ラブライブ! -School life recorder-   作:Clown42

7 / 9
皆様お久しぶりです。
SAO見てる人はこんにちは。
ついにこっちも再開させることにしました。相変わらずの長文ですが、勘弁してください。これでも本当に押さえたんです(泣)
では、どうぞー


言ってくれなきゃ分からない

4月19日 日曜日

編入してから明日で2週間になり、少しずつ女子校という環境にも慣れてきた今日この頃。

この前の火曜日に家に帰る途中、穂乃果に今日は開けておいてと言われたが何なのだろうか。

 

「おはよー悠理くん起きてる?」

「ああ、起きてるよ」

「入ってもいい?」

「いいよ」

 

いくら休日とはいえ、惰眠を貪る人ではないのでちゃんと起きてますよ。疲れてる時は話は別だが......

それより、穂乃果が来てくれるとはちょうどいい。この前のことを聞いてみるか。

 

「穂乃果、この前今日開けておいてって言ってたけど今日はなんかあるのか?」

「うん、そのことで来たんだ。悠理くん真姫ちゃんのこと覚えてる?」

「ああ、もちろん」

 

真姫ちゃん......2年生で元μ'sのメンバーの西木野真姫さんのことだ。

穂乃果たちのなかでは背が高めの子で、頭とかよさそうな感じの子だ。

詳しくは知らないが、音楽の才能があるらしくμ'sの楽曲の作曲をしてたんだとか。それを知った時は驚いた、CDとかを借りて全部見たがその全部だっていうんだからすごい引き出しの量だなと思ったものだ。

ちなみに西木野さんに限らず、アイドル部には何度も出入りしているため西木野さん以外の子も覚えている。

 

「でね、今日はその真姫ちゃんの家に行くんだけど。悠理くんも行こ?」

「『行こ?』じゃなくて行かなきゃならないんだろ?何の用か知らんが、そのために今日空けさせたのだろうに」

「そうだね。じゃあ、行こう。」

「ちょっと待て。今からか?」

 

さらっと言いますがまだ午前9時にもなってない時間ですよ穂乃果さん。

いや、行くこと自体はいいんだけどさ。

 

「うん。今日は結構遅くまで遊ぶからそのつもりでね」

「帰りは?」

「真姫ちゃんの家の人が送ってくれるって」

「家の人が!?いや、それは申し訳ないだろ......」

「いいから、ほら。早く準備して行こう!」

「いいのか......?」

 

穂乃果の奴、何か言い忘れてたりしないのかな......西木野さんの家に行くのは別にいいんだが、なんで行くのかとか情報が不足しまくってるんだが......まぁ、行けばわかるというのならこのまま流れに身を任せていくとしよう。

 

「あ、来たね。お姉ちゃん持つもの持った?」

「うん、もちろん持ったよ!」

 

持つもの?ああ、お菓子かな?

やっぱり女の子って、女の子の家に遊びにいくときにお菓子とか持ってくものなんだろうか?いや、もしかしたら高坂姉妹が和菓子屋の子だからかもしれないが。

そのまま2人に連れられて西木野さんの家に向かうことにした。

 

「......なぁ、これ本当に西木野さんの家?」

「そうだよ、穂乃果ちゃんから聞いてない?」

「西木野さんのことも、今日のことも何にも」

「そ、そうなんだ...」

 

出発してすぐに合流したことりに質問する。

いや、でけぇよ家。これが豪邸ってやつなのか、門ついてるし......

みんなは慣れてるからなのか、普通に中に入っていく。

なに食わぬ顔で俺もついていくが、内心ドキドキしております。本当にいるんだなぁこんな家持ってる人......

中に入ると、既に何人かは来ていた。というか、人数的に俺達を待ってたみたいだ。

 

「改めて見ると凄い人数だな......」

「まぁ、μ′sだけでも9人だし。そこに雪穂と亜里沙ちゃん、さらに悠理くんも入って12人だからね......」

「それでも1つの部屋に収まってるのは凄いよな」

「それもそうなんだよね」

 

こんな人数で集まるなんていつ以来だろうか。

穂乃果達と過ごしていると、去年までとの違いを思い知らされてばっかりである。一緒に過ごしてるのが男子と女子の違いももちろんなのだが、それ以上に彼女らの。特に穂乃果の行動力には、時々楽しさを通り越して疲れる時もあるくらいだ。

