軽めなヒーローアカデミア   作:プロプラスチック

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第3話〖持ち腐れた宝〗

「君なら、私の力を受け継ぐに値する!」

「……へ?」

オールマイトのに「君はヒーローになれる」と言って貰え、感極まっていた緑谷は、次に言われた言葉になんとも素っ頓狂な返事をする。

 

「なんて顔をしてるんだ!?「提案」だよ!本番はここからさ、いいか少年…」

 

「私の力を君が受け取ってみないかという話しさ!」

「血がすごい……」

オールマイトは吐血しながら言う。

正直心配が勝つ軽元。

緑谷は緑谷で、未だ理解出来てない表情だった。

 

「私の個性の話だ少年」

「……わからん」

「写真週刊誌には幾度も怪力だのブーストだの書かれ、インタビューでは常に爆笑ジョークで茶を濁してきた」

「え?あれ本人は爆笑ジョークだと思ってたの……?」

「平和の象徴、オールマイトはナチュラルボーンヒーローでなければならないからね」

「そうかなぁ……?」

「こらそこ!さっきから聞こえてるからね!?」

「し、しまった!つい思ったことを口にしてたらオールマイトに委員長みたいな怒られ方された!」

 

「あ、あのらいちゃん…話が進まない…」

「ごめんね」

 

「まあ、気を取り直して…、私の個性は聖火の如く引き継がれてきたものなんだ!」

「引き継がれてきたもの…?」

「そう、そして次は君の番だということさ」

オールマイトの口から出てきたとんでも情報。

緑谷はともかく、「俺聞いていいのか?」なんて軽元は思っていたが、オールマイトの秘密知った時点で今更かと受け入れることにした。

 

「引き継がれてきたものってのは分かったけど、それつまりオールマイトにも緑谷みたいな時期があって、師匠がいて今の緑谷とアンタみたいな展開になったってこと?」

「流石、そちらの少年は飲み込みが早いね」

「まあ憧れては無い分って感じかな」

「それ面と向かって言われるとちょっと複雑な気分になるんだけど…」

軽元はオールマイトに憧れを抱いて無い分、受け入れるのが早かった。

オールマイト的には少し複雑だったようだが。

 

ちなみに一人話についていけない緑谷はと言うと…

ブツブツ「オールマイトの個性は確かに世界七不思議の一つとして喧々囂々と議論されてきましたよネットじゃ見かけない日はないくらいにでも…あの…個性を引き継ぐってそれはちょっと意味がわからないというか…そんな話今まで聞いたこともないし議論の中でも推測すらされてないわけでそれは何故ってつまり有史以来そんな個性は確認されてないからっていうかそもそもアレです生まれつきの固有の身体的特徴であって自己を確立する要素だからこその個性なわけで」ブツブツ

「今回のブツブツは一段と凄いね」「君はとりあえず否定から入るな!ナンセンス!」

これである。

 

元々緑谷は何かに没頭しすぎると、周りが見えなくなり、ブツブツと自分の考えを呟き続ける通称『ブツブツモード(軽元命名)』になる癖がある。

本人は至って真剣だが、傍から見れば少し気味が悪い。

今まで虐められた原因にこれも少なからずありそうだなと軽元は思ってはいるが、一応緑谷のアイデンティティみたいなものなのでそっとしている。

ちなみに軽元は"友達(※最重要)"なので緑谷のブツブツは全く気にならない。

 

「私は隠し事は多いが嘘はつかん!」

気を取り直してオールマイトは個性の話を続ける。

 

「個性を譲渡する個性、それが私の受け継いだ個性!冠された名は『ワン・フォー・オール』!」

「ワン・フォー…オール…」

 

「一人が力を培い、その力を一人へ渡しまた培い次へ…そうして救いを求める声と義勇の心が紡いできた力の結晶!」

「それを出久に?」「そんな大層なもの何で…何で僕にそこまで…」

「元々後継は探していたのだ…そして君になら渡しても良いと思ったのさ!」

 

「無個性でただのヒーロー好きな君は、あの場の誰よりもヒーローだった!」

「で、でもそれだとらいちゃんだって…」

「俺はもう個性持ってるからいいの!」

尚も食い下がる緑谷に軽元も呆れてきた。

 

「…そういえば君の個性、あれ一体何なんだい?」

「そういえば僕も気になってたんだ!らいちゃん今まで個性について何も言わなかったし!」

「おい話脱線したぞ!明日教えてやるから今日はまずオールマイトとの話を終わらせなさい!」

中々帰れない…。

 

