「...貰おう。」
「...。」
エレーナァ!
早く帰って来てくれェ!
オイラ、こんなに怒ってるダイン見たことないぞ!?
神里邸でちゃちな口喧嘩が勃発して数分後、私と綾華は鎮守の森を歩いている。
さくさくと草たちを足の裏にて踏むたびに小気味良い音が鳴る。
一端の大人であれば草木の音など煩わしいだけだろうが、子供の私には劇団の奏でる三重奏、または四重奏曲に聞こえる。
考え事もせずに森を歩くなんていつぶりだろうか。
最近は血生臭いことが多かったせいか、こういう一時が恋しくなっていたのかもしれない。
楽しいのだから、歩き続けるこの脚は何も悪くはない。
そう。これは仕方のないことだ。
あのまま二人ともヒートアップして喧嘩でもしようものなら、間違いなくダインが『喧しい』と言って睨んでくるに違いない。
そうなっては二人仲良く説教コースに突入だ。そうなってはたまらない。
故にこの逃避行は必要で、必然なものだ。
「...。」
しかし、隣のお嬢様はそうは思っていないようで、私をじりっと睨んでいる。
細められた彼女の瞳が私を憎らしげに見ているが、顔が整っている上に愛嬌があるので全く恐くない。
むしろ、彼女に睨まれて幸運だと思う者すらいるだろう。
---そんな事を口に出したら余計に怒らせてしまうから黙っておくことにした。
「勝手に抜け出したらダインスレイヴさんに叱られますよ。」
おお、なんと恐ろしいこと言い出すのだろうか。
この神里綾華というお嬢様はどこまでも人を怖がらせるのがお好きらしい。
...ダインを怒らせると面倒なことくらいは私とて分かっている。
彼はとても粘着質なので、一度キレたら相手が懲りるまで絶対にリングを降りない。
モンドの時もそうだった。お前は自分が何をしているのかわかっているのかとか何とか....そんな事を何回も何回も繰り返し言ってきた。しつこ過ぎてもはや安心感すら感じる。故に彼の怒髪天を突くというのは避けるべきだ。そうなったが最後、絶対に解放してくれなくなるだろうから。
だからこそ私は場所を移した。あれ以上騒いだらダインの気に触っていたかもしれないから。
彼の怒りを未然に回避した私の経験則はやはり素晴らしい。これでかの無知蒙昧かつ暴虐の王たるダインスレイヴの魔の手にかからずに済むという者だろう。
「...怪我人が勝手に抜け出すなんて、彼の琴線に触れそうな事ですね。」
「なんか言った?」
「いえ、何も。」
彼女はダインに苦手意識でも持っているのだろうか。
私の記憶では彼女とダインの接点などはなかった筈だ。だとすれば、私が一心浄土で雷神と戦っている最中にでも知り合ったのか。
だとすれば気の毒だ。
彼のような面倒臭い男と知り合うことなく人生を謳歌できればどんなに良かったか。あの口煩い男は、事あるごとに私を捕まえては説教をかましてくる。お節介という概念は彼のために存在するのだろう。
私は彼の小言を聞き過ぎたためか、それらを去なす方法を考案した。
無視するのだ。
これが一番手っ取り早い。
どんな小言を言ってきても無視すれば万事解決だろう。
「...というか、ダインの小言を心配するなんて今更すぎるよ....むしろ開き直った方がいい。私なんて稲妻に来る直前まで彼と口喧嘩してたからね。綾華もいずれこの高みに登れる日が来るといいね。」
まぁ、彼女にとってこの高みはあまりに崇高すぎるかもしれないが。
この領域に至るには数多の苦難を乗り越える必要がある。
あの男、風貌と声色だけは一級品だから、彼が怒気を纏っていると途端に恐ろしく感じるのだ。
彼をまともに相手していては頭がおかしくなってしまうから、そうなれば後は逃げるしかない。
当然の帰結だ。
そして我ながら妙案と言えるだろう。
「...喧嘩はなるべくしない方がいいのでは?」
「...。」
五月蝿い。
あの偏屈屋を前に平穏無事を願うなんて土台無理な話だ。
あの男は口下手かつ言葉足らずだから、親しくない人間とのコミュニケーションも必ずと言ってもいいほど失敗する。
...これは彼への偏見ではない。
私の実体験に基づいている確かな詳論だ。
「正論だね。けど詭弁には勝てないよ。ほら、もう少し歩こう。ここじゃダインに見つかりやすいから。」
