転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
商人を装って侵入した、ファルムス王国所属の異世界人達が騒ぎを起こし、町が謎の結界に包まれ、住民の魔物達は弱体化。
そこに攻め込んだ騎士達により、住民達が虐殺されていった。
フラメア「…!」
フォス「これ以上、殺させはしないです…ッ!」
負傷しふらつきながらも、避難していたフラメアは、フォス、ステラ、ネムが、人間達と戦っている場面に遭遇した。
キョウヤ「さぁて…」
異世界人の一人、キョウヤが、逃げ遅れた子供に剣を振りかざした、その時…
フラメア「──ッ!」
フラメアは身を盾にして子供を守り、血が噴き上がった。
『『『!』』』
フォス「フラメアッ!?」
フラメア(ゴーダ様の帰ってくる場所を…こんな悪魔みたいな人達に、奪われるわけには…!)
フラメア(力が、欲しい…!悪魔を止めるためなら…悪魔にだって、何でも──っ!)
そんな思考の中、フラメアの意識は遠のいていった。
どこかの異空間。
ヴィオレ「──ゴーダ・テンペストが気になって覗いてみれば…ルミナスのお気に入りのウサギちゃん。君の最期の祈り、ボクに届いたよ」
コリウス王国でフラメアと出会ったヴィオレは、笑みを浮かべた。
ヴィオレ「君みたいな純粋無垢な子が、邪悪に堕ちてでも力を求めるなんて…面白い、最高に面白いよ」
ヴィオレ「ボクはすぐには行けなそうだけど、君の愛するゴーダ様なら、きっと君を諦めないだろう。それまではゆっくり眠っていなよ。ボクが君に、力を送ってあげる」
ヴィオレ「ボクはね…君みたいな子、大好きだよ」
「「「…!」」」
倒れたフラメアの体が、紫の光を放つ。分離した光は、異世界人達の前で実体化する。
?「……」
紫の髪をなびかせる、フラメアそっくりの少女が現れた。
フォス「え…?」
キョウヤ「へぇ…見たところ、それなりに上位の悪魔かな?しかし、結界の中では…」
?「──悪魔ねぇ…まぁ悪魔だけど、あんた達は悪魔より悪魔だね。人の皮を被った悪魔だよ」
キョウヤ「ほう…グハッ!?」
キョウヤは、悪魔が形成した鉤爪で傷を負った。
?「魔物を弱体化する結界…弱体化しても、元から強ければ関係ない。私は原初たる神から、直接力を授かり、受肉したんだから…フッ!」
「ぐはぁっ!」
周りの騎士達も、悪魔に一撃で殺された。
キョウヤ「チィッ…ん?撤退命令か…この屈辱は必ず晴らす…!」
キョウヤは走り去った。
?「貴女達、怪我は大丈夫?」
フォス「は、はい…!貴女は…?」
?「私は名も無き悪魔だよ。そして、貴女達の味方」
フォス「あ…ふ、フラメア…!」
テンペストの近くに転移し、結界の外にいたソウエイ達と合流したリムルとゴーダ。町との通信が途絶えたと聞き、スキルにより何とか結界内に入った二人だが…
「「…!」」
町は破壊され、ボロボロだった。更に爆発が起こり、そちらに向かうと…
ベニマル「貴様もその女を庇うのか?そこを退け!」
グルーシス「それはできん…!」
ベニマルが、ヨウムの友人である獣人族のグルーシスと戦っていた。後ろには負傷したヨウムと、緑の髪の女性がいた。
ゴーダ「ベニマル!」
ベニマル「!ゴーダ様、リムル様…!」
リムル「説明してくれ。」
ベニマル「この結界です。魔法が使用できなくなり、俺達の力も減少しました。そのせいで、街の者にも犠牲が…!」
「「…!」」
ベニマル「原因が、その女の使った魔法にあると」
ゴーダ(確か…映像通信で見た、ヨウムのところの新入り魔術師…ミュウランとか言ったか…)
ミュウラン「…っ…」
俯くミュウラン。そして…
「「……」」
広場には、人間達に殺された魔物達の遺体が並んでいた。
ミュウラン「…私が大魔法を使用しなければ、こんな事にはならなかったでしょう…」
