転生したグリードがスライムと相棒になった件   作:バンドリーマーV

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OP「Storyteller」TRUE


2 絶望と希望

 

商人を装って侵入した、ファルムス王国所属の異世界人達が騒ぎを起こし、町が謎の結界に包まれ、住民の魔物達は弱体化。

 

そこに攻め込んだ騎士達により、住民達が虐殺されていった。

 

 

フラメア「…!」

 

フォス「これ以上、殺させはしないです…ッ!」

 

 

負傷しふらつきながらも、避難していたフラメアは、フォス、ステラ、ネムが、人間達と戦っている場面に遭遇した。

 

 

キョウヤ「さぁて…」

 

 

異世界人の一人、キョウヤが、逃げ遅れた子供に剣を振りかざした、その時…

 

 

フラメア「──ッ!」

 

 

フラメアは身を盾にして子供を守り、血が噴き上がった。

 

 

『『『!』』』

 

フォス「フラメアッ!?」

 

フラメア(ゴーダ様の帰ってくる場所を…こんな悪魔みたいな人達に、奪われるわけには…!)

 

フラメア(力が、欲しい…!悪魔を止めるためなら…悪魔にだって、何でも──っ!)

 

 

そんな思考の中、フラメアの意識は遠のいていった。

 

 

 

 

 

どこかの異空間。

 

 

ヴィオレ「──ゴーダ・テンペストが気になって覗いてみれば…ルミナスのお気に入りのウサギちゃん。君の最期の祈り、ボクに届いたよ」

 

 

コリウス王国でフラメアと出会ったヴィオレは、笑みを浮かべた。

 

 

ヴィオレ「君みたいな純粋無垢な子が、邪悪に堕ちてでも力を求めるなんて…面白い、最高に面白いよ」

 

ヴィオレ「ボクはすぐには行けなそうだけど、君の愛するゴーダ様なら、きっと君を諦めないだろう。それまではゆっくり眠っていなよ。ボクが君に、力を送ってあげる」

 

ヴィオレ「ボクはね…君みたいな子、大好きだよ」

 

 

 

 

 

「「「…!」」」

 

 

倒れたフラメアの体が、紫の光を放つ。分離した光は、異世界人達の前で実体化する。

 

 

?「……」

 

【挿絵表示】

 

紫の髪をなびかせる、フラメアそっくりの少女が現れた。

 

 

フォス「え…?」

 

キョウヤ「へぇ…見たところ、それなりに上位の悪魔かな?しかし、結界の中では…」

 

?「──悪魔ねぇ…まぁ悪魔だけど、あんた達は悪魔より悪魔だね。人の皮を被った悪魔だよ」

 

キョウヤ「ほう…グハッ!?」

 

 

キョウヤは、悪魔が形成した鉤爪で傷を負った。

 

 

?「魔物を弱体化する結界…弱体化しても、元から強ければ関係ない。私は原初たる神から、直接力を授かり、受肉したんだから…フッ!」

 

「ぐはぁっ!」

 

 

周りの騎士達も、悪魔に一撃で殺された。

 

 

キョウヤ「チィッ…ん?撤退命令か…この屈辱は必ず晴らす…!」

 

 

キョウヤは走り去った。

 

 

?「貴女達、怪我は大丈夫?」

 

フォス「は、はい…!貴女は…?」

 

?「私は名も無き悪魔だよ。そして、貴女達の味方」

 

フォス「あ…ふ、フラメア…!」

 

 

 

 

 

テンペストの近くに転移し、結界の外にいたソウエイ達と合流したリムルとゴーダ。町との通信が途絶えたと聞き、スキルにより何とか結界内に入った二人だが…

 

 

「「…!」」

 

 

町は破壊され、ボロボロだった。更に爆発が起こり、そちらに向かうと…

 

 

ベニマル「貴様もその女を庇うのか?そこを退け!」

 

グルーシス「それはできん…!」

 

 

ベニマルが、ヨウムの友人である獣人族のグルーシスと戦っていた。後ろには負傷したヨウムと、緑の髪の女性がいた。

 

 

ゴーダ「ベニマル!」

 

ベニマル「!ゴーダ様、リムル様…!」

 

リムル「説明してくれ。」

 

ベニマル「この結界です。魔法が使用できなくなり、俺達の力も減少しました。そのせいで、街の者にも犠牲が…!」

 

「「…!」」

 

ベニマル「原因が、その女の使った魔法にあると」

 

ゴーダ(確か…映像通信で見た、ヨウムのところの新入り魔術師…ミュウランとか言ったか…)

 

ミュウラン「…っ…」

 

 

俯くミュウラン。そして…

 

