転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
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(♪「オーズ・ザ・ストーリー」)
大賢者:告。前回までの三つの出来事を纏めます。
一つ。井沢静江が、宿していた炎の上位精霊・イフリートに体を乗っ取られ、暴走を開始しました。
二つ。個体名ゴーダは、この世界で初めて、コンボの力を解放しました。
そして三つ。マスターがイフリートを捕食し、井沢静江は解放されました。
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(♪「カウント・ザ・メダルズ」)
大賢者《告。カウント・ザ・メダルズ。現在、個体名:ゴーダ・テンペストの使えるメダルを確認します》
ライオン、トラ、チーター
カマキリ、バッタ
ゾウ
ゴーダ(人間のシズが、数十年間若さを保ちながら生き続けたのは、イフリートの力あってこそか。俺が映司と離れたように…こいつの命は…しかし、体内のコアメダルは…)
ゴーダが考え込んでいる頃…
シズ「スライムさん、ありがとう」
テントの中で、横になっているシズの傍に、リムルがいた。
リムル(俺のやったことは…)
大賢者《あのままでは、完全に乗っ取られ、自我が消滅していたでしょう。それは彼女の望みではないと思われます》
リムル(…っ…)
シズはリムルに語った。
魔王に召喚された時のこと。
イフリートを憑依させられたこと。
暴走したイフリートにより、自分の手で友達の命を奪ってしまったこと。
魔王と離れた際、勇者と出会い、救われたこと。
勇者と共に旅をしたこと。
シズの仮面は勇者から授かったもので、そのおかげでイフリートの力を制御できるようになったこと。
勇者と別れた後も、人々のために戦い続けた。
イフリートの力で肉体は老いずとも、数十年経てば、力は少しずつ衰える。
イフリートの制御が危うくなってきたことで、冒険者を引退し、指導者になった。
同じ異世界人の子供達が生徒になり、楽しい日々を過ごした。
そして、イフリートを押さえ込めなくなってきた彼女は、旅に出た。
シズ「私を召喚した男を、探して…」
リムル「…復讐か?」
シズ「…分からないわ。でも…会って、確かめたいことがあった。だから…」
エレン達と合流し、旅に出た。
シズ「本当にいい子達。ちょっと危なっかしいけど」
リムル「そうだな…」
シズ「楽しかった…でも、もう…」
シズ「スライムさん、名前はなんて言うの?」
リムル「え、俺はリムル…」
シズ「本当の、名前」
リムル「あぁ…俺はサトル。三上悟だ」
シズ「私は静江…井沢静江」
シズ「…悟さん。お願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
リムル「静江さん…いいよ。言ってくれ」
ゴーダ「…!」
フラメア「ゴーダ様?」
ゴーダがハッと顔を上げる。
ゴーダ「…この気配は」
フラメア「ま、待ってください!?」
駆け出したゴーダを、フラメアが追いかける。
リグルド「皆さんもシズ殿のお見舞いですかな?」
エレン「はい!」
リグルド、ランガ、エレン、カバル、キドが、リムルとシズがいるテントにやってきた。
ゴーダ「通せ!」
ランガ「ゴーダ様!?」
駆けつけたゴーダが、真っ先にテントに飛び込む。
ゴーダ「…!」
テントの中には…一糸まとわぬ、水色の髪の…少年とも少女ともつかない人物が、一人。しかし、それが誰かはすぐに分かる。
ゴーダ「お前、その姿は…!」
ランガ「我が主!?」
リグルド「リムル様、そのお姿は…」
「「「え~ッ!」」」
フラメア「り、リムル様なんですか~ッ!?」
人間の姿になったリムルは、一筋の涙を流した。
しばらくして。
カバル「そうか…シズさん、逝っちまったのか…」
キド「ホントにリムルの旦那でやんすか…?」
ゴーダ「マジだぜ。人間の姿になるとはな…」
カバル「なんか、ちっこいシズさんみたいなんだけど…」
リムル「ホントだよ、ほれ」
リムルはスライムの姿に戻る。
エレン「…シズさんを食べたの…?イフリートを食べたみたいに…」
リムル「…それが俺にできる、唯一の葬送だったからね」
リムルの中で眠ること。それがシズの願いだった。リムルは息を引き取ったシズを、スキル《捕食者》で、自分の中に取り込んだ。
リムル「仲間のお前達に相談もなく、悪かったな」
カバル「いや…それがシズさんの望みだったなら、仕方ないさ」
リムル「…すまんな、エレン。割り切れないかもしれないけど…」
エレン「…ううん。ただ…最後にお別れの挨拶ぐらい、言いたかったな…」
エレンは悲しげな笑みを浮かべる。
ゴーダ「……」
『──だったら、これから言えばいい』
「「「!?」」」
突然、全員の頭に直接、声が響いた。
『別れと言わず、何度でも』
エレン「この声…シズさん…!?」
ゴーダ「いや、違う!…まさか…!」
リムル「な、何を…うわぁっ!?」
突然、リムルの体から、光が飛び出した。
ゴーダ「…!やっぱり目覚めやがったのか…!」
