微熱とサラマンダー   作:人造人間二号

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シリアスではなく、まともverとしました。
シリアスにしなかったのは前半のオスマンのギャグシーンがそのままだったからです。
決闘部分はギャグverと違いますが、前半は全く同じですので読みとばして下さって構いません。


ガンダールヴ(まともver)

学長室にキュルケ達が着き、ノックをしようとすると中から騒がしい物音がしたので何事かと思い、中に入るとなんと美人秘書のロングビルが学長のオスマンを倒して尻に何度も蹴りを入れていた。

「いい加減にしろ、このジジイ!!毎回人のスカート覗きやがって!!」

「いいじゃないか。減るもんでもなし。」

「五月蝿い!!このドスケベ!!」

普段取り繕っている顔からは程遠い形相と口調でロングビルはキレていた。

しかし、コルベール達の存在に気付くとそそくさと離れた。

「あら、ミスター・コルベール、ノックを忘れてますよ。」

「そうじゃよ、全く。」

この二人、見られた事を無かった事にするつもりである。

喰えない連中である(笑)。

「おほん、ミス・ツェルプストーとその使い魔をつれて参りました。」

タバサに触れないのは要するに遠回しに『帰れ』と言っているのだが、その意図に気付いてはいても、気付かないフリをしてキュルケの使い魔であるナツ達の事を聞く気満々である。

結局、全員で学長室に入る事になった。

「では、お主達の話を聞かせてくれ。」

「話って言われてもなぁ。」

ナツもハッピーも口が達者ではないので言葉に詰まってしまう。

すると、ハッピーの背中のギルドマークからメイビスが現れた。

「この二人はあまり話すのは得意ではないので、私から話させて頂きますね。」

いきなり出現した少女に皆驚くが、オスマン以外は二度目という事もあり、すぐに平静を取り戻す。

「ここに居る人の何人かには昨日お会いしましたが、改めてもう一度自己紹介させて頂きますね私の名前はメイビス・ヴァーミリオン、魔導師ギルド妖精の尻尾《フェアリーテイル》初代マスターです。ちなみにギルドというのは同じ志を持つ者が作る組織と受け取って下さって構いません。マスターというのはそのギルドの長の事です。」

「お主の様な少女がかね?」

「はい」

この様な小さな少女が一つの組織の長であるなどとは、皆信じられない様子であった。

「しかし、信じられないわね。こんなかわいらしい子がね〜。」

「これでも生きていたら111歳になるんですよ」

「そういえば幽霊だって言っていたわね…」

その言葉にオスマンは吹き出し、タバサは怯える。

「まあ、幽霊と言っても話以外は特に何が出来るという訳とでもないですけど。出てこれるのも1日に2時間位ですし。」

その言葉に周囲は落ち着きを取り戻す。

「あれ?でも昨日は数分で消えちゃったよね?」

「そう言えばそうね。」

「昨日の時点では二人の魔力はほとんど残ってませんでしたから…私が現れるのに二人の魔力をほんの少し使わせてもらっているのです。まあ、2時間ずっと出ていたとしても魔力の消費は二人の魔力の5%程度ですけど。さて、話を元に戻しましょうか。私達はこことは違うアースランドという世界、もしくは星から来たのです。」

「違う世界!?そんな意味不明な事…」

「黙っておれ、コルベール君。」

まあ、普通は信じられない話なので取り乱すのも無理はない話だった。ナツ達はエドラスの経験があったのでなんとか平静でいられた。

「エドラスみたいなもんか?」

「よくエドラスの事を知っていましたね?まあ、その通りですよ。まあ、皆さんあまり深く考えないでこのハルケギニアと常識が違う所からやって来たと考えて下さいね」

「ふむ、取り敢えずまず聞きたいのは昨日の決闘で見せた不可思議な力は何なのかということじゃ。」

「あれは…」

「あれは私達アースランドの魔法ですよ。」

ナツが答えようとするも、メイビスに答えられてしまう。

「しかし、あんなデタラメな力なぞ聞いた事がありません。」

「ですから常識が違うと言ったじゃないですか…恐らくハルケギニアの魔法は杖無しでは使えない、違いますか?」

「うむ、その通りじゃ。少なくとも人間には杖無しで魔法は使えん。そちらでは違うのかの?」

「はい、杖や道具が必要な魔法もありますけどね、まあ、魔法の種類を挙げていけば話すだけでも徹夜しなくてはならなくなるのでナツとハッピーの魔法についてだけ話をしましょう。その後はハルケギニアの魔法についても教えて下さいね」

「うむ…ちなみにどの位の数の魔法があるんじゃ?」

「私が知っているのは10万種類程ですよ。」

皆吹き出した。ハルケギニアに存在する全ての魔法を合わせても1000にも満たないからである。想像の遥か上をいく数字である。ナツ達はアースランド出身だが、そこまで多くの魔法はとても知らなかった。

「もし、本当にそんな数の魔法があるのなら、確かに細かく聞くのは無理じゃわい…聞くのはミス・ツェルプストーの使い魔の魔法だけにしよう。」

それからはナツ達の魔法について話した。特に滅竜魔法は様々な属性がある事やその属性と同じものを食べて一時的に力を増す事が出来る事、同じ属性ではダメージを与えられないという事を話した。

