総受けスペちゃん   作:223系新快速

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色々と急展開なSS周りの話ですが、とあるウマ娘を出すためです。


第8話 敗北

沖野「VRとはいえ、またレースか…。」

東条「まさかサンデーサイレンスがこんなことを考えていたとはね。」

SS「オレ、スペ、デジタル、ルドルフは確定だ。残り14人を選べ。」

 

日本ダービー 東京芝2400m左回り

枠順番号ウマ娘名
11サイレンススズカ
12キングヘイロー
23エルコンドルパサー
24メジロドーベル
35スペシャルウィーク
36フジキセキ
47メジロマックイーン
48メジロアルダン
59グラスワンダー
510シンボリルドルフ
611メジロパーマー
612セイウンスカイ
713サンデーサイレンス
714テイエムオペラオー
715メジロブライト
816アグネスデジタル
817トウカイテイオー
818マルゼンスキー

 

18人の枠に収まらなかった面々が文句を言い出す。

 

アヤベ「なんで私が外されるのかしら。」

ライアン「そうですよ。メジロ家の中で、私だけ外されるなんて…。」

ブエナ「スぺ一族の最強格である私が選ばれないなんておかしいわ。というか、他にも誰一人選ばれてないじゃない。」

 

スぺ一族の一角であるブエナビスタの怒りは特にすさまじい。

 

SS「ブエナビスタ、君が参加する意味はない。」

ブエナ「どういうことですか。」

SS「君は、レースの一部始終を見守る責務があるということだ。それに、スぺ掛かり勢以外が参加しても、時間の無駄でもある。」

ブエナ「時間の無駄?スぺ先輩がアメリカに連れ去られるのは、時間的損失で済まされる話じゃありません!」

 

 

一方、出走メンバーは作戦を立てる。

 

キング「このレース、自分が勝つよりもまずサンデーサイレンスさんを負けさせるのが大事よ。」

グラス「ですが、難しいですね。サンデーサイレンスさんの領域は、出走者全員の速度を下げるものです。」

エル「はっきり言って反則デース。」

スカイ「ま、だからヒール路線なんだろうけどね。要するに、周囲全てが憎たらしいという感情を結晶化したような領域なわけだし。」

オペラオー「いっそのこと、包囲網を敷くというのはどうかな?」

フジ「実際に敷かれた君が言うと冗談に聞こえないね。」

パーマー「でもさ、あたしみたいに包囲網に参加したら凡走必至の子もいるよ。」

グラス「いえ、そういう人は、マイペースに逃げてください。それで勝てます。」

エル「ラビットの逆デスネ。」

パーマー「成程。オケマル。」

 

皆が議論する中、輪を外れるスペ、ルドルフ、デジタル。

 

スぺ「皆さん、勝つために議論しているんでしょうけど、何か心配です。」

デジタル「その懸念はおそらく的中しますね。」

ルドルフ「私のように、鏡の自分と向き合えれば少しは変わるはずだが。」

デジタル「もしかすると、サンデーサイレンスさんは、レースでそれを実現するつもりかもしれませんね。」

ルドルフ「成程、だとしたら、一気に10人以上相手に出来るから、効率が良いというわけか。」

 

相談が終わり、順番にゲートが入る。

 

ガコン

 

スタートするや否や、サイレンススズカ、セイウンスカイ、マルゼンスキー、パーマーの逃げ4人以外がサンデーサイレンス包囲網を形成しようとする。

 

SS「全員で包囲網か。だが、甘い!」

 

領域

lobelia & Red bayberry

効果:発動時に憎たらしい出走者全員の速度を下げ、自分の速度を引き上げる

目を付けた相手がいる場合、その相手に対しては効果が減免される(複数人対象可)

 

「「「なっ!?」」」

 

スタート早々にデバフを撒かれ、全員がズッコケる。もたついている間にサンデーサイレンスが先頭に出る。

 

スカイ「ええ、そんなのあり!?」

SS「領域を開始早々に使ってはいけないと、誰が決めた。さあ、ここからはアメリカのレースだ。ついてこられないと惨敗だぞ。」

 

そう言うや否やサンデーサイレンスはぶっ飛ばす。アメリカのレースは、最初から全力で飛ばし、それを最後まで維持出来たウマ娘が勝つ、という展開が多い。

 

テイオー「ちょっと、これターボ並みに飛ばしているよ。」

グラス「ですが、サンデーサイレンスさんならこのまま逃げ切ってしまいます。」

パーマー「あの人逃げ主体だったっけ?」

マルゼン「違うわ。あの人は逃げているんじゃない。スピードが速すぎて、逃げているように見えるのよ。」

テイオー「それにしても、このデバフは何なのさ。全然速度出ないじゃん!」

パーマー「これじゃスタミナが最後まで残るか不安だよ。」

 

