今日も僕は穴を掘る。
なんのためかって?
それは決まってる。死者を弔うためさ。
初めて穴を掘ったのは、10歳の頃。
可愛がっていた犬のチャールズが死んじゃった時に泣きながら穴を掘った。
あの時は、大泣きしながら穴を掘ったなぁ。
次に穴を掘ったのは、12歳の頃。
幼馴染のアンドリューが交通事故に巻き込まれて死んだ。
その時は、悲しいというよりもアンドリューともう会えないのだという不思議な感情が僕の中で渦巻いていた。
数年経って父さんと母さんが死んだ。
僕がハイスクールに行っていた時に家が強盗に襲われ、銃で撃たれたらしい。
両親の部屋の壁には、まるで前衛芸術のようにドロリとした血漿が塗りたくられていた。
葬式には、親戚のおじさんやおばさんが来てくれたけど、僕は自分一人ですべてやった。
僕は、ひとりぼっちになってしまった。
身寄りもないまま、ただ時間が過ぎるのもとても辛かったので僕はハイスクールを辞め、軍隊に入った。
それと、家に帰っても誰もいないし辛いから家を処分した。
思い出という名の綺麗なものは僕の中にはなにもなかった。
僕が訓練兵から一通りの技術を学んだ新兵になった頃、世界はきな臭くなって行った。
中央大陸、新大陸などいろいろなところで紛争が起き始め、新兵の僕たちも戦場に駆り出されるようになった。
そこで僕が見たのは、殺戮と殺戮と殺戮。
惨たらしく、死んでいく人たち。昨日までは笑ってそこら中を走り回っていたのかもしれない子供達。使い方も知らぬまま、自動小銃を握らされ戦場へ駆り出された少年たち。兵の慰み者として、躰を貪られた少女たち。
新兵の僕たちは、彼らの腕と足を縄で結び、横に並ばせる。見せしめとして安易な殺戮ではなく、これは正義のためだと自分の頭の中を染めていくようするための必要不可欠な犠牲と見なしていく。
そこに大人と子供の区別はなく、怒号、直訴、慟哭。様々な感情を口に出しながら、それらは処分されていった。
頭と胴体に狙いを付け、トリガーを引く。小さな声が鳴ると脳漿と肺腎が破れ、躰という器から零れ落ちる。
そんなことを繰り返し続けるうちに、小さな村の人間の中で生きている人たちは僕たち以外誰もいなくなっていた。
元村人達は今、地面に横に並べられまるでマーケットで売られるように陳列されていく。今のところ、ボロ布で包んではいるが、これもいつかはなくなってしまうだろう。
僕は、穴を掘る。
彼らを埋めるために、弔うために。
僕は誓う、これは正しいやり方なのだと。