転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
『トリさん?』
?『俺は鳥じゃない』
『トリさんがしゃべった!』
──『私』は、何も視えない真っ暗闇の中で、誰かと話している。
『青い鳥を探してるの。見つけると幸せになれるんだよ。お母さんが死んじゃってから、ずっと探してたの』
?『俺は…赤い』
『そっか…』
?『だけど、お前の欲望を満たすことはできる』
『欲望?』
?『お前のやりたいことだ。何がしたい?』
『きれいなものが見たい』
?『──お前の欲望を満たしてやる』
ウツロ「…!」
ハッと目を覚ますウツロ。
ウツロ(…夢?シズの記憶…?いや、違うの…?進化の影響…?)
辺りを見回せば、自身と同じく『進化の眠り』についていた魔物達が、次々と目を覚ましている。
ウツロ(みんな、進化してる…あの時、お兄ちゃんの体に宿ってたのは、間違いなく…)
ウツロ「…え?」
ウツロは何かに気付く。
ウツロ(…私だけじゃない…シズも、進化してる…?)
『──ゴーダ…ゴーダ』
ゴーダ「…ぅ…」
ゴーダは、光に満たされた空間で目を覚ました。
ゴーダ「…!」
目の前に立つのは、こちらの世界での自分と同じ姿。記憶に残る『彼』の姿とは違うが、間違いなく…
ゴーダ「…映司?」
映司「久しぶり、ゴーダ」
──火野映司は、ゴーダに笑顔を向けた。
映司「君と、もう一度話したいと思ってた」
ゴーダ「…あぁ。俺もだ」
向かい合う二人。
ゴーダ「…すまなかった。謝って済むことじなないが…俺は、お前のことを何も分かっちゃいなかった。俺は結局力に溺れて、お前を…」
映司「俺の最期は、俺の選択の結果。そして…俺の欲望から生まれた君は、俺の欲望を押しつけられた被害者なんだ。
君はこの世界で、自分の願いを持ち、仲間を得て、変わっていった。俺は、今の君を信じる」
ゴーダ「…この手で一万人以上殺したんだぞ、俺は…」
映司「…この世界は、前の世界とは違う。前の世界以上に、奇麗事が通用しない世界だってことは分かってる。君が仲間を守るために、覚悟を決めたってことも」
ゴーダ「…仲間」
リムルやウツロ、フラメア達の顔が、頭に浮かぶ。
ゴーダ「──この世界で出会った皆と、これからも共に在る為に…俺は、魔王になる」
映司「魔王か。今の君には、言うまでもないだろうけど…王になるなら、覚えておいた方がいい。1人じゃできないことがあるってことを」
ゴーダ「…あぁ。この世界に来て、それを知って…今回のことでも、嫌って程思い知らされたよ」
映司「そうだね…どんなに誰かを助けたいと思っても、1人じゃ救えない命がある。だからこそ…」
ゴーダ「…だからこそ、手を繋ぐ」
映司「そうだ。君は、この国の全ての人と手を繋いできた。そしてこれからも、その輪が広がっていくはずだ」
映司は手を差し伸べる。
映司「俺は君を信じる。今の君なら、皆を幸せにする、本当の王に…最高最善の魔王になれる」
ゴーダ「──あぁ。なってみせるさ…!」
ゴーダは映司の手を握り…二人はようやく、手を繋ぐことができた。
ゴーダ「──ありがとう。映司」
映司「全ては、君が掴んだものだ」