 

「そうだったそうだった!で、どうする?君次第だが」

緑谷は考えた。

オールマイトにここまで言って貰って、断る理由なんて無いと。

「お願い…します!」

「即答!そう来てくれると思ったぜ」

 

 

こうして緑谷出久は、オールマイトの個性を受け継ぐことになったのだが……。

 

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翌日:朝6時

 

「ぐおぁぁぁぁぁぁ!」

「ヘイヘイヘイヘイ、なんて座り心地のいい冷蔵庫だよ!」

緑谷はオールマイトが乗った冷蔵庫を引っ張っていた。

 

もちろん軽元もいて、彼は今砂浜にシートを敷いてくつろいでいる。

「冷蔵庫重いもんね」

少々的はずれな事を言いながら。

 

「ピクリとでも動けば楽なんだけどなー」

「そりゃだって……、オールマイト274キロあるんでしょ……」

(よく覚えてんな…)

「いーや、痩せちゃって255キロ」

(割と誤差…)

 

「ていうか僕何で海浜公園でゴミ引っ張ってるんですか…?」

中々動かない冷蔵庫に対する気持ちを紛らわすためか、緑谷はそんなことを聞いた。

「それはアレさ!君器じゃないもの」

オールマイトは、さも当然のようにそう返してきた。

「え!?仰ってることが昨日と真逆!」

ガーン!という効果音が聞こえてきそうなほどがったりした緑谷は膝をつき悲痛な声をあげた。

そんな緑谷を、オールマイトは面白がって写真を撮っていた。

軽元はそんなオールマイトに少し引いていた。

 

軽元の視線に気がついたのか、オールマイトは咳払いをし、先程の言葉の意味を説明しだした。

「身体だよ身体、ワン・フォー・オールはいわば何人もの極まりし身体能力が一つに収束されたもの!生半可な身体では受け取れきれず、四肢がもげ爆散してしまうんだ!」

「四肢が!」「わお、怖ー」

四肢がもげると言われ、緑谷の顔は青ざめ、軽元はまるで他人事だった。

 

「じゃあつまり、身体を作り上げるトレーニングのために、ゴミ掃除…?」

ワン・フォー・オールのことを聞いて、緑谷はそんな疑問を口にした。

緑谷の疑問に、オールマイトは「YES!」と言い、白い歯を見せサムズアップしながら肯定した。

軽元も「なるほど…」と納得していた。

 

「だがそれだけじゃない!」

しかし直後、オールマイトがそう口にし、緑谷と軽元は同時にオールマイトの方を向いた。

 

「昨日ネットで調べたらこの海浜公園、一部の沿岸は何年もこの様のようだね」

「?ええ…何か海流的なアレで漂着物が多くて、そこに漬け込んで不法投棄もまかり通ってて…」

「今じゃ地元の人は寄り付かないよね」

 

二人の言ったことにオールマイトは「そうか」と頷き、冷蔵庫に手を置いた。

「最近のヒーロー(若いの)は派手さばかり追い求めるけどね」

語りつつ冷蔵庫に置いた手に力を入れると、メコメコと音を立てながら冷蔵庫が潰れていく

「ヒーローってのは本来奉仕活動!地味だ何だと言われても、そこだけはブレちゃいかんのさ!」

オールマイトはゆっくりと冷蔵庫を押し潰しながらヒーローについて語る。

「この区画一帯の水平線を甦らせる!それが君のヒーローへの第一歩だ!」

オールマイトによって完全にぺしゃんこにされた冷蔵庫の向こうには、綺麗な朝日が登っていた。

 

オールマイトの話を聞いて、軽元は昨日のヘドロの時にいたヒーローと爆豪を思い浮かべていた。

確かに彼らは実力こそあるが、あの場では相性がなんだと言ってなにもしようとしなかった。

爆豪も、雄英のヒーロー科に行く目標は将来高額納税者ランキングに名を残すこと、はっきりいって不純だ。

まだ家族のために、なんて理由があるのならその夢は肯定させるべきだ。

しかし爆豪家は別に貧乏では無い。

さらに言えば、爆豪勝己はそんな性格では無い。

常に自分が1番の俺様天下、邪魔者は容赦なく蹴落とそうとする男、それが爆豪勝己(※軽元のイメージ)。

(昨日出久の表情が暗かったのとノートの焦げ、あいつの事だ、大方「雄英受けるな」なんて脅したんだろうな…)

