転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
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(♪「オーズ・ザ・ストーリー」)
大賢者:告。前回までの三つの出来事を纏めます。
一つ。ドワルゴンに向かったマスターと個体名:ゴーダは、大臣とトラブルになりました。
二つ。なんとか危機を乗り越え、二人は四人のドワーフをスカウトし、村に戻ります。
そして三つ。個体名:ゴーダは、エルフの占いにより『運命の人』とされた兎人族(ラビットマン)の少女、個体名:フラメアと邂逅しました。
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(♪「カウント・ザ・メダルズ」)
大賢者《告。カウント・ザ・メダルズ。現在、個体名:ゴーダ・テンペストの使えるメダルを確認します》
ライオン、トラ、チーター
カマキリ、バッタ
ゾウ
ゴーダ「んで、世界中を旅して回ってるわけか」
フラメア「はい!まだまだ見たいものが沢山ありますから!」
ゴーダ「は~ん…」
フラメアはリムル達の村を訪れていた。
ゴーダ(パンツ括り付けた木の棒でも持たせたら…いや違うか。しっかし、天真爛漫な奴だな)
その純粋さが眩しい。
フラメア「多種族の魔物が共存する町作りかぁ…!今まで見たことない景色が見られそうで、楽しみです!」
リムル「おう、期待しててくれ!」
ゴーダ「フン…」
リグルド「リムル様!ゴーダ様!」
リグルドが駆け寄ってきた。
リムル「どうした?」
リグルド「リグルら警備斑から連絡がありました。森で不審な者達を発見したそうです」
ゴーダ「どっかの魔物か?」
リグルド「いえ、人間です」
リムル「人間!?」
リグルド「領土拡大を狙った、どこかの国の調査隊かもしれません」
ゴーダ「は~ん…あん?」
ゴーダの《探求者》が反応した。
「「「うわぁああっ!」」」
四人の人間が、数mの巨大なアリの魔物の大群から逃げていた。
キド「カバルの旦那が悪いんでやんすよ!ジャイアントアントの巣に剣なんかブッ刺すから!」
茶髪の青年・キド。
カバル「う、うるせーな!俺はリーダーだぞッ!」
金髪の青年・カバル。
エレン「リーダーのクセに迂闊すぎよぅッ!死んだらカバルの枕元に化けて出てやるんだからぁッ!」
金髪の少女・エレン。
カバル「ナッハッハッ!そいつは無理だなッ!何故ならッ!俺も一緒に死ぬからなぁッ!」
エレン「嫌ぁああっ!」
「……」
煩い三人組とは対照的に、黙って走っていたもう一人…仮面をつけた黒髪の少女が、足を止める。
エレン「シズさん!?」
シズと呼ばれた少女は、エレン達三人の冒険者パーティが出発する際、行き先が同じということで同行した臨時メンバー。
シズ「……」
シズは剣に炎を纏わせ、ジャイアントアントを数体纏めて焼き払った!
シズ「フッ…!」
更に炎を纏う刃で、残りの個体も切り捨てて見せた。
エレン「す、すご…──ッ!シズさん後ろッ!」
シズ「ッ!」
生き残り二体が起き上がっている。シズは対処しようとしたが…
ドクンッ!
シズ「うっ…!?」
突然の苦しみに、シズは膝をつく。
エレン「シズさんッ!」
その時。
《ライオン!カマキリ!チーター!》
《スキャニングチャージ!》
オーズ「セイヤァアッ!」
超高速で駆けてきたオーズラキリーターが、黄、緑、黄の順に光のリングを通過し、カマキリソードで一体を切り倒し…
リムル「フッ!」
もう一体は、リムルがスキル《黒稲妻》で消し炭にした。
ゴーダ「ふぅ…」
エレン「えっ、人!?」
ゴーダ(こいつら、洞窟出る時にすれ違った三馬鹿じゃねぇか)
変身を解除したゴーダに驚くエレン達だが、更に驚いたのは…
「「「…スライム?」」」
リムル「スライムで悪いか」
喋るスライムである。
リムル「この仮面、お姉さんのだろ?ケガとかしなかったか?」
シズ「大丈夫…ありがとう」
仮面が外れ、素顔を見せたシズは、笑みを浮かべる。その顔は…
リムル(ゴーダに続いて、俺も思ったより早く出会ったな…運命の人)
村に招かれたシズ達。エレン達はブルムンド王国のギルドマスターからの依頼で、ヴェルドラが消えたジュラの大森林の異変を調査しに来たらしい。フラメアは早速エレン達三人組と談笑していた。
ゴーダ「仲良くなるの早いなオイ」
フラメア「私、人間の方とちゃんと話したの初めてです!今まで魔物ってバレないように、ひっそり旅してきたから…なんか嬉しいです!」
エレン「私も!フラメアちゃんったら可愛い~!」
ゴーダ「ったく…」
ゴーダ(何が運命の人だか。俺には、眩し過ぎる)
ゴーダは外に出る。
ゴーダ「ん?」
