「それじゃあ楽しんでいってくださいねー」
「「はーい」」
「わっ、すご」
「本当、作りこみやばいね」
中をくぐった先の左側に家があった。
西洋風の建物で古臭い……趣がある家だ。
だが、1-Cの評判がいいのも納得だ。
先ほど見た少女の絵も素晴らしかったが、この家も本物のような出来だ。
近くでじっくり見ると塗られた跡があるが、通りかかるぶんには何も気にならないだろう。
「はえー、ドアもちゃんと作ってある」
「でも板でふさがれちゃってるよ?」
「そうだねー」
文化祭のパンフレットに書かれたこのお化け屋敷の紹介文でいうと、ここは幽霊が出る空き家になっているのだ。
人が入れないようにするのは当然?なのだろう。
ちなみに紹介文の内容はこうだ。
海外の幽霊スポットの一つに、少女の霊が出てくる家があるらしい。
そういう系の記事を書いている私たちはネットに書かれている噂を頼りにここに来た。
私たちは記事を作り上げるため、中に入って捜索をすることとなった。
ということらしい。
ちなみにちなみに、今回の目的はその少女が身に着けていたという赤いリボン。
そのリボンは何故か真新しい状態で見つかるそうだ。(スタッフ談)
「あ、この窓から入れるみたいだね」
「凝ってるなー」
ドアを通り過ぎると脚立がかけられた窓があった。
脚立に乗ると、ふらついたりがたついたりしない。
しっかりと固定されているようだ。
「うわっ……」
「すっご……」
中へ入っていくと、正面左手に向かい道があるのがわかった。
その道中にランプが置かれており、この空間をほの暗く照らしている。
だが、私たちが驚いたのはそこではなかった。
正面に、広い部屋があった。
ここが教室だとしても、広すぎる空間がある。
そしてその空間は、外見に違わぬ西洋風な雰囲気を醸し出している。
中世ヨーロッパの内装だろうか、頑強な石造りの部屋に樽や格子窓、荒い木のテーブル……。
暖炉の上には小物が並べられている。
……私たちは異世界にきてしまったのだろうか。
あの窓が二つの次元をつなげて、私たちはのこのこ誘われてしまったのだろうか。
「これ、背景?」
「え、描いたの?これを?」
だが、だが違う。
私たちが乗っている床は、違う。
ちゃんとした、見慣れた床だ。
ならばこれは?
……ただの絵。
本物と見間違えるような、張りぼての風景画。
「「……」」
ここまでとは思っていなかった。
ここまでのクオリティの絵が使われているとは思っていなかった。
私たちは美術館に来たのだろうか。
「……あっ、テーブルに赤いリボンがある」
「ほ、ホントだ。気づかなかった……」
「そりゃそうでしょ。これは流石に頭おかしい」
ランプの置かれたテーブルには、私たちが探している赤いリボンが置かれていた。
絵のインパクトがすごすぎて、今まで気づくことができていなかった。
「まあ、あとはこれ持って出ればいいね」
「……よく見るとテーブルをこえたところに通路があるね」
「ね、逆に違和感があるね。あの通路」
とにもかくにも、目標は達成できたのだから、このまま進んでいこう。
……もう少しこの絵を見ていたいけど……。
「じゃあ、行こっか」
「うん」
「ねえ!!」
「「っ!!!」」
大きな声に驚いて、振り返ってみると、女の子がいた。
「それ、私のリボン」
みすぼらしい服装で、長い髪で顔は見えず、左手に包丁を携えている。
「大事な大事な、私のリボン」
この子を一度、見たことがある。
「返して……返して……」
ここに入る前に見た、何故か惹かれてしまう顔が見えない少女
「返せよ!!」
絵の中の少女が、目の前にいた。
「「キャーーーーーーー」」
全力で少女から逃げた。
テーブルにぶつかり、ランプを落とし、正面の通路へ向かって。
でも、リボンは離さぬままに。
通路を曲がった先には、さっきの部屋とは一変してグロテスクな空間が広がっていた。
息が詰まるような感覚があったが、気にせずに走り抜けた。
一刻も早くここから出たかった。
声が聞こえた。
血まみれの腕が動いた。
何かが触れた気がした。
「お疲れさまでしたー」
「お化け屋敷、楽しめました?」
「「怖すぎるわ!!」」
怖すぎるわ!!!
「時間になったから離れます」
「オッケー、青葉くんおつかれさまー」
「……」コク
あーやっと終わったー。
人来過ぎでしょ。もうやりたくないんだけど受付。
というかガチ叫びの人多かったなー。そんな怖くないと思うのに。←未体験
「……」
そんなことよりメシだメシ。食うぞ~いっぱい。お腹が膨れるまで。
――――――――
「ん?」
「あ」
こ、この特徴的な服装(制服)の人は……!
