転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
戦後の話し合いには、議長をリムルとして、各種族の代表達が集まった。
ゲルドの側近を中心とするオークの生き残り達は、《ウエルモノ》の影響で麻痺していた罪悪感が蘇ったため、今にも死にそうな顔だ。
リムル「結論としてだが…俺達はオークの罪を問うつもりはない」
リムルはオークの現状を説明する。
首領「なるほど、大飢饉…それにゲルミュッドなる魔人の存在ですか」
リザードマンの首領が頷く。
ゴーダ「オークの現状からして、どう考えても賠償は不可能だ。…まぁ、これは建前だが」
首領「では、本音は?」
ゴーダ「オークの罪は、全て俺達が引き受けた」
リムル「文句があるなら俺達に言え」
側近「お、お待ちください!それでは道理が…」
ゲルドの側近が立ち上がるが…
リムル「それが魔王ゲルドとの約束だ」
側近「…!」
首領「なるほど…しかしそれは、少しずるい回答ですな…」
ベニマル「魔物にとって、唯一不変のルールがある。『弱肉強食』。立ち向かった時点で、覚悟は決まっていたはずだ」
首領「そなたは、ソウエイ殿と同じ鬼人か…!そうですな。駄々を捏ねては、リザードマンの沽券に関わりましょう」
首領は引き下がる。
首領「しかしこれだけは確認します。オークの罪を問わぬということは、彼ら全てを森に受け入れるということですかな」
問題はそれだ。オークの数は15万以上、場所も食料も足りない。
リムル「それなんだが…ジュラの森に暮らす種族間で大同盟を組めないかと考えている」
「「「大同盟…?」」」」
ゴーダ「オークにはひとまず各地に散ってもらうが、行く先々で労働力を提供してもらう」
首領「その見返りに、我らは住む場所や食料を提供するということですかな?」
ゴーダ「そういうこった。技術支援は俺達のところの職人が引き受ける。うちでも働いてもらうが、そのうち技術を身につけて、自分らの町を作れば、各地に散った奴らも一緒に住めるようになるだろ」
側近「わ、我々が、その同盟に参加させて頂けると…」
ゴーダ「あぁ、行く当てねぇんだろ?」
リムル「場所は用意するから、しっかり働けよ」
「「「ハハァツ!」」」
オーク達は跪く。
首領「ぜひ、協力させて頂きたい」
鬼人、リザードマンやゴブリン含め、全員がリムルとゴーダの前に跪く。
リムル/ゴーダ「「?」」
トレイニー「それでは、リムル様とゴーダ様を二大盟主として…」
リムル/ゴーダ「「へ?」」
トレイニー「「ジュラの森大同盟はここに成立しました!」」
リムル/ゴーダ((盟主~ッ!?))
会議後。
ベニマル「…何か用か?」
ゲルドの側近が、ベニマル達の前に現れた。
「…弱肉強食とは言っても、そう簡単に割り切れるものではない…我らは、オーガの里を…」
「「「……」」」
「詫びて、詫び切れはしない…虫のいい話だとは分かっている…だが、どうかこの首一つでご容赦願えないだろうか…!」
オークの生き残りを束ねる者として、ゲルドの側近が跪く。
ベニマル「…戦いの後、今後もリムル様とゴーダ様の元にあり続けたいと伝えたら、俺達に役職を下さった。俺は『侍大将』の役職を賜った。軍事を預かる役所だ。そんなもんについちまった以上、有能な人材を勝手に処分するわけにはいかないだろう」
「…!」
ベニマル「リムル様とゴーダ様に仇なすなら容赦しないが、同盟に参加し、盟主と仰ぐなら敵ではない」
「あ、あの方々は我々を救ってくださった…!従いこそすれ、敵対などあり得ない…!」
ベニマル「なら、俺達は同じ主を頂く仲間だ。──せいぜいリムル様とゴーダ様の役に立て。それを詫びとして受け取っておこう」
「──父王ゲルドの名に誓って…!」
その後、オーク達の飢え死にを防ぐべく、魔素量を増やすための名付けが始まった。
オークロードのスキル《ウエルモノ》の効果で、一時的に増えていたオーク達の魔素が消える前に、リムルが《捕食者》で吸収、名付けによって再び与え、定着させる。
リムル「『山-634M』…『山-635M』…」
とはいえ、15万人もいるので、名付けは細かく考えられない上、時間がかかりすぎるため、今回はゴーダも協力することになった。その方法は…
フラメア「ゴーダ様、次は湖の部族の女性です!」
ゴーダ「おう」
手伝いに来たフラメアに言われて、ゴーダはオーク達の列の前に立つ。
ゴーダ「んじゃいくぞ~」
「はい!うおっ…!」
ゴーダは目の前のオークにセルメダルを投げ入れ、オークから白ヤミーが生まれる。
ゴーダ「よっ…『湖-1F』」
ゴーダは白ヤミーをセルメダルに変換して吸収し、更にセルメダルのエネルギーを魔素に変換、名付けによって与える。
