転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
1 コリウス国へ
フラメア「……」
フラメアは、何もない異空間に一人でいた。
『──フラメア…フラメア?』
フラメア「…はい…」
さぼんやりした様子のフラメアの前に、銀髪の女性が現れる。
『どうじゃ?魔国連邦(テンペスト)とやらは楽しめておるか?』
フラメア「はい、ルミナス様…それはもう、新鮮な日々です…ゴーダ様とリムル様は、いつも新しい発想で、周囲を動かし続けています。そして…」
ゴーダの顔が頭に浮かぶ。
フラメア「…変わっていくあの人を、私は…」
ルミナス『そうか…近々会うこともあろう。報告、楽しみにしているぞ?ゴーダとリムルとやらによろしくな』
………………
フラメア「──ハッ…!?」
フラメアは汗びっしょりで、ベッドから起き上がった。
フラメア「あ、あれ…?何だか、恐ろしい夢を見た…ような…?」
神聖法皇国ルベリオス、誰も知らぬ場所にある玄室。
ルミナス「……」
氷の棺に封じられて眠る、黒髪の美少女を見つめているのは、フラメアの夢に出てきた銀髪の女性…ルミナスだった。
「──やはり、気になる。妾自身の目で、かの者達を見定めておくべきであろうな…」
ルミナスは棺に触れる。
「お前の願い、必ず妾が叶えてやろうぞ」
リムルとゴーダの教師生活も、終盤に差し掛かったある日、二人はユウキに呼び出された。たまたま顔を出していたウツロも同席している。
ユウキ「コリウス王国で厄介な問題が起きていましてね!」
リムル「だから忙しいって…あぁもう、聞くだけだぞ!」
ゴーダ「聞くのは聞くんだなお人好しめ」
ウツロ「すげ~いい笑顔で厄介事押し付けにきてる…」
厄介事の内容はこうである。
ユウキ「王位継承権争いですね。兄のサウザー王太子と、側室の子である弟、アスラン王子。普通なら争いにもならないのですか…」
アスラン殿下はAランク冒険者、そのカリスマ性でコリウス王国のギルドマスターが懐柔され、ギルドが反乱を起こした。本部の信用問題にも関わる。
色々あって経済制裁とかはできなそうで、依頼はパウロという冒険者をサポートしての潜入捜査となる。
翌日、自由学園。
ゴーダ「ユウキの奴、ゴリ押しで引き受けせやがって…!」
ウツロ「まぁこうして、ジェフ先生が紹介状書いてくれてるし。あぁ、そういえば…情報集めなら、ウサギちゃんが得意でしょ」
ゴーダ「フラメアか?まぁ確かに…世界中周ってたなら、旅慣れもしてるだろうしな」
リムル「じゃ、フラメアも呼んどくか?」
ゴーダ「あぁ、そうだな」
ウツロも同席しているが、シズの顔が知られているため、軽く変装している。
ウツロ「しっかし、コリウス王国か…懐かしいなぁ。昔、近くでシズとクロがドンパチやって…」←転スラ日記より
ゴーダ「クロ?」
ウツロ「ん~、シズと腐れ縁のバカみたいに強い悪魔でさ、敵になったり味方になったり…とにかくノリが独特の変人だよ」
ゴーダ「とりあえずメンドくさそうな奴なのは分かった」
ウツロ「全くもってその通り」
そして、潜入捜査の為の名前を考えることになる。
リムル「じゃあ…『サトル』で」
ジェフ「サトル?ふむ…ゴーダ先生は?」
ゴーダ「俺は…どうするか…」
ウツロ「お兄ちゃんは『エイジ』でよろしく」
ゴーダ「おい!?」
ウツロ「リムルが『サトル』なら、お兄ちゃんは『エイジ』で決まりでしょ」
ゴーダ「俺がその名前名乗るのは…!」
ウツロ「へ~、逃げるの?」
ゴーダ「なっ、ぐっ…!」
リムル(おいウツロ、ゴーダの気持ちからしてもさすがにそれは…)