だが、やはり女の子ということもあるので繊細なのも事実で。よく悩み事なんか相談されたりする。

 

「あら、悠理くんも連れてきたのね。穂乃果」

「うん、みんなでいる方が楽しいと思って。それに、あの時希ちゃんとにこちゃんには紹介出来なかったから」

「そういえばそうだったわね」

 

今日は日曜日だからなのか、それとも予定を空けたからなのか。絵里さん達元3年生組も来ていた。って言っても、俺は絵里さんしか知らないが。

 

「ってか俺、邪魔じゃないですか?」

「大丈夫よ。それに、穂乃果の言う通りみんなでいる方が楽しいわ。祝い事は特にね」

「ならいいんですが......え?祝い事?」

「ええ。......もしかして、何も聞いてないの?」

「はい、全然」

「......すぐにわかるわ、ほら。」

 

絵里さんがそう言うと、西木野さんが部屋にやって来た。机には何やら大きな四角い箱がある。............まさかな......もし俺の予想通りなら、俺は何も......

そう思った矢先、みんなはクラッカーを取りだし一斉に鳴らしてこう言った。

 

『17歳の誕生日おめでとう‼真姫ちゃん‼』

「ありがとう、みんな」

 

ここまで気づかなかった俺も俺だが、やっぱり誕生日だったのか......

まずいぞ、何も用意してない......

 

「悠理くん?どしたの?」

「穂乃果。俺に何かいい忘れてないか?」

「何か?......もしかして、今日こと言ってなかった......?」

「空けといてとしか言われてないし、その後に特に何も説明も無かったな」

 

穂乃果は両手を顔の前で合わせて少し首を傾げ、若干上目遣いで......

 

「............ごめんね?」

 

と言った。

いや、だって。今日まで何日間かあったじゃないか。その間に思い出してくれてもよかったのに......

 

「可愛らしく言ってごまかすな!これは流石に教えてくれよ......」

「あーん本当にごめんねー悪気は無かったのー」

「ってかことりも絵里さんも気づいてたなら教えてくださいよ......」

「あはは......」

「まぁまぁ。その分これから先は悠理くんも楽しんでもらうということで。ね?」

 

確かにせっかくの誕生日なのに楽しめないのは嫌なものだ、それが自分の誕生日ではなかったとしても。

とりあえず、穂乃果のことは水に流してやることにした。気にしてなかった俺にも非はある訳だし。

これからもこういうことがあるだろうから、これを機にみんなの誕生日を把握しておいてもいいかもしれない。

 

「わかりました。それで、このあとはどうするのですか?」

「もちろんケーキを食べる!......といいたいんだけど、絵里ちゃん。先に二人を紹介してもいいかな?」

「ええ、いいわ。ケーキ、切り分けておくわね」

 

絵里さん達が切り分けている間、先日自己紹介出来なかった二人を紹介してもらうことになった。

 

「はじめまして、神坂悠理といいます。先日は挨拶できなくてすいません」

「はじめまして、ウチは東條希。気にせんといて、事情は理事長から聞いたから」

「はじめまして、私は矢澤にこよ」

「あれ?にこっち、いつもの『キャラ』はやらへんの?」

 

『キャラ』?

まぁ、スクールアイドルはプロのアイドルとは違い本格的にテレビに出演したりとかはしないとはいえ、それぞれの個性はあるもんだろう。それはもちろん、グループそのものだけでなくメンバーにも言えることで、そういったキャラクターを作ってやっていくのも普通にありな話だ。プロ意識を持ってやっている人もいることを考えれば、別段不思議なことではない。

矢澤さんはおそらく、そのプロ意識を持ってやっている人の一人なんだろう。今ではやっていたが正しいが。

 

「どうせ、穂乃果から色々聞いたりしてるんでしょ?するだけ無駄よ」

「いえ、お二人に限らず皆さんのことは殆ど何も聞いてませんけど......」

 

μ'sのことに関しては色々と穂乃果から根掘り葉掘り聞いているが、メンバー自身のことやその他諸々。聞く必要の無さそうなことは聞いてない。後は会ったことの無いメンバーのことも全く聞いてない。それは、余計な先入観を持たないようにするためだ。

 

「............にっこにっこにー!あなたのハートににこにこにー!笑顔届ける矢澤にこにこー!『にこにー』って覚えてラブにこ!」

「にこっち............」

「すげぇ......プロのアイドルみたいだ......」

「悠理くん!?」

 

