奏を しゃべらすの ムズイ
――――お父さんは今、脳に強い負担がかかって、記憶が混濁している状態です――――
――――幸い、脳や体そのものに異常はありません。心因性のストレスからくるものなので、休養を取れば数日で治る人もいます。ただ……――――
……父の顔をここまで近くで見たのはいつぶりだろうか。
――――治らない人も、いるんですか?――――
……父の部屋には寄り付かないから、もしかしたら顔自体を見るのも久しぶりかもしれない。
――――……はい。日常生活に支障はありませんが、記憶が混濁したまま戻らない可能性もあります。――――
……父は、すぐにいつものようにはならないらしい
――――…………。――――
……めんどくさい
――――…………お父……さん……?――――
……病院から帰ってきたがどうすればいいか
――――わたしが……お父さんを苦しめてた……?――――
……家事……は俺と姉ちゃんで分担できる
……お金……あぁ、俺らは学校もいけなくなるのかな
――――……違う、そんな……そんなつもりじゃ……!――――
……自分のしたいことも出来なくなるのか
――――っ……でも……!わたし、が……!――――
……めんどくせぇ
――――…………っ!――――
ガシャン!
……なぜあんなにも荒ぶっているんだ?
――――いらない……っ!こんな……こんなの……!――――
……はぁ……
ドガシャ!
――――曲なんて……作らなければ…………‼――――
…………はぁ……
――――……はぁっ……はぁ……――――
――――ごめんなさい……お父さん、ごめんなさい……っ――――
……なんだかわからないが
……あんな悲痛な声、聞かなければよかった
……どうでもいいか、そんなこと
……ごはん何つくろう
……やる気起きないしカップ麵でいいか
……久しぶりに聞いたな、このオルゴール
……さすがに確認しにいくか
――――つくらなくちゃ――――
……ひどいありさまだな
――――わたしの曲が、誰かを幸せにする曲じゃなかったから、お父さんはああなった――――
……ひどく濁った瞳を向けてくる
――――わたしは、誰かを幸せにできる曲を作れるようにならなきゃいけない――――
……痛々しい姉の姿を見ているとひどく胸が締め付けられる
――――どんな人でも救える曲を――――
……めんどくせぇ
――――……つくらなくちゃ……つくらなくちゃ…………――――
……その決意が、呪いの言葉にしか聞こえない
――――わたしは……つくり続けなくちゃ
……はぁ……
まあ、どうでもいいか
……姉ちゃん、カップ麺くうぞ
こんなの、聞きたくなかった
オルゴール、嫌いになりそうだ
「……」
……ふむ
「……」チラッ
……まあベットにいないわな
「……」トコトコ
……まさか外に出た?んな馬鹿な、こんな時間に出たことなんて一度もなかったしなあ
「靴……はある。」
「えーじゃぁどこに行ったんかなぁ」トコトコ
リビングにいないし、物置な訳ないし
「パソコンになんかあるかなぁ」ギシ
「音楽ファイル、……Untitled(アンタイトル)……■■■■■■……まあなんもないよなぁ」
てか、姉ちゃんがどんな曲つくってるか知らねえや
「んー……そのうち戻ってくるか」
「一応、戻ってくるまで起きておこうっと」ギシ
ベット使わせてもらおーっと
「……」ガサガサ
あーあ、こんなに譜面散らかしちゃって
「……」ゴロン
もし姉ちゃん戻ってこなかったらどーしよ
……いやだなぁ、そんなの
だれかに連れ去られて、……されて、それで……変わった姉ちゃんとか見たくねえなぁ
「……」
でも、このままならそうなっちゃうかもしれないし……。
いやだなぁ……いやだなぁ……。
「……」グスッ
………………
「……」
……
「……」
……
――――
―――――
――――
「待って、雪……!」
Zzz……んぁ?
「……え?わたしの部屋……?」
あ、帰ってきた
『K!ねぇK!……奏!大丈夫⁉』
『K、いるの⁉戻ってたら答えてよ!』
「……二人とも……?」
でなんか話してるね。
……黙ってよ
――――――――
「…………ごめん、わたしも落ちる」
「…………(まふゆ、どうして)」
「……お帰り」
「ッ!?……あ、青葉?どうして……」
(き、気づかなかった……いつからいたんだろう)
「……」ズンズン
「あ、青葉?」
「……」ギュー
「えっ……っ!青葉?くるしっ……」
「……言いたいことたくさんあるけど、これで勘弁してやる。」ギュー
「何っ……なにっ」
「……おやすみ」パッ
「え…………うん」
…………これ利用規約的に大丈夫かなぁ
一応、青葉君はどのユニットのセカイにも入れない方針で話を進めています。
何かあったら変えるかもしれないケド