あーれやばいっす(語彙力)
あと評価の調整平均が赤色になっててびっくりしました。
見てくださっている方、ありがとうございます。
「え...?エレーナさんを見ていないか、ですか?」
「....うん!あの娘ったらまーた行方をくらませちゃってさー。だから私が探してあげてるってわけ!」
「う〜ん....すみません。最近は月海亭に篭りっきりになっていたもので...。」
「そっか!うんうん!わかった、ありがとねー!」
「ん?彼女なら最近は見ていないが...。ああいやしかし、一週間ほど前に見かけた気がする。」
「..!一週間前って..」
「ああ、璃月でも記録的な豪雨が降ったあの日の前日だ。モンドの廃墟跡で見かけてな...その日も彼女はえらくボロボロだったな。
恐らく仲介屋の人間から卸された冒険者協会の依頼を単独で行っていたのだろう。」
「また無理して....」ボソ..
「それにしても、彼女...またいなくなったのか?これまでも彼女が一時的に璃月を離れることはあったが、こうも音信不通になるとは珍しい。」
「ダイジョブダイジョブ!!鍾離先生にも手伝ってもらってるから、すぐ見つかるよ!!
それじゃあねー!」
「あ、ちょっとま....行ってしまった。彼女が騒がしいのはいつものことだが、今日は特段明るく振る舞っているような気がしたな...。
あまり頻繁に交流しない私に助言を求めるのも少し...珍しいな。
ふむ、ちょっと調べてみよう。」
「ふむ...。そうですか、彼女が行方不明と。」
「そ。だから必死こいて探してるんだけど、中々足取りがつかめなくてさー。まいったよもー。」
「事情はわかりました。私の方でも色んな方に聞いてみましょう。職業柄、より多くの人と日々接していますからね。」
「助かるよー!それじゃ、よろしくねー!」
「ええ...。
....もう出てきても大丈夫ですよ、七七。」
「....エレーナ、いなくなっちゃった?」
「そうですね、このようなことはこれまで何度かありましたが....。
どうやら今回はこれまで以上に急を要するようです。」
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璃月港
テイワット大陸最大とも評される商業都市。
「岩王帝君」自らが建てた港湾都市で、貿易と富が有名である。
ここには様々な国や土地から商業物資や商人が集まって商売を行う。
また、港内には食事処を始めとする多種多様な専門店が連なっており、商人だけでなく、
一般の旅行客も多く訪れる地となっている。
そんな商業の都、璃月に『旅人』と名乗る異邦人が来るのも、なんら不思議なことではなかった。
その『旅人』は白を基調とした変わった服装を身に纏っており、髪色は綺麗な金色。
何処か異国の姫君のような雰囲気を醸し出している。
そんな彼女にも、胡桃は聞き込みを行っていた。
「エレーナ?」
「そう!小柄な可愛い女の子で、茶色がかった髪色の子なんだけど...」
「うーん.....そんな名前のヤツ聞いたことないぞ...。旅人はどうだ?」
「...私も知らない、かな。まだこっちにきてから間もないし....。」
「...そうだよねー。はぁ...どこに行っちゃったんだろ。」
どうやら今回もエレーナの手がかりを掴むに至らなかったようだ。
璃月ではもう時期『とある儀式』が執り行われるため、それに合わせて多くの人が集まる。
そのタイミングで聞き込みを行えば少しは捜査に進捗があるかと思ったが、ぬか喜びだったようだ。
そう胡桃が意気消沈していると、金髪の旅人の隣にいる(正確には浮いている)白い生き物が尋ねた。
「胡桃はずっとそのエレーナってやつを探してるのか?璃月に来たばっかりのオイラたちにまで聞き込みをするってことは、周りのやつには聞き終わっちゃったってことだろ?」
「そーなの。多分あなたたちを除けば、この璃月内の人間のほとんどには聞いて回ったんだけど...。比較的情報通の人でさえ知らないって言うんだから、もうお手上げだよー。」
「ごめんね、力になれなくて...。」
「ああいいのいいの!こっちの都合なんだし!まぁ葬儀の時に
「オイ!いきなり物騒すぎるぞ!!!」
「あはは...」
何にせよ、もうエレーナの手がかり集めることは不可能になりつつあった。