そんなわけで、いかにもお姉さんといった雰囲気の方が東條希さん、見た目年下に見えそうな小柄な方が矢澤にこさん。

とっさに『キャラ』を引き出せる辺りはプロみたいだなと思う。

いや、本当に。

 

「そういえば、絵里さんもですけど。お二人ともよく時間の都合つきましたね」

「ウチは神社のお手伝いしてるけど、他に特別忙しくなるようなことはしてないからね。えりちがバイトしてるとかは聞いてないし」

「私はバイトしてるけど、融通はきく方だし」

 

東條さんの言う神社って言うのは神田明神のことだ。去年まではそこの鳥居までの階段、男坂を使って走り込みをしていたんだとか。やったことはないが、見ただけでも俺にはキツそうなのはわかった。

 

「そういえば、悠理くんは穂乃果ちゃんと一緒に住んでるって聞いたんやけど。ホント?」

「えっ......いや......それはですね......」

「なによそれ!私聞いてないわよ!?」

 

おい、誰情報だそれ。

って思ったが答えは簡単、絵里さんだ。

まぁ、別に外部に漏れた訳じゃないし別にいいけど。あんまり言って欲しくはないなぁ......それこそ、普通は矢澤さんのような反応が返ってくるわけだし。

とりあえず、簡単に俺のことを一から話すことにした。試験生のこと、俺に起きたトラブルのこと。今日までの学校生活も少々加えて。

 

「いきなり大変な目にあっとるね、悠理くん」

「いやもう、冗談抜きで本当に......まぁ、その分毎日楽しいので差し引きゼロってことにしてます。心の中で」

「ポジティブね」

 

無理矢理にでもそうしておかないと、この環境に耐えられない......って訳じゃないが。去年までとは全然違う環境にいるということは確かなので、なるべくポジティブにいた方がいいとは思ってる。

 

「悠理くん、占いって信じる?」

「ええ、まぁ少しは」

「じゃあウチが悠理くんの運、占ってあげよか?」

 

そういや、希ちゃんの占いはすごく当たるんだよーって穂乃果が言ってたな。占いそのものにあまり興味がある訳じゃないが、嫌いではない。

せっかく占ってもらえるということなので、占ってもらうことにした。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて。お願いします」

「了解や。じゃあ、早速」

 

そう言うと、おもむろにカードの束を取り出した。

どこにしまってたのとかは突っ込まないでおこう、触れてはいけない気がする。

 

さて、占いで使う物には実に色々な物がある。もっと言うと、占いそのものも信憑性はさておき種類は豊富だ。

まぁ東條さんの方が詳しいだろうが、占いで使うものと言われれば、水晶なんかは関係ないところで見かけても見ただけで占いのことが頭に浮かぶくらい有名なアイテムの一つだろう。

もう一つ有名なのはタロットカードと呼ばれるカードが有名だろう。今回東條さんが使うのもそれである。

アルカナとも呼ばれるそのカードは度々ゲームとかでも出てくるくらいには名の知れたアイテムで、少しオカルトチックな感じもするが好きな人は占いを知らなくても、やれなくても持っていたりするくらいの代物である。実を言うと、実際自分がそうなのだ。

 

「それじゃ、今回はわかりやすい方でいこか」

 

テーブルの上に布を敷き、カードを交ぜ、束にした後に扇状に広げ始めた。

深く考えてもしょうがないので、俺はさっと一枚取る。果たして結果はいかに......

 

「悠理くんの引いたカードは......」

 

いつのまにか他のみんなも一緒に見ている。

いや、俺の運勢ですからね?わかってるとは思うけど。

 

「18番『月』の逆位置やね。何だかんだで気持ちに余裕があるから、焦らずゆっくりと。物事も、少しずついい方向に向かうだろう......ってな感じや」

「どうだった?」

 

矢澤さんが横からヒョイっと顔を出して聞いてきたので、はっとなる。結果は、少なくとも自分が感じている面では当たっている。それ以外はおそらくこれからということなのだろう。占いの通りよくなっていくことを祈る。

 

「余裕があるって部分は当たってますね」

「そこだけ?」

「まぁ、占ったのはこれからのことだから、時間が経ってみないと最終的な結果はわからないんよ。にこっち」

 

ふーんといった感じでカードを見る矢澤さん。

まぁ、でも。よくなっていくと結果が出て少し安心した。もちろん、それにかまけてなにもしなければ物事は悪い方に傾くだろうが、自分で言うのもおかしな話だがなにもしないってことは俺には無いと思う。