映司はゴーダの手に、3枚のメダルを握らせる。
ゴーダ「これは…ありがとな」
映司「さぁ、戻って。君の大切な人が、君を待っている」
そう言って、映司は歩いていく。
ゴーダ「──映司!」
ゴーダは彼を呼び止め、伝える。
ゴーダ「──ルウは、こっちの世界で元気にしてるぞ」
映司「──」
振り返った映司は、目に涙を浮かべながらも、微笑んだ。
映司「──あの子のことを頼む」
ゴーダ「──あぁ。俺が、あいつの手を掴む…!」
──ゴーダ様…
ゴーダ「ぅ…」
フラメア「──ゴーダ様!おはようございます!」
現実世界で目を覚ますと、ゴーダを膝枕していたフラメアが、輝く笑顔を見せた。髪が一房、ゴーダと同じ赤紫になっている。
ゴーダ「…フラメア」
フラメア「はい!ゴーダ様とリムル様のおかげで、無事に戻ってきました!」
ゴーダ「そうか…」
ゴーダは起き上がり…
フラメア「はわっ!?」(///)
フラメアを抱き締めた。
ゴーダ「──おかえり」
フラメア「──はい!ただいまです!」
その震える声を聞き、フラメアもゴーダを抱き締め返した。
リムル「おはよう、シオン…無事に生き返ったようで、何よりだ…!」
シオン「はい!」
リムルとシオンも再会を果たしていた。
シオン「こうして無事に、我ら一同、生き返る事が出来ました!」
『『『我ら一同、一名の欠落もなく、無事に生還いたしました!』』』
ゴブゾウをはじめ、生き返った者達が、二人の前に跪く。
リムル「あぁ…!」
ゴーダ「よかった…」
更に、魔王進化のギフトにより、配下達は全員進化し、大幅に強くなっていた。
リムル「大賢者、ラファエルに進化して流暢になってる!」
ゴーダ「確かに、機械的な感じが無くなってるな…」
ベニマル「ところでリムル様、ゴーダ様」
ウツロ「お兄ちゃん、覚えてる?」
ベニマルとウツロが、ニヤつきながら現れる。
ゴーダ(あぁ、魔王化で理性を失ってないか確かめるために、合言葉決めたんだった…ん?合言葉?…ハッ!?)
ベニマル/ウツロ「「シオンの料理は?」」
リムル/ゴーダ「「ひぃっ!?」」
シオン「私の料理がどうしましたか?」キラキラ
((『クソマズい』なんて答えられるか~ッ!?))
ベニマル「さぁお答えを!」ニヤニヤ
ウツロ「理性が残ってるなら、さぁ!」ニヤニヤ
((こ、こいつらァアッ!?))
思念伝達で作戦会議に入る二人。
ゴーダ(おいどうする!?下手言ったら終わるぞ!)(汗)
リムル(知るか!?ラファエルさん、君の叡智でシオンを誤魔化す素晴らしい答えを導き出してくれ~!)
ラファエル《解。該当する答えは…ありません》
((え~ッ!?))
ベニマル「ククッ…食べてみたいんだろう。お前が死んでいる間、食べられなくて残念そうにしていたからな!」
ウツロ「ぷぷっ…お兄ちゃんも食べてみたいって!」
シオン「そうだったのですね!喜んでお作りします!」
ゴーダ(や、ヤバい…!)
実はベニマルとウツロ、出撃前にリムルとゴーダから受けた、あの秘密命令を根に持ち、嫌がらせを実行したのである。
ラファエル《ではこう答えることを推奨します》
「「ん?」」
ラファエルが代替案を伝える。
ゴーダ(そ、それだ!)
リムル(さすがは智慧之王!)
