転生したグリードがスライムと相棒になった件 作:バンドリーマーV
(♪「オーズ・ザ・ストーリー」)
大賢者:告。前回までの三つの出来事を纏めます。
一つ。マスターとゴーダは、炎の精霊イフリートに勝利し、シズを解放しました。
二つ。マスターはシズの望みを叶え、息を引き取ったシズの体を、自身の中に取り込みました。
そして三つ。シズの中に眠っていたコアメダルが覚醒し、シズの体を支配、新たなネオグリード『ウツロ』が現れました。
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(♪「カウント・ザ・メダルズ」)
大賢者《告。カウント・ザ・メダルズ。現在、個体名:ゴーダ・テンペストの使えるメダルを確認します》
ライオン、トラ、チーター
カマキリ、バッタ
ゾウ
ウツロ「──仮面ライダーウツロ。こういう時は…Happy Birthday!!…って言うんだっけ?」
変身したウツロが、ゴーダ達の前に立つ。
ゴーダ「鴻上じゃあるまいし…」
リムル「ふざけやがって…!」
エレン「シズさんは返してもらうから!」
リムル達が構えるが…
ゴーダ「待て」
フラメア「ゴーダ様?」
ゴーダ「こいつの相手は俺がする。お前達は下がってろ」
ゴーダがウツロの前に立った。
リムル「ゴーダ、一人で戦うつもりか」
ゴーダ「こいつは俺と同じ生まれらしい。メダルにはメダルの力だ。それに、少し気になることもあってな」
リムル「…分かった。気をつけろ」
ゴーダ「おう。──変身…!」
《ライオン!トラ!チーター!》
《ラタラタ~ラトラーター♪》
(♪「力の暴走」オーズBGM)
ウツロ「フッ…!」
オーズ「オォッ!」
互いにメダジャリバーを構え、激しくぶつかり合う二人。
ウツロ「ハァッ…!」
オーズ「ッ!」
ウツロは手から氷塊を生み出し、オーズに叩きつける。
オーズ「南極の動物のメダル…なるほどな」
ウツロ「あなたは、自分のメダル、使わないの?」
オーズ「…!」
ウツロ「あぁ…使えないんだ」
オーズ「チッ…オォッ!」
戦いは続く。
リムル「互角か…」
フラメア「けど…あの人、なんだか…」
フラメア(敵意が、ない…?)
ウツロ「……」
メダルの順番を入れ替え、レバーを回す。
《シロクマアーム!》
右腕に、巨大な爪を備えた銀の装甲が形成される。
《スキャニングチャージ!》
オーズ「ハァアッ…!オォッ!」
オーズは黄色い光のリングを潜り抜け、トラクローを構えて突撃する。
《シロクマ!コアバースト!》
ウツロ「ハァアッ…!」
ウツロはシロクマアームに、吹雪のようなエネルギーを収束させる。
オーズ「セイヤァアアッ!!」
ウツロ「ハァアアッ!!」
互いの必殺技がぶつかり合い、大爆発が起こった!