 

「「……」」

 

 

広場には、人間達に殺された魔物達の遺体が並んでいた。

 

 

ミュウラン「…私が大魔法を使用しなければ、こんな事にはならなかったでしょう…」

 

 

実際には、ミュウランは魔法を使えなくなる結界を張ったのみで、弱体化の結界や虐殺はファルムスの人間達によるもの。

 

自分一人に憎しみを向けさせ、ヨウムやグルーシスを守ろうとしていた。察したリムルは、何とか殺気を抑えた。

 

 

 

 

 

ゴーダ「テンペストが繁栄すればするほど、ファルムス王国の損失となるわけか」

 

ミョルマイル「それも、とても大きな」

 

リムル「なるほどな…知らず知らずのうちに、虎の尾を踏んだのか…」

 

 

ミュウランに事情を聞けば、彼女は魔王クレイマンが送り込んだスパイであり、心臓を握られて逆らえない状態だった。

 

リムルやゴーダに近付くために、ヨウムの一行に加わったのだが、情が移ってしまい…それを察したクレイマンに、ヨウムの命を人質に取られたこともあったのだが、そこまでは話さなかった。

 

 

ミュウラン「魔王クレイマンと魔王アンクの計画…二人は『大戦争が起こる』『成果は山分け』と…」

 

『『『!』』』

 

ゴーダ「…奴も関わっていたか」

 

ゴーダ(この結界…『アンチマジックエリア』の中では、魔術師のこいつは人間と変わらない。捨て駒にされたか…)

 

ヨウム「旦那!ミュウランを許してやってくれ!」

 

グルーシス「俺からもお願いします!彼女は魔王クレイマンに逆らえなかっただけなんですよ!」

 

ゴーダ「…とりあえず保留だ。監視をつける。リムル、いいか?」

 

リムル「あぁ」

 

 

 

 

 

ゴブタ「コブゾウ!うわぁああっ!」

 

リムル「……」

 

 

ゴブタがコブゾウの亡骸の前で泣き崩れ、リムルもまた愕然としていた。その視線の先には、息絶えたシオンがいた。

 

 

ゴーダ「…っ」

 

ウツロ「…お兄ちゃん」

 

ゴーダ「ウツロ…怪我は大丈夫か」

 

ウツロ「リムルが治してくれた…私は大丈夫」

 

ゴーダ「そうか…」

 

ウツロ「あ…そっちは…!」

 

 

歩き出したゴーダを、ウツロは止めようとするが、間に合わず…

 

 

ゴーダ「──」

 

 

ゴーダは、フラメアを見つけてしまった。

 

 

フォス「ぁ…」

 

 

フラメアの亡骸の前で泣き崩れていたフォスは、ゴーダに気付いた。

 

 

フォス「…っ…ごめん、なさい…守れなかったです…っ!」

 

ベニマル「…シオンもフラメアも、襲撃者が狙った子供達を庇ったそうです…」

 

シュナ「…ゴブゾウは、私を守って下さいました。それを、襲撃者は笑いながら…!」

 

リムル「…すまん。しばらく一人にしてくれ」

 

シュナ「…いつでもお呼びください」

 

 

シュナはリムルを抱きしめ、仲間達と共に歩き去る。

 

 

ウツロ「…お兄ちゃ…」

 

ゴーダ「…お前も皆を手伝ってろ」

 

ウツロ「…うん」

 

 

ウツロも俯き、歩いていった。

 

 

 

 

 

リムル「……」

 

 

リムルがシオンの亡骸の前で自問自答する中…

 

 

ゴーダ「……」

 

 

ゴーダはフラメアの亡骸の前に座り込み、考えていた。

 

 

ゴーダ「…なぁ、映司…ルウを失った時、お前はこんな気持ちだったのか…?」

 

 

ルウはこの世界で生きていたが、映司はそのことは知らなかった。

 

 

ゴーダ「…これか…お前が一度空っぽになっちまった理由は…」

 

 

かつては理解できなかった、火野映司の欲望、その根幹。

 

 

ゴーダ「皮肉なもんだよな…こんなことになって…俺はようやく、お前の欲望が分かってきた気がするよ…」

 

 

 

 

 

リムル「…このままじゃ、いずれ遺体は魔素に還元されて、消える」

 

ゴーダ「…だったらせめて、お前の中で…」

 

リムル「あぁ…」

 

エレン「リムルさん、ゴーダさん!」

 

 

リムルが《暴食者(グラトニー)》を発動しようとしていると、エレン、カバル、キドの三人組が走ってきた。

 

 

リムル「…来てくれたのか。少し待ってくれ。そろそろ、皆を眠らせてやらないと…」

 

エレン「あ、あのね…!可能性は低いけど、ううん、殆ど無いかもしれないんだけど…でも、あるの!死者が蘇生したと言う御伽話が!」

 

「「!」」

 

 

 

ゴーダ(こいつらのために、俺にできることが、まだ…こいつらのため?いや…俺が失いたくないんだ…!それが俺の…欲望だ…!)