二人が色々話している時、軽元はそんなことを考えたいた。

 

 

「よし緑谷少年、キリいいし一旦休憩しよう!」

緑谷の体力が限界を迎え、倒れて動けなくなったところで、オールマイトは休憩を提案した。

緑谷も、疲れで頷くことができないものの、休憩する事には賛成だった。

「よし!じゃあ10分程休憩だな!てことで軽元少年!この休憩時間使って君の個性を教えてもらうことは可能かい?」

突然話を振られた軽元は、突然の事に「そう来たか…」しか言えず固まった。

そして、そういえば昨日自分で明日話すなんて約束したわ…と、昨日のことを思い出し、なら仕方ないと話すことにしたが、ある事を思いつき、不敵に口角を釣り上げた。

 

「俺の個性については……どうせ10分も時間あるんだし、答えてもらおうかな」

「え!?いいけどちゃんとヒントは出るのかい!?」

突然の個性当てクイズにオールマイトは困惑するも、割とノリノリでヒントを求め始めた。

緑谷もバテてはいるが、参加する気満々である。

 

「もちろんあるとも!ちょうど俺の個性活かせる状態の人間がそこに倒れているからね!」

そう言って軽元は緑谷に近付き、彼の背中に手を置いた。

最初何をしているのか分からなかったオールマイトと緑谷だったが、直後、突如変化の起きた緑谷の身体に対して、驚きを隠せなくなった。

「あ、あれ!?さっきまでめちゃくちゃ疲れてたのに、少し楽になるどころか掃除始める前くらいまで体力戻ってる!?」

「ほう、回復系の個性かな?」

なんと緑谷の体力が掃除前まで回復したのだ。

緑谷は自分の体に起きたことが信じられず、オールマイトは考える仕草を取り、各々思ったことを口にした。

 

思ったよりいい反応が見れて満足した軽元は、もう少しヒントを出すことにした。

「回復系はいい線いってるけど、残念ながらもっと凄いよ」

さらにヒントを出すために軽元はゴミ山に近付き、見た感じ一番重そうなゴミを片手で持ち上げた。

「な!?あんなに重そうなゴミを!」

「す、凄い!」

一見重そうなゴミをまるでそれが発泡スチロール出できていると思わせる程余裕そうな表情で持ち上げる軽元に対し、二人はさらに驚かされた。

 

「さっきは緑谷少年の体力を回復させたから回復系かと思ったけど、その怪力…もしかして個性二つ持ちか?」

「残念、俺の持つ個性は一つだけだ」

軽元は二人の反応を楽しみつつ、さらにヒントを出す。

二人とも中々苦戦しており、軽元はその様子を見てニコニコしていた。

 

「にしても凄いなー、僕の体力回復させるだけじゃなくてあんなに重そうなゴミも軽々と(・・・)…あれ?軽々(・・)…っ!?ま、まさか!?」

「どうした緑谷少年、軽々(・・)ってところでなにか気づいたようだけど」

ある単語を口にした緑谷はピンと来て、オールマイトは未だ分からずと言った様子だった。

「オールマイト…らいちゃんは僕の疲れを軽く(・・)して、あの重そうなゴミを軽そう(・・・)に持ちましたよね…?」

「そうだな、それがどうし……は!?オイオイマジか!?マジなのか!?」

やたら『軽い』と言う単語を強調して喋る緑谷に、オールマイトもハッとした。

軽元の個性に気付いた二人は、先程とは比べ物にならないほどの共学の表情を浮かべ、軽元を見た。

「どうやら気付いたようだね!では答え合わせといこうか!」

軽元は、二人の反応に満足したのか、ニヤニヤしながら大袈裟に両手を広げた。

 

「俺の個性は『軽くする』!自分か、自分に触れ続けているものに対し、『〜を軽くする』と続く言葉通りの事が出来る!ちなみに上限は限りなく100に近い99.9だ」

軽元の口にした個性は、はっきり言ってふざけた個性だった。

 

「「めちゃくちゃだ……」」

強さも立場も異なる二人は、この時無意識だが同じ感想を声に出していた。

それ程までに反則級の個性なのだ。

先程緑谷に使ったのは恐らく『溜まった疲れを軽くする』という効果があり、ゴミに使ったのは『物の重さを軽くする』という効果があったはずだ。

 