爆炎が晴れて現れた二人が、再び向かい合うが…
オーズ「──はぁ…やめだ」
ゴーダは変身を解除した。
エレン「ええっ!?なんでぇっ!?」
ウツロ「どうかした?」
ゴーダ「《探求者》で感情の色を読んだが…お前には、俺達に対する敵意が全く無い。戦うだけ無駄だ」
「「「!」」」
フラメア「やっぱり…」
ウツロ「…へぇ…分かるんだ。便利なスキルだね」
ウツロも変身を解除する。
リムル「どういうことだ…?」
ウツロ「私はシズの欲望から生まれた。シズの願いは私の願い。シズには、仲間のあなた達と敵対する理由がない」
ゴーダ「そいつは俺に対する皮肉か?」
ウツロ「あなたが火野映司の仲間達と戦ったのは、彼がかつて持っていた、『力が欲しい』っていう欲望を叶える障害になったから。グリードは欲望を暴走させるものだし。その点、最初からネオグリードの私は、暴走のリスクも低い」
ゴーダ「そこまで把握してるのかよ…」
ウツロ「鴻上のメダルはみんな、火野映司の欲望のデータから作られた。だから、私も彼のことを知っている」
ゴーダ「ったく…で、お前はこれからどうするつもりだ?」
ウツロ「あなたが一番よく分かるんじゃない?」
ゴーダ「……」
ウツロ「私はシズの欲望から生まれた。シズの欲望を叶えることが、私の存在する意味」
リムル「シズさんの欲望…?」
ウツロ「──自分の存在を、認めさせること」
「「「…?」」」
ウツロ「シズは、魔王レオンによって、この世界に召喚された。けど…」
魔王レオンが本当に召喚したかったのは、他の誰かだったらしく、彼は酷く落胆していた。
結果的には、戦禍からシズの命を救ったレオンが、全く興味がなさそうに見下してきたことが、ただ悔しかった。
その悔しさと、絶望と、そこから生まれた憎しみは、一生忘れられない記憶になった。
やがてレオンの側近、右腕となってもそれは変わらなかった。
非情ではあるが、全くの悪人でないことも分かってきて…だからこそ、尚更。
嫌いなのに憎めないこの男に、自分という人間がいたことを、自分という存在を、認めさせたい。
知らず知らずのうちに生まれ育った、狂おしい程の承認欲求。
レオンの傍にいた時も、勇者と共にいた時も、その後も…その欲望は数十年間変わらず、シズの中で密かに燃えていた。
ウツロ「──だから、私はそれを叶える。シズの望みは、私の望み。私が全部叶える」
リムル「…けど、そのために、亡くなったシズさんの体を使い続けるのは…」
ウツロ「今は、死んでないよ」
「「「!?」」」
ウツロ「私が中にいれば、シズは生きていられる。魔素に満ちたこの世界で、魔人で精霊使いだったシズの体は、火野映司の時とは違う…私が中に居続ければ、シズはいつか目覚める」
エレン「ほ、ほんとに!?」
ウツロ「ほんと。とはいえ、私も実体化したてで不安定。だからしばらくは大人しくしてる」
エレン「そ…そっか…」
ウツロに対する、リムルやエレン達の印象は、正直複雑以外の何物でもなかった。エレン達はギルドへの報告の為に、一度国に帰ることになったのだが…
ウツロ「ちょっといい?」
エレン「な、何?」
ウツロは三人を呼び止めた。
ウツロ「私はシズから生まれた。シズの記憶も全て持ってる。だからって、シズの気持ちを全部分かってるなんて、言わないけど…それでも、確かに言えることがある」
ウツロは三人を見つめる。
ウツロ「シズは、あなた達のことを大切に想っていた。あなた達と旅ができて、楽しかったって言ってた」
「「「…!」」」
三人は涙に目を潤ませる。
ウツロ「ちょっと危なっかしいとも言ってたけど」
エレン/キド「「……」」チラッ
カバル「ちょ、その目は何だよ!」
エレン「だって、ねぇ?」
キド「あぁ」
カバル「お、お前だって、この前落とし穴にはまってたじゃねぇか!」
キド「あ、あれは姐さんが急に押すから!」
エレン「ちょっとぉ!私のせいにしないでよ、あの時は急に蜘蛛が…!」
三人は暗い空気を吹き飛ばすように、トリオ漫才を繰り広げた後、カイジン達が作った一品級の装備をプレゼントされ、少し打ち解けたウツロに『シズさんをよろしく!』と伝え、明るい顔で帰っていった。
リムル「…意外と、信用できそうかもな」
ゴーダ「グリードをあっさり信用すんな」