リムル「コホン!あ~ベニマル君、ウツロ君!君達の決めた合言葉は確かこうだったな!」
ゴーダ「そう!お前達が『シオンの料理は?』と聞いたら、俺達に…せ~の!」
リムル/ゴーダ「「クソマズい!」」
リムル「…と答えるようにと!」
ベニマル/ウツロ「「なァッ!?」」
リムル「そう言えって、お前達が考えて決めたんだよな!お・ま・え・た・ち・が!」
ベニマル「り、リムル様ッ!」
ゴーダ「どうだウツロ、ちゃんと覚えてただろ!『お前達が』決めた合言葉!」
ウツロ「ちょっ、お兄ちゃんっ…!マジでやめっ…!?」
シオンから黒いオーラが…
ベニマル「ま、待てシオン!お二人は目覚めたばかりで、混乱されておられるのだ!」(汗)
ウツロ「そうそう!寝起きだもんね!」(汗)
シオン「──分かりました。ベニマル様…いえ、ベニマル、ウツロ。私はリムル様の直属なので、敬称は不要でしょう」
「「ひぃっ!?」」
シオン「私の料理、その腹がはち切れるまで堪能させて差し上げましょう…!ウフフ…!」
シオンは恐ろしい笑みと共に歩き去った。
ベニマル「どうしてくれるんです!?」
ウツロ「私達に死ねとッ!?」
ゴーダ「し、死にはしないだろ。ゴブタだって無事なんだから」
リムル「がんばってくれ!」
ベニマル「がんばってくれって…!まぁ、ずっと試食しているからか、最近では毒耐性が身につきましたが…」
リムル「毒耐性…!」(汗)
ゴーダ「ゴブタに続いてお前もか…」
ベニマル「今度こそ、死ぬかも…」
ウツロ「最悪だ…」
リムル「ま、まぁ…自業自得ってことで!」
ベニマル「…あっ、そうでした。こんなことをしている場合ではなく、まだ問題がありまして」
「「問題?」」
ベニマル「リムル様とゴーダ様が眠っていらっしゃった、三日の間に…」
リムル「俺達三日も寝てたの!?」
ウツロ「そう。獣王国ユーラザニアが、大変なことになってね…」
ベニマルとウツロの視線の先には、ユーラザニアの三獣士…アルビス、スフィア、フォビオがいた。
突然、ミリムがカリオンに宣戦布告。
カリオンは国民を避難させ、1週間後、ミリムとの一騎打ちに臨む。
しかし、ミリムの力は圧倒的だった。
戦闘形態を見せたミリムの一撃で、ユーラザニアの町は全て消し飛んだ。
そしてカリオンは、突如乱入してきた魔王フレイの一撃で倒れたのだという。
リムル「ユーラザニアが消滅したというのか…!」
フォビオ「…はい。俺が見届けました」
フォス「…っ…」
アルビス「国民は予め避難していたため、無事でしたが…」
ゴーダ「避難民に寝泊まりする場所と食い物を…!」
リグルド「勝手ながら、既に手配しております」
ゴーダ「そうか、さすがだな」
アルビス「ありがとうございます」
リムル「しかし、魔王フレイがミリムと…?」
フォビオ「魔王ミリムは、そういう策略を嫌う性格だと思っていましたが…」
ゴーダ「同感だな。あの純粋バカのミリムに限って…」
フォビオ「それなんですが…魔王フレイが、カリオン様を抱えて飛び去った方向が、彼女の国でも、ミリム様の支配地でもなかったのです。あの方角は、魔王クレイマンの支配地です」
アルビス/スフィア「「何!?」」
スフィア「俺…出かけてくる!」
アルビス「待ちなさい、スフィア!仇討ちなら、全員で攻め込みますよ」
ゴーダ「お前が待て!抱えてったってんなら、魔王カリオンは生きてるだろう」
リムル「ミリムが決闘を邪魔されて怒らないはずがない。何か裏がある。勝手に暴走するなよ。助けられるものも助けられなくなる」
『『『はい…!』』』
ミリム達のことは気になるが、ひとまずは平和な時間が流れていた。
ゴーダ「……」
ゴーダが取り出したのは、プテラ、トリケラ、ティラノ…紫のコアメダルだ。
フラメア「ゴーダ様、そのメダル…」
ゴーダ「恐竜のメダルは、映司が宿していたもの…あいつが託してくれたんだな…」
フラメア「はい。私も…」
ゴーダ「!お前、それ…」
フラメアも3枚の恐竜メダルを取り出した。
フラメア「生き返る時、魂だけの私の前に、あの人が現れて…」
──────
映司『ゴーダのことを頼むよ』
──────
フラメア「私にこれを託してくれたんです」
ゴーダ「そうか…」
ゴーダとフラメアは笑い合い、ゴーダは再びメダルを見る。
ゴーダ「──ありがとう」
《続く》
ED「STORYSEEKER」 STEREO DIVE FOUNDATION