 

「はい、ケーキよ」

「お、ありがと。えりち」

 

まぁ、これからはこれから。今は今。

そういうわけで、今は西木野さんの誕生日パーティに専念する。

 

「で、真姫ちゃん。どこかいきたい場所とか、やりたいこととかある?」

「別に、そういうのは特に......強いて言えばあまりいかない場所には行ってみたい......かな?」

 

早くも自分に戦力外通告をする。

西木野さんのことを殆ど知らない自分には西木野さんのあまりいかない場所なんてわからん。

頑張って思い付くとすれば、ゲーセンやアミューズメント施設などの娯楽施設くらいである。

 

「悠理くん、なんか思い付く?」

「穂乃果......思い付くと思うか?」

「ううん、でもこういうのってあえて真姫ちゃんのことを知らない人の方がいい案出るかな?って」

 

その発想には恐れ入るよ。

考えても出てこないのでダメ元でさっき思い付いたのを言ってみる。

 

「アミューズメント施設とかってのはどう......かな?」

「アミューズメント!凛行きたいにゃ!」

 

違うよー星空さん、君の行きたい場所じゃない。

でも、即否定しない辺りもしかして考えてる?

 

「......いいわね。ゲームセンターはみんなと何度か行ったけど、そこまで大きい場所は行ったこと無かったし」

「え?」

 

ちょっと待て、いいのか?本当に?

絶対却下されると思ってた分、西木野さんの回答は意外だった。

 

「よーし!それじゃあ、善は急げだよ!行こう!」

『おー!』

 

まぁ、みんなが楽しいなら別にいいかな。学校じゃ見れないみんなを見れる機会と思えば、俺にとっても悪い話じゃない。審査には影響しないがね。

 

西木野さんの家から件の場所まではみんなでバスとかを使って移動した。朝早くから行動してたおかげか、到着した現時点でも多少13時を過ぎたぐらいである。遅くまでと穂乃果が言ってたことを考えると相当長く遊ぶことだろう。

 

「なぁ、ことり」

「なに?悠理くん」

「西木野さん以外のみんなの誕生日、教えてくれないか?また今回みたいになるのはごめんだから」

「そうだね、えっと......」

 

思い出したように、ことりにみんなの誕生日を聞く。

本当に今回みたいになるのは避けたいものだ、今までこういったことを気にしてこなかった分余計にそう思う。

 

このアミューズメント施設の周辺には、いくつかのコンビニとショッピングモールがある。歩いて行って帰ってくるのも現実的に可能なくらいの距離で。これは絶好のチャンスだ、こんな環境で俺がやることは一つ。言うまでもないことだ。

 

「......わかった。ありがとう、ことり」

「どういたしまして」

 

ことりに、みんなとは後で合流すると伝えてもらい、早速行動を開始する。ことり曰く、今日ここから動くことはみんなの金銭事情を踏まえてまず無いとのこと。それ故、時間に余裕がある。とはいえ、個人的に早く渡したいので迅速に動かねば。

 

俺は、とにかく急いだ。

本当は急ぐ必要はどこにも無いのだが、俺がそうしたいのでそうすることにした。久しく本気で走ることなど無かったので、用事を終えてことりのもとに帰ってきた俺は、息がかなり荒くなっていた。

ついでに言うと、学校での俺はプリント学習しかしないので体育の授業は無い。日常的に運動する方じゃない俺は運動不足コース直行である。

 

「はぁ......はぁ......」

「お、おかえり......悠理くん......」

「ただいま......ことり......」

 

戻ってきて、みんなのいる所に行く。みんなはもうそれぞれ行動していて、入口で待っていたのはことりだけだった。

そこまで頑張らなくても大丈夫なのに、と言いたげに苦笑いの表情を浮かべることり。

いや、遅れてるとはいえ大事でしょうこれは。

 

「あれ、悠理先輩?どうしたんですか?なんかすっごく息切れてますけど」

「星空......さん......西木野さん......どこにいるか、わかる......?」

 

とりあえず、呼吸を整える。

元々体力に自信はないが、これは去年より体力落ちてるなぁきっと。

 

「真姫ちゃんですか?おーい真姫ちゃーん」

「なによ、凛」

「悠理先輩が呼んでるよ」

 

さて、渡すとするかね。

ついさっき買ってきたばっかりで即席感たっぷりだが。

 

