総受けスペちゃん   作:223系新快速

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お久し振りです。アイデンティティを見失って行方不明になっていましたが復活しました!


第1話 異変

黄金世代がトレーニングしている。だが、スペシャルウィーク以外の調子が悪い。

 

スペ「皆どうしたの?体調が悪そうだけど?」

エル「確かに不調デスが、だからって練習に支障が出る程じゃないデス。これくらいで止めていたら、世界最強になんてなれまセン!」

キング「そうよ、調子が良くても悪くても、同じパフォーマンスを出すのが一流よ。」

スペ「…。」

 

トレーニングが終わる。

 

スペ「皆はああ言うけど、やっぱり気になる。会長さんなら何か知っているかも知れない。」

 

 

生徒会室でルドルフ達が執務をしていると、スペシャルウィークがやってくる。

 

ルドルフ「どうした、スペシャルウィーク?浮かない顔をして。」

スペ「私の友人達がおかしいんです。ここ数週間、皆ずっと調子が悪くて…。確かに好不調の波はありますけど、皆沈んだままって、どう考えてもおかしいです!」

ルドルフ「そうか、気付いてしまったか。スペシャルウィーク、君に話さなければならない時が来たようだな。」

スペ「えっ、何がですか?」

ルドルフ「単刀直入に言おう、君の親友にしてライバル達は、全員重い病にかかっている。」

 

それを聞いてスペシャルウィークの顔が青くなる。

 

スペ「そ、そんな…。皆と一緒に走れなくなるなんて、そんなの嫌です!それに、そんな大事なことを私に隠すなんて…。」

ルドルフ「混乱するのは分かる。だが、これは事実だ。それに、これは治る可能性がある。それも、君の力でね。」

スペ「私の力で治せるなら、何だってします!それで、その病名は?」

ルドルフ「それは、本人達の口から直接聞いた方が良いだろう。」

スペ「分かりました!失礼します。」

 

バタン

 

グルーヴ「あれでよろしかったのですか、会長。」

ルドルフ「グルーヴ、君だって分かっているはずだ。抜け駆けする者に居場所はない事を。例え生徒会長の私といえども、組織の論理には勝てない。」

シリウス「フン、皇帝サマは相変わらず綺麗事に縛られているようだな。本当は自分がスペシャルウィークを独占したくてたまらないが、自分が掲げたお題目に反するから手が出せない、の間違いだろ。」

ルドルフ「これは手厳しいな。」

 

 

スペ「皆、話したいことがあるんだけど、いいかな?」

グラス「どうしたのですか、そんなに思い詰めた顔をして。」

スペ「会長さんから聞いたよ、皆重い病にかかっているって。そして、私が動けば解決出来る可能性があるって。」

スカイ「にゃははー、鈍いところがあるスペちゃんも気付いてしまいましたかー。」

スペ「悲しいです、皆が重い病にかかったことが、そしてそれに気付けなかった自分が。私は皆の力になりたいんです。」

グラス「…、スペちゃん、話すのは構いません。ですが、知ったら後戻り出来なくなります。覚悟は出来ていますか?」

スペ「大丈夫だよ。どったらに(どんなに)辛くても、私が皆を助けるから!」

 

悲壮な覚悟を見せるスペシャルウィーク。方言が飛び出す程である。

 

グラス「では、病の正体ですが、恋煩いです。」

スペ「え、ええええーっ!?こ、こここ恋ですか!?」

エル「そんなに驚くことデスか?幾ら競技者とはいえ華の青春時代、恋人がいてもおかしくないデース!」

スペ「だって、これまで匂わせすらなかったんですよ!?いきなり全員に恋人が出来るって、おかしいです。」

スカイ「まあ、そうだよねえ。」

スペ「でも、単なる恋煩いなら、私じゃなくても良いはず…。」

グラス「その対象が問題です。というのも、恋の対象は、スペちゃん、貴方だからです。」

スペ「ええええー!?」

 

再度驚くスペシャルウィーク。

 

スペ「女の子同士での恋愛は聞いたことあるけど、自分がその対象で、しかも友人だと思っていた人が皆そういう感情を抱いていたなんて…。」

スカイ「スペちゃんが悪いんだよ~。人を誑し込むようなことを自然に言うから。」

スペ「思い当たるところがないべ~!」

スカイ「じゃあ、一人ずつ披露するとしますか。」

 

 

~エルコンドルパサーの場合~

凱旋門賞でモンジューに敗れ、エルは傷心状態でした。電話をしたときも、スペちゃんにだけは本音が漏れてしまいました。そんなとき、スペちゃんは言ってくれたんです。

『来年また挑戦しよう、その時は私も一緒だから、辛くても一人じゃないって。』

それを聞いてエルは気がつきました。実力ではエルの方が上で、世界最強にだってなれるだろう。でも、この世代で最高の(・・・)ウマ娘は、スペちゃんしかいない、って。

 

~グラスワンダーの場合~

私がスペちゃんに出会った頃は、まだ怪我をしていて勝負することが出来ませんでした。ですが、その間にスペちゃんはライバルとどんどん名勝負を繰り広げ、それと共に私の期待は膨らみました。ああ、こんなにも素晴らしいライバルと出会えたなんて、私はなんて幸せ者だろう、と。