「....もう。知りませんよ。」
綾華はどこか呆れたような表情でため息を吐いた。
これまでのやり取りを経て、私を御することは出来ないと思い知ったのだろう。
懸命な判断だ。
綾華は、彼女の前を歩いていた私をせこせこと追い抜いては、迷いなく森の中を進み始めた。
それが何だか無性に癪だったから、私は彼女以上に歩く速度を速めて彼女を追い越した。
---再び私が先頭に立つ。
「...どこにいくのですか?」
お前は旅の者だから稲妻の森の道なんぞ知らないだろう、とでも言いたげな目線を寄越す綾華を無視して進む。
少しだけ湿り気を帯びたミントが脚に当たって冷たい。
それでも何でか不思議と不快感はなくて、どんどんと森の奥へと進む。
せせらぐ川の音と蟋蟀たちの合唱が何故か懐かしさを想起させる。
私はここに来たことはないが、見たことはある。
側から見れば私は異常者に見えるかもしれないが、私には確かにこの先の道が分かる。
かつて無機質な液晶を介して見ていた景色を、血の通っている肉体で感じているという事実に高揚しているのかもしれない。
城下町でも同じような感覚になった気がする。
「エレーナさんッ」
綾華が私の肩を掴んだ。
何事かと後ろを振り返れば、綾華は少しだけ息を荒らしながら私を非難するように見ていた。
「そ、遭難でもしたらどうするんですか。この鎮守の森には妖が出るという話もあるのですよ!?」
「フゥン...妖ね。」
「私だけならまだしも、貴女は稲妻に来てから間もない旅人でしょう。そんな人が怪我を負った身体で無闇に進むなんて...。」
ああ、そう思うか。
それはそうだ、これに関しては彼女が正しい。
普通の旅人なら、ここまで迷いなく森を彷徨うことなどしないだろう。
けれど、私は例外だ。
「私は分かるから大丈夫だよ。」
「...え?」
「だからこの森の道くらいなら
「何を...あっ」
綾華は何かを思い出したかのように右手を口に添えた。
『じゃあ、なんでその後に私の名前を呼んだんですか!』
ついさっき綾華に言われたことだ。
...私は綾華にどうして名前を知っていたのかと問われた。
どうして先の物事が分かっているかのように振る舞うのか...意訳するとこういった風の質問だろう。
この疑問に対して回答を出すのであれば『この肉体に魂が宿る前の記憶に従っているだけ』というのが正答なのであろうが、そのように答えることは出来ない。
そんな事を答えた所で頭がおかしくなったと思われるのがオチだ。
だってそうだろう。
『実は前世の記憶があって、その前世の世界ではテイワットの物語がゲームとして嗜まれていたんだ』なんて言えるわけがない。
仮に言えたとして、信じてもらえるわけがない。
この世界にも遊戯に類するものはあるだろうが、それは蹴鞠とか、花札とか...そういう類のものだろう。
決して、私が思うようなものじゃない。
しかし、それでも綾華は食い下がってきた。
私の肩を掴んだまま寄ってきては、引き続き苦言を呈した。
「たとえ貴女が稲妻の事をよく知っていたのだとしてもダメです!貴女は怪我人なのですよ?」
怪我人なのはいつものことだからもう慣れている...なんて言おうものなら余計に話が拗れそうになる気がしたので口を閉じた。
やはり曖昧に濁しつつ先導するしかない。
私はできる限りいつも通りの声色を保ちつつ、まるでなんともないかのように言った。
「まぁもう少し待ってよ、
「...はぁ。もう、分かりました。ただ、後でしっかりと叱られる覚悟をしておいてください。」
嫌なこった
「わかってるわかってる。」
「...。」
適当な相槌を返す。
無言で遺憾の意を示されている気がするが、気のせいだと思うことにする。
それからもうしばらくだけ歩いた。
実の所、人気のない神秘的な樹海を練る歩いているだけでも結構楽しかった。
---そもそもの話、稲妻という島国を訪れること自体が難しい。
それに加えて、神里家を近くとするこの樹海を好きなだけ闊歩するなんて、そうそう叶えられない贅沢だろう。
叶うことならこのような何でもない時間が永遠に続いてほしいところだ。
しかし、そんな贅沢は少しして終わりを告げた。
彼女を無理に先導して歩き始めて幾分か経過したころ...