実際には、ミュウランは魔法を使えなくなる結界を張ったのみで、弱体化の結界や虐殺はファルムスの人間達によるもの。
自分一人に憎しみを向けさせ、ヨウムやグルーシスを守ろうとしていた。察したリムルは、何とか殺気を抑えた。
ゴーダ「テンペストが繁栄すればするほど、ファルムス王国の損失となるわけか」
ミョルマイル「それも、とても大きな」
リムル「なるほどな…知らず知らずのうちに、虎の尾を踏んだのか…」
ミュウランに事情を聞けば、彼女は魔王クレイマンが送り込んだスパイであり、心臓を握られて逆らえない状態だった。
リムルやゴーダに近付くために、ヨウムの一行に加わったのだが、情が移ってしまい…それを察したクレイマンに、ヨウムの命を人質に取られたこともあったのだが、そこまでは話さなかった。
ミュウラン「魔王クレイマンと魔王アンクの計画…二人は『大戦争が起こる』『成果は山分け』と…」
『『『!』』』
ゴーダ「…奴も関わっていたか」
ゴーダ(この結界…『アンチマジックエリア』の中では、魔術師のこいつは人間と変わらない。捨て駒にされたか…)
ヨウム「旦那!ミュウランを許してやってくれ!」
グルーシス「俺からもお願いします!彼女は魔王クレイマンに逆らえなかっただけなんですよ!」
ゴーダ「…とりあえず保留だ。監視をつける。リムル、いいか?」
リムル「あぁ」
ゴブタ「コブゾウ!うわぁああっ!」
リムル「……」
ゴブタがコブゾウの亡骸の前で泣き崩れ、リムルもまた愕然としていた。その視線の先には、息絶えたシオンがいた。
ゴーダ「…っ」
ウツロ「…お兄ちゃん」
ゴーダ「ウツロ…怪我は大丈夫か」
ウツロ「リムルが治してくれた…私は大丈夫」
ゴーダ「そうか…」
ウツロ「あ…そっちは…!」
歩き出したゴーダを、ウツロは止めようとするが、間に合わず…
ゴーダ「──」
ゴーダは、フラメアを見つけてしまった。
フォス「ぁ…」
フラメアの亡骸の前で泣き崩れていたフォスは、ゴーダに気付いた。
フォス「…っ…ごめん、なさい…守れなかったです…っ!」
ベニマル「…シオンもフラメアも、襲撃者が狙った子供達を庇ったそうです…」
シュナ「…ゴブゾウは、私を守って下さいました。それを、襲撃者は笑いながら…!」
リムル「…すまん。しばらく一人にしてくれ」
シュナ「…いつでもお呼びください」
シュナはリムルを抱きしめ、仲間達と共に歩き去る。
ウツロ「…お兄ちゃ…」
ゴーダ「…お前も皆を手伝ってろ」
ウツロ「…うん」
ウツロも俯き、歩いていった。
リムル「……」
リムルがシオンの亡骸の前で自問自答する中…
ゴーダ「……」
ゴーダはフラメアの亡骸の前に座り込み、考えていた。
ゴーダ「…なぁ、映司…ルウを失った時、お前はこんな気持ちだったのか…?」
ルウはこの世界で生きていたが、映司はそのことは知らなかった。
ゴーダ「…これか…お前が一度空っぽになっちまった理由は…」
かつては理解できなかった、火野映司の欲望、その根幹。
ゴーダ「皮肉なもんだよな…こんなことになって…俺はようやく、お前の欲望が分かってきた気がするよ…」
リムル「…このままじゃ、いずれ遺体は魔素に還元されて、消える」
ゴーダ「…だったらせめて、お前の中で…」
リムル「あぁ…」
エレン「リムルさん、ゴーダさん!」
リムルが《暴食者(グラトニー)》を発動しようとしていると、エレン、カバル、キドの三人組が走ってきた。
リムル「…来てくれたのか。少し待ってくれ。そろそろ、皆を眠らせてやらないと…」
エレン「あ、あのね…!可能性は低いけど、ううん、殆ど無いかもしれないんだけど…でも、あるの!死者が蘇生したと言う御伽話が!」
「「!」」
ゴーダ(こいつらのために、俺にできることが、まだ…こいつらのため?いや…俺が失いたくないんだ…!それが俺の…欲望だ…!)