話の途中で食べる属性の中に毒があるというくだりはタバサの興味を強く惹いた。

「なるほどのう、昨日の二人は『火』属性じゃったからダメージを与えられなかったのか…しかし、『風』属性の魔法を受けてもピンピンしておったのはなんでじゃ?」

「滅竜魔法を会得した者の肉体は常人よりも頑丈になります。また、魔力を持っているだけでも魔法に対して耐性ができます。」

ハルケギニアではメイジもそうでない者も魔法を受けた時のダメージは変わりがなく、その点ではアースランドの魔導師の方が戦いでは強いと言えた。

また、ハルケギニアの魔法の話になったが全ての魔法に詠唱が必要であり、人間が使う魔法は全て杖が必要というのを聞いてまるでアースランドの『所持(ホルダー)系』の魔導師のようだと思った。

その後は今後の方針について話し合い、帰還方法を探すのに学園の資料を拝見させてもらえることを事を約束させた(学園の全面協力はオスマンが言葉を濁していたので取り付けられなかった)。

もっとも資料を見せるのすら最初は渋っていたが、召喚した主であるキュルケ自身が了承していたという事実のおかげで学園側もそれを認めた。

そこに突然ドアが開けられた。

「ハアハア、た、大変です。オールド・オスマン!!」

「何事じゃ!?ミス・シュヴルーズ。」

「昨日に引き続き、また平民と貴族の決闘が…『眠りの鈴』の使用許可を…」

「いやいや、たかが生徒のイザコザに秘宝の使用など出来んよ。で、誰と誰なんじゃ?」

「ミスタ・グラモンとミスヴァリエールの使い魔の少年です。」

「まあ、昨日の様な事もあるかも知れんしのう。」

ナツと仲良くなった少年の決闘と聞き、ナツ達は現場に向かう事にした。

まあ、今日は話も大体済んだので何の問題もなかった。

 

サイトSide

サイトは香水を親切に拾ってやっただけなのに、何で二股してたギーシュに謝れ等と言われなきゃいけないんだ、とか平民だという理由で見下される事への怒り、何より『こんな顔だけ野郎が何でモテるんだ!』という妙な方向への怒りによって相手の魔法の存在を忘れて決闘(ケンカと言った方が正しい)を受けた(まあ、魔法の存在を覚えていても同じだったが)。

ヴェストリ広場では多くの貴族が待っていたが、全員がギーシュの圧勝を確信している訳ではなく、昨日の決闘を見た貴族は今日も貴族が負けるのではないかという不安もあった。

また、昨日の決闘の影響からか、(原作と違って)その場にはシエスタなどの平民もチラホラと見られた。

「よく逃げずに来たね。誉めてあげよう。僕の名前はギーシュ・ド・グラモン!!さあ、決闘を始めようじゃないか!!」

「僕はメイジだから決闘には魔法を使わせてもらうよ、文句はないだろう?」

「いいえ、あります。」

「誰だ!?」

するとそこには昨日の決闘で勝ったナツとキュルケ達がいた。文句を言ったのはギーシュから見ても可愛らしい姿をした(ツルペタだが)少女だった。

「平民の立場で貴族である僕に正面から文句を言うとは大した度胸だね、何に文句があるのかを!」

「はい、相手は素手なのに貴方は杖を持っている事です。貴方だけ道具を持ち込んでいるのはズルいです。決闘というのならどちらも身分等関係なく対等の条件でやるべきです。よって貴方は杖を手放すか、相手に何らかの武器を渡すべきです。」

その言葉に皆息を飲んだ。確かに貴族は杖を常備しているが、平民は何も所持していない。

ならばサイトにも貴族にとっての杖に当たる武器を用意すべきだというのだ。

まあ、ナツは昨日素手(?)で貴族を倒したが、本来決闘は素手同士、武器を持った者同士等、対等の条件下で行われるべきものだからだ。

「確かに君の言う通りだ、失念していたよ…では武器を用意しよう、貴族にとって杖を手放すのは負けを認めるのと同義だからね。」

少し考えた後、ギーシュは武器を錬成する事を選んだ。

自分の魔法を見せたかったり、自分にとっての最大の武器を捨てたくないという打算的な面もあったが、二股の一件と違ってまともな方面のプライドが強く働いたのだ。

魔法は貴族、特にトリステインの貴族にとっては強い誇りなのだ。魔法を自ら捨てる事は自らの誇りを捨てる事で、二股でかいたのよりも遥かに恥だと感じたのだ。

「これで文句ないかね?」

「ええ、ありません。」

メイビスは自らの深い知識と経験からサイトのルーンに宿るガンダールヴの力に気が付いていた。まあ、気が付いていなかったとしてもこれ以上サイトの有利にする気はなかったが…

サイトは錬成された大剣を見てその格好良さに興奮し、手に取ると力が湧いてきた。しかし、サイトはその力がギーシュの剣の力だと思い、ギーシュを少し見直し、ギーシュに対する悪感情が薄れていた。

ギーシュが青銅の人形『ワルキューレ』を2体錬成し、ワルキューレがサイトに殴りかかる。しかし、剣を持ち、反応速度や運動能力が上昇したサイトにとっては充分ついていける速度であり、剣で受け止める。

そしてワルキューレ2体を真っ二つにした。

これにはギーシュも驚いて更にワルキューレを錬成しようとしたが、その前に間合いを詰められて剣を突きつけられる。

流石にもう詠唱が間に合う距離ではなく、勝ち目は無くなったのでギーシュはアッサリと降参する。

「参った、僕の敗けだ。」決着がつくと同時に歓声が鳴り響いた。




次話はまともverとギャグverのどちらの続きとしても通じる展開にします。
今後もよろしくお願いいたします。
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