「レアキャラ暁山じゃん」
「え、何その名前。青葉くん、ボクのことそんなふうに思ってたの?」
「だって一回も合わなかったし。最近だとコスプレしてるOBの人かと思ってた」
「心外だなー。正真正銘、ボクはここの一年生なんだけど」
「えぇ?」
本当にござるかあ?
「ホントだよー!……それよりもさ、青葉くんはなにやってるの?」
あ、流した
「うちのクラスの仕事終わったから、屋台のメニュー全制覇しようとしてる」
「へー……なにそれ面白そう!今どれくらいいったの?」
「……5割?かなあ」
「東雲ー。3時からお前の当番だから、忘れるなよー」
「ああ、時間になったら戻る。じゃあ任せたぞ」
「……東雲?」
「あ?」
「東雲ってもしかして……」
誰?
「待たせたな、冬弥」
「いや、俺も来たばかりだ。……お化け屋敷は好評のようだな」
「ああ、正直ここまで人が来るとは思わなかった……。冬弥のところはたしか……」
あれうちのクラTじゃん。
あれは……だ、だめだ……顔は分かるのに名前が全く出てこない……。
さっきなんて呼ばれてたっけ?
「綿あめ屋さんだ。ファンシーな綿あめを売っているんだが、作ってみると、これがなかなか面白い」
「そういや前に写真見せてもらったな。しかしファンシーね……お前が作っているところ想像できねえな」
……綿あめは確か1-Bだったかな?
へーあんな人Bにいるんだーコワイナートヅマリシトコ。
「あ……そいえば、彰人。見たい催しが――」
「見たい――」
……なんか暁山があの二人組見ながら黙りこくっちゃった。
惚れたか……。
あ、近づいて行った。……ついてこ。
「ねえねえ、そこのキミ!」
「ん?」
「もしかしてキミって――絵名の弟の、東雲彰人くんじゃない?」
誰ーー?ダレダレダレーー?
――――――――
……ふーん、1-Aやったんか。本当に同じ学年なんだなあ。
……あ、どうも。結局ついていったけど話に入れずにいる青葉くんです。
それにしても絵名ってひとすごいな、平日の昼間だぞ、まだ寝てるんだ……。
「あ!ごめんね、青葉くん。勝手に話放り出しちゃって」
「いや、まあ、いいケド……」
「青葉……だったか。彰人と同じクラスの人だな。一年B組の青柳冬弥だ。暁山と一緒だったようだから、よかったら君も一緒に見に行かないか」
「え、何を?」
「俺の一つ上の先輩に、尊敬する人がいるんだが、その人が劇をするそうなんだ」
「ああ、その劇をいっしょにってこと?」
「そうだ。一緒に来ないか?」
「いや、いいや」
「……そうか、残念だが仕方ない」
「えぇー!?青葉くん、一緒に行こうよ」
……
「いや、もともと、一人で回る予定だったから……その、ね?」
「えーでも」
「暁山、本人がそういってるんだから無理に誘う必要はないだろ」
……
「うーん、それもそっか。じゃあね青葉くん」
「あぁ、はい」
……
今の俺、どんな顔してるだろうな
――――――――
「――――――――っ!――――――――♪」
ただいま後夜祭を楽しんでいます。
いやー結局屋台巡りはコンプリートしましたよ!
いやーうれしいね。
「――――――――♪」
シューティングゲームも楽しみましたよ!
これがなかなか難しくて、1位になれませんでしたけど2位にはなりました!
1位の人強かったなあ……。
「――――――――、――――――――!」
お化け屋敷もね、午後の様子は一切わからなかったんですが、なかなか盛況でしたよ。
リーダーさんはめっちゃ嬉しそうにしてましたよ。
「――――――――♪――――――――」
……うるさいなあ、もう黙れよ。
……屋上でも行ってみようかな。
「――――――――♪」
うは、結構真っ暗じゃん
人もいないし、みんなライブを見に行ったのかな?
「――――――――♪」
結構風来るな。
ずっといたら風邪ひきそうだな。
「――――――――♪」
……あの時、ついていけばよかったのかなあ。
……俺が去った後、何話してたんだろう。
「――――――――♪」
……この行事、つまんなかったな。
……苦しかったのに、忙しかったのに。
「――――――――♪」
……来年は、もう働かなくていいか。
……そのほうがいい気がする。
「――――――――♪」
めんどくさいなあ……何もかも。
本当にめんどくさい。
「――――――――♪……。」
「……」
『帝国少女』