「着いた」
ようやく目的地に到着した。
——そこはいずれ、神里綾華が旅人に『白鷺の舞』を披露する神域だった。
私は目的地についた事を確認すると歩みを止めて伸びをした。
思い切り天に向かって仰ぐ。
呼吸を一時的に止めて身体全体を敢えて硬直させる心地よさに酔う。
「ここは....。」
綾華はこの場所に覚えがあるのか、目を思い切り開いて身体を硬直させている。
驚きをそのまま体現しているのがなんとも滑稽で面白い。
「何固まってるの?....あ、そっか。包帯取らないと」
驚く綾華を放っておいて、さっさと支度を整える。
足を覆っていた包帯たちを全て脇にどかして置いた。
不幸中の幸いというべきか、雷神は脚フェチではなかったので、私の脚が斬り傷を負うことはなかったようだ。
比較的清潔な状態にある我が足たちを拝んでから素足となる。
雑草たちが私の生足をつついてくるので何だかこそばゆい。
なんとも言えないその感覚から逃げるためにも、目の前の水場に入る。
傷口が滲みることはなくて少し安堵した。
「ハハッ!こうやって馬鹿みたいにはしゃぐのは久しぶりかも!」
思いのまま地団駄する。
私の脚が水場を踏み鳴らす度に、ばしゃばしゃと澄んだ水流が耳を癒してくれる。
無色透明な森の水は私の脚を艶やかに彩って艶を演出してくれる。
この瞬間だけは等身大の女の子に戻ったかのような気分になれた。
「ここ、絶好の水遊び場なんだよね。ほら、綾華も入ってみなよ。気持ちいいよ」
ここは綾華が旅人に白鷺の舞を披露した場所だ。
鎮守の森の中央の最奥に位置するここには、不躾な邪魔が入る心配もない。
蟋蟀たちの旋律がより整って聞こえるし、天に聳える樹木たちの葉の僅かな隙間から差し込む月明かりが水場を照らしている。
まるで天然のステージのようだった。
ここは静かでいい。
安心して羽を伸ばせるというものだ。
だからどうか、今だけは物語の聖地を穢すことを許してほしい。だって、お嬢様も喜んでくれる筈だから。
...しかし、お嬢様はどこか呆れたような目で私を見ている。
「何故この場所を知っているのですか?」
このお嬢様、まだ言うか。
「ここを知っている者はそう多くないのですよ?」
「じゃあ、私はその多くない者たちの中の一人だったわけだ。」
「それもお得意の詭弁ですか?それとも、本当に...はぁ、もういいです」
もう私が何を知っていても気にしなくなったようだ。
とても良い心掛けだと思う。
彼女も疲労が溜まっているのか、これ以上難しいことに頭を悩ませることは避けたいのだろう。
良かった。これでこそ彼女をここに連れてきた甲斐があるというものだ。
だって...