「誕生日おめでとう、西木野さん」

「えっ......あ、ありがとう......ございます」

「こんな簡単なものでごめん。いつか、ちゃんとしたものを渡すから」

「いえ、そんな......嬉しいです、ありがとうございます」

 

知らなかったとは言え、とは言いたくなかった。

言い訳がましい気がするっていうのが一番なのだが、知らなかったのは事実なのだから言うべきではない。

 

俺が西木野さんにあげたのは、小さい音叉のついたキーチャームだ。

金額の問題ではないが、たいして高いわけじゃなく。また、プレゼント向きに凝った物でもなんでもない極々普通の小物の類いの物である。

西木野さんが将来、医者を目指していること。家がとても大きな病院を経営していることは穂乃果から聞いて知っていたが、そんな彼女が小さい頃から手放さずに持っていたのは音楽だった。家には昔受賞したものであろうコンクールのトロフィーが飾ってあり、そのところから見て音楽が西木野さんにとって大切なものであることは間違いない。だから変に勘ぐった物ではなく、ただ好きなものを、大切なものを想える物でいいのではと思いこれにした。

 

もちろん、時間が無かった故に急いでいたのも否定はしないが。

 

「さて、まだ時間があるとはいえ限りがある。せっかく来たんだし、思い切り遊ぶか!」

「「おー!」」

 

真姫ちゃんもいくにゃー!と星空さんに手を引かれていく、西木野さん。何処と無く顔が赤かった気がするが、まぁプレゼント渡されれば誰だって照れて赤くなるだろう。

 

みんなと合流してからはとにかく遊んだ。

ゲームしたり、バッティングしたり、3on3したり......色々回ったが、結局俺はゲームに落ち着いた。

運動も嫌いではないが、やっぱり家でも外でもゲームの方が好きで、典型的な現代っ子と言われても否定はできない。

 

「ゲームが好きなのですか?」

「小さい頃ずっとやってるからねー」

「運動は得意じゃないんですか?」

「そうだね、得意じゃない。嫌いじゃないけど」

「バッティングで120kmを余裕で打ち返してた人の台詞とは思えないわね」

「ははは......」

 

シューティングゲームをしてたところで、海未と絵里さんが来た。

バッティングに関しては個人的な感覚だが、速い球の方が打ちやすいのだ。何でかはわからないが。

 

「射撃お上手ですね」

「海未に言われると光栄だね、弓とは全然違うけど......海未もやる?」

「いえ、私は銃は苦手なので......」

「意外だな......ってよく言われる?」

「ええ、穂乃果に」

 

まぁ、弓道やってれば射撃がうまくなるってもんじゃないだろうしな、漫画じゃあるまいし。

でも、こういった意外な部分は海未以外のみんなにもあって。小泉さんはバッティングでけっこう速い球......って言っても80kmだが打ててたし、絵里さんと東條さんは卓球でかなり白熱してたり。案外みんな運動神経がいいのかもしれない、もしかしたら俺よりあるんじゃないだろうか。

 

「悠理さん......無理してませんか?」

「なにが?」

「いえ、こんな女子ばっかりの環境で、悩んだりしていないのかと思いまして」

「そりゃ悩んでるよ、しかも女子の家に居候してるから余計にね」

「私でよければ、いつでも声をかけてください。力になれるかはわかりませんが......」

「ありがとう、でも大丈夫。こんな風に過ごすことって今までなかったから」

 

確かに、海未の言う通り悩みはある。だが、無理はしていないつもりだ。

総じて、今でもどう接すればいいのかわからないμ'sのみんなと過ごす日々も、たまに疲れるくらい元気な穂乃果とほぼ毎日過ごすことも、辛くはない。そんな日常が、今は楽しい。それだけは、紛れもない本当の気持ちだ。

 

「ん、終わりか......他のみんなのとこまわってみるかね」

「私もご一緒してもいいですか?」

「いいよ。まわってみるとか言っておいてなんだけど、正直俺から話し掛ける勇気は無いし」

「私は希のところに戻るわ、それじゃ」

 

絵里さんと別れ、海未と共に動くことにする。

どうせなら穂乃果達三年生組ではなく他の人らと交流したいもんだが......

