艦これSS パールハーバーの提督   作:九九艦爆

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第七話 理想の上司

 

二人の男が椅子に座り、そっと目を合わせる

 

彼らは何も話さず、少しの時間がたった

 

片方の白い軍服を着た男が口を開く

 

提督「こんな場所に飛ばされるとは…貴様も落ちたものだな。」

 

もう一人の茶色で赤い線が入った帽子を被った男が口を開く

 

江原大佐「貴様こそ左遷…いや、あの時の責任を取らされているだけだろう?」

 

周囲の空気が一気に重くなる。そして二人はさらにお互いをにらみ合った。

 

提督「こんなのはやめだ…元気そうで何よりだよ、江原。」

 

江原大佐「そう言うお前こそくたばってるんじゃないかと思ったぞ。」

 

緊張が一気に解け、二人は笑顔で話し出した。

 

彼らは同い年であり、小さいころからの友人であった。しかし彼らは二人とも親が代々軍人の家系であり、提督は海軍、江原大佐は陸軍の道を進んでいった。当初は陸軍と海軍はあまり仲が良くなく、彼らも会う頻度は減っていた。そのころ深海棲艦の侵攻が始まり、南西諸島にいた撤退を余儀なくされた陸軍は本土へ撤退するため輸送船による撤退作戦を行っていた。そこで海上護衛を担っている提督と再会、もともと海軍と仲がいい派閥の陸軍軍人だった江原大佐と再び交流が始まったのであった。

 

提督「ところでなんだが…陸軍の宿舎や車両の置いておく場所がないんだ。どうする?」

 

江原大佐「…は?」

 

提督「えぇと…聞こえなかったか?」

 

江原大佐「いやいや、聞こえてるが…どうしろってんだ?」

 

提督「本島を制圧するか、輸送船で暮らすか、だな。」

 

江原「…本島制圧…だな。やるしかない。」

 

提督「わかった。船団は艦隊と本土に返さなきゃいけないからな…確か陸軍の船もいたよな?」

 

江原「あぁ、あきつ丸と神州丸がいるぞ。そこにうちの戦車隊やら車両が積まれてる。」

 

提督「上陸作戦は完全にお前に任せることにするよ。俺が口を出すのもあれだしな。」

 

江原「了解した。明日には上陸できるようにするさ。」

 

~~一時間後、フォード島バンカー内~~

 

ここはフォード島でも一番南にある格納庫。現在中にはたくさんの妖精、そして新規着任になる艦娘がいた。そこでは新規着任部隊の着任式が行われていた。

 

由良『次は真珠湾鎮守府提督からです。』

 

バンカーの端にある台の上に提督がマイクを受け取り上がっていく。

 

提督『えー諸君!この最前線の地、真珠湾へはるばるご苦労。そして、着任歓迎する。基地航空隊として派遣された者、陸戦隊として防空、整備、そして海兵団の任を任された者。様々な兵科のものがいるがどれも戦友であり、大切な仲間である。そこを忘れないでほしい。そしてこの真珠湾はこれから深海との交戦が大いに予想される。各地から選抜された精鋭妖精の諸君ならば敵部隊を殲滅してくれるだろう。この戦争をともに戦い、生き抜こうじゃないか。よろしく頼む。』

 

提督が敬礼をする。その話を聞いていたものたち全員が敬礼を返す。提督は三秒ほど敬礼をして、壇上から降りて行った。

 

提督「由良、すまないが基地航空隊、あと鳳翔さんとこの航空隊の隊長クラスの妖精を呼んでもらえるかい?応接室でいいから。」

 

由良「わかりました。呼んできますね。」

 

提督(さて…加賀さんとあいつらは…と)

 

~~数十分後、応接室~~

 

ここはフォード島にある建物の一室。このパールハーバーで一番まともな椅子があり、きれいな部屋である。

 

提督「集まってくれてありがとう。早速だが新規で着任した者には自己紹介してもらおうか。」

 

一人の妖精がほかの妖精に目配りして口を開く

 

”野中五郎”少佐妖精「真珠湾陸攻隊隊長として着任した野中五郎であります。」

 

提督「野中少佐、乗機は一式陸攻だったね?」

 

野中少佐「えぇ、一式陸攻でぇ編成は2中隊36機ほどです。予備機が数機、あとは一式輸送機が5機います」

 

提督は手元にある資料を読みながら野中少佐をチラチラと見た。

 

提督「今までは南西諸島勤務だったようだね。北方勤務になるのが急にここの配属に置き換わった…というわけか。」

 

野中少佐「内地はやたらと上からの指示が厳しくて…私の思いどうりに動けず損害は出るばかりで…そんな中連合艦隊司令長官殿からお話を聞かされましてやってきたというわけでさぁ。」

 

