ラブライブ! -School life recorder- 作:Clown42
結構にゃーにゃー言ってる感じがする凛ちゃんですが、先輩後輩禁止前の凛ちゃんは歳上と会話するときはそんなに~にゃとは言ってないように見えたので、この回の凛ちゃんは猫成分少なめです。
4月30日 木曜日
今日は休日らしく普段より少し遅く起きた。カレンダーでは平日になっているが、学校は休み。学生万歳である。
「悠理くーん?今日は出掛けないの?」
扉越しに穂乃果が声をかけてくる。
普段は寝坊しそうになるのに、何で休日は普通に起きれるのだろうか。まぁ、聞いても仕方無いことだろう、そういうのは大抵何でなのか本人にもわからないものだ。
「これから出るよ、穂乃果は?」
「今日は特になにも。雪穂は亜里沙ちゃんとお出掛けしてるよ」
「ん、わかった」
話ながら着替えを済ませて、居間へ向かう。
用事が無いからか、穂乃果は部屋着と思われる姿をしている。
「今日も誰かと遊ぶの?」
「ああ、今日は凛と会う約束をしてる」
「人気者だねー悠理くん」
「人気っていうか単に気になるだけだろ。雪穂と亜里沙さんはいいとしても、穂乃果含め他の人は一年程男子と無縁の環境だったんだから」
「そうだけど、それだけじゃないと思うよ?」
そのまま穂乃果と朝食。お母さんは店番をしているので、用意してあったものを食べる。お父さんはいつも通り作業場に籠っている。
「それだけじゃないなら何だっていうのさ」
「悠理くんのことが好きだったりとか?」
「バカ言うな。出会って一ヶ月も経ってないんだぞ?そんなわけあるか」
「一目惚れかもしれないよ?」
「ありえん。御馳走様でした」
朝食を済ませて出掛ける準備をする。
世の中、あり得ないことはあり得ないということもあるが、それでも俺に一目惚れはあり得ないだろう。見た目の良し悪しは人によるだろうが、俺の見た目がいい方だとは思わない。
「で、凛ちゃんとどこでデートするの?」
「デートじゃないって。色んな所まわりたいらしいから、場所は特に決まってない」
「そ、そっか......」
「?それじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃーい」
最近わかってきたのだが、穂乃果と雪穂は俺が他の女子と遊びに行ったり遊んだりした話をすると結構食いついてくる。
やっぱり女子は
家を出て、待ち合わせ場所である東京駅に向かう。
今回行くところは全て凛次第なので、何が起こるのか楽しみである。
「あ、せんぱーい!」
「早いな、凛。待たせたか?」
「いえ、全然!着いたばかりですから」
待ち合わせ時間より少し早めに着いたのだが、俺より早く凛が来ていた。俺を見つけるなり笑顔で手を振っていたので、もしかしたら、相当楽しみにしてたのかも知れない。
「それで、凛。これから何処に行くんだ?」
「この前みんなで行った所に行こうかなって。あの時は、何だかんだでずっとゲームしてましたから」
「なるほど、じゃあ行こうか」
この前みんなで行った所というのは、真姫の誕生日に行った、アミューズメント施設のことである。
色んなゲームがあるが、ゲーム以外にもスポーツを楽しむことができる。おそらく今回はスポーツ中心だろうが、何分俺は運動能力に自信はない。ついていけるだろうか......
「先輩......大丈夫ですか?」
「ああ......大丈夫だ......問題ない......」
なんとか、本当にぎりぎりではあるが、ついていていく俺。汗こそかいてはいるが、疲れた様子は見えない凛とは大違いである。間違いなく俺は、明日筋肉痛だと思う。
「先輩ってもしかして運動苦手でした?」
「いや、ただ体力が無いだけだ......だから......そんな申し訳なさそうな顔するな......」
「でも......」
「いいから、気にしない。まだ時間はあるし、日頃こんなに運動すること無いから楽しいよ。だから凛も楽しんで、ね?」
まぁ、日頃運動しないから今こんなにバテているのだが、そんなことは自分のことだからどうでもいい。ただ一緒にいるときくらいは笑っていて欲しいと思う。これは凛に限らず、誰にでも言えることだ。さらに広く言えば男女も関係ない。
「......はい!じゃあまたバテそうになったら言ってくださいね?」
「もうバテないようにするから大丈夫だよ」
この後、滅茶苦茶遊んだ。いや、深い意味はなく普通に。
自由気ままに遊んでいる時の凛の身軽さは、本人の口癖の通り猫のようだ。今日はあんまり~にゃって聞いてないが。
あと、こんなに身体能力の高い女子高生も珍しいだろう、スポーツ万能という言葉がぴったりだ。
結局この日はそこだけで時間を使ってしまい、気づいた頃には外も暗くなり初めていた。
「結局遊ぶだけで終わっちゃいましたね」
「そうだな、でも楽しかったかい?」
何気なく俺がそう聞くと、元気に凛は答える。
「はいにゃ!」
「やっとその口癖が出てきたな」
「え?」
「気づいてなかったのか?今の今までほとんど『~にゃ』って言ってなかったぞ?」
俺の言葉を聞いて少し驚いたような表情をする凛。どうやら無意識だったらしい、緊張していたのかそれとも他の何かがあるのか......