それだけに、宝塚記念での失望は大きなものでした。レースに集中せず、不甲斐ない走りをして敗北。あのときは本当に怒り、失望しました。

ですが、その後スペちゃんは立ち直って、有マ記念では死闘を演じました。最終的に私が勝ちましたが、首の上げ下げ如何では、スペちゃんが勝っていたでしょう。そして、その後から少しずつ私はおかしくなり始めました。独占欲がもたげ始めたのです。

最初は友人に対してそのような気持ちを抱くのはおかしいと思っていました。ですが、ドリームトロフィーリーグでの凡走で、気付かされたのです。友人が自分を見つめ直したのに、自分が逃げてどうするのか。周囲との関係が壊れるのが怖い?自分の醜さに失望されて振られるのを怖れる?そんな状態で生きていても、屍同然。腹を切った方がマシです。

 

~セイウンスカイの場合~

セイちゃんは、クラシック級ではスペちゃんよりも実績を出せたよ。なんたってクラシック二冠、しかも菊花賞では当時の世界レコードだからね。

だけど、シニアに入ってからGIでは入着止まり。自慢のレースコントロールが上手く行かず、勝てない日々が続いた。そうするうちに、段々レースが怖くなった。

「クラシックでは勝てても、シニアでは勝てない。」

「手の内がばれたら通用しない。」

「天皇賞を春秋制覇したスペシャルウィークの方が格上。」

恐怖心から大胆な戦法はなりを潜め、迷走し、差しで走ることさえあった。何もかもが詰まらなく思えて、レースを止めようかとさえ思った。そんなある日、スペちゃんがあの台詞を言ったんだ。

『言わせない。セイちゃんだって私達黄金世代の1人だって事、忘れさせない。』

間違いなくくさいセリフだよ。だけど、あのときの私にはそれしかなかった。藁にも縋り付く思いでやったら、クラシックの走りが蘇ってきた。それで理解させられたんだよ。スペちゃんなら、どんなくさいセリフも魔法の言葉に出来る(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)って。

 

~キングヘイローの場合~

初めて見たときは、私の相手じゃないと思ったわ。一流のウマ娘であるこのキングが、レース経験がまともにないウマ娘に負けるはずがないってね。だけど、基礎の力では遙かに上の相手には、その自信は直ぐに打ち砕かれたわ。それどころか、スペシャルウィークさん以外にも勝てない。

中長距離は諦めて、短距離にシフトすることにした。だけど、王道路線から逃げているんじゃないかという考えから、踏ん切りがつかない。だけど、スペシャルウィークさんの一言で決断出来たわ。

『レースは勝てなきゃ意味がない。勝てない路線で言い訳する方が余程逃げている。私は、そんなキングちゃんを見たくない。』

それから私は短距離にシフトして、結果を出したわ。もしあの一言がなければ、どうなっていたか…。

 

~ツルマルツヨシの場合~

私は最初、スペちゃんの丈夫さを羨ましいと思っていました。幼少時から病弱で、十分にトレーニングが出来ず、クラシックで共に走ることは叶いませんでした。だから、京都大賞典で走れるときはわくわくしました。やっと同じレースで走れるって。

でも、まるで気合いが入っていなくて凡走。レース後に思わず叫びました。「勝つ気がないなら、レースに出てくるな!」って。

その後、天皇賞(秋)では気合いを入れ直したスペちゃんが謝罪し、見事1着になりました。それを見て、病弱な私でも誰かのためになれるって分かったんです。そして、スペちゃんとずっと一緒にいたい、そう思うようになりました。

 

 

スペ「皆の本心は分かりました。責任を取って、関係を進めますね。」

キング「いえ、問題の本質はそこじゃないわ。」

スペ「え?」

キング「この場合、誰かを選ぶという事は、他の誰かとの関係を捨てるという事よ。」

スペ「そんなの、そんなの、出来ません!

キング「駄目よ、どんなに辛くても、それは責任を放棄することになる。全員との関係をこのまま維持するのは理想論だけど、現実には無理よ。法律上の問題だってあるわ。」

スペ「キングちゃんは、キングちゃんは辛くないんですか!」

キング「辛いわよ!スペシャルウィークさんを狙っているのは、黄金世代だけじゃない。一つ下のオペラオー世代も、上のスズカ世代も、いえ下手したら学園中がライバル。私が選ばれる確率なんて、ほんの数%よ。残りは、失意のままに現役生活を続けるか、恋の破局と同時に競技者としての人生も終えるか。」

スペ「そんなの、そんなの悲しすぎます。」

 

 

スペ「というわけなんです、トレーナーさん…。」

沖野「ったく、厄介だな…。」

スペ「これまで通りの関係を続けるのは出来ないんですか…。」

沖野「確かにそれが望ましいが、不可能だな。グラスワンダーが言ったように、一度その段階に到ってしまったら、後戻り出来ない。その事実を受け入れずに現状維持を選択したウマ娘は過去に何人かいるが、皆感情が更にもつれるか、路線変更を余儀なくされている。」

スペ「そうなんですか…。」

沖野「大丈夫だスペ、俺はお前の味方だ。おハナさんとも相談して、解決方法を見つける。」

スペ「はい…。」

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