総受けスペちゃん   作:223系新快速

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次々に小ネタが出てきたので纏めたら、混沌(カオス)になりました。どうしてこうなった…。最初の予定では、ルドルフとシリウスの絡みだけの筈だったのですが。後ろの方は怪文書ですし(実は初めて)。
後、これだけ捻くれた考えをするんじゃ、そりゃ自分の好きなことでないと、上手く表現出来ないなって痛感しました。特にパーマーの苦悩は、何となく概念は抱きながらも、文章化はこれが初出です。


第6話 人誑しの心構え

~翌日~

 

ルドルフ「と言うわけで、私の考えに協力してはくれないだろうか。」

シリウス「断る。」

ルドルフ「何故だ。君もスペシャルウィークに好意を寄せているのだろう。」

 

それを聞いて露骨に嫌な顔をするシリウス。

 

シリウス「その前提がまず間違っている。私は、あいつをそういう目で見ていない。むしろ、私と同類の存在だと思っている。やり方は大分違うがな。」

グルーヴ「シリウスの人誑しは相手の行動を変える。ならば、スペシャルウィークも…。」

シリウス「ああ。だが、スぺの方が無自覚な分始末が悪い。際限なく広げるからだ。ま、スペのライバルの強さを見たら、自分が頂点に君臨するという発想など、出てこないのも当然だが。」

ルドルフ「デジタル、解決案はあるか?」

デジタル「うーん、デジたんには難しいですねえ。デジたんは、ありのままを受け入れるタイプです。なまじ何でも知っているが故に、下手に干渉すると、相手の人格の全否定まであり得るんですよ。」

シリウス「チッ、立場と能力に縛られるというわけか。他にいないのか。」

ロブロイ「じゃあ、私はどうでしょうか。」

 

手を挙げたのは、眼鏡を掛けた図書委員で、文学を愛するゼンノロブロイである。

 

シリウス「ゼンノロブロイ…。」

ロブロイ「デジタルさんのような公正中立の保証はありませんが、一人一人の物語の構築なら、自信があります。」

シリウス「成程、期待しているぜ英雄様。」

ドーベル「それなら私を除け者にしないでよ。私だって創作には強いわ。」

シリウス「おっとそうだったな。」

 

 

シリウス「大前提として、人誑しを止めさせるのは論外だな。スぺの長所が死んでしまう。」

チケット「そうだよ。スぺちゃんがいなかったら、今頃BNWは全員学園を去っているよ(BNWの誓いより)。」

タイシン「それだったらさ、自分で管理出来るようにはならないの。」

デジタル「それは難しいですね。現時点でフラグが立っているウマ娘だけで、ざっと100人。これのフラグ管理は、恋愛ゲームでも難しいです。ましてや現実はゲームのようにやり直しが効きません。」

ドーベル「それに、この手の特性は、管理すること自体がおこがましい考えよ。」

タイシン「は、何それ?自分の行動に責任を持たないのが良いってこと?」

ドーベル「そうじゃないわ、きっかけの問題よ。こういうのは偶然とかまぐれも大事なの。管理してしまうと、そうしたきっかけも生まれない。貴方だって、そうじゃない?」

 

それを聞いて、頷かざるを得ないタイシン。BNW駅伝の際、スピカトレーナーの沖野がくじを引き、更にスぺが乗り気であるという条件が揃わなければ、タイシンとスぺが関わることはなかった。

 

ロブロイ「こういうハーレム物では、正妻が仕切る事で秩序を形成するのがセオリーですが…。」

ドーベル「スぺの正妻のスズカは、走ることにしか興味がない。これで秩序をもたらすのは無理ね。」

ゴルシ「スぺの総受けを殺さず、それでいてスぺに対する欲望には忠実…。そんなのいるか?砂漠で氷を探すのより難しいだろ。」

マルゼン「私ならいけるわよ。これでもチヨちゃんやチケゾーちゃんの面倒も見ているし、実績はあるわ。」

デジタル「確かに、能力だけならそうかもしれません。ですが、前にも言ったように、フラグ管理の難しさは、単なる能力の問題じゃないんです。」

マルゼン「?どういうことかしら?」

ブライト「ほわああああああ!(怒り顔)」

 

