僕と君と初恋予報   作:京勇樹

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さぁ、京勇樹の無謀な挑戦が始まります!


バイトの始まり

翌日

 

授業も終わりバイトに行こうとした時、明久は陽斗に声を掛けられた

 

「なあ、明久。先月の頭に、俺がバイクで事故って軽く入院したのを覚えてるか?」

 

「当たり前だよ。あの時は、本当に心配したんだからね」

 

陽斗の言葉に、明久がそう返すと陽斗は苦笑いを浮かべて

 

「悪い悪い……実はな、入院した病院で気になる()が……」

 

と、そこまで言った時

 

「あれ? ……植村君?」

 

という、女の子の声が聞こえて、明久と陽斗は声のした方に振り向いた

 

そこに居たのは、どこかフワフワとした感じのした少女だった

 

「こ、小梅ちゃん!」

 

少女、小梅らしい少女を見て、陽斗は顔を赤くして体を強ばらせた

 

「どうしたの?」

 

「い、いやぁ! これから明久と一緒にバイトに行く所でさ!」

 

少女からの問い掛けに、陽斗は緊張した様子で返答した

 

「明久?」

 

「あ、ああ、こいつだよ。俺のダチで、吉井明久」

 

少女が首を傾げると、陽斗は明久を紹介した

 

「よろしくね」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

明久が軽く頭を下げると、少女はペコリと頭を下げた

 

「それじゃあ、私は先生に用事があるので……バイト、頑張ってくださいね」

 

「あ、ああ、ありがとう! じゃあね!」

 

陽斗がドモりながら感謝を述べると、少女はペコリと頭を下げてから去っていった

 

そんな少女を二人は見送り、少しすると陽斗が

 

聖小梅(ひじりこうめ)ちゃんて言ってな、俺が入院した病院に検査入院してた娘なんだ……」

 

「そっか……」

 

陽斗の言葉を聞いて、明久は小梅の雰囲気と喋り方を思い出して

 

「うん……良い娘だと思うよ……応援するね」

 

と言った

 

その明久の言葉に、陽斗は恥ずかしそうに頬を掻きながら

 

「おう……ありがとうよ」

 

と返した

 

そして、数十分後

 

「うん、似合ってる似合ってる♪」

 

「ですねー」

 

着替えた明久を見て、店長とひよりは満足げに頷いていた

 

そして、着替えた明久は嵌めた手袋の様子を確かめるために、二三度ほど手を閉じたり開いたりしていた

 

すると、先に着替え終わっていた陽斗がトイレから戻ってきて

 

「俺は厨房に居るから、何か質問があったら聞いてくれよ」

 

「うん、ありがとう」

 

陽斗の言葉に、明久は素直に感謝した

 

「それじゃあ、香月さん。指導はお願いね」

 

「はい、任せてください」

 

店長からの指示を聞いて、ひよりは頷いた

 

「よろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくねー」

 

明久が深々と頭を下げながら言うと、ひよりは微笑みながらそう返した

 

そして間もなく、明久の仕事は始まった

 

最初は基本的な、紙ナプキンの補充や窓拭きを指導された

 

ひより曰わく、明久は筋が良いらしいので6時を過ぎた辺りでレジの指導が始まった

 

「なるほど……ここを押すと、ポイントが加算されるんですね……」

 

「そうそう。ウチじゃあ、ポイントカードとスタンプカードの両方を使ってるから、忘れないようにね」

 

明久の呟きに、ひよりが答えたタイミングで、ドアが開きカウベルが鳴った

 

「いらっしゃいませ……」

 

そこまで言って、明久は固まった

 

なぜならば、入ってきたのは雪だったからだ

 

雪は明久に気づいてないらしく、スタスタとカウンターに歩み寄って陳列されているドーナツを品定めすると

 

「……これとこれとこれ……それと、これをください」

 

と注文した

 

「はい、お持ち帰りですか?」

 

「はい」

 

ひよりからの問い掛けに、雪は淡々と返した

 

そして、ひよりは注文されたドーナツを箱詰めしながら

 

「ほら、吉井くん。会計」

 

と言った

 

「あ、は、はい!」

 

促された明久は、慌ててレジの操作を始めた

 

「……吉井?」

 

明久の名前を聞いて、雪はようやく明久に気づいたようだ

 

ただし、その表情から察するにうろ覚えらしい

 

「やだなぁ……クラスメイトだよ。椎名さん」

 

明久がそう言うと、雪は数秒間黙考して

 

「ああ……そういえば、居たような気がするな……隣の席に」

 

「それ、僕だから……あ、ポイントカードとスタンプカードは?」

 

雪の言葉に明久は肩を落としながら、そう問い掛けた

 

すると、雪は財布から二枚のカードを取り出して明久に手渡した

 

カードを受け取った明久が、ポイントを加算してスタンプを押していると

 

「吉井くんの知り合い?」

 

とひよりが首を傾げた

 

「はい、クラスメイトです」

 

「ふうん……そうなんだ……」

 

明久の言葉を聞いて、ひよりは雪の顔と明久の顔を交互に見た

 

「ウチの超常連さんと知り合いなんだー」

 

「超常連?」

 

ひよりの言葉に、明久は軽く驚いた表情を浮かべた

 

「うんー……週に四回は来てくれるよ」

 

「へぇ……」

 

ひよりの話を聞いて、明久は雪の顔を見た

 

「なんだ……」

 

そんな明久の行動に、雪は明久を睨んだ

 

「ああ、気を悪くしたならごめんね……ただ、可愛らしいなって」

 

明久が謝ってからそう言うと、雪は顎に手を当てて

 

「可愛らしい……」

 

と唸りだした

 

そんな雪の様子に、明久とひよりは揃って首を傾げた

 

そして、数秒後

 

「もしかして……アタシのことか……?」

 

雪はそう言いながら、顔を赤くした

 

「椎名さん?」

 

明久が問い掛けると、雪は財布に視線を落として

 

「いいから……早く会計を……」

 

と言った

 

「あ、ごめんね……えっと……五百七十八円です」

 

明久がそう言うと、雪は小銭入れからお金を取り出して受け取り皿に乗せた

 

「六百円ですね……二十二円のお返しとカードです」

 

すると雪は、足早にドアへと向かった

 

「あ、ありがとうごさいました!」

 

明久がそう言ったタイミングで、雪は外へと出ていった

 

そして明久は、雪を見送ると

 

「一体、どうしたんだろ……椎名さん」

 

と首を傾げた

 

すると、ひよりが

 

「多分、恥ずかしかったんじゃないかなぁ?」

 

と言った

 

「恥ずかしかった?」

 

「うんー……多分、可愛いとか、言われ慣れてないんじゃないかな?」

 

明久の問い掛けに、ひよりはそう返した

 

「そっか……本音なんだけどなぁ……」

 

明久はそう言うと、雪が置いたお金をレジへと仕舞った

 

その頃、外を歩いていた雪は

 

「なんなんだ、あいつ……アタシなんかを可愛いって……可笑しな奴……」

 

恥ずかしいからか、顔を赤くしながら早足で歩いていた

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