モンドからやってきたという異郷の旅人。
もしかすると、彼女ならばエレーナと接触してもおかしくはないと希望的観測をしていたが、ものの見事に当てが外れてしまったようだ。
こうなったら、地道に近辺の捜査を継続する他ない。
それにチャンスはまだ残っている。
璃月では「海灯祭」と言う年に一回行われる大きな祭りがある。その際にまた聞き込みを行えばあるいは...。
胡桃がそう考えていると、少し周りが騒がしくなってきているのに気がついた。
どうやらどこかに移動しているようだった。
「なんか妙に騒がしくないか?」
「そろそろ儀式が始まるのかも...。じゃあ胡桃、私たちそろそろ行くね。また何か分かったら連絡するから。」
「...うん!またねー!」
そう言うと、パイモンと旅人は儀式会場の方へと行ってしまった。
「はぁ....」
背を向けた旅人たちを尻目に、胡桃は重いため息をついた。
普段の胡桃ならば、周囲の様子の変化になどすぐに気付ける筈だが、今の彼女にはそんな余裕もなかったらしい。
現に、璃月に来て間もない旅人たちは周囲の変化に気づいたが、胡桃は一切気が付かなかった。
胡桃自身が自覚している以上に、胡桃はエレーナがいなくなって動揺しているらしい。
またそれに伴って、次第にエレーナの存在が自分の中で大きかったことを実感し始めた。
あの日、ボロボロの状態で大雨の中を飛び出して、一体どこに行ってしまったのか...
エレーナは今、無事なのか...
そもそもなぜ鍾離の『あの発言』の直後に酷く取り乱し、襲いかかってきたのか...
そして....
「(そんなに苦しかったなら、なんで私にはなんの相談もしてくれなかったの...?)」
胡桃にとって、
"唯一無二の親友に心を閉ざされていたかもしれない"
と言う事実は、あまり苦しく、受け入れ難いものであった。
しかし、同時に大きな疑問も抱えていた。
「...警戒していた相手と密室で会おうとするかな...?普通...。」
そう。そもそもあの日、エレーナは約束の場所に来てくれたではないか。
ボロボロになっても
大雨が降っていても
であれば、彼女が完全にこちらを「黒」だと判断した瞬間はいつか...当然あの発言の直後だ。
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『「君と『公子』は知り合いなのか?」』
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あの発言の直後、エレーナは人が変わったかのように鍾離に襲い掛かった。
そのことから、間違いなくエレーナにとっては「公子」とは何かしら因縁のようなものがあり、それをひた隠しにしてきたのだろう。
それを問いかけと言う形で突きつけられ、動揺し、"自分はひた隠しにした秘密を暴かれ、その者たちに密室に誘い込まれた"と感じたのだろう。
しかし、わからないのは "「公子」とエレーナはどういう関係なのか" ということだ。
そもそも鍾離と「公子」に交流があるのは胡桃とて知っていた。
璃月自体が国を上げてファデュイと国交を築き、様々な取り組みを行なっていることもあり、そこ自体にそこまで驚きはない。
その上、エレーナは取り乱した様子で、「グルなのだろう」と叫んでいた。
ということは、恐れているのは胡桃や鍾離自体ではなく、 "身近な人間から「公子」にエレーナの情報が伝わこと"を恐れていると結論付けられる。
詰まるところ重要なのは
・エレーナと「公子」の関係
・エレーナが「公子」を避ける理由
の二つだ。
これら二つの情報を完全に掴むことが出来れば、エレーナの真意を知ることができ、あるいは居場所も特定できるかもしれない。
しかし、どうやって...?
もうそこかしこで聞き込みは行った。これ以上新たな情報源など....。
いや、胡桃にはまだ一番の情報源がいた。いつも助言をくれる癖に、核心に迫るような言動は敢えて控えるような、
そんな人物が。
「そうとなれば、善は急げってやつだね。」
胡桃は、先ほどまでの陰鬱な様子とは少し異なり、陰りながらも目的意識が明瞭になったような顔つきになっていた。
そんな彼女が行き先に決めたのは...
「まずは鍾離さんに話を聞かないとね...。」
狂瀾怒濤なり