伝ってあげて」
「了解」
穂乃果から指令を受けことりの方へ行く。
「おはよう、ことり。何手伝えばいい?」
「おはよう。んっとね......」
その後はマイクのテスト等の最終確認をして準備を終えた。それから間もなく始業式は始まり、自分の挨拶の番が徐々に近づいてくる。
ちなみに穂乃果はというと、生徒会長らしくしっかりと決めてくれた。
プレッシャーはより強くなったが、ここで俺がコケるわけにもいくまい。今後の為にも色々と。
「続いて、共学化試験特別編入生。挨拶。第3学年、神坂悠理」
呼ばれた......ええい、もう後には引けんのだ。とにかく切り抜けるしかないだろ!
刹那、頭の中でそう語り返事をした。
「はい」
様々な不安が混ざり混ざった感覚に蝕まれながら舞台袖から前に出る。位置につき、講堂の視線の全てが俺に集まったのを感じる。圧倒的だ、気を抜けば押し潰される。
負けるものかと俺は口を開いて話始めた。
「新入生の皆さん、並びにそのご家族の方こんにちは。僕はこの度、教育委員会から選出されてこの音ノ木坂に参りました、神坂悠理と申します。女子校に男子......と驚いた方も多いでしょう。不安に思った方もいるでしょう。ですが、これだけは覚えておいて頂きたく思います。僕は邪な気持ちだけでここにいるわけではありません、試験生としてということももちろんありますが、それ以上にこの学院を存続させるために共学化という手段に踏み切った皆さんの期待に応えたいと、その願いを叶えてあげたいと思っています。僕自信に関しては、諸事情により音ノ木坂の在校生のお宅に居候させていただいてもらってるという前途多難な始まりという状況です。それでも、これから精一杯この学院のことを記録し、皆さんが願った未来を見れるように頑張ります。以上を皆さんと自分に対する誓いとし、挨拶とします。共学化特別試験編入生、音ノ木坂学院第3学年。神坂悠理」
言い切った......
挨拶を終え、舞台袖にいる穂乃果たちの元へ戻る間講堂は拍手に包まれていた。
気のせいか生徒たちの何人かは目が輝いてたようにも見えた気がしたが気のせいだろう。それよりもとにかく少し落ち着きたい。
「お疲れ様!すごく良かったよ!」
式が終わり、俺たちは生徒会室に戻っていた。
俺の挨拶に対し穂乃果は元気に労いの言葉をかけてくれた。嫌味じゃなく本当にいつも元気だなぁこいつ......
「ありがと。あーすっごく緊張したー......」
「悠理くん緊張してたの?」
「そりゃするだろ、ついこの間までただの生徒だったんだから」
「そっか、そうだよね」
「ですが、すごく堂々としているように見えました。本番に強いタイプなのかも知れませんね悠理さんは」
「そうかもね、お母さんもあそこまでしっかりと始めから最後まで言い切れる人は多くはないって言ってたし」
「そうかな?あ、ところでこの後は?」
「とりあえず、教室でホームルームして放課じゃないかな?」
「では、私たちは教室に戻りましょうか。悠理さんはどうされるのですか?」
「あ、悠理くんはこの教室ってお母さんが」
そう言われて渡された紙には、教室の場所と確認したらそのまま今日は放課でいいと書かれていた。俺は穂乃果たちと生徒会室で別れ、自分の教室を確認し帰ることにした。
時刻はほぼ正午。まだ他の生徒は教室から出てこないはずなので早々に学院を後にすることにしようと思った矢先、雪穂からメールが来た。
<悠理さん。帰る前によければアイドル部見に来ませんか?まだ帰ってなかったらお返事下さい。>
アイドル部か。そういえば雪穂はアイドル部志望だったな、まぁ部活勧誘の時期になったら真っ先に入るだろうが。遅かれ早かれ見に行くことになるだろうし行くことにした、それにメールを無視して帰るのも悪い。
<まだ帰ってないよ。お願いしようかな、部室の前で待てばいいかな?>
雪穂のメールの返事はなかなか速い。
まぁ、普段俺があまりメールしないせいなのもあるんだろう。それに女子は何となく速いもんだと思う。
<はい!それじゃあ、また後で。>
とりあえず、俺は乗降口から回れ右して部室に向かう。途中何かと視線を感じた......いや、現在進行形で感じてる。やっぱり女子校に男子というのはめずらしいよな。俺が女子でも男子がいたらチラッとでも見てしまうと思う、それぐらいに女子校に男子と言うのは