「私は今まで色んな個性を見てきたが、こんな凄い個性初めて聞いたし初めて見たよ…」

「ぼ、僕も色んなヒーローの個性見てきたけど、こんな凄い個性見たことも聞いたこともない…」

 

「本当に凄いな……、軽元少年も雄英志望かい?」

こんなに強い個性で、しかも軽元もあの(ヘドロの)時に緑谷と共に爆豪を救おうとしたヒーロー体質、二人ならきっと良いヒーローになれると、オールマイトは確信をもって言えた。

 

そして、軽元が良いヒーローになれると思ったのはオールマイトだけではなかった。

「らいちゃんなら僕より凄いヒーローになれるかもね!」

緑谷も、軽元のことは推していた。

オールマイトに出会うまで、散々ヒーローになる事を否定され続けた緑谷だが、軽元だけは緑谷の夢を否定もしなかったし、笑いもしなかった。

どうして否定しないのかと聞いたことがあるが、その時軽元は「出久は優しいからね、ヒーローは個性だけで解決なんて単純な仕事じゃなくて、皆を安心させることも必要だと思う、要はどれだけ相手の拠り所になれるかが大事だと俺は思ってる

それに元々人は手と足さえあれば大抵のことができるじゃん」と返した。

軽元は元々個性だけで人を見てないのだ。

緑谷はその姿勢に尊敬しており、軽元と一緒にヒーローを目指したいとすら思う程だった。

 

もっとも、本人にその気が無ければ話は別であって……。

「いや、俺ヒーロー目指して無いよ?」

「「…………え?」」

軽元の言った言葉に、二人は鳩が豆鉄砲くらったような顔になった。

「な、なんで!?らいちゃんの個性と人柄なら凄いヒーローになれそうなのに…!」

「あれか!?昨日の彼らを見て失望したとかか!?それは本当にすまなかった!」

「いやいや昨日のことは関係ない」

実は少しある。

が、最大の理由はそれでは無い。

「だって……、面白くなくなるじゃん」

「……はい?」

軽元の口から出たヒーローにならない理由に、二人とも頭の上に?を浮かべた。

 

二人が分かっていないようなので、軽元は説明を始めた。

「考えてみ?自分と、自分に触れ続けてる対象に『常にダメージ99%軽減、個性による自傷ダメージ軽減、疲労軽減、相手の個性による影響軽減、実質状態異常無効、etc…』はっきり言ってこれクソゲーよ、しかもこれが当たり前になったらみんな甘えだして怠け者が続出する」

「た、確かに頼りすぎてそれが当たり前だと思いそうだな…」

「ヒーローは皆の心の拠り所だ、でもずっと居る訳じゃ無い、ヒーローだって人間だ、寿命もある、縋りすぎちゃいけないんだよ」

「ヌゥ……」

「そ、そう言われると確かに…」

軽元の言うことに2人は納得せざるを得なかった。

 

しかし二人とも諦めきれなかった。

緑谷は軽元と同じ高校に通うことを、オールマイトは軽元をヒーローサイドに置くことを。

「軽元少年、ヒーローになる気が無いのなら普通科に行くってのはどうだい?雄英は何もヒーローだけじゃ無いからさ!」

「それだよ!それがいい!らいちゃんも雄英行こうよ!」

「お、おう…まあ普通科ならいいけど」

急に押しの強くなった二人に、軽元は押されてしまい、頷いてしまった。

軽元は意外と意思の弱い人間である。

 

「てか俺よりも自分の心配しろよ出久」

「は!そうだった緑谷少年!君もうかうかしてられないぞ!」

「そうだった…!うん!僕も頑張るよ!」

こうして軽元は普通科、緑谷はヒーロー科を目指し、特訓が再開される。

今後どうなるかは、彼らのみぞ知る。

 

 

 

オールマイトは緑谷がゴミ掃除を再開した時、二人に悟られないよう、意味深に何かを考える仕草をとっていた。

「うーん、本人はああは言ったが諦めきれないな…、そうだ!あの人に相談してみよう!」

何かが起きる予感……。

 

 

 

 

 

続く……




誤字脱字等ございましたらお気軽に報告お待ちしております。

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〖次回予告〗
「せっかくの休日なんで少し大きめのモールに来た俺達」

「まあ目的はノートなんだけどね」

???「あれ?君も雄英志望?」

「一体誰だこの美少女は!?頑張れ出久!負けるな出久!初心な恋愛を俺に見せてくれ!」

「次回!『試験前の一幕』!」

???「さらに向こうへ!Plus ultra!!」
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