だらけた天才   作:貝SAW

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読書はチョコ

ゲームはアイス

ほかの趣味も、いろんな種類の――


囚人服を着た人形 弐

 

 

 

 

 

 

 

--???--

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めるとあたりは暗闇に包まれていた。

今は何時か確認しようとスマホを探ろうとするが、うまく体を動かせない。

どういうことかと首を持ち上げようとする。これも動かない。

……俺の体はどうなってしまったのだろうか。

 

目は動いていると感じるのに、首から下の感覚がなくなっている。

ベットは固くひんやりとしていて、頭は深海の中にいるかのように圧迫感がある。

何がどうなっているのか、状況をつかめずにいると、左端がほのかに明るくなった。

 

目一杯視線をそちらに寄せると、扉から光が漏れ出ているのが見えた。

そしてその扉から、コツコツと靴の音が聞こえてきた。

〝誰だ?〟と言おうとすると、口が動かないことに驚く。

 

足音はこの部屋に向かって近づいてきている。

きっとここに用事があるのだろう。

 

……もし、部屋に入ってきた人が俺のことに一切気づかなかったらどうしよう。

もしその人がそのまま部屋から出て行ったら?

俺はこの異常な空間で何もできずに一生過ごすかもしれないのか?

……イヤだ。

 

……必死に口を動かそうとする。

 

そうしているうちに、扉が開くとともに人の腕の影が見えた。

ぬっと入ってくる人の姿が徐々に露わになってくる。

 

〝お願いだ気づいてくれ!俺がわかるだろ!?〟

 

……焦りがどんどん思考を単純化させる。

 

気づいてくれと、腕を動かそうともがき、口を開こうと頬を吊り上げようとする。

力をみなぎらせるために酸素を巡らせようとする……どれもできない。

 

〝ジジッ〟っと電灯の明かりがつき、部屋全体が照らされると、今の自分の状況に驚いてあらゆる行動を止めた。

 

ベットだと思っていたのは木の床で、周りは白い陶磁器のようなものに視界の大半をふさがれていた。

不可解な状況に頭が真っ白になっていると、物音が聞こえた。

床の擦れる音に続いて木が軋む音が鳴り、人が座り込んだのだとそちらに意識が集まる。

 

溜息が聞こえる。

疲れ切っているのが見えなくてもわかる程度のため息が、重低音のように響く。

どこかで聞いたその声は、そのあと何も発することはなかった。

 

そのあと、布擦れや木擦れ、その人から出る動作の音に集中していると、〝バギャ〟という皿の割れたような音とともに板が揺れた。

 

いきなりのことに驚いて、耳をふさいでうずくまろうとする。

当然、動かない体は動かないままで、無防備に耐えることしかできなかった。

その音は何度も、何度も続いた。

 

……耳鳴りがひどくなり、頭がおかしくなりそうになった時、視界が変わった。

いや、視点が変わった。

モニターを見るような視点に変わった。

 

開放的になった景色には、人形の頭部を積み上げて出来た山がある。

……まるで頭蓋骨の山に見える不気味な光景だ。

 

モニターはそのことに気をとどめることはなくて、山になった頭部の一つ、〝横向きに倒れた〟人形の顔に無機質に、引き寄せられるように拡大していく。

 

……その人形も他と変わらない。

伽藍洞の瞳を持つ血の気も毛もない陶磁器の女の子の頭部。

……見た瞬間分かった。

 

 

――あれは、さっきまでの俺だ

――道理で動かなかったわけだ

……今まで感じていた恐怖も、焦りもなくなり、次第に心が穏やかに、無機質になっていくのを知覚する。

 

……やかましい音はまだ続いている。

未完の少女人形達(ガラクタの山)へ手が伸びて、適当な頭部をつかみ取っては運んでいく。

そしてやかましい音が響いてくる。

 

――あぁ、なるほど

再び現れた腕は、さっきまでの俺(横向きに倒れた人形の頭部)をつかんで持ち上げる。

――オチが読めた

 

視点が再び彼女へ。

執行人の顔を見る。

普段の優しい顔はなくなっている。

瞳は後悔で、諦観で、怒りで、無感情に濁りきっている。

 

――あぁ、もういいや

焦りや怒りは全くわいてくる気配がない。

ココロはどんどん冷たく、固く、黒くなって。

続く光景をつまらなそうに、くだらなそうに微睡ながら眺める。

 

――横向きに机に置かれた

――隣のハンマーが持ち上げられた

――お父さん(執行人)はそれを高く振り上げ思いっきり。

 

 

 

 

 

 

 

 

--青葉の部屋--

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

そして皿が割れたような音を響かせて、粉々に砕けましたとさ。

 

ふむ……〝まるで出来の悪いB級映画を見せられているようだ〟といえばいいのだろうか。

それとも〝悪い夢を見ていた気がする〟の方が正しいかな?

今回の夢はつまらないなりに結構面白かったな、内容はほとんど思い出せないけど。

 

「……」

 

さて、眠いし二度寝しますかね。

もう一度あの夢を、その後の物語も含めて見たいなあ。

何度も、何度でも。

 

「……」

 

そうしたら、どうしてお父さんが出てきたのかもわかるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--数日後--

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

さて、今日何しようかなあ。

姉は人形展行っていないから、DIYでもしようかな。

 

「……」

 

あっそうだ、暁山に写真撮るのお願いしよ。

何気に気になってたんだよね、人形。

ちなみに今日はバイト入ってませんでした。テヘペロ

 

「……」

 

……そうだ、久しぶりにフィギア作ってみるか。

そうと決まれば買い物行かなきゃ。

今回は着色はめんどいんでパス。

形作るだけなら手軽(←は?)に作れるゾ。

 

 

 

 

 

あっ、姉の写真も依頼しておこう。姉ちゃん、ホント写真少ないんだからー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








自分の親が、一度みたような顔で、人形のを壊してるのをみたら、気にならない?




フィギュアは無事に完成しました。






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