普通は最終直線で相手の最高速度を抑えるために使うデバフが、スタート直後の抑えた速度に対して適用されたために、物凄く遅くなってしまう。しかも、スペ、ルドルフ、デジタルはそこまで苦しくない。それを取り返そうとムキになってスピードを上げたために、スタミナを異常なまでに浪費したのである。

 

沖野「こりゃツインターボ、いやダービーでこれをやるとなるとかブラヤオーか。」

東条「カブラヤオーはウマ娘に対する恐怖心から無意識のうちにやったけど、サンデーサイレンスはレースコントロールの上で意識的にやっている。このままだと、スパートをかけるどころか、完走も危うくなるわ。」

 

その言葉通り、もう3コーナーを過ぎたというのに、ほとんどのメンバーがバテバテである。流石にサンデーサイレンスもペースが落ちているが。

 

SS「だが、このままじゃオレの勝ち…。やっぱり来たか、スぺ。」

スぺ「私は、皆と一緒にいたい!このレース、負けられません!」

SS「その気持ちは良く分かる。が、ここはオレが勝たないと駄目だ!例えレース後に骨折判定されようと!」

スぺ「!?」

 

そう言うや、サンデーサイレンスは二の足を繰り出す。スぺシャルウィークも末脚で対抗するが、クビ差及ばず二着となった。以下、ルドルフ三着、デジタル四着である。

 

 

SS「約束通り、スぺは連れていく。」

スぺ「えー、でも、皆が可哀そうですよ。」

SS「可哀そう?レースに生きるウマ娘が、レースで負けたことで奪われたのが可哀そう?自分の実力不足を恥じるんだな。ラビット戦術みたいなことまでやっておいて。」

 

サンデーサイレンスの言葉を聞いて、スペシャルウィークも腹を括る。

 

スぺ「…、そうですね、トレーナーさんも、スズカさんにかまけている私を叱咤したことがありましたし…。」

SS「分かったんなら行くぞ。」

スぺ「はい。皆さん、これまでありがとうございました。」

 

それを悔しそうな目で黙って見る一同。レースに負けた以上、文句を言えない。

 

スズカ「スぺちゃん、スペちゃーん!

 

ただ、スズカの叫びが響き渡った。

 

 

~翌日~

スズカ「スぺちゃん…。」

グラス「スぺちゃん…。」

エル「スぺちゃん…。」

オペラオー「スペシャルウィーク…。」

ブエナ「スぺ先輩…。」

 

スぺ掛かり勢のほとんどが、魂が抜けたような状態になっている。あのオペラオーまでもが、いつもの調子ではない。冷静なのは、一度打ちのめされたルドルフだけだ。

 

デジタル「ある程度予想していましたけど、酷いですね。まるでお通夜です。」

ロブロイ「あのレースに参加して無事なのは会長さんとデジタルさんだけです。」

ルドルフ「いや、私は先に鏡の自分とのやり取りがあったから大丈夫なだけだ。もしあれがなければ、私も包囲網に参加して撃沈していただろう。もしデジタルの荒療治がもっと進んでいたら、ここまで酷くなることはなかっただろうが、それを言っては駄目だろうな。」

デジタル「はい、時間がかかり過ぎるのも難点です。」

 

管理組が分析する一方、トレーナー達は頭を抱えている。今一度、VRウマレーターで走らせたところ、僅かな、しかし深刻な問題点が見つかったからである。

 

沖野「スぺの抜けた穴がここまで大きいとは…。」

東条「自分の為に走るという動機は失われていないから、序盤から中盤は変わらない。でも、終盤のあと一押しが足りない。不特定多数のファンの為に走るという動機は消えていないから、加速力はあるけど、スペシャルウィークとの親密さの為に走るという動機が消えるから、それが確固たるものにならずにブレが生じる。」

沖野「ほんのちょっとの差だが、その差が勝敗を分ける。今のままじゃ、レースに出しても敗北は明白だ。」

 

 

デジタル「見ていられません。デジたんがどうにかして…。」

東条「駄目よデジタル。今現実を見せるのは、傷口に塩を塗り込むようなものよ。」

デジタル「皆さんが苦しんでいるのを、ただ見殺しにしろというのですか。」

東条「貴方は現実を見ているけど、今必要なのは再び立ち上がるための夢よ。」

デジタル「それを言われるとデジたんにはもう…。ロブロイさん、どうにかなりませんか。」

ロブロイ「…、例え私が走って勝っても、それで皆さんを立ち直らせるのは…。誰か強力なリーダーシップで纏める人がいればいいんですが。」

ルドルフ「リーダーシップか。であれば、彼女に頼むしかないな。」

ロブロイ「それって、もしかして英雄の名を持つディープインパクトさん!?」

ルドルフ「いや、彼女ではない。彼女は走る事には熱中するが、リーダーシップを発揮するタイプではない。」

ロブロイ「ええ、それじゃあ一体…。」

デジタル「デジタルは分かりましたよ。確かに彼女なら、この閉塞状態を打破出来そうです。」

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