異質というか異常というか普通ではないのだ。
部室前に着くと既に雪穂が友達であろう女の子と待っていた。
「お待たせ。待ったかい?」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「そっか。ところでその子は......?」
「あ、そうでした。亜里沙、自己紹介して」
そういうと、その子は少しビクッとして雪穂の後ろから顔だけ出してこっちを見る。なんだか少し日本人離れした雰囲気を纏ってる感じのするその子は、再度雪穂に促されて前に出てくる。
「は、初めまして、絢瀬亜里沙です。よろしくお願いします」
言い終わると、ささっとまた雪穂の元へ戻っていった。人見知りなのかな?俺も人見知りだからわからんでもないが。っていうか頑張って顔上げて話してくれてたからわかったのだが高1にしては背が低いな。まだほとんど中3と変わらないのかもしれないがそれでもだろう。俺と雪穂よりも身長に差がある。
「初めまして、神坂悠理です。こちらこそよろしく、亜里沙さん」
そう返すと雪穂が亜里沙さんになんか言ってたが気にしないでおこう別に悪いことじゃ無いだろうし。
「さて、それじゃ部室入ろう?多分先輩方もいると思うし」
そう言って雪穂は部室の扉を開ける。
中に入るのは初めてだが、なんというか思ってたよりも広くはなく、左右の壁に棚があってまるで準備室の真ん中に長机を置いたような感じの部屋だ。棚に置いてあるのはアイドル関連の物だが。
「おはようございます。星空先輩、西木野先輩」
「おはようございます。あれ?小泉先輩は?」
部室には既に2名の生徒がいた。リボンの色を見て彼女達が2年生だとわかる。二人とも雪穂と亜里沙ちゃんの声に反応し、こっちを見る。
「おっはよー!雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん」
「おはよう。花陽は穂乃果と理事長室よ」
ここにはいないが穂乃果と一緒に行動してるのが1人いるらしい。そういえばアイドル部の部長って誰なんだろう?穂乃果とアイドル部の話することってなんだかんだで無かったしな。
「ところで、その人......」
赤髪の2年生の子が俺になんで一緒にいるの?と言わんばかりの視線を向ける。そりゃ気になるよな。
「初めまして、神坂悠理です。二人とは雪穂に見学に誘われて一緒にいるだけです」
「え?あ、西木野真姫です。そうなんですか、なんで一緒にいるのかわからなかったので。」
「ははは......」
そりゃそうだろうよ。
俺の事情を知らなきゃ、新入生と編入生の男子が一緒にいる理由なんてそうそう思い浮かぶものじゃない。
まぁ、挨拶で誰とは言ってないが居候させてもらってることは言ってあるから何となく目星だけはつけられてそうだが。
「あー!真姫ちゃんずるいにゃ、凛も自己紹介するー!」
もう1人の子がそういうと西木野さんは「したければすればいいでしょ」と軽く流す。
「初めまして、星空凛っていいます。運動が大好きであまりアイドルっぽくはないですが、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
星空凛さんに、西木野真姫さん。雪穂が名前を知ってたということは元μ'sのメンバーってことだな。おそらく穂乃果と一緒にいる人もそうなのだろう。
「ただいまー!」
「た、ただいま......」
「あー!悠理くん、帰ってなかったんだね」
「雪穂から誘われてな」
噂をすれば影ってか。
何か一緒の子はえらく息が荒いけどどうしたんだ?
でも疲れてるようには見えないが......
穂乃果と会話しながらその子を気にしていたら急にその子が話し出した。
「あ、あの!」
「は、はい!?」
「え、えっと。わたし、小泉花陽と言います。アイドル部の部長で、2年生です。その......不束者ですがよろしくお願いします!」
............
あまりにも急だったので面食らってしまったが、今のは自己紹介でいいのだろうか?
いや、多分いいんだな。でも不束者って......