ブライトが猛烈に怒っている。普段は普通に話すが、感情が高ぶるとほわあとしか言えなくなる。但し、叫び方により、怒っている時、喜んでいる時などが識別出来るので、メジロ家の間では、ほわあ語と呼ばれている。

 

デジタル「こういう風に、誰かが文句を言うんですよ。」

ヘリオス「だったらさー、デートするとかして、テンアゲすればいいんじゃないの?」

デジタル「そうすると、今度は別の誰かが不満を貯めるんですよ。これが、総受けの難しさです。ヘリオスさんなら、太陽の如くあまねく照らせるでしょうが、スペシャルウィークさんの場合は、そうはいかないんですよ。」

ドーベル「それはそうと、なんであなたがいるの?私の情報網では、スぺ掛かり勢には該当しないはずだけど。」

 

スぺ掛かり勢とは、スペシャルウィークに好意を寄せているウマ娘達の事である。この手の話にありがちな、恋にうつつを抜かして本業(レース)を疎かにするということがない。スぺがスズカにかまけた結果、グラスに宝塚記念で負けたのが原因である。だがその結果、欲望に忠実で、修羅場を形成しながらも、自分のやるべきことは最大限果たすという面倒な存在になってしまった。

 

ヘリオス「ああ、パーマーがしっとりしているから、状況把握。もし振られてピエンとなっても、アタシが慰めるからさ~!」

 

だがそれを聞いて、渋面になるデジタル。

 

ヘリオス「どしたん?デジタルがそんな顔するなんて、マジあり得ないっしょ。」

デジタル「ヘリオスさんのその気持ちに救われた人がどれだけいるか。ですが、今回に限っては裏目ですね。」

ヘリオス「へ、どして?」

デジタル「パーマーさん、今頃不倫の罪悪感に苛まれていますよ。」

 

デジタルの言うとおり、パーマーはスぺとヘリオスの間で心が揺れている。

 

ヘリオス「どして、どしてどしてどして!?もしかして、アタシの気配りが足りなかった?」

デジタル「その逆です。スぺさんとヘリオスさん、どちらもパーマーさんの事を気にかけています。ですが、それ故に、選べないという状態になっているのです。どっちを選んでも、選ばなかったもう片方に対して不義理になってしまう、という自責の念から。」

ヘリオス「テンサゲなんだけど~。お嬢が塩い時と、何か似てるし~。」

デジタル「ヘリオスさん、それは当然です。これはパーマーさんの問題であって、ヘリオスさんは相手の行動を受け入れなければならないのです。ヘリオスさんに出来ることは、パーマーさんが思いつめないように、傍にいることだけですね。」

シャカール「ったく、どいつもこいつもロジカルじゃねえ。」

デジタル「エアシャカールさん!?なんであなたが?」

シャカール「オレのデータ収集の邪魔になるンだよ。ファインはスぺ掛かり勢で毎晩毎晩オレとスペをどうやって本国に持ち帰ろうか策謀するし、他の連中も掛かっているしで、我慢の限界なンだよ。」

デジタル「成程。それで、エアシャカールさんの考えは?」

シャカール「決まっている。メジロドーベルに仕切らせることだ。」

 

シャカールが地雷を正面から踏み抜く。

 

デジタル「だからそれは駄目なんですってば。創作を策謀に使えるウマ娘が全体を仕切ってしまうと、総崩れになるんですよ。」

シャカール「仮定の話を基にして組み立てるとか、妄想と変わらねえ。そんなのに振り回されるとこっちが迷惑なんだよ。」

デジタル「仕方ないですね、ドーベルさんの脳内妄想の結晶たるあの作品を公開するしかないです。」

ドーベル「ちょ、ちょっとデジタル、あの作品を公開するの!?」

デジタル「そうでもしないと収まりませんよ。」

ドーベル「わ、分かったわよ。」

 

 

最初は、男性恐怖症だと思っていた。だけど、トレセン学園に入って、そうじゃないと気付かされた。私は、押しの強い相手が苦手なんだって。メジロ家の皆は私の事を知っているから気を使ってくれるけど、トレセン学園の一般生徒は、そういうのを知らないし、皆レースに全力で、普段の生活でもゴリゴリ押してくる。だからって、見知らぬ相手にいきなり自分の事を詳しく語るのも無理がある。