 

 

 

エレン「所詮は作り話と思うかもしれないけど、これは史実に基づいた…!」

 

リムル「…ハハッ…いや、悪いな。つい、嬉しくて。死者の蘇生か…まるで夢物語だな。でも…」

 

ゴーダ「可能性がゼロじゃないなら十分だ。聞かせてくれ、エレン」

 

 

 

 

 

日が昇る中、エレンの耳が光り、エルフの長い耳に変わる。

 

 

エレン「これは、魔導王朝サリオンに伝わる御伽話」

 

 

ある少女とドラゴンの物語。

 

竜と人との間に生まれ、竜皇女として育つ少女。

 

ある日、竜である父から、自身の分身体とも言える子竜を、友として授かる。

 

しかし、竜皇女を支配しようとした国王に、子竜を殺されてしまった。

 

少女は嘆き、悲しみ、怒り狂った。

 

父より受け継いだその力で、国王と十数万人の国民諸共、一国を滅ぼしてしまう。

 

すると少女は魔王へと開花し、それに伴い、子竜は奇跡の復活を果たしたのだ。

 

だが、死と同時に魂を失った子竜は、破壊の限りを尽くす意思なき邪悪な魔物、カオスドラゴンへと変貌していた。

 

少女は嘆きつつも、かつて友であったカオスドラゴンを封印した。

 

 

エレン「…物語はこれでおしまい」

 

ゴーダ(多分、ミリムが魔王になった時の話だな…)

 

リムル「…しかし、意思無き魔物になられても意味がない」

 

エレン「この街は今、結界に覆われているでしょう?」

 

ゴーダ「魂が、結界によって留まっているとしたら…!」

 

大賢者《告。絶命した者の魂は、本来拡散、消滅しますが、二種の結界に阻まれ、残存している可能性があります。その確率は、3.14%》

 

リムル「円周率並みとは…いや、逆だ。蘇生できる可能性が3%以上もある」

 

 

 

リムル「ありがとう。でも良いのか?魔王になれって言ったのと同じだぞ」

 

エレン「うん。私ね…本名はエリューン・グリムワルトって言うの。魔導王朝サリオンの王家に連なる家系なんだ」

 

カバル「俺達は、エレンお嬢様の護衛として、一緒に国を出てきたんです」

 

ギド「黙ってて、すいやせん」

 

エレン「自由な冒険者に憧れて、国を出てきちゃったんだ!でもね、さっきの御伽話は、サリオンでも一部の人しか知らないの。二人が魔王になったら、私が関与したのがいずれバレると思う」

 

ゴーダ「…いいのか?」

 

エレン「良いの!この街の皆を、私も助けたい!」

 

カバル「お嬢様がそう仰るのなら、護衛として異論はありませんよ」

 

ギド「勿論でやす!」

 

リムル「いい仲間だな…」

 

エレン「私達にできる事があったら、何でも言ってね」

 

カバル「いつも世話になってるんだし」

 

ギド「今度は、あっしらが頑張る番でやんすよ」

 

ゴーダ「すまないな…」

 

リムル「ありがとう…!決まりだな、ゴーダ」

 

ゴーダ「だな…楽して助かる命はねぇ。魔王にでも何でもなってやろうじゃねぇか」

 

 

 

 

 

大賢者《マスターと個体名ゴーダは、既に魔王種を獲得しています》

 

ゴーダ「魔王種?」

 

大賢者《解。魔王種の有無は、魔素量、保有スキルなどが、真なる魔王として、覚醒するに足るか否かを指します。

 

マスターはオークディザスターの捕食時、個体名ゴーダは、ムカチリコンボの力が解放された時点で、魔王種を獲得しました。

 

条件を満たせば、真なる魔王へと進化が可能です。種を発芽させる養分は、人間の魂。必要となるのは、1万名分以上》

 

 

ファルムスと西方聖教会の連合軍、二万以上の敵が接近していた。

 

 

リムル/ゴーダ「「…ちょうどいい」」

 

 

 

 

 

リムル「ミュウラン。処罰を決めた」

 

ゴーダ「──お前には死んでもらう」

 

フォス「ゴーダ様!?」

 

 

ミュウランと仲良くしていたフォスは青ざめる。

 

 