本人も気づいたらしく顔を真っ赤にして訂正する。
「あ、あの......今のはその......そういう意味じゃなくて......」
「大丈夫だよ、落ち着いて」
「は、はい......」
部長ってことはこの子も......小泉さんも元μ'sってことだよな、2年生のリボンしてるし。
とにかく彼女を落ち着かせ、話が出来る状態になったところで俺も自己紹介することにした。
「初めまして、小泉さん。3年の神坂悠理です。よろしくお願いします」
「はい、よ、よろしくお願いします」
さて、アイドル部はここに海未とことりが入って全員だろうか。
穂乃果の話だと元々は3人から始まったらしいから、そう考えると去年は激動の1年だったに違いない。当時の3年生が見れないのが残念だが、こればかりは致し方ないだろう。
「そういえば悠理くんってμ'sのことどれぐらい知ってるの?」
「ん?どれぐらいって......」
そうだ、そういえば俺はμ'sのことを名前以外では穂乃果から少し聞いた程度しか知らない。この学院のことを知るためにも、μ'sのことを知るのは必要なことだと思う。大袈裟ではなく真面目に、去年この学院を救ったのはμ'sであるのは明白だ。それはμ'sのメンバーがこの学校の様々な部分を知っていることになる、他の生徒が見えていないことも見えているかもしれない。それならば、今からでもμ'sのことを知るべきだと俺は思い、穂乃果に聞いてみた。
「言われてみれば、穂乃果から聞いた程度しか知らないな......」
「そうなの?」
「ああ。なぁ、穂乃果。μ'sのPVとかってないか?これからもみんなと関わるかもしれないなら今からでも知っておきたいんだ」
「あると思う。花陽ちゃんわかる?」
「はい、全部残ってますよ」
「なら全部借りる。とりあえず見てみるよ」
「大丈夫?意外と量あると思うよ?」
「大丈夫だろ、なんとかなるさ」
そうして、俺は今までのPVと曲の入ったDVDとCDを借りた。
今日は特に活動もすることはなく、外も夕日が出てきているので、解散することになった。
なんだかんだで時刻は15時半を過ぎていた。
途中で合流した海未たちと昇降口から外に出ると正門に一台の車が止まってるのが見える、誰かの迎えだろうか。
「亜里沙、迎え来てるよー」
「うん、今行く」
どうやら亜里沙さんの迎えらしい。海未が何かに気づいたようだが、なんのことだろう?亜里沙さんに関係あるのか?
「海未?」
「ふふ。いえ、迎えが誰なのかなんとなくわかったものですから」
「ってことは俺以外はみんな知ってる人ってことだな」
「そうですね」
海未と話ながら歩いていると、迎えの車から人が出てきた。
亜里沙さんと同じく日本人離れした雰囲気を纏っていて、歳はそんなに離れて無いように見える。もしかして姉?それとも従姉?
「ただいま、お姉ちゃん」
「おかえり、亜里沙」
「やはり、絵里でしたか」
「久しぶりね、みんな。元気そうでなにより」
「絵里ちゃんもね」
「穂乃果は生徒会長の挨拶、ちゃんと言えた?」
「うん、大丈夫!」
皆に絵里と呼ばれている方が、何者なのかは想像に容易い。おそらく、というか十中八九μ'sの人だろう。確実にと言ってもいいぐらいかもしれない。
まさか当時の3年生メンバーに、1人とはいえ会えるとは思わなかった。ここまで来ると後二人にも会ってみたくなるがさすがに難しいだろう。
「ところで、その人は?海未の彼氏?」
「なっ......ち、違います!この人はその、か、彼氏ではなくて......」
「落ち着け、海未。自分で言うからいいよ」
「は、はい......」
いきなり何を言い出しているのかこの方は......何かデジャヴだな......
女子校の女子ってみんなこうなのか?