夕暮れの空の下、景色を眺めるシズと、彼女の元に向かうリムルの姿が見えた。
ゴーダ「よぉ、リムル。どうした?」
リムル「ゴーダ。少し気になることがあってな」
リムルがエレン達に自己紹介した時、リムルが言った『僕は悪いスライムじゃないよ!』というゲームの台詞に、シズが反応したらしい。
ゴーダ「つまりあの女は、ヴェルドラが言ってた異世界人かもしれないわけか」
リムル「そ。これから確かめようと思ってな」
リムルはシズに近づく。
リムル「シズさん。シズさんは…」
シズ「スライムさん。さっきのはゲームの台詞でしょう?」
リムル「!」
シズ「私はやったことないけど、同郷だった子から聞いたことある。スライムさんは日本から来たの?」
リムル「──あぁ」
シズ「そっか。私と同じだね。会えて嬉しいよ」
リムル「日本人なら、ゴーダのことも紹介しとかないとな。ゴーダ、来いよ」
シズ「?」
ゴーダ「おう」
ゴーダが歩み寄る。
リムル「ゴーダも異世界人で、日本出身だ」
シズ「そうなの?」
ゴーダ「つっても、俺はちょいと特殊でな。他の異世界人とは違う世界から来たらしい。元々人間じゃねぇし」
リムルがぼかしつつ、ゴーダのことを話す一方、シズも自分の話をした。
シズ「そっか、二人は転生者なんだね」
リムル「シズさんは違うの?」
シズ「私は、召喚者だから」
「「!」」
ゴーダ(召喚者か。ヴェルドラが言ってたのは…)
偶発的に界渡りしてしまった転移者や、リムルやゴーダのような『転生者』とは違い、界渡りの際に獲得できる強力なスキルによる戦力を目当てに、魔法使い達の儀式で呼び出される『召喚者』。
兵器として扱われ、召喚者に逆らえないよう、魂に呪いを刻まれるらしい。
リムル(呪い…今は聞かない方がよさそうか)
リムル「シズさんはいつ頃召喚されたんだい?」
シズ「ずっと昔。町が燃えて、炎に包まれて…」
リムル「戦争?」
シズ「空から爆弾が降ってきて…」
リムル「…空襲か」
ゴーダ「──戦争」
ゴーダの脳裏に浮かぶのは、映司の記憶。
爆撃の炎の中に消えた少女。
映司の人生を狂わせ、人格を歪めた、原点。
ゴーダ「……」
リムル「そうだ!面白いものを見せてやるよ!」
ゴーダ「ん?」
シズ「面白いもの?」
リムル「大賢者、思念伝達で、シズさんに俺の記憶の一部を見せたい。ついでにゴーダにも」
ゴーダ「ついでかよ」
リムル「行くぞ!」
シズ「…!」
シズやゴーダの目に映し出されたのは、リムルの前世の自室。PCの画面にエルフの女の子のイラストが──
シズ「エルフさん?」
リムル「わ~ッ!?違う違う!」
危うくちょっとHな差分に切り替わりかけたところで、慌ててリムルが思念伝達を中断した。
シズ「綺麗だったよ?」
ゴーダ「お前そういう…ま、欲望の定番だがな」
リムル「欲望言うな!見せたいのはこっち!」
続いて映ったのは、リムルがテレビや歴史の資料集で見た、戦後の復興の様子。そして、発展した現在の日本の様子だった。
シズ「すごい…!絵葉書で見た、ニューヨークの摩天楼のよう…!」
リムル「戦争が終わって、平和になったよ。町も経済も発展した」
シズ「そっか…よかった…!…お母さんにも、見せたかったな…」
リムル「俺はこの世界でも、みんなが平和に楽しく暮らせる世界を作りたいと思ってる」
シズ「素敵…そうなるといいね…!」
リムル「なるさ、きっと!」
シズ「フフ…」
シズ「うっ…!?」
「「!?」」
突然、シズは苦しそうに膝をついた。
リムル「大丈夫!?」
ゴーダ「どうした?」
シズ「ごめんなさい…大丈夫」
リムル「そ、そうか…」
ゴーダ「ん…?」
ふと、気になる気配を感じたゴーダは、意識を集中させる。
ゴーダ「──ッ!」
──シズの中に、3枚のコアメダルが見えた。
かつて、アンクが映司の中にいたゴーダのコアメダルを見抜いたように、ゴーダはその姿を捉えた。
ゴーダ(コアメダルだと…!?だが…おかしい…)
シズの中…インナースペースとも言える空間は、燃え盛る炎で満たされていた。
だがその中に、厚い氷に保護されるように覆われた、炎とは正反対の属性を感じる3枚のコアメダルが、明らかな異物として浮かんでいる。
氷属性から恐竜メダルかと思ったが、氷の中に見えるメダルの色は、紫ではなく、白が二枚に青が一枚。ゴーダのメダルと同じく、金の縁取りがあった。
ゴーダ(メダルは一切力を発揮していない…俺とは違う。この女はグリードに乗っ取られてるわけじゃなく、自分の意志で動いている。体内のメダルにも気付いちゃいない。普通に飯食ってた以上、五感の変化もない。どういうことだ…?)
カイジン「リムルの旦那~!ちょっといいかな。新しい家の場所を相談したいんだが」
リムル「あ、あぁ。じゃあ」
シズ「じゃあ」
ゴーダ「……」
ED「Another colony」TRUE