総受けスペちゃん   作:223系新快速

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スペちゃんの人間関係が、何故嫉妬で崩壊しないのか、という話です。


第22話 特異性

アヤベ「おかしいわ。」

トプロ「アヤベさん、何がおかしいんですか。」

アヤベ「スペシャルウィークさんの人間関係よ。幾らシーザリオが皇帝として君臨しているからって、ここまでバランスがとれるはずがないわ。」

オペラオー「確かにそうだね。幸せの王子みたいなことになってもおかしくないのに、その気配が微塵もない。」

オンザリオ「それは私とブエナのお陰と言っても過言ではありませんね。」

 

シーザリオとブエナビスタが現れる。

 

アヤベ「びっくりした!いきなり現れないでよ。」

オンザリオ「:説明する機会(立場の差を分からせるチャンス)があれば、私はどこにでも現れますよ。」

アヤベ「今変なルビが見えたんだけど、気のせいかしら。」

オペラオー「気のせいじゃないよ。ボクにも見えたから。」

トプロ「それで、シーザリオさんがオペラオーちゃんみたく場を仕切るのは分かりましたけど、ブエナさんはどういう風に動いているんですか。」

オンザリオ「強さと、私とは別ベクトルでの懐の深さですね。」

 

 

ザリオ視点

 

ブエナは、G1を6勝した、誰もが認める強いウマ娘です。しかし、普段の生活ではその強さを感じさせることのない親しみやすさ、とっつきやすさがある。更に、レースの世界に飛び込んだのは、スペ先輩のジャパンカップがきっかけです。だから、スペ先輩に近づきたいモブウマ娘の心情も理解出来るんです。先輩達は自分の割り当てが減るってことでいい顔をしませんでしたが、肝心のスペ先輩がブエナの行動を肯定しているので、受け入れざるを得ませんでした。

 

ですが、そういうモブウマ娘のほとんどは、結局関係が長続きしませんでした。まあ当然でしょう、幾ら普段仲が良くても、練習や本番では手加減なし、そうなったら実力差に打ちのめされるのですから。

 

そして止めを刺したのがジェンティルドンナでした。モブウマ娘を一蹴するや、ブエナとマッチレースをして、『削った』のです。普段ならブエナが『削られる』ことはあり得ませんが、その時は自分を見失っていたので、そうなりました。

 

膝をつくブエナに対し、「貴方は私が認める強いウマ娘。そんな貴方の中途半端な行動は気に入りませんわ。貴方がこの世界で何を成したいのか、もう一度よく考えなさいな。」と言って、ドンナは練習場を後にしました。

 

 

ブエナ視点

 

そこから私は、ただひたすら練習に励みました。スペ先輩に憧れたのなら、実力をつける事こそが一番だって。ですが、必死に練習してもタイムは伸び悩み、その上練習に意義を見出せなくなっていきました。自分らしさが出せないと意味がないことは分かっていても、藻掻き、苦しむことしか出来なかったんです。

 

そんな状況を変えたのがスペ先輩でした。かつてスペ先輩がマルゼン先輩に連れられてバブリーランドでリフレッシュして自分自身を見つめ直したように、スペ先輩も私の視野狭窄を打破してくれたんです。近鉄特急「しまかぜ」で。

 

何故しまかぜなのか、それは、近鉄の二階建て特急車両としての軌跡を説明するためでした。普通鉄道として日本初の二階建て車両という先駆性、近鉄の看板列車としての栄光、新幹線に負けた事による苦難の日々と復活、看板列車の座を譲りながらも、観光特急としての立場確立…。全てが私の軌跡と重なったわけじゃありません。ですが、スペ先輩の意図を聞いて、理解出来ました。

 

「スペ先輩、スペ先輩って鉄道に詳しいんですか?」

スペ「ううん、ブライト先輩から聞いて調べたんですよ。」

「どうして私にそこまで…。」

スペ「自分を慕う後輩が苦しんでいるのを見て放置するのはあり得ないですね。それに、」

「それに?」

スペ「ここを乗り越えたら、ブエナさんは一皮剝ける、そんな気がするんです。」

 

 

ブエナ「そこから私は考えました。私のこの性格は否定するものじゃない、でも野放図にしていいものでもない。だから最初は敢えて相手の考え通りに進め、相手が引こうとしたところでこちらが話を大きくする。すると相手は自分から言った手前、引くに引けなくなり、やらざるを得なくなるわけです。やれないのなら相手は降参するか、尻尾を撒いて逃げるしかないですから。」

アヤベ「シーザリオだけじゃなくて、ブエナビスタもとんだ策士ね。お人好しと思っていたら、足を掬われるわ。」

ドンナ「あら、普通に接していれば何の問題もなくってよ。」

ドリジャ「ええ、彼女の行動は全て善性で、裏がありません。だからこそ恐ろしく、そして止められない。」

 

ブエナビスタを知るジェンティルドンナとドリームジャーニーが現れる。

 

アヤベ「何があったの。」

ドリジャ「次の日から、ブエナさんの目の色が変わりました。相手の個性や意見を尊重するが、妥協はしない。言外に、『自分のレベルまで登って来い』というようになったのです。」

ドンナ「私との研鑽も再び身が入るようになり、オルフェーヴルも倒し甲斐があると喜びましたわね。」

ドリジャ「ええ。ですが、それで割を食ったのがモブ達です。ブエナさんが以前と変わっていないから、蛮勇を振るうことは可能。ですが、その蛮勇を勇敢さに変える努力をしなければ、立ち位置がなくなる。淘汰圧が強まったのです。」

ドンナ「そしてそれは、ネームドウマ娘にも及びましたわ。シーザリオには反発出来ても、ブエナビスタには反発出来ない。それをしようものなら再教育として『スペちゃん実家送りの刑』に処されるから。結果、実力を見せるか、委縮するか、再教育を耐えて成長するか、脱落するかの四択になりましたわ。」

アヤベ「そんなにきついの?私は天体観測で野外に泊まる事もあるけど。」

タクト「そんな甘いものじゃありません。北海道は:羆(ひぐま)が出るんですよ。私のように返り討ちに出来るなら兎も角、大半のウマ娘はビビッて逃げ出しますね。」

 

デアリングタクトが顔を出す。

 

アヤベ「貴方はスペ一族のデアリングタクト。貴方も経験したのね。」

タクト「ええ。私がスペ先輩に馴れ馴れしいのが気に食わないウマ娘がいたので、格の違いを見せつける為に私の方からこなしました。私にとっては経験してきたことなので何のことはなかったですが、ケチつけてきた方は二度と舐めた事を言わなくなりましたね。」

アヤベ「無敗でトリプルティアラを達成する貴方を見下すなんて、とんだ怖いもの知らずがいたものね。」

タクト「いえ、私がこの学園に来て間もない頃の話です。」




アヤベ「なんでこの話を考えついたの?」
作者「ブエナは理不尽な要求に対しても叶えようとする行動がサポカであって、それをあえて計算したとするならこうだろうって考えたらネタになった。」

ブエナ「なんで鉄道ネタが出てくるんですか?」
作者「作者が鉄道好きで、この後鉄道ネタの話を作る予定だから。」
ブライト「ほわあ~、楽しみですわあ~(特急列車が名前の由来)。」
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