オークディザスターから生まれたヤミーのセルメダルを再利用、オーク達に影響が残っているスキル《ウエルモノ》そのものに宿る、『食いたい』という欲望からヤミーを生み出し、メダル、魔素と変換、名付けによって与えるというややこしいシステムである。
細かい調整は、ヴェルドラと名付けを通して繋がったリムルのスキル《大賢者》がしてくれている。
ゴーダ「何気にヤミー初めて作ったな…二人がかりとはいえ、15万人の名付けは長いぜ…」
1週間かけて名付けしていき、最後の一人はゲルドの側近である。
リムル「お前には、オークディザスターの意思を継いでもらいたい。名は『ゲルド』。死の間際まで仲間を想った、偉大なる王の名を継ぎ、ゲルドを名乗れ」
ゲルド「──その名を賜ることの重み、しかと受け止めました。我が忠誠を貴方様方に…!」
その後、リムルはまたスリープモードになり、焦るゲルドをゴーダが宥めた後。
ゲルド「そ、そうでした…ゴーダ様、こちらを…」
ゴーダ「ん?おっ…これは…!」
ゲルドはゴリラのコアメダルを差し出した。
ゲルド「かつてのオークの王国で発見されたものです。お役に立ちましたら…」
ゴーダ「おう。ありがとな」
ゴーダはメダルを受け取った。その後、ゴーダはテントで一息つく。
ゴーダ「これでウヴァ、カザリ、ガメル、メズールのメダルが揃ったわけか…」
フラメア「ゴーダ様!お疲れ様でした!」
ゴーダ「おう。わざわざ手伝いに来てもらって悪いな」
フラメア「いえ!オークの皆さんとも、最良の方で和解できて、本当によかったです!」
ゴーダ「あぁ」
フラメア「あ、それ…新しいメダルですか?」
ゴーダ「おう。……」
フラメア「どうかされましたか?」
ゴーダ「…四属性のメダルが一通り揃って、オークディザスターの力の一部も、俺に宿った。また力に溺れないように、気を引き締めないといけないと思ってな」
フラメア「もう、ゴーダ様ったら…」
フラメアはゴーダの両肩に手を置く。
フラメア「今のゴーダ様なら、もう大丈夫です。私がよ~く知ってます!」
ゴーダ「…そうか」
ゴーダは笑みを浮かべた。
ガビル「……」
ガビルは一人、荒野を歩いていた。死罪になると思い、覚悟を決めていたガビル。
しかしガビルの父、リザードマン首領は、死罪ではなく追放処分を言い渡し、更にはリザードマンの秘宝である『ボルテクススピア』まで持たせて送り出した。
アビル(ガビルよ…リムル様から『アビル』の名を授かったこの父がいる限り、リザードマンは安泰である。貴様は自分の思うままに生きるがよい。ただし中途半端は許さぬ。肝に銘じるのだ)
カビル(親父殿…見ていてください。吾輩は一から出直します。この槍に恥じぬ男になるために)
「ガビル様~!」
ガビル「!」
ガビルの部下達が追いかけてきた。
ガビル「どうして…吾輩は破門に…!」
「ガビル様が破門なら、みんな破門だよ!」
「水くさいぜガビル様!」
ガビル「お前達…!」
ガビルは涙を拭い、共に歩き始めるのだった。
とある城。
ラプラス「せっかくお膳立てしたのに、新しい魔王が誕生しなかったのは残念やったなぁ、クレイマン」
ラプラスにそう言われ、銀髪の男…魔王クレイマンは振り向く。
クレイマン「あぁ。だが、代わりに面白いものが見れたよ。あのスライムに、『オーズ』…どうしたものかなぁ…」
クレイマンはニヤリと笑う。
クレイマン「『オーズ』は、君の因縁の相手だったね?」
クレイマンの視線の先には、赤いチェックの服を来た少年がいた。
「…そうだね。僕の知るオーズとは違うけど…僕と、もう一人の僕と同じだ」
少年は邪悪な笑みを見せる。
「直接会える日が、楽しみだな…」
ガビルや他のリザードマン達が、リムルとゴーダの部下になり、名付け(ガビルは上書き)により、『龍人族(ドラゴニュート)』に進化した。
ガビルの妹である、リザードマンの首領側近は、『ソーカ』の名を授かり、人間に近い見た目になり、他数人と共に、ソウエイの直属の部下になった。
町の発展がどんどん進んでいるある日…
カイジン「ガゼル王…!お久しぶりでございます…!」
ガゼル「久しぶりだな、カイジン。そしてスライムよ」
リムル「あぁ」
着々と力を増すリムル達を見極めるべく、かつてリムルが出会ったドワーフの王『ガゼル』が、部下達を引き連れてやって来た。
ガゼル「そなたが、スライムと共に二大盟主となったゴーダか」
ゴーダ「おう、リムルから話は聞いてるぜ」
そしてガゼルはリムルを見極めるべく、手合わせを申し込んだ。手合わせを通して、邪悪な存在ではないと判断したガゼルは、剣を収めた。
実はガゼルがハクロウの弟子だったと発覚したりしたが、それは別の話。
そしてガゼルの国『ドワルゴン』と同盟を結ぶにあたり…
リムル「『ジュラ・テンペスト・連邦国』だ」
国の名前が決まり、リムルのスライムとしての姿と、オーズのマークが描かれた国旗が作られたのだった。
ED「リトルソルジャー」田所あずさ