リムル「お前のことはとっくに信じてるぞ?」
ゴーダ「…お前、見る目ねぇな」
リムル「そうかな?」
その夜。
ゴーダ「……」
ゴーダは一人、丘の上に座り、月を見上げていた。
フラメア「ゴーダ様」
ゴーダ「…フラメアか」
フラメアが歩み寄り、隣に座る。
フラメア「ずっと考え込んでらっしゃいますね」
ゴーダ「別に…」
フラメア「シズ様とウツロ様のことと、何か関係が…?」
ゴーダ「…お前には関係ないだろ」
フラメア「ないかも、しれないですけど…」
ゴーダ「だったら、お前が心配することじゃないだろ」
フラメア「それでも…ゴーダ様、なんだか辛そうです」
ゴーダ「……」
フラメア「私は、ゴーダ様に救ってもらいました。今度は私が、ゴーダ様の力になりたいんです!」
フラメアは、ゴーダの目を真っ直ぐに見つめる。
フラメア「話すだけでもいいんです。それだけでも…何か、変わるかもしれないから」
ゴーダ(やっぱり、こいつは苦手だ…あんまりにも、真っ直ぐ過ぎる)
ゴーダ「…長い話になるぞ」
フラメア「どんと来いです…!」
ゴーダは、以前リムルに語った話を、フラメアにも語った。
コアメダルとグリード。
映司とアンクの、戦いの軌跡。
自分の出自と、罪と、最期。
ゴーダ「ウツロのことは丸く収まったが…リムルやエレン達が、最初ウツロに向けてた目を、俺は知ってる。
…映司の中に入ってた俺に、アンク達が向けてきた目だ。
この世界に来て、リムルに絆されて、俺も甘くなったのかもな。
だから少しだけ…自分が何をしたのか、分かってきた気がする」
フラメア「……」
ゴーダ「これで分かったろ。俺は、お前に心配されるような奴じゃない」
フラメア「…ゴーダ様」
ゴーダ「ん?」
フラメア「確かに、ゴーダ様は酷いことをしたのかもしれません。でも…ゴーダ様はそれを後悔してますよね?」
ゴーダ「後悔…俺は別に…」
フラメア「してなかったら…そんな、苦しそうな顔で話したりしません」
ゴーダ「…俺が?」
フラメア「はい。ゴーダ様はこの世界に来て、リムル様と出会って、一緒に村を作って…沢山の人を助けてきたでしょう?私も含めて」
ゴーダ「それだって…俺は人助けを通して、映司を知りたかっただけだ。お前を助けたのもその為で…」
フラメア「それでも、私は救われました。ゴーダ様は、口調が乱暴なことはありますけど、何だかんだで面倒見もいいし、みんなに慕われている。そこに打算があったとしても、それだけの人なら、誰も着いては来ないと思うんです。
映司様の影響だけじゃなく、ゴーダ様自身に、そういう自分が生まれてきているんです」
ゴーダ「……」
フラメア「──私は、私が自分の目で見て、私が一緒にいたゴーダ様を、信じています」
──あぁ、そんな真っ直ぐな目で見るな。
あまりに真っ直ぐで、純粋無垢で、一切曇りのない、信頼に溢れた目。
ゴーダ「…ハッ…うだうだ考えてるのがアホらしくなってきた」
思わず笑みが零れる。
ゴーダ「しっかし、お前なぁ…もう少し人を疑うとか、そういうことを知れよ。すぐに騙されんぞ。親切な顔して近付いてきた詐欺師とかに」
フラメア「えぇっ!?そ、そんなことないですよぉ!簡単に騙されたりしませんっ!」
ゴーダ「そうかぁ?」
フラメア「そうですぅ!」
ゴーダ「ハハハッ!」
フラメア「も~っ!」
ゴーダ(『運命の人』なんて言われたのが、なんとなく分かってきたな…)
翌朝。
ウツロ「…なんか、すっきりした顔だね」
ゴーダ「ん?あぁ、お前か」
ウツロが声をかけてきた。
ウツロ「何かあった?」
ゴーダ「別に、大したことじゃねぇよ。つか、お前もこの村に居座るのか?」
ウツロ「シズの欲望を叶える…にしても、今は不安定な存在を安定させるために、大人しくしてなきゃだし。これからよろしく、お兄ちゃん」
ゴーダ「はぁ!?誰がお兄ちゃんだ!?」
ウツロ「同じネオグリードで、鴻上ファウンデーションの人造コアメダルから生まれた者同士。兄妹みたいなもんでしょ」
ゴーダ「ったく…勝手にしろ」
ウツロ「勝手にする。兄として妹を可愛がって、ワガママ聞いてね~」
ゴーダ「黙れ生意気妹が」
こうして、ゴーダ達に新しい仲間が加わった。
ED「Another colony」TRUE