「もしかして、緊張してた?」
「ちょっとだけ......」
恥ずかしそうに答えるその姿は、これまでの元気ハツラツなこれまでの凛とは違いとても可愛らしく、少し不意打ちをくらった気持ちになった。今ならギャップ萌えする人の気持ちがわかる気がする。
「だって!......年上の男の人と二人きりで遊ぶの初めてでしたから......」
身長差のせいもあるが、そんな上目使いで見られるとさすがに俺も戸惑ってしまうのですが......ってか前に自分でアイドルらしくないとか言ってたけど、今の凛を鏡で見せてやりたいくらいそんなことないと言ってやりたい。
「まぁ確かに、馴れないとは思うけど、いつも通りの凛でいて欲しいかな。敬語が苦手なら別にタメ口でも構わないし」
「たまに失礼なこと言うかも知れませんよ?」
「俺が失礼と感じるかはわからないだろ?いいんだよ、言いたいこと言えば」
凛の気持ちもわからんでもない。俺だって、年上と会話するときは失礼の無いようにと意識して、普段とは少し違う話し方になってしまうこともある。
「じゃあ......その、頑張ってみます......」
「うん」
少しうつむく凛の頭を撫でようかと思ったが。いや、それはさすがに必要ないか、子供じゃあるまいし。それに、易々と女の子に自分から触れるものじゃないだろう。ノータッチだノータッチ。
早速口癖が消えてることも触れないでおこう。
「さて、帰ろうか」
「はい。あ......」
「ん?あ、猫だ。野良猫かな、こっち見てるけど」
いつからいたのか、黒い猫がなにか言いたそうにこっちを見ている。俺は少しずつ猫に近づいてみたが、逃げる素振りはまるでない、それどころかこっちによってきたのでそのまま抱き上げてみた。
「おとなしいな、お前......本当に野良猫か?」
「いいなー先輩」
「凛も抱いて見る......ってなんでそんな離れてるんだ?」
てっきり普通に触りたがるものかと思っていたが、その考えとは真逆で触りたがろうとはしてなかった。というよりは、近づかないようにしてるようだ。俺が凛のところまで猫を持っていこうとすると、それに合わせて距離を取ろうとしている辺り、間違いない。
「......クシュン!」
「寒いのか?凛」
「いえ、私実は猫アレルギーなんです......」
なるほど、だからか。
そりゃ触れないわけだ。猫アレルギーはアレルゲンが許容量を越えることによって起こる。アレルゲンっていうのは、人間誰しもが持っているアレルギー誘発物質で、猫の唾液とかにも含まれているらしい。詳しいことは後で調べてみないとわからないが、とにかく対策はできても根絶は今のところできない病気で、猫好きの凛が発症したのは運が悪いとしか言いようがない。
「じゃあ、家で猫を飼ってるわけでもないのか?」
「はい、元々猫は飼ってませんでしたし、小さい頃になったので......」
「でも、猫は好きなんだな」
「触ることは出来ないですけど、見てても可愛いですから」
そう言って、凛は少しはにかむ。
猫に限った話ではないが、『好き』の形は一つではない。今回のことでいえば、凛は小さい頃から猫アレルギーを持っていて、飼うことは出来ないし触れられない。場合によっては近寄ることすらできないけれど、そんなことはお構いなしに、純粋に猫が好きだから凛は猫が好きだしこれからも好きでいるのだろう。
理由が無いことだってある。理屈じゃないことだってある。断じるわけではないが、好きになるってそう言うことだと思う。
「そっか......ってやば!時間!」
「あー!忘れてた!急がなきゃ!」
「家まで送ってくよ」
「でも先輩は......」
「少しくらい遅くなっても俺は平気だよ。それより、女の子一人で夜道を歩かせるわけにはいかない」
それに、今から凛と別れて家に真っ直ぐ戻っても遅くなるのは確定している。それなら凛を送って行く方が絶対いい、少なくとも一人よりは安全だ。
「じゃあ凛の家まで競争しましょう!先輩!」
「え、い、いいけど怪我するなよ?」
「はーい!それじゃあ......いっくにゃー!」
「え、もう!?ちょっと待てって凛!」
いきなり競争に発展し、走り出す凛。
見失わないようにするだけで精一杯だが、それとは別に楽しかった。こんなことをするのは、小学生とかそれぐらい小さいとき以来だろうか。