リムルがスキル《思念伝達》で咎めるが…
ウツロ(荒療治だよ。お兄ちゃんはすっかり丸くなったけど、その分罪悪感で目が雲ってる気がする。リムルとウサギちゃんのおかげでマシにはなってるけど、まだまだ足りない…。
これじゃあお兄ちゃんは、『火野映司を知りたい』っていう願いを叶えられない。だから、改めて向き合ってみるのも悪くないかなって)
リムル(う~ん…まぁ、それなら…)
ゴーダ「…あぁもう分かったよ。次!」
ジェフ「ふむ…では妹君…ウツロ殿でしたか。どうされますか?」
ウツロ「『ヒナ』で」
ゴーダ「いやなんでだよ!?」
ウツロ「妹といえばこれでしょ」
ゴーダ「いつの間に妹の代表格みたいになってんの?」(汗)
とある酒場。
パウロ「グランドマスター!俺の為にわざわざ出向いて下さり、ありがとうございます!」
リムル達はパウロと合流した。
ユウキ「こちらはリムルさん、ゴーダさん、ウツロさん。今回の任務で、君のサポートを頼んでいるのさ」
パウロ「パウロだ!これでも討伐部のA -ランクでね。三度目の試験に挑戦中なのさ」
「「「よろしく(二回落ちてるのか…)」」」
パウロは典型的な熱血バカだったため、頭脳担当は完全にリムル達になったのだった。
ランガとゴーガが交代で引っ張る車で、砂漠を進む一行。
フラメア「コリウス王国、楽しみですっ!」
ゴーダに誘われてきたフラメアは、目を輝かせている。
ゴーダ「おう。しかし、楽しそうだな」
フラメア「もちろんです!まだ行ったことのない場所を見れますし、何より…ゴーダ様と一緒に旅ができますから!」
ゴーダ「……」
その一切曇りのない笑顔に、思わず見入るゴーダ。
フラメア「…?どうかしましたか?」
ゴーダ「い、いや、なんでもない」
ウツロ「おやおや…」
隣でウツロがニヤついている。
フラメア「ほら、フォスも緊張してないで!いい景色だよ!」
フォス「わ、私ほんとにここにいていいですか…?」(汗)
以前もゴーダ達と会っていた、狐の獣人族の少女、フォス。フラメアと友達になっていたフォスは、ゴーダ達がフラメアに声をかけた時、たまたま話していたため、彼女の護衛として同行が決まったのだ。
ウツロ「そういえば、あの話どうなった?キツネちゃん、お兄ちゃんの直属にスカウトするって話」
ゴーダ「テンペストに帰って、カリオンに許可貰ってからな」
フォス「…へ?…はいぃっ!?」
フォスはビックリ仰天。
フラメア「直属!?すごいねフォス!」
フォス「い、いや、私まだ、警備隊の新入りなんですが!?」
リムル「現状、みんな俺達二人両方に仕えてる。俺は秘書にシオンがいたりするが、ゴーダって意外と直属の部下少ないんだよ」
ゴーダ「盟主なんて御大層な身分になっちまった以上、そうも言ってられん。フォスはなかなか強いし、人格的にも信頼に値する。初めて会った時だって、誰かのために必死だったしな」
フォス「あ、あわわっ…!私がそんな…!」
ゴーダ「平時は今まで通りに働いてもらい、何かあれば俺の指示で動いてもらうわけだ」
フラメア「フォスをスカウトするなら、ステラとネムはどうでしょう?二人も強いですよ」
ゴーダ「それも考えてる」
ステラはミリムを崇める『竜を祀る民』、ネムは魔王フレイを頂点とする『有翼族(ハーピィ)』で、フォスやフラメアの友人である。
ウツロ「ネムちゃん、ぐ~たらだけど強いしね~、惜しい人材」
フォス「わ、私が…えぇ…!?」
パウロ「ぎゃーっ!?」
ゴーダ「やっぱこいつアホだな」
フラメア/フォス「「あ、あはは…」」
魔獣に遭遇、忠告を無視して特攻し、倒したはいいが自分も毒を食らって絶叫するパウロに、ゴーダは回復薬をふりかけた。