そんな考えても仕方ない事は置いといて、自己紹介をする。
「初めまして、神坂悠理と申します。僕はこの度、音ノ木坂学院からの申請を受け教育委員会から選抜、派遣編入されてきた共学化特別試験編入生です」
「共学化......なるほど、理事長はその道を採ったのね」
「もしかして、OGの方ですか?」
「そうよ。あ、まだ名乗ってなかったわね。私は絢瀬絵里、元μ'sのメンバーでこの子の姉よ。穂乃果達と一緒にいるなら、この子とも接することは少なくないと思うわ。だからこの子の事よろしくね」
「はい。......あの、1つ聞いてもいいですか?」
「ん?なに?」
やはりμ'sのメンバーだった。『元』ではあるが。
そして、俺は亜里沙さんと同じ雰囲気を纏う絵里さんのその『雰囲気』の正体について聞いてみた。
「絵里さんと亜里沙さんはもしかして、クォーターですか?」
「ええ、そうよ。でも、よくクォーターってわかったわね。殆どの人はハーフ?って言うんだけど」
「正直、ほぼ直感ですが。ハーフにしてはあまり日本人離れしてない見た目ですし、人との接し方が日本人に近いと思ったので」
「ハラショー......それだけでわかったなんてすごいわね」
「亜里沙もすごいと思います!」
「ありがとうございます」
やはりというべきか、2人は純血の日本人ではなかった。まぁ、それだけなら髪と瞳の色を見ればわかるのだが。ハーフではなくクォーターだというのだから珍しい。ハーフの親の子どもに外国人の特徴が表れるというのかなり稀な事らしい。俺も詳しくは知らないが。
それに『ハラショー』という言葉からして祖父母のどちらかはロシア人だな。これは何かのゲームで聞いたことある。
「音ノ木坂はいい人を引き当てれたようね」
「うん、わたしもそう思う」
「でも狙う人も多くいそうね。女子校だし。」
「そうかな?絵里ちゃんはああいう人は好み?」
「いいとは思うわ、好きになれるかまではわからないけれど。そういう穂乃果は?」
「わたしは......わかんないや」
「穂乃果らしいわね。海未みたいにわかりやすいといいんだけど」
「海未ちゃんもそこまでは意識してないんじゃない?いきなり彼氏なんて言われたから驚いただけだよきっと」
「そう?海未にしては反応が大きかったと思ったのだけど」
「いきなりあれ言われたら女の子なら大体驚くよ」
俺が少し考えてる間に、なんか周りで男子が入ってこれないような会話が始まっていた。なるほど、ガールズトークとはこういうものか。って俺らだってゆっくりしてられないんじゃなかったっけ?とりあえず雪穂に聞いてみる。
「なぁ雪穂、俺らって今日。お母さんから何か頼まれてなかったか?」
「え?......あー!そうだ、夕飯のおつかい!」
「よし、行くか。穂乃果ー夕飯の買い物行くぞー」
やっぱりあった。
とりあえずみんなとはここで別れて俺達は買い物へ行く。
去るときに皆と連絡先を交換してなかったので交換した。でも、絵里さんまでしてくれるとは思わなかったが。
買い物を済ませ家に帰宅した。時刻は18時半頃。
帰って早々にお母さんは穂乃果と店番を代わり、とりあえず俺は倉庫もとい部屋に戻ろうとしたが雪穂に呼び止められた。
「どうした?雪穂」
「えっと、大した事じゃないんですけど......」
周りを見渡して誰もいないことを確認して雪穂はこう言った。
「あの......悠理さんのことお兄ちゃんって呼んでいいですか?」
「いいよ」
「早っ!?」
「だって呼ぶだけなんだからなんも問題ないだろ。でも、一応なんでとは聞いておく」
「それは......ほら、家って女所帯で歳の近い男の人っていないから......それに、お姉ちゃんはいますけどお兄ちゃんも欲しかったので」
「そっか、まぁ俺もその気持ちはわかる。ひとりっ子だけど、似たようなこと言ってる友達はいたからな」
「ありがとうございます。それじゃ、これからよろしくねお兄ちゃん」
それからというもの雪穂は少し上機嫌な感じて過ごしていた。お兄ちゃん、か......言われ慣れてないからまだまだ違和感たっぷりだがその内慣れるだろう。改めて部屋に戻ることにした。
その後食事を終え俺は部屋で記録の整理をしている 。
整理をしててわかったのは1日を記録するって本当に大変なんだということ。どんな風に記録すればいいのかよくわかってないというのもあるが、かなり書いたと思う。まぁ、何かあったらああしろこうしろと連絡が来るだろ。とりあえず自分なりに書いてみることにした。
しかし、今日も色々あったな......