「...ここなら落ち着いて話せるでしょ。」
「ッ!」
綾華はまた驚いたように目を見開いた。
まさかこの娘、本当にただ誘拐されただけだと思っていたのだろうか。
まったく失礼極まる。
「....ありがとうございます。」
「なんのお礼?別に綾華のためとかじゃないから気にしないで。」
この場所に来たことについて、本当に深い意味はない。
ただ静かな所だったらどこでも良かった。
ここならどんなことを話しても誰かに盗み聞きされる心配もないだろうし、仮にそんな輩がいたらすぐに察知できる。
混じりっ気のない自然の生き物しかいないこの場所では、人間という名の異物はあまりにも目立ちすぎるのだ。
これで綾華とゆっくり話せる準備を整えることが出来た。
私は敢えてなんでもない風を装って質問した。
「ね、何でお屋敷に綾華しかいなかったの?」
「それは...。」
神里家には綾華以外の人間がいる筈だった。
彼女の兄、友人、その他諸々....彼らが綾華を放っておいてどこかに行くとは思えない。
仮にそうなったとしても、そうせざるを得ない事情があるに違いないのだ。
「先に断っておくけど、
綾華の逃げ道を先回りして塞ぐ。
こうして問い詰めるのは少しだけ申し訳ないのだが、かつてやった脅しに比べれば優しい方だろう。
「家の者は
「...へぇ、魔物退治に一介の家政婦まで出張るの?」
考えてみればおかしな話だ。
確かに魔物という存在は恐ろしいものだ。
人間よりも強靭な肉体を持ち、鋭い牙を持っている。
かと思えば、時には人間と同様の知性を以ってして策を練ることだってあるだろう。
なるほど確かに恐いし恐ろしいものだ。
しかしそれは人間だって同じことだ。
テイワット初心者なんかじゃあるまいし、この稲妻の臣民たちもいくらか抵抗できる筈だ。
確かに被害は甚大だったかもしれない。
その群れの規模の大きさゆえに、人海戦術も功を奏さなかったかもしれない。
だが、だからと言って社奉行の属する人間たち全員が押し並べて魔物退治の戦場に動員されるなんてことはない。
組織という体を成している以上、役割分担というものがある。戦場に行くのは『兵士』としての役割を与えられた者に限るべきだろう。
無論例外はあろうが、それでも綾華を一人残してしまうなど言語道断だ。
実際、一人で追い詰められたこの娘はファドュイの網に自ら掛かりに行った...あの時、私がいなかったらと思うとゾッとする。
「
きっと魔物退治以上の何かが起きていたのだ。
そうとしか思えない。
だってそうだろう?
雷神がいきなりやってきて殺しにくるなんてこと、そう起こることじゃあない。
雷神は私をこの災厄の元凶だと言っていたけれど、その根拠だって全く示されていない。
もし深淵の力を使えることが原因ならダインスレイヴの存在をどう片付ける?
彼は狙われず、なぜ私だけ命を狙われた?
それはきっと、稲妻の民が知るもう一つの出来事に由来するものだ。
綾華はそれについて知っている---知っているに違いない。
これは半ば願望に近い考えだ。
叶うのなら、綾華が答えを示してくれることを願うが...