エレン「所詮は作り話と思うかもしれないけど、これは史実に基づいた…!」
リムル「…ハハッ…いや、悪いな。つい、嬉しくて。死者の蘇生か…まるで夢物語だな。でも…」
ゴーダ「可能性がゼロじゃないなら十分だ。聞かせてくれ、エレン」
日が昇る中、エレンの耳が光り、エルフの長い耳に変わる。
エレン「これは、魔導王朝サリオンに伝わる御伽話」
ある少女とドラゴンの物語。
竜と人との間に生まれ、竜皇女として育つ少女。
ある日、竜である父から、自身の分身体とも言える子竜を、友として授かる。
しかし、竜皇女を支配しようとした国王に、子竜を殺されてしまった。
少女は嘆き、悲しみ、怒り狂った。
父より受け継いだその力で、国王と十数万人の国民諸共、一国を滅ぼしてしまう。
すると少女は魔王へと開花し、それに伴い、子竜は奇跡の復活を果たしたのだ。
だが、死と同時に魂を失った子竜は、破壊の限りを尽くす意思なき邪悪な魔物、カオスドラゴンへと変貌していた。
少女は嘆きつつも、かつて友であったカオスドラゴンを封印した。
エレン「…物語はこれでおしまい」
ゴーダ(多分、ミリムが魔王になった時の話だな…)
リムル「…しかし、意思無き魔物になられても意味がない」
エレン「この街は今、結界に覆われているでしょう?」
ゴーダ「魂が、結界によって留まっているとしたら…!」
大賢者《告。絶命した者の魂は、本来拡散、消滅しますが、二種の結界に阻まれ、残存している可能性があります。その確率は、3.14%》
リムル「円周率並みとは…いや、逆だ。蘇生できる可能性が3%以上もある」
リムル「ありがとう。でも良いのか?魔王になれって言ったのと同じだぞ」
エレン「うん。私ね…本名はエリューン・グリムワルトって言うの。魔導王朝サリオンの王家に連なる家系なんだ」
カバル「俺達は、エレンお嬢様の護衛として、一緒に国を出てきたんです」
ギド「黙ってて、すいやせん」
エレン「自由な冒険者に憧れて、国を出てきちゃったんだ!でもね、さっきの御伽話は、サリオンでも一部の人しか知らないの。二人が魔王になったら、私が関与したのがいずれバレると思う」
ゴーダ「…いいのか?」
エレン「良いの!この街の皆を、私も助けたい!」
カバル「お嬢様がそう仰るのなら、護衛として異論はありませんよ」
ギド「勿論でやす!」
リムル「いい仲間だな…」
エレン「私達にできる事があったら、何でも言ってね」
カバル「いつも世話になってるんだし」
ギド「今度は、あっしらが頑張る番でやんすよ」
ゴーダ「すまないな…」
リムル「ありがとう…!決まりだな、ゴーダ」
ゴーダ「だな…楽して助かる命はねぇ。魔王にでも何でもなってやろうじゃねぇか」
大賢者《マスターと個体名ゴーダは、既に魔王種を獲得しています》
ゴーダ「魔王種?」
大賢者《解。魔王種の有無は、魔素量、保有スキルなどが、真なる魔王として、覚醒するに足るか否かを指します。
マスターはオークディザスターの捕食時、個体名ゴーダは、ムカチリコンボの力が解放された時点で、魔王種を獲得しました。
条件を満たせば、真なる魔王へと進化が可能です。種を発芽させる養分は、人間の魂。必要となるのは、1万名分以上》
ファルムスと西方聖教会の連合軍、二万以上の敵が接近していた。
リムル/ゴーダ「「…ちょうどいい」」
リムル「ミュウラン。処罰を決めた」
ゴーダ「──お前には死んでもらう」
フォス「ゴーダ様!?」
ミュウランと仲良くしていたフォスは青ざめる。
ヨウム「旦那!待ってくれ!ミュウランは本当に…!」
グルーシスは獣身化し、構える。
グルーシス「ヨウム、フォス!ミュウランを連れて逃げろ!」