パウロ「お、おう!助かった!」
リムル/ゴーダ「「ちょっとそこに正座しろ!」」
お説教の時間である。
リムル「人の言う事を聞け!無茶をするな!できることを確実にやれ!」
ゴーダ「自分の手が直接届くところまで、それ以上のことはただの無謀だ。その手で掴める、その中で全力を尽くせ」
ゴーダ(俺が言うことじゃねぇけどな…)
パウロ「は、はい…」
パウロは棒術も得意らしいが、使っていた棒が折れた上に金欠で新しいものも買えないため、リムルが大サービスで、新しい棒と回復薬をプレゼント。
パウロは大いに感謝し、リムル達をさん付けで呼ぶようになったのだった。
リムル達はコリウスの首都、ハーバリアに到着し、侯爵家にお邪魔していた。
リムル「アマディ侯爵閣下…でよろしいでしょうか?」
バラク「バラクで構わんよ。貴殿らは妻の恩人。つまりは俺の恩人である。遠慮は不要だ」
バラクの妻、シフォンはジェフ先生の妹で、リムルは以前、もう一人の妹の命を救ったのだ。
バラク「ふむ、ギルドに関する事か」
ゴーダ「アスラン殿下の独立宣言を黙認する事は出来ないが、状況次第では手を組むのもありだとか」
バラク「うむ…俺の立場からしたら、それは歓迎出来ん話だ」
シフォン「夫は、サウザー王太子殿下の腹心ですので、ご容赦くださいませ」
リムル「当然だと思いますよ。ただ俺達は、判断する立場にありません。その点はご理解して頂けますか?」
バラク「無論だ。貴殿らの行動を邪魔もせぬし、むしろ協力しようと思う。明日、サウザー様にお眼通ししよう」
リムル「それは、俺達の立場的に問題があります。その申し出はご遠慮させて下さい」
バラク「そうか。残念だが、無理強いはしない」
シフォン「それでしたら是非、ゼノビア王女にお会い下さいませ」
ゴーダ「ゼノビア王女殿下?」
シフォン「ゼノビア様は今、病に臥せていらっしゃいますの。あの人を褒める事など滅多にない兄が、『ウラムスが助かったのは、リムル先生のおかげだ』と。きっと、快癒の手立てが見つかると存じますわ」
ゴーダ「パウロにも聞き込みを頼んだが、正直当てにならねぇし…お前達も頼めるか?ソウエイは裏から調査、お前は表からってことでな。俺は俺で聞き込みしとく」
フラメア「はい!お任せください!」
フォス「はいです!」
二人はビシッと敬礼する。
ゴーダ「また嬉しそうに…」
フラメア「ゴーダ様が素直に頼ってくれるようになったのが、嬉しいんですよ」
ゴーダ「…そ、そうか?」
フラメア「そうですよ!」
ゴーダ「お、おう…」
フォス(ご、ゴーダ様とフラメアは、どういう関係なのですか…!?)(///)
その後。
ウツロ「ぷっ…似合ってるよリムル…ぷくく…」
リムル「わ、笑うなよウツロ!」
シフォン「ふふ…」
後宮は男子禁制のため女装したリムルは、ウツロ、シフォンと共に、ゼノビア姫の元に向かった。嫌味なグスタフ侍医長に絡まれたりもしたが、到着する。
リムル「本日は私に、姫を診察する許しをいただければと」
ゼノビア「よろしくてよ。でも、痛いのは嫌なので、優しくお願いしますね」
大賢者の力で解析鑑定。対症療法として、蜂魔獣アピトの蜂蜜を飲んでもらうと…
ゼノビア「眩しい…リムル…様?」
シフォン「姫様!」
ゼノビア「シフォン…!見える…見えますわ!」
シフォン「姫様…!」
ゼノビア「リムル様…!ありがとうございます…!」
無事に回復したのだった。
ウツロ(回復したのはよかったけど…ゼノビア姫の体調不良は、明らかに人為的なものだった。怪しいのは、やっぱり…)
ED「ココロトラベル」岡咲美保