提督「ほう…ここはあまり私が厳しくいうことはない。比較的自由にしている。それが自殺行為や損害を増やすものなら止めるがな。私も比較的前線に出るようにはしている。だが私が敵を目の前に戦っているわけではないし、君たちが一番前線のことは分かっているはずさ。それを止めることはない。期待しているよ、野中少佐。本土で発揮できなかった分、ここで存分に実力を発揮してくれ。」

 

提督の言葉を聞き、野中少佐は少し驚きつつも自信に満ちた目で提督を見つめていた。

 

提督の横に立っていた加賀が野中少佐の隣に座っている妖精を見て、口を開く。

 

加賀「あら、柴田大尉じゃない。もしかして鳳翔隊?」

 

”柴田武雄”中佐妖精「お久しぶりです、加賀さん。今は中佐です。鳳翔制空隊隊長を務めさせていただきます。」

 

提督「知り合いかい?加賀?」

 

柴田中佐「昔、少しの間加賀の搭乗員でして…すぐに本土に移動になりましたけどね。」

 

加賀「確かそのあと鳳翔隊勤務だったわよね?」

 

柴田中尉「はい、そのまま海軍内でいろいろあって移動もなく…ですね。」

 

提督「鳳翔隊は確か戦闘機隊しか乗せてきてなかったよな?」

 

柴田中佐「はい、赤城隊を乗っけるって言われて…」

 

提督「海軍省もケチだよなあ。配置変えてでもここに増援を送りたくないようだ…」

 

??「そんなに増援を望まなくても何とかなるんじゃないですかね?」

 

最後の妖精が口を開く。

 

提督「自信満々だな?ブツさん」

 

”村田重治”少佐「少し赤城隊から離れてましたけど、何とか戻ってきましたよ。」

 

提督「そうだな、赤城隊…いや鳳翔隊みたいな配属になると思うがまたよろしく頼むよ。」

 

妖精たちは挨拶を済ませ、必要事項を話し、退出していった。

 

提督「ふぅ、うちの部隊も大きくなってきたな。」

 

加賀「そうね。航空隊はかなりそろってきたんじゃないかしら。」

 

提督「この島は飛行場が多いからな…ん?」

 

加賀「どうしたの?」

 

提督「なぁ、フォード島飛行場駐機スペースの使用率は?」

 

加賀「私の隊と赤城隊で…60%くらいかしら」

 

提督「基地航空隊の機数は?」

 

加賀「えぇと…陸攻が40機ほど、戦闘機隊が25機、偵察機隊が同数ね。」

 

提督「さて、どうしようか…滑走路と露天駐機場は使えるとはいえバンカーも数個しか復旧できていない。せいぜい使えて海軍機のみ…陸軍機やこれから来る増援は、配置できない。」

 

加賀「ひっかむ?飛行場だったかしら?あそこはかなり大きいみたいだけど?」

 

提督「そうだな…江原にでも話してくるよ。」

 

提督が頭を掻きながら部屋から出ようとしたとき、壁についている電話が鳴る

 

提督(…?なんでこんな時に…)ガチャ

 

提督『はい。こちら応接室の提督だ。』

 

由良『由良です。長官がお話ししたいことがあるとのことです。今は3番格納庫に…え?長かn…』

 

提督『おい?由良?』

 

長官『私だ、応接室といったな?今からそっちへ行くよ。』

 

提督『仮にも上司なんですから…』

 

長官『まぁまぁ、こちらも由良ちゃんと話すのが楽しくてね…彼女といる時間を少しくれてもいいじゃないかい?』

 

提督『はぁ…わかりました。お待ちしてますよ。あ!もし由良に手を出したら…お分かりですね?』

 

長官『わかっておるわ…では後ほど…』ガチャ

 

提督「さて…加賀、少し待とうか。コーヒーをいれてきてくれるかい?」

 

加賀「わかったわ。」

 

~~数分後~~

 

長官「…ふぅ。おちつくなぁ。」

 

提督「…」ズズズ

 

由良(この人苦手かも…)

 

加賀(私もあまり好きではないわ)

 

提督(お前ら…そんなに悪い人じゃねぇぞ?俺も世話になったし。ただ…エロおやじなだけ…だ)

 

由良&加賀(そこなんだけどなぁ…)

 

長官「それで、この前話しそびれたことなんだが…というかここを視察して決めたことなんだが…」

 

長官「まず、工作艦である明石を配属する。もともと南方に佐世保と呉の艦隊が行く予定でな…ついていかせる予定だったが予定より制海権が安定しはじめた。それとここの基地の損傷具合が想定よりひどかったんで湾口設備の修復、完成までのドック機能として動いてもらう。」

 

提督「これまた重要な艦を…」

 

長官「それだけこの拠点が重要だということだ。」

 

提督「これで…終わりじゃないですよね?」

 