ヨウム「…!ミュウラン、行こう!はやっ…!」
ミュウランはヨウムにキスをする。
ミュウラン「好きだったわ、ヨウム。私が生きてきた中で、初めて惚れた男。今度は悪い女に騙されないようにね…さようなら」
ヨウム「ミュウラン!」
ゴーダ「少し大人しくしてろ」
ゴーダは《具現化(CLAWs)》のムカデバイターで、ヨウム、グルーシス、フォスを縛り上げる。
ヨウム「頼む!やめてくれ!俺も一緒に償う!何でも言うことを聞くよ!」
リムル「良い覚悟だ」
フォス「待ってくださいッ!ゴーダ様ッ!」
ゴーダ「悪いなフォス…すぐ終わる」
リムルの腕が、ミュウランの胸を貫いた…。
リムル「よし、上手くいったような」
ミュウラン「あれ?なんで私、生きて…?」
『『『!?』』』
リムル「3秒ぐらいは死んでたかな」
ゴーダ「死んでもらうとは言ったが、殺すとは言ってない」
リムル「クレイマンがミュウランに仕込んだ、この仮初の心臓は、盗聴に使われていたんだ」
ミュウラン「盗聴…!?」
リムル「欺く為に、ミュウランは死んだと思わせたかったんだ。怖い思いさせてすまんな」
ミュウラン「いえ…では、この鼓動は?」
リムル「仮初の心臓を参考に作った擬似心臓だよ。もちろん盗聴機能はない」
フォス「じゃあ、ミュウランさんは自由になったんですね…!」
ヨウム「やったじゃねえかミュウラン!お前を縛るもんは、もう何も無くなったってよ!」
ミュウラン「えぇ…!どんなに言葉を尽くしても、感謝を伝えきれません…忠誠がお望みであれば、私はそれに従います」
リムル「いや、それは良い。ただ、手伝ってほしいことがあるんだ」
ミュウラン「何でしょう?」
リムル「今、お前が死んで生き返ったように、シオンやフラメア達も生き返る可能性がある」
『『『!』』』
ミュウラン「できる、のですか…?」
ゴーダ「あくまで可能性の話だ。少しでも成功率を上げる為、できる手は全て打つ。手伝ってくれ」
ミュウラン「分かりました。協力は惜しみません…!」
リムル「ありがとう。無事終わったら、それからはどうする?」
ミュウラン「私、自由になれた身ですけど…人間の短い一生分くらいなら、束縛されても良いと思っています」
ヨウム「えっ、それって…」
グルーシス「はっ?え?えぇっ!?」ガーン!
フォス「あ~…」
グルーシス「そんな目で見るなよフォス!?」
ベニマル「フッ…」
フォスは生暖かい視線を送り、ベニマルはグルーシスの肩に手を置いた。
リムル「ところでヨウム。お前にも頼みたいことがあるんだ」
ヨウム「あ、あぁ!旦那達の頼みなら、何でも…!」
リムル「ファルムス王国の新しい国王になってくれ」
ヨウム「おう、任せろ!…って、え?王?」(;゚д゚)
リムル「ファルムス王国の軍勢を、国王と幹部諸共殲滅する。すると、残された国民が困るだろ?」
ゴーダ「そこで英雄たるお前の出番だ。新たな王としてファルムスを統治し、俺達と国交を結んでくれ」
ヨウム「簡単に言ってくれるな…俺が王だと?」
リムル「俺達だって魔王になるんだ。お前も付き合えよ」
ミュウラン「リムル様とゴーダ様は、あなただからお願いしてるのよ。私も応援するから、波乱万丈に生きてみたら?」
グルーシス「俺も付き合ってやるぜ」
ヨウム「…分かった、やるよ。任せてくれ」
ヨウムはリムル達と握手し、その後、リムルとゴーダは仲間達を集めた。
リムル「皆、待たせたな。これより会議を行う」
ゴーダ「議題は、今後の人間への対応と…シオンやフラメア達の蘇生についてだ」
《続く》
ED「STORYSEEKER」 STEREO DIVE FOUNDATION