 

「おー!真姫ちゃんさっすがー!」

「これくらい、わけないわよ」

 

ちょうどよくクイズゲームの所に二年生組が。

さっきは小泉さんはいなかったので、まさに今がチャンスだろう。

 

「花陽、凛、真姫。ここにいたのですか」

「すごい総正解率だな......」

 

ゲームはゲームでも、あんまりクイズゲームはやらないので好成績を出すことは俺にはできないのだが。画面に表示されてる総正解率は92%と、俺的には高めだ。

 

「ゲームのこととか出題されなければもっと高くなるんですけどね」

「その辺りは私も凛ちゃんもわからないからね......」

「でも、悠理先輩ならわかるかもしれないにゃ!」

「え?あ、俺もやる流れ?」

 

答えを聞く間もなく問題が出てきた。

話でも聞いてたのかのようにゲームの問題が出る。

 

【問 オンラインゲームにおいて、盾役のことをタンクと呼ぶが。そのタンク同士が相手一体に対して引き受けている盾役を交代することをなんと言うか答えよ】

 

「また......何なのよこれ、意味わかんない」

「タンクって戦車のことにゃ?」

「悠理さん、わかりますか?」

 

これはオンラインゲームやってないとわからんだろうに......このゲーム作った人は鬼だな、うん。

まぁ、俺はわかるんだが。

ちなみに、答えるためにはマイクに話し掛けると言うこれまた珍しい方法だ。おまけに周りの環境もあって、大きい声じゃないと反応しない。

 

「スイッチ!」

 

ピンポーンとテレビ等でよく聞く音が鳴る。

そして、次の問題が出てくる。

何度かこの作業を繰り返し、最終問題にたどり着いた。

 

「何が出るかドキドキします!」

「楽しみだにゃー!」

「以外と簡単な奴が出たりしてね」

「こういうゲームだと、本当にあるから笑えないんだよなぁ......」

 

【問 誕生日おめでとうを英語で答えよ】

 

「「「「「............」」」」」

 

本当に簡単な奴が来た。

だが、俺は好都合だと思った。まぁ西木野さんは本当に誕生日出し、ちょうどいいか。

 

「海未、西木野さんと画面の前に並んでくれ」

「は、はい?」

「いいからいいから」

 

言えてないから、この場を借りて言うとしよう。

知った以上、見て見ぬふりはできない。

察してくれたのか、小泉さんと星空さんも言わずに待ってくれていた。

 

「「「ハッピーバースデー!!!」」」

「「真姫ちゃん!」」

「海未。おめでとう」

 

西木野さんは顔を赤くし、海未は面食らったような顔をしていた。

 

「あ、あの......悠理さ......」

「おわ、もうこんな時間か。入口に戻ろう」

 

海未が何か言いかけたが、とりあえず入口に戻ることにした。そろそろ時間である。

 

入口に戻ると、もうほぼみんな集まっていた。いないのは矢澤さんと穂乃果だ。

穂乃果のことだから時間を忘れて遊んでるんだろう。雪穂に聞いたところ、二人でカラオケルームにいるみたいなのでそこへ向かう。

 

「矢澤さん、穂乃果。時間です......よ......」

「あ......」

 

ちょうどいいところにと言わんばかりにSOSの視線を向けてくる矢澤さん。一体何が起きたと言いたいが、穂乃果を見てすぐにわかった。なぜなら......

 

「zzz......」

「......悪いけど、運んでくれる......?」

「はい......」

 

遊び疲れたのか、穂乃果は寝ていた。

いや、でも普通こんなところで寝るか?寝れるか?俺なら無理である。眠たくはなったとしても寝れはしないと思う。そんなこんな色々と思いながら穂乃果をおぶる。よく、寝ている人間は重いというが、まさしくその通りで。寝ている穂乃果は見かけよりけっこう重い。俺自身、力が無い方なのでそのせいもあるだろうが。

その後は、施設を出て。迎えが来るのを待ち。迎えが到着した後解散という流れになった。ちなみに、迎えに来るのは、西木野さん家のいわゆる使用人の方々である。改めて本当にお嬢様なんだなと実感するが、あれだけの豪邸を見せられた後だと普通に納得してしまえる。

 

「あの......!悠理先輩......」

「ん?何?西木野さん」

「その......えっと......」

 

なんか緊張してるような感じで西木野さんが話しかけてきた。穂乃果達と一緒にいる時は言いたいことをハッキリ言ってる感じなのだが、今の西木野さんはなんか違う。告白でもするんじゃないかと思いたくなるくらい普段の面影がない。

 

