波の音、風の音、船の機関の音。いつも聞きなれている音だ。コーヒーを飲みながら小さな舷窓を眺める。そこには青い海、そして二隻の駆逐艦が見える。対潜警戒のために艦橋に妖精たちが双眼鏡を構えにらみをきかせている。
そこへ二回のノック音が響く「失礼します」の声で提督私室の扉が開く。そこにはセーラー服を着た一人の妖精が立っていた。
妖精「提督、ヒトマルマルマルには入港とのことです」
提督「あと三時間か…やっとだな」
妖精「向こうの鎮守府からは援護は来ないのですか?」
提督「本艦隊が始めに付くまともな艦隊とは聞いていたが本当のようだな…よし、艦橋へ上がろう、あいつとも今後のことを話したい」
妖精「ハッ!失礼します」
ドアが閉まり、残りのコーヒーを飲み干す。そして艦橋へ行こうとしたその時だった。
スピーカー「右舷1200に潜望鏡視認!対潜戦闘!」
放送が流れ、考えるよりも先に走りだした。ラッタルを駆け上がり走る妖精を躱し何とか艦橋にたどり着いた。
??「駆逐艦たちを向かわせて、最大戦速」
少し低い落ち着いた指示がきこえた。それを発したのは、我が艦隊で最高戦力であり秘書”艦”でもある航空母艦の「加賀」である。
加賀「提督、友軍に打電しますか?」
提督「打電しても援護にくる艦がいない、俺たちで何とかするしかないさ」
通信妖精「軽巡”由良”より打電、カンソクキヲトバシサクテキヲオコナウ」
提督「潜水艦は駆逐艦たちにまかせ、本艦は対空、水上の警戒だ。抜かるなよ!」
もう少しで基地だというところでこれか。こんなところに配属とは左遷もいいところなんじゃないか?まったく大本営のやつらはなにを考えt…
見張り妖精「右舷1時の方向に雷跡!命中コースです!」
加賀「面舵一杯!艦首で受ける、艦首各科員退避!総員衝撃に備え!」
怒鳴るような号令が響いたと思った瞬間、強い衝撃とともに旋回の遠心力で投げ飛ばされる。艦橋にいた妖精たちもたえられずに投げ飛ばされる。何人かの妖精におしつぶされ、気が遠くなっていく。
目が覚める。いつものベット。舷窓から見える見慣れた艦影。
なにかがおかしい。魚雷を艦首に受けているはずだ。速度もおちていないし、護衛艦の配置も変わっていない。
コンコン 加賀「失礼します」
ドアが開き、加賀が入ってくる。
提督「損傷は?被害は?どうなったんだ?」
加賀「何を言ってるの?寝ぼけないで。鎮守府についたわよ」
提督「は?被雷してないんだな?」
加賀「被雷?いつの話?さっぱりわからないのだけれど。それよりこの状況をどうするかおしえて頂戴」
俺は舷窓を改めて見る。奥にい島らしきものがある。おそらく目的地のオアフ島だろう。
ここまではいい。だが、島から見える黒煙はなんだ?いろいろなところから黒煙が立ちのぼっている。
その原因は入港してすぐにわかった。深海棲艦の残骸である。おそらくこの基地を占領するときに停泊したまま沈められたのであろう残骸が大量にあった。これらのせいでドックや桟橋のほとんどが使えなくなっている。さらには建物”らしきもの”があるだけでほとんど耕されている。
止められそうなところに投錨し、内火艇で駆逐艦「夕立」に移乗し湾内を一周した。使えそうな建物こそないが、残骸をうまく活用すればなんとかやっていけそうだ。かなり大変になりそうだ。
とても微妙な終わりかもしれませんが次回から本格的にボロボロ鎮守府の生活が描かれます!お楽しみに!