始業式での初めての挨拶。元μ'sのメンバーとの出会い......
細かい事まで上げればキリがないってくらい色々あった。
今日の今までを思い返し、俺は記録を書き終えた。
時刻はいつの間にか21時。明日も学校だしもう寝ようか、そう思った時に扉をノックする音が。
「悠理くん、起きてる?」
「穂乃果?ああ、起きてるよ」
「少しお話ししてもいいかな?」
「いいよ、とりあえず入りなよ」
「うん」
扉を開けて部屋に入ってきた穂乃果は風呂上がりなのか少しいい香りがする、髪を結ってないところもいつもと違う雰囲気を醸し出していた。部屋着なのか寝間着なのかはわからないが、薄着で。制服より体のラインがハッキリ出ていて正直目のやり場に困る。
「どうしたの?」
「いや、なにもしてない髪型もいいなぁって思って」
「そ、そう?ありがと」
「で、話って?」
「ああ、うん。大した事じゃないんだけど、雪穂と何かあった?」
「さすがは姉か。ああ、帰ってすぐにお兄ちゃんって呼んでもいいですか?って言われた」
「だからお兄ちゃんって呼んでたんだ」
「そう」
「なんだ~てっきり雪穂が悠理くんのこと好きなんじゃないかなーって思ったの」
「そんなわけないだろ、大体そんな要素俺には皆無だろ」
「そんなことないよ、悠理くん顔は整ってるし、背は高いし、真面目だし......」
「あーわかったわかった、そんなに上げなくていいから恥ずかしい」
「えへへ、悠理くん明日からきっとモテモテだね」
「モテるのは嫌ではないけど、あんまりモテないことを望むわ」
それからしばらく話し込んでもう少し長くなりそうだったのでお菓子を取りに行ったが、帰って来たらなんと穂乃果は寝てしまっていた。よっぽど眠かったのだろうか。
無防備な穂乃果をとりあえず部屋に運ぼうと近づくと、抱きつかれてしまった。かなり驚いたが、それ以前にこのままでは運べない。っていうか穂乃果さん、当たってます。なにがとは言わないが当たってます。
そもそも、そんなに女の子に耐性がない俺にはこの状況はかなり精神を削られる。しかし、一向に離してくれる気配もないので穂乃果を起こさないように俺も寝る体制に移行しこのまま寝ることにした。寝れるかはわからんが。
明日起きたときに穂乃果はどういう反応するのか少し楽しみだ。まぁ、俺より早くは起きないだろうが。
とにかくこの事は内緒にしとこう。この夜の穂乃果との一連の話は記録しないでおく。学校とも関係無いことだしな。
抱きつかれながら、自分はいつまでここに居れるのか考える、立場上早めにここをでて一人暮らしに移らなければならないのだが。日を追うごとにここでの暮らしを手放したくないと思う自分がいるのも確かなのだ。
ここで1年間過ごせたらどれだけ楽しいだろうか、ここの家の人は皆温かくて、本当の家族のように接せられるようになるのもそう遠くはない予感がする。
少しずつ微睡みに落ちる意識のなかで今日あった少女達のことを思い出す。彼女達といると自分が試験生なのを忘れそうになる。俺には好きな人はいないが、それを聞いてきた穂乃果や他の皆には好きな人はいるんだろうか?もしそれが自分だったときに俺はどうすればいいのだろうか?試験生である以上、恋をするのは物事を平等に見れなくなる可能性があるため自制している。これは試験生としてのルールではなくあくまで俺個人のルールだが。
だが......今ではそれを守りきれる自信がない。
それでも、俺は偏った目で学院を見るわけにはいかない。皆の願いのためにも、この共学化は成功させねば。
自分を抑え、使命を再認識すると。逃げるように瞼を閉じて睡魔と抱きついている少女の感触に身を委ねた。
ひとつだけある窓から流れる夜風に皆と自分の願いを乗せて。
劇中でも悠理くんが言ってますが1日を文章化するのは本当に大変でした。
でも途中で次話にとかだとなーんか中途半端感がして嫌だったんですよね。
とはいえ毎度こんなに長いのは無理なので短くできればとは思います。
ではではー