「あの......真姫って呼んでください!」

「......はい?」

「だからその......名前で呼んで下さい。私の方が年下なんですから......」

「え、あ、じゃあ......真姫」

「はい......!」

 

なんだ、この空気。

このなんともいえない微妙な感覚、別に嫌いじゃないが好きでもない。

まぁ、そんなことは置いといてだな。

西木野さん改め、真姫と俺の会話をどこから聞いてたのか、星空さんもすっ飛んできた。誰か助けてーと叫ぶ小泉さんを強引に引き連れて。

 

「じゃあせっかくなんで、凛のことも凛って呼んで下さい!」

「あ、ああ......小泉さんも同じ?」

「は、はい!悠理先輩がよければ......」

「じゃあ、そうするよ。凛、花陽」

 

名前を呼ぶと、二人は嬉しそうに返事をした。

そうこうしているうちに迎えが到着、それぞれ旧一二三年生組で別れて解散した。別れ際の真姫の顔が、とても寂しそうに見えたのは気のせいだろうか?もしかしたら疲れが顔に出てただけかも知れないが、心配するに越したことは無いだろう。

 

「なぁ、雪穂」

「なに?」

「一つ聞いていいか?」

「うん」

 

迎えの車内にて、雪穂に問う。

何が聞きたいのかというと......

 

「まさかとは思うが......このまま穂乃果さん、今日は起きないなんてことはございませんよね?」

「あると思うよ」

「ありますね」

「あるかもね......」

「誰か一人でもいいから否定して欲しかった......」

 

そう、先ほどから寝ている穂乃果がいまだに起きないのである。

このまま家に着くと、雪穂にやらせるわけにはいかないので穂乃果の部屋まで俺が穂乃果を運ぶことになるんだが......正直メンドイ。ぶっちゃけた話、俺の部屋に置いて俺は居間なりどっか別の部屋で寝る方が楽である。

 

「あの、悠理さん......」

「どした?海未」

「先ほどのクイズのところでのことなんですが......」

「『私の誕生日は今日じゃありませんよ』って?」

「はい、知っていらしたのですか?」

「知ってなきゃあんなことしないさ。それに、来年まで待てないし」

「あ......」

 

海未の誕生日は3月15日、もう過ぎてるのである。

次の誕生日は来年になるが、来年には俺は学校を離れて地元に帰ってる予定なので祝うことができない。故に今日やったということである。

 

「プレゼントも今度渡すよ、まだ買って無いけど......」

「あ、ありがとうございます......」

「よかったね、海未ちゃん」

 

顔を真っ赤にしてうつむく海未。

普段を知ってる分。こういう乙女の部分を見せられるとついつい、可愛いなぁーって思ってしまう。まぁ、それは海未に限った話じゃないんだが。

 

その後。ことり、海未、穂乃果の家の順に各々帰宅し、俺は穂乃果を穂乃果の部屋に寝かせて自分の部屋に戻った。結局、穂乃果はずっっっと寝ていた。少しくらい起きる気配があってもいいのにと思ったが、そんなものは微塵も感じさせてくれなかった。

また誰かの誕生日の時には、今回みたいにみんなで集まって何かしたりするのだろうか。今日の報告書を書いてる今も、正直楽しみで仕方ない。次はどんなことが起こるのだろうか......

 

「............やめとくか」

 

書き終えた報告書を、送信せず自身のPCのフォルダに保存する。

今日のことは完全にプライベートなので、教育委員の方に提出する義務はない。もちろん、提出したければ提出しても構わないが、そんな物好きはそうそういないだろう。自分だけじゃなく他の人間のことも書いてあるのだから。

 

そういえば、部屋に戻る前に雪穂に。お兄ちゃんは鈍いねーって言われたが、それは今日が真姫の誕生日だったことだろうか。そうでないことなら全く心当たりが無いのだが......

......考えても仕方ないか。

おもいっきり遊んだ分、今日は早く寝ることにした。

明日の学校が楽しみだと思いながら寝るのは一体いつぶりだろう。それほどまでに、俺のなかにはみんながいる。そのみんなが何を思っているのかは......

そのうち、言ってくれる日が来るだろう。言ってくれなければわからないしなと思いながら、俺の意識は夜に溶けた。

 




というわけで、悠理君はμ'sの全員と知り合いました。
これからルートが開くかどうかは悠理君次第です。
長文になるかどうかもそこにかかってます(笑)
でもせめて平均8000くらいに抑えたいなぁ......
それでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。