だから、スペに会えた時は嬉しかった。レースの時は強烈だけど、それ以外では控えめで、それに加えて親しみも感じる。自分が生涯を共にする相手は、スペしかいないと思った。

だから、スペが他の人と親しくしているのを見たら、心の中にほの暗い炎が宿った。どうして、なんで私だけを見てくれないの、私だけを見てよ、私以外を見るなんてユルサナイカラ…。

だから私は取引をした。タキオンの実験体になる代わりに、生やす薬を手に入れた。対人関係で不眠症に悩まされていると嘘もついて、主治医から睡眠薬も貰った。タキオンは、ウマソウルをいじると廃人になるリスクがあると渋ったが、これまでの所業を突き付けて黙らせた。完全なマッチポンプだという指摘もされたが、私はそれを上回って愛すると決めていたから、どうでも良かった。

そしてあの日、スぺは私のものになった。ティータイムに誘った私の淹れた紅茶を、何の疑いもなしに飲むスぺ。睡眠薬でぐっすりと寝ているすきに、生やす薬を飲ませる。強烈な痛みに、目を覚ますスぺ。生えてきたことに動揺し、お嫁にいけないと泣き叫ぶも、私は抱擁する。大丈夫、私はスぺのことを決して見捨てない。だから、2人で暮らしていこう、と。

お婆様は、ウマ娘同士で結婚することを認めなかった。自然の摂理に反する、どんなことが起きてもおかしくない、恋煩いで身を亡ぼすのか、と。だから私達は駆け落ちした。幸い、私達は2人ともG1バだから、当座の資金には不足しない。海外に高飛びして現地に落ち着き、野良レースを荒らしまくった。

だけど、そんな事をすれば出禁になる。そして、そうなった場合は、本家は駆け落ちした側と和解しなければならない。スぺはもちろんのこと、私もそのルールを知らなかったので、拍子抜けした。もっともこのルールはトレーナーとウマ娘が駆け落ちした場合を考慮したもので、ウマ娘同士の場合にも適用していいのかと問題になったが、生やす薬の関係で、スぺはもう公式戦で走れなくなっていたので、適用された。

現地のトレセンに編入し、やはりそこでも好走。ドリームトロフィーリーグには移籍せずに引退し、今は2人の間に出来た子育てに勤しんでいる。

 

どぼめじろう著「私とスぺの理想の世界線」

 

 

スペ「…。」

シャカール「…。」

「「「…。」」」

スカイ「脳内ピンクとはまさにこのことだね~(赤面)。」

エル「恐ろしいデース…。」

グラス「成程、そうやればいいのですね。参考になりました。」

ツル「ちょ、ちょっとグラスちゃん、やっちゃ駄目だよ。」

シリウス「いや、そこまでして相手を思う気持ちは理解出来るな。私なら、これくらいやってもいいだろう、と考えはする。」

 

ドン引きする者、理解を示す者、参考にしようとする者、反応は様々である。

 

デジタル「シリウスシンボリさん、幾らこの世は舞台装置で、我々は演劇の登場人物で、駆け引きは騙された方が負けとしてもです。いや、だからこそ、総受けにおいてはセオリーが通じないんですよ。」

ロブロイ「欲望に身を任せているばかりだと、想いの相手が潰れ、全員不幸になってしまう。現実には、一つでも上手くいかないことがあると、このようなシナリオは潰されてしまいます。」

デジタル「中途半端にうまくいった場合も危険で、世界線によっては、世界を巻き込んだ戦争が勃発しかねないんです。」

シリウス「ああ。だからこそ、考えはする、止まりだ。周囲から慕われる人物を、スキャンダルがあったわけでもないのに自分の都合だけで引き摺り下ろして独占するなど、世界の敵とみなされてもおかしくはない。」

ラモーヌ「まさか、ここまであけすけに自分の欲望を形にするとは思わなかったけど。」

ドーベル「だから嫌だったのよ。」

ラモーヌ「あら、褒めているのよ。変にため込んで暴発するよりは、冷静な判断力を維持出来るわ。」

 

 

SS「相変わらず決断力、行動力に欠ける連中だな。なら、オレが動くまでだ。」

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