俺のクラスには変人が居る。
そいつの名は比企谷八幡、一言で表せばボッチの中のボッチだ。
しかもこいつはただのボッチではない。
休み時間などに密かにこいつをふとこいつを見てみると、ニヤニヤした顔で本を見つめているのだ。キモい。何読んでるのか興味も湧かないほどキモい。
顔はイケメン寄りなのだが、残念なことに目が腐り切っているのでイケメンと見られる事はほとんど無い、てか俺には思えない。その世間の無でも見ているかのような目さえ直せばもうちょい見てくれは良くなるだろうに…
初めての体育の時間でも勿論こいつはボッチだった。俺は適当な奴に声を掛けてペアにしてもらった。確か、戸部…?だっけか?
マジ…だべ!とかパネェ!とか言う口調さえ直してくれればもうちょいマシな奴なのにな。次からは別の人に声を掛けようと思う。五月蝿いから。
んで、肝心の比企こもり(主に自分の心の中に)君は自分だけが残されたのに全く気にせずトイレエスケープを使い、体育の授業中は帰ってこなかった。なので俺は終始横でだべだべ言ってる奴と会話しなければならなかった。疲れた。
そんなわけで、進級してから一週間は殆ど比企こもり君と愉快な仲間たち(まあ居ないが)の観察に費やしたわけだが、更にもう一人うちのクラスには変なのが居た。
葉山隼人、比企谷君とは全く真反対の位置に属する人間だ。俗に言うリア充である。
容姿は金髪で優男…優男って容姿に入るのか?…まあいいや。つまりはイケメンと言うことだ。
それにサッカー部のエース…だよな?わからん。そこはどうでもいいか。
そんな訳で、この葉山隼人はとにかくクラス1のリア充である。たまに比企谷が妬みの入った暗い目線を葉山に向けてるくらいリア充である。
しかし、そんな葉山は時々よく分らない表情をする。過去を振りほどくような、寂寥を感じるような、申し訳なく思っているような、そんな表情だ。
具体的な事は俺には分らないのだが、何となく仮面を被っている…ような気がするのだ。クラストップのリア充が。
まあ俺の主観だから事実は全く違うのだとは思うのだが、あの葉山には何かあるのは確かだと思う。多分。
…まあ結局はだから何だって話になっちゃうんだがな。
4月も中盤に入り、桜は淡々と緑に覆われ始め、俺の心には新しいクラス内関係に対して不安と絶望で覆い尽くしてくれた。いや、希望をくれよ。
実のところを言うと今の所クラス内で話したことがあるのは、最初の体育の……何とか君だけだ。名前すら忘れたよ、一週間で。
まあ名前覚えてんのは比企谷と葉山ぐらいなんだけどな。やっぱ今年は新しい人間関係には恵まれないかもしれん。人間観察の対象には恵まれたが。
気付けば一時間目だったのが昼休みに移り変わっていた。早い、全く気がつかなかった。それでもノート取ってる俺偉い。
ペンと消しゴムを筆箱の中にしまい、消しカスは下に落とす。きっと今週の掃除当番がチャンバラしながら取ってくれるだろう。あるいは誰かの上履きの裏にへばりつくかだな。それが葉山だったら最高。
そんなどうでもいいことを考えながら弁当を出す。近くのコンビニで買ったイチゴオレと俺の母の手作り弁当だ。水筒は朝一番に学校の蛇口で捨てた。
その理由は母が入れてくる水筒の中身が酷いからだ。母お手製の栄養ドリンクとか言いつつナメコがそのまま入ってたり、酷い時は引き千切ったダンボールのカスのような物が入っていた。
更にタチが悪いのは、コレを空にせずに家に持って帰って文句を言うと夜に父親が怒鳴り込んでくるのだ。
暴力はんたーい。
なので、中学の時から学習した俺は朝一番に学校の蛇口で捨てている。中身の液体がブクブクと、これもう薬使ったろみたいなツッコミどころ満載の時はトイレで捨てている。それはこの高校に入ってからも変わらない。個人的には辞めたい。だけど夜中に怒鳴り込む父が怖いから多分無理だな。
ほんと、弁当は普通で良かった。
そうして昼休みが終わる鐘が鳴ると同時に担当の教師が入ってきてLHRが始まった。
…思ったんだけど、すごい美人だなあの教師。
ただどこからか残念臭がするのは何故だろうか…。不思議だ。
そしてその時間と次の時間にかかって俺はその教師が配った課題に真剣に取り組んだ。うん、自分でも良い内容が出来上がったと思う。ここまでの傑作は久しぶりだ。
そうしてその日、課題を提出し俺は帰宅した。
家で妹に麻雀打とうよとせがまれて我が妹は何処の方向へ行こうとしてるんだと戦慄したのも束の間、舞台は授業が終わった放課後だった。
昨日の美人な教師が俺の元に来てこう言ったのだ。
「ちょっと生活指導するから着いてこい」
……俺には何の身の覚えもないんですが……。
続かない( ˘ω˘)