「くぎが...その。」
彼女はあからさまに動揺していた。
身体は震えて口は窄んでいく。
肩に触るくらいの長さになった白髪がゆらゆらと不規則に揺らぎ始める。
...明らかに様子がおかしい。
「...ちょっと、冗談きついよ」
穏やかなほとりだったこの場所はいつの間にか
ぎち...と氷が凝縮するような嫌な音が木魂する。
明らかに綾華の氷元素力が暴走している。
「...結局、核心的な所は『神』にしか答えられないのか。」
明らかにただ事ではない様子に舌打ちする。
仕方なく、事態への対処のために動くことにした。
綾華の手をそっと握る。
私の持つ
決して燃え滾らないように、しかし確かな熱だけを抽出して辺りに散布していく。
- - - そしてこの場にある氷だけを溶かす
ほんの、一秒にも満たない時間の中で氷だったものたちのじゅわっという悲鳴が轟いては消える。
私の炎元素は、暴走した綾華の氷元素を全て消し去って、森本来の静寂を取り戻した。
この程度の炎であれば私の傷に障ることもないだろう。
---少し疲れるが、それは甘んじて受け入れるとしよう。
「あ...あれ?エレーナさん、私は今...何を」
「
彼女には、自身が錯乱していたことは明かさない方が良いだろう。
これは、恐らくただの不安障害などではない気がするからだ。
無論、彼女自身が気に病むということも考慮してのことだが、もっと大きな...壮大な誰かが彼女の認識を阻害している気がしてならなかった。
そして、それは同時に彼女を守っている。
知り過ぎた人間はいずれ天罰を受ける。
ここで綾華に全てを話すことはむしろ悪手に成りかねない。
「何も...なかったのですか?」
「そう。何もなかった。」
私は、綾華が心労に苛まれていることを失念していた。
稲妻を蝕むあらゆる悪行は彼女にとっての悪夢そのもの。
公人として各地に蔓延る人々の怨嗟や苦しみの声を味わった彼女は、その元凶どころか上辺をなぞるだけでもとてつもない
...彼女はまだ若い。
私の前世ではまだ学生という立場で娯楽と学業に興じるのが関の山だったろうに、この世界では彼女は民に頼られるお偉い様だ。
側から見れば一生安泰の地位を手に入れたお嬢様だと思う者もいるかもしれないが、私にはそうは思えなかった。
若くして人間の悪秀を体験した彼女は、今にでも割れそうな儚い漆器だ。
見目こそ綺麗だが、不用意が祟って床に落としたが最後、呆気なく死んでしまうに違いない。
私はまた彼女に酷なことをしてしまったのかと、自戒の念が湧いて出てくる。
口を開けて阿保面を晒している彼女の乱れている髪を整えてあげる。今は短くなってしまったその白髪は呆気なく私の指の隙間から解けていった。
ここは何事もなかったかのように話を続ける方がいいだろう。
念の為、周囲に炎元素の残穢がないことを確認する。
ここで燃えカスが残っていたら、彼女に怪しまれてしまうから。
「...うん、焼き残しはないね。」
「エレーナさん?」
急に静かになった私を妙に思ったのか、綾華が不安そうに見てくる。
両手を胸の前で握っている様は、まるで迷子の幼子のように見えた。
「何でもない......何、そんなに呆けてどうしたの。ほら、続きを聞かせてよ」
「続き...ですか?えっと、申し訳ありません...少し呆けてしまっていたみたいで。何の話をしていましたか?」
当分、彼女に質問ごとをするのは避けた方が良いだろう。
また混乱して周囲に被害が出るのは不味いし、なにより彼女の為にならない。もし、綾華から引き出そうとしている情報が『禁忌』の類であるのなら、それは暫く秘匿させるべきだ。
少なくとも、ここで無理に聞き出すようなことじゃない。
しかし、せっかくこんな奥地にまで来たのだからもう少しサボってもいいかもしれない。そうだ、どうせ戻ってもダインに小言を言われるのだから、暫くはここでお喋りでもしよう。
話題は、そうだ....
「綾華のことを聞かせてよ。これまで会った楽しいことから辛いことまで全部聞かせなよ。スッキリするからさ」
私が知るべきは神里綾華という人間のことのみだ。
それに、私は知っている。
こういった時はとにかく感情のままに思いを吐き出した方がいい。
自分を責めてばかりいても、負の感情が内側に溜まっていくばかりになる。
そうなってはもう戻れない。
自分の存在そのものを否定したくなって最後には孤独のまま首を吊るのが鉄板だ。
限りなく幸福な奇跡でも起こらない限り、そこから好転することは滅多にないと言っていいだろう。
唯一ある現実的な解消方法は、誰かに思いの丈をぶつけることだ。
そんな簡単なことでも、追い詰められた人間にとっては救済の一手になり得るのだから、不思議なものだ。
「そうだね、じゃあまずは綾華が初めて稽古を始めた時の話が聞きたいかも。」
だから話を聞かせて欲しい。
私が知っている知識ではなくて、貴女が体験した物語を。
最近、寒いですね
皆さんはどうか暖かくして寝てくださいね