密室で何してるんですか?ペロペロしちゃってますが何か?ふざけてるんじゃねえですよ追放させて頂きます 作:すかすかのタキ
彼女はまだ発生して5年程度の幼い妖精である。
しかしその利発そうな瞳には、周囲を見渡し今自分が何をすべきか的確に判断できる大人顔負けの知性と、リーダーとなる人物に相応しい高い倫理観と責任感が既に芽生え始めている。燃えるような赤い髪は、内に秘められた強い意志が収まりきれず外へ溢れ出しているかのよう。
この将来有望な少女、名をエクルエクラという。
彼女は自分の前にしゃがみこんでいる、長身の女性のことが大好きだ。
ご飯は毎日おいしいし、自分達を必要以上に子供扱いせず、厳しさと優しさを使い分け対等な存在として接してくれる。
愛情表現がおっかなくてうっとうしい。ストレスの解消法や交渉の仕方がやたら暴力的かつ短絡的。仕草、口調、表情。どれをとっても子供以上に子供っぽくて、なのにそれが妙に板についている。この人は大人としてどうなんだろうと呆れることも少なくないが、まあ現実なんてそんなものかとゆるく諦めてあげている。
だからつい、絆されてしまった。
しょうもないわがままと、無視することも適当にあしらうことも出来なかった。
今日の業務はまだ序盤。まだまだ後がつかえているし、先輩方の手を煩わせることもしたくない。ならば自分が損を被ろう、それが一番効率がいい選択なのだと、明らかな判断ミスをしてしまった。
長身の女は「しかたないなーもう」と差し出された手をしっかと握ると、間髪入れず人差し指をぱくりと口に含み入れた。
「ひゃあん!?」
え、ちょっと、今の変な声は何!?わたしの口から出ちゃったの!?嫌だ恥ずかしい!外にまでは聞こえていなかったよねと、エクルエクラは羞恥に頬を赤く染める。
だが当然、それだけで終わる筈がない。
「んんん~…!」
つま先から頭まで、鳥肌が駆け抜けていった。
指全体を、しつこくねっとりと舐め回されていく。甘い点。苦い点。しょっぱい点。その這い回る感触は、どんなささいな違いも見逃さないという丹念さと執拗さに満ち満ちている。
エクルエクラの心に、急激に焦りが生じていく。よく分からないけれど、何だかすごくいけないことをされている。今すぐこの指を引き抜いて逃げ出さなくてはならない。しかし今更拒絶しようにも、相手は浮遊大陸郡随一の膂力を誇る戦闘種族である。魔力による身体強化を躊躇していては、幼女の細腕で振りほどけるものでは到底ない。
緊張と未知の感覚に体が強張る。誰か助けて。なりふり構わず声を上げるべきなのに、恥じらう意識が躊躇させる。
「あらいけない。固くなったら味が落ちちゃうわ」
大柄な女はそれを鋭敏に察知した。すると一転、今度はまるで心身を慈しみ優しく解きほぐすような甘噛みが、何度も何度も繰り返される。
「はうう~…」
これまでとの落差に耐え切れず、とうとう少女の口から甘い吐息が漏れ落ちた。
また舐められる。噛まれる。啜り上げられる。激しいのに丁寧。献身的でありながら自分勝手。巧みに織り交ぜられる緩急に、その思考は恍惚に呑まれ、瞳はぼんやりととろけだしていく。
「頃合いね」
そう呟くと共に、奔放に玩味されていた人差し指が解放された。唾液に濡れた幼い指は、少女は自身が捕らえた獲物なのだと証明し、同時に外敵を威嚇するかのよう。
頃合いとは何か?本来のエクルエクラなら即座にその意味を理解して、今度こそ全力の抵抗を試みただろう。だが弛緩しきらされた意識は最早まともに働いておらず、それを認識しようとすらしない。
少女の両肩に手を添えると同時、女の口がかぱあと開く。上品な仕草によって、日常では巧みに隠されていた絶対的捕食者の牙が剝き出しになる。
抵抗は皆無。エクルエクラの瞳は、未だ虚ろに中空へと向けられたまま。竜種の肉すら引き裂きかねない鋼の牙が、柔く無防備な首筋へ突き立てられようとしたその刹那。
これ以上の狼藉は許さないとばかりに。女のこめかみに、不老不死の怪物すら穿つ、起動状態の遺跡兵装が突き付けられた──