フラメア「ゴーダ様?」
光の中心には、ゴーダがシズの中に見た、3枚のコアメダル。
リムル「…!取り込んだシズさんの体が…分離した…!?」
大賢者《原因不明です。しかし、一度取り込んだ井沢静江の情報は健在。人間への擬態、人間の五感、井沢静江のユニークスキルは、引き続き使用可能です》
リムル「そういう問題じゃなくて、何が起こってるんだッ!?」
ゴーダ「こいつは、俺と同じ…!」
光が人の形を取り、実体化する。
「「「…!」」」
その姿は、シズと瓜二つ。しかし、黒髪は銀髪に変わり、水色のメッシュが入っている。
ゴーダ「シズ…じゃねぇよな」
リムル「だったら一体…!?」
ゴーダ「──グリードだ。シズの中にコアメダルが見えた。かつての俺と同じように…グリードがシズの体に取り憑いているんだ」
「「「!」」」
?「──あぁ、やっぱり分かるんだ」
シズの体を操るグリードは、ゴーダを見る。
?「一つ違うのは、私がグリードじゃなくて…あなたと同じ、ネオグリードだってこと」
ゴーダ「なるほど…この世界の魔物になってるわけか」
?「そういうこと。じゃあ、改めて自己紹介」
彼女はリムル達を見回し、名乗る。
「──私はウツロ。今シズの体は、私が借りてる」
エレン「どういうこと…?」
ゴーダ「お前のメダル…俺と同じ鴻上ファウンデーション製だな」
ウツロ「そう。あなたと同じく、私のメダルも、あなた達の戦いの余波で、時空を越えた。けど、私のメダルが流れ着いたのは、この世界における数百年前。
その時、そこにいた少女が、何らかの原因で、遠い未来に転移した。
その転移に巻き込まれ、滅茶苦茶に時空を超えていた結果…シズがこの世界に召喚されたタイミングと、偶然にも完全に一致したことで、シズの体にメダルが宿った。
そして…シズの欲望に触れて、メダルから私という自我が生まれた。
メダルと相反する、炎属性のイフリートに抑え込まれていたけど…たまに力が漏れ出してね。あなた達が戦った屑ヤミーも、その副産物」
ゴーダ「この前のはそういうことか…」
ウツロ「そして…イフリートが消えたことで、私は解放された」
ゴーダ(…やはり、俺と同じか。しかし…シズの奴が、それ程強い欲望を持ってたってのか…?)
フラメア「…?」
考え込むゴーダに、フラメアが気付く。
リムル「とにかく、シズさんを返せ!」
エレン「そうよ!早く出て行って!」
カバル「シズさんを、安らかに眠らせてやるために…!」
キド「容赦はできないでやんすよ!」
ウツロ「…気に入らないなら、かかってくればいい」
ウツロの腰に魔素が集まり、ベルトが形成された。
ゴーダ「…!それは、バースドライバー…!?」
その形は、色や細部こそ異なるが、バースドライバーXに酷似していた。
ウツロ「外面を似せただけだよ。これはあくまで、私の力を解放するための媒介でしかない」
ゴーダ「それをどこで知った?」
ウツロ「リムルのスキルがあなたを解析した時、リムルの意志とは関係なく、オーズドライバーまで分析した。私はリムルに宿った時、それを盗み見ただけ」
リムル「はぁっ!?」
ウツロ「シズのスキル《変質者(ウツロウモノ)》で、メダルの力の統合・分離を繰り返したら、ベルトの形を作れた。元々バースXのメダルとしてデザインされてたみたいだし、この形が一番馴染む」
ウツロは目を白や青に光らせ、その胸から飛び出した3枚のメダルを掴み取る。
ウツロ「──変身」
《セイウチ!シロクマ!ペンギン!》
メダルを装填し、ハンドルレバーを回転させると、エネルギーが溢れ出す。
《ウ・ツ・ロ~・ウツロ・ウ・ツ・ロ~…!》
タトバコンボに似たメロディと共に、メダルのエフェクトが展開し、装甲が装着される。
《──ギンシロセイ!》
ウツロ「──仮面ライダーウツロ。こういう時は…Happy Birthday!!…って言うんだっけ?」
ED「Another colony」TRUE
【オリキャラ紹介】
・ウツロ
ゴーダやバースXのコアメダルと共に開発されていた、セイウチ、シロクマ、ペンギンのコアメダルから誕生した、ゴーダと同じネオグリード。
ウツロメダルには、ゴーダメダルと同じ金の縁取りがある。
リムル(大賢者)は既にシズの体を分析していたため、人間態やスキル、味覚等は失っていないが、シズの体そのものはウツロが乗っ取っている状態。
外見は銀髪に青いメッシュを入れたシズ。
名前はシズのユニークスキル《変質者(ウツロウモノ)》から。
イメージCVはシズと同じ花守ゆみりさん。
・仮面ライダーウツロ
ウツロが変身するオリジナルライダー。
大賢者がこっそり解析したゴーダ、オーズドライバーの解析結果を、リムルに取り込まれた隙に盗み見て生成したウツロドライバーに、自身のメダルをセットして変身する。
ウツロドライバーはあくまで見た目を似せただけで、バースドライバーXとは全くの別物。
デザインはセイシロギンコンボ+バースX。
セイシロギン、バトスピでは最高レアリティのXXレアになったりと、ムカチリとは別方面で優遇されている。
『仮面ライダー』というワードは、オーズ本編でもバース初登場回で出ていたので、名乗って貰いました。