長官「察しがいいな。君は少し隠し事をしているんじゃないかい?」

 

提督「相変わらずかないませんよ…フレッチャーのことですね?」

 

長官「あぁ…さらっと由良ちゃんが話してくれたよ。」

 

由良(わざわざここまで一緒に来たのって…)

 

加賀(気にかけることはないわ。提督が何とかしてくれます。)

 

提督(随分他人事だな…)

 

長官「彼女のことなんだが、深海棲艦の可能性がある以上海軍では本土に連れていき保護することは非常に危険であると言える。」

 

提督「…」

 

長官「万が一のため処分する…」

 

提督「…ッツ!」ガタッ

 

長官「と海軍省や軍令部の連中は言うだろうが…幸い知っているのは儂だけだ。」

 

提督「…」

 

長官「それで…ここで様子見をしてほしい。」

 

提督「なるほど…長官の直轄の基地で独断で危険を犯すと?」

 

長官「君も処分はいやだろう?彼女も、君をどうなるかわからない。」

 

提督「…返事はお分かりですね?」

 

長官「君のことだ…よろしく頼む。ところでなんだが…」

 

提督「まだあるんですか?」

 

長官「あの子とお話させてくれない?」

 

提督「駄目です。」

 

長官「10分…いや5分でいいから…」

 

提督「駄目です。」

 

長官は応接室から渋々退出し、提督たち3人が残っていた。

 

由良「あの人ほんとに長官なんですか?」

 

提督「はは…あんなのだから疑われても仕方ないか。」

 

加賀「確かあの人って…」

 

提督「深海の奴らのせいでイカれた指揮系統を立て直し、艦娘の運用を確立させ、優秀な人材をうまく活用できるように年功序列から実力主義の風潮に変え、前線を押し返せたのもあの人のおかげだ。」

 

由良「えぇ!嘘ですよね?ね?」

 

提督「そういえば…由良、深海棲艦と開戦したときの俺の階級知ってるか?」

 

由良「今少将ですよね…ぽくないですけど…変わらないんじゃないですか?」

 

加賀「少佐よ。」

 

由良「…え?」

 

提督「あれから3年…ぐらいか?」

 

由良「そんなのあり得ませんよ!」

 

提督「自分で言うのも何だが…世界大戦がはじまろうとしている時、深海の奴らが現れた。戦局は悪化、撤退を強いられた陸軍のために船団護衛をして…水雷戦隊で敵戦艦を沈めたりなんやらかんやら…で中佐に昇進、そのあと機動部隊を率いて真珠湾攻撃…結果は一応A勝利判定…それで二階級上がって少将。こっち来る前に中将に…だな。」

 

由良「もしかして提督ってものすごい人なんじゃ…?」

 

提督「当たり前だろぉ?提督だぞ?」

 

加賀「…お父さんのおかげもあるんじゃないのかしら?」

 

提督「加賀ァ…俺は実力でここまで来たんだ。お前もわかってるだろ?」

 

加賀「冗談よ。」

 

由良「…?」

 

提督「由良…俺がなんか悪いことでもしたか?」

 

由良「いえ…そんなことは…ないですよ?!ね?ね?」

 

提督「今までの感じだとすごい信頼がないというか…」

 

由良「改めて思うと提督さんってすごい親切ですよね。」

 

提督「そうだろうそうだろう。まさに理想の上司ってやつだな」

 

加賀「長官みたいなエロおやじでもなく、呉の提督みたいにすごい熱血でもなく、佐世保の提督見たいに腐ってなく、舞鶴みたいに厳しくなく…案外マシなのかもしれないわ。」

 

提督「ひでぇなお前ら!これでも上司だぞ?!」

 

由良&加賀「提督だし…」

 

提督「まったく…悲しいもんだな。俺だからって…まあいいけどな。」

 

加賀「あら、優しいのね。」

 

提督「誰のせいだと…まぁ、変に固い話しかできない関係よりも冗談を言い合える中のほうがいいだろ?」

 

由良「提督さんらしいですね…」

 

提督「さて…もうこんな時間か!飯にしよう。新しく着任した艦たちも呼んできてくれ。個人的にはあってないからな。」

 

そういって彼らは食事に向かった。

 

外では妖精たちが荷捌きをしている。ハワイのきれいな海は薄暗くなってきた空の下、夕日に照らされ輝いている。飛行場では照明をつけ、作業していたが、ボロボロのオワフ島市街地は暗く、不気味な雰囲気を漂わせていた。

 

~~ホノルル市街、ボロボロのホテルの一室~~

 

??「Their reinforcements?」

 

??「I'm not sure. 」

 

??「You think so? They're human. I think they would understand us.」

 

??「Is it easy to trust someone who has been your enemy? I'd love to talk with them once.」

 

??「Let's go base. Must be reported.」

 

??「...OK」

 

 

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