「到着にゃ~」
「はぁ......はぁ......」
俺的にはなかなかの距離を走ったと思うのだが、凛はそれほど息が荒くなってる様子はない。もちろん、俺はかなり息を荒くしており、今寝転がればどこでも寝れそうな予感さえしてくる。
「今日は一生分運動した気分だ......」
「おおげさですよー」
「結構本気で言ってるんだが......」
まぁ何はともあれ、凛の家には着いたわけで。
ここから急いで帰っても少し遅めの時間になるが、仕方ないだろう。一応遅くなるとはお母さんに連絡してあるが。
「さて、じゃあここでお別れだな」
「はい、ありがとうございました!楽しかったです!」
「こちらこそ、じゃあな......ってそうだ」
「?何ですか?」
今更言うことでも無いかも知れない。μ’sのメンバーとしても、スクールアイドル一個人としても、成熟してるであろう凛には必要ないかも知れないが。なぜか俺は言うべきだと思った。
「凛。君は俺と初めて会ったときにアイドルっぽくないって言ってたけど、そんなことはないよ。確かに女の子って身近な人で例を挙げれば、花陽みたいにおとなしかったり、真姫みたいに歌がうまくてピアノが弾けたり、海未みたいに髪が長かったりするイメージがあるかもしれない。でも凛みたいに純粋に元気な女の子だってたくさんいる、凛ほどの運動神経は確かに珍しいかも知れないけど、それはひとつの才能なんだ」
「先輩......」
「元気で、明るくて、髪が長くて歌がうまくて、誰が見てもかわいい見た目をしてるのがアイドルだとしても、凛だってアイドルだ。歌の良し悪しは俺にはわからないし、髪は短くて、見た目だって好みによるだろうが、凛はすごく元気で明るくて、俺は凛のことかわいいって思う。だからアイドルっぽく無いことはないよ。そう自分を評価する反面、少しでもアイドルっぽく、女の子っぽくなりたいと思う部分が、君が皆の中で誰よりも女の子である証だ。もっと自信を持っていい。それは凛しか持っていないもののはずだから」
そうだ、凛は普段の元気さが嘘かのように、自分自身のことに関してはすごく後ろ向きだ。それでも、もしかしたら去年よりはマシなのかも知れないが。今度時間があったら花陽にでも聞いてみようか。
「ふぅ......それじゃ、また学校でなー」
「先輩!」
「ん?なん......」
唐突だった、いきなりだった、あれ?俺の知ってる凛と違うとしか頭に出てこなかった。
凛は俺の腕を引いて、少し位置の下がった俺の頬にキスをした。率直に言おう、何が起きた。
「り、凛?」
「嬉しいです......とっても。だから......感謝の気持ちです。えへへ......」
ああ、なるほど。それなら納得。これに関しては真偽の疑いようはないだろう、これで違ってたら俺はどうしようもないくらい鈍感ということになるがそんなにひどくないと思っている。
「そっか、それじゃあな。今日は楽しかったよ、遅くなってごめんな」
「こちらこそ。送ってくれてありがとうございます」
こうして、凛と別れ。家に着いた頃には時間もそれなりとなっており晩御飯は俺一人で食べることになった。まぁ、当然といえば当然である。
「明日もまた遅くなるの?」
「いえ、明日はここまで遅くはならないと思います。心配かけてすいません」
「まぁ、男の子だから大丈夫だとは思うけど......あんまり無茶しないでね?」
「はい。ご馳走さまでした」
店番の終わったお母さんとご飯を食べながら会話する。敬語混じりだが、何気なく会話できているのは俺がこの家に馴染んできた証拠だからだろうか。
このあと、俺は部屋に戻り。特に報告するわけではないがPCに書き留め、そのまま寝た。ふと頭によぎったのは、今日凛の家まで競争したときの凛の顔と帰る間際の凛の顔。どちらの時も夜空は満天の星空だったが、凛はその中でもより輝いてるように見えた。キザっぽく聞こえるかもしれないが、やはり女の子は輝いてるのが一番である。輝き方はそれぞれかも知れないが。
本当はもっと凝った話にしたかったのですが......正直思い付きませんでした、すいません!
リアルでは通りすぎてしまいましたが、彼等のGWはまだ続きます、ではまたー