ヨウム「旦那!待ってくれ!ミュウランは本当に…!」

 

 

グルーシスは獣身化し、構える。

 

 

グルーシス「ヨウム、フォス!ミュウランを連れて逃げろ!」

 

ヨウム「…!ミュウラン、行こう!はやっ…!」

 

 

ミュウランはヨウムにキスをする。

 

 

ミュウラン「好きだったわ、ヨウム。私が生きてきた中で、初めて惚れた男。今度は悪い女に騙されないようにね…さようなら」

 

ヨウム「ミュウラン!」

 

ゴーダ「少し大人しくしてろ」

 

 

ゴーダは《具現化(CLAWs)》のムカデバイターで、ヨウム、グルーシス、フォスを縛り上げる。

 

 

ヨウム「頼む!やめてくれ!俺も一緒に償う!何でも言うことを聞くよ!」

 

リムル「良い覚悟だ」

 

フォス「待ってくださいッ!ゴーダ様ッ!」

 

ゴーダ「悪いなフォス…すぐ終わる」

 

 

リムルの腕が、ミュウランの胸を貫いた…。

 

 

 

 

 

リムル「よし、上手くいったような」

 

ミュウラン「あれ?なんで私、生きて…?」

 

『『『!?』』』

 

リムル「3秒ぐらいは死んでたかな」

 

ゴーダ「死んでもらうとは言ったが、殺すとは言ってない」

 

リムル「クレイマンがミュウランに仕込んだ、この仮初の心臓は、盗聴に使われていたんだ」

 

ミュウラン「盗聴…!?」

 

リムル「欺く為に、ミュウランは死んだと思わせたかったんだ。怖い思いさせてすまんな」

 

ミュウラン「いえ…では、この鼓動は?」

 

リムル「仮初の心臓を参考に作った擬似心臓だよ。もちろん盗聴機能はない」

 

フォス「じゃあ、ミュウランさんは自由になったんですね…!」

 

ヨウム「やったじゃねえかミュウラン!お前を縛るもんは、もう何も無くなったってよ!」

 

ミュウラン「えぇ…!どんなに言葉を尽くしても、感謝を伝えきれません…忠誠がお望みであれば、私はそれに従います」

 

リムル「いや、それは良い。ただ、手伝ってほしいことがあるんだ」

 

ミュウラン「何でしょう?」

 

リムル「今、お前が死んで生き返ったように、シオンやフラメア達も生き返る可能性がある」

 

『『『!』』』

 

ミュウラン「できる、のですか…?」

 

ゴーダ「あくまで可能性の話だ。少しでも成功率を上げる為、できる手は全て打つ。手伝ってくれ」

 

ミュウラン「分かりました。協力は惜しみません…!」

 

リムル「ありがとう。無事終わったら、それからはどうする?」

 

ミュウラン「私、自由になれた身ですけど…人間の短い一生分くらいなら、束縛されても良いと思っています」

 

ヨウム「えっ、それって…」

 

グルーシス「はっ?え?えぇっ!?」ガーン!

 

フォス「あ~…」

 

グルーシス「そんな目で見るなよフォス!?」

 

ベニマル「フッ…」

 

 

フォスは生暖かい視線を送り、ベニマルはグルーシスの肩に手を置いた。

 

 

リムル「ところでヨウム。お前にも頼みたいことがあるんだ」

 

ヨウム「あ、あぁ!旦那達の頼みなら、何でも…!」

 

リムル「ファルムス王国の新しい国王になってくれ」

 

ヨウム「おう、任せろ!…って、え?王?」(;゚д゚)

 

 

 

 

 

リムル「ファルムス王国の軍勢を、国王と幹部諸共殲滅する。すると、残された国民が困るだろ?」

 

ゴーダ「そこで英雄たるお前の出番だ。新たな王としてファルムスを統治し、俺達と国交を結んでくれ」

 

ヨウム「簡単に言ってくれるな…俺が王だと?」

 

リムル「俺達だって魔王になるんだ。お前も付き合えよ」

 

ミュウラン「リムル様とゴーダ様は、あなただからお願いしてるのよ。私も応援するから、波乱万丈に生きてみたら?」

 

グルーシス「俺も付き合ってやるぜ」

 

ヨウム「…分かった、やるよ。任せてくれ」

 

 

ヨウムはリムル達と握手し、その後、リムルとゴーダは仲間達を集めた。

 

 

リムル「皆、待たせたな。これより会議を行う」

 

ゴーダ「議題は、今後の人間への対応と…シオンやフラメア達の蘇生についてだ」

 

 

 




《続く》
ED「STORYSEEKER」 STEREO DIVE FOUNDATION
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