デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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オペレーション・ベーダモン ~対話~

クルエは正直に伝えた。

自分たちは、ここデジタルワールドとは異なる世界に住んでいる生き物、人間である。

この世界を観測する技術を開発したので、デジタルワールド及びデジモンの研究を行っている。

そのうち、デジモンの力を悪事に利用しようとするクラッカーが出現し始めた。

そのため自分たちは、デジモンを育ててクラッカーと戦っている…と。

 

ベーダモンは答えた。

『それで 余にも力を貸せと いうのか』

 

クルエは答えた。

「手伝ってくれたら嬉しいけども、そこまでは求めないよ。クラッカーに協力しないでほしい。望むことはそれだけだよ」

 

『それで その対価が 今までのゲームか』

 

カリアゲが答えた。

「いや、ゲームはベーダモンと知り合うためのきっかけ作りだ。対価は、そうだな…俺たちができる範囲で望みを叶えてやるぞ。何がいい?」

 

ベーダモンは不思議そうにしている。

『分からない なぜ汝らは クラッカーとやらを野放しにしている そんな奴ら 処分してしまえばよいではないか』

 

「それをやろうとして頑張ってるところなんだ」

 

『そうではない 人間すべての行動を監視し 管理すれば 危険な人間が 悪事とやらを犯すことはないではないか』

 

「あ~… それはちょっとできねえんだ。人間にはそれぞれ、自由があるからな」

 

『意味が分からない そんな危険な生物なら なおさら管理が必要であろう 悪い者に 自由にさせたら それは悪事をするに決まっておろう』

 

「…俺たちは、ベーダモンの光線銃みたいに、他人を完全に操る技術を持っていないんだ。だから監視・管理をしようとも、その隙をついて悪事を働く奴らがいるんだ」

 

 

『悪事をした者達を みな殺せばどうだ』

 

「厳罰化かー… それをやるとな、『簡単な罪でもどうせ捕まったら死刑になるのなら、警察をブッ殺せるくらい強い犯罪組織を作ろう』って発想になるのが古今東西の常でな…。実際、過去になんども支配者が民衆に打ち倒されてきたのよ。自由を求めた民衆にな」

 

そのやりとりの映像を見て、シンはぼそっとつぶやいた。

「え、これカリアゲパイセンが言ったんスか?ほんとに?」

 

「どういう意味だ!?」

 

「いやぁ…意外だなって」

 

「だからどういう意味だ!?シン!?」

 

…まあいい、続きを観よう。

 

『ふむ 面白い 汝らの話は実に面白い 余の光線銃のような道具無しで 同種たちを支配しようとすると そうなるのか』

 

「そういうことだな…。 適度に自由を与えて、ゆるい支配をする方が長く続くってわけだな」

 

『よかろう しばらくの間は そのクラッカーとやらに加担しないでおいてやる 汝らの世界のことを もっと聞かせろ そして 汝らの研究成果も 余に教えろ』

 

「おっしゃ!サンキューベーダモン!これからよろしくね」

 

『せいぜい 余を 楽しませるがよい』

 

そうして、いったん映像は終わった。

これが現在までのベーダモンとのやりとりか。

 

「そうだ。ベーダモンに、子供向けの教育番組をよく見せてるぞ。俺たちのデジモン研究成果をまとめたテレビ番組とかもな」

 

少なくとも、教育番組のネタが尽きるまでは、ベーダモンが敵側につくことはなさそうだな。

今はベーダモン何してるんだ?

 

「見てみよっか!」

クルエはそう言い、ベーダモンの住処をデジドローンで映した。

 

ベーダモンは…

いた!川の近くにいる。

何かと話しているのか…?

 

映像を見たメガが、ぎょっと驚いた。

「見てあれ!ベーダモンが…デジドローンと会話してる!」

 

デジドローンと!?

我々のものじゃないぞ!

誰のだあれ!

 

「この識別信号は…!かつて僕たちのサーバーに侵攻してきたクラッカー、AAAのデジドローンと同じだ!」

 

なんだって!?

じゃあベーダモンは今、AAAと会話してるのか!!

 

会話の内容をこっそり聞いてみよう。

ベーダモンには、発話機能付きのチャットソフトを渡しているから、会話の内容は音声で聞き取れる。

 

『そうか。それで貴様は、セキュリティチームに言葉を教えてもらい、不可侵条約を結んだわけだ』

 

『フカシンジョウヤク その言葉は 知らない どういう意味だ』

 

『フフッ… 互いに攻撃しないという意味だよ』

 

『では そうなるな』

 

『それで?ベーダモン、お前はどうしたい?ん?』

 

『余は このデジタルワールドを 支配したいのだ すべてを意のままに操りたい』

 

な…なんだって!?

ベーダモン、そんなこと考えてたのか!

 

『くっくっく… 私と同じじゃないか。私もデジタルワールドを支配したいんだよ』

 

『そうか だが セキュリティチーム達は 支配というものに 否定的だ 私の支配に 手を貸すかは 怪しい』

 

『ふーむ…それなら仲良くできそうではないか?ベーダモン。奴らが貴様に提供している対価なら、私も提供できるぞ!それだけじゃない、貴様の支配を手伝ってやることもできる!』

 

『それは いい話だ』

 

は…話がまずい方向に進んでいる!

 

『どうだ、ベーダモン?セキュリティチームなどと手を切って、私と共に世界を支配しないか?貴様の力があれば、デジタルワールドだけじゃない… 我々のいるリアルワールドを支配することすらできる!』

 

『ほう?』

 

『考えてもみろ!我々の世界のネットワークは、いずれデジモンによるサイバー攻撃に対抗するために、デジモンによるセキュリティに依存することが一般的になるだろう。そうなれば、あらゆるデジモンを支配できる貴様の能力は、必然的に我々の世界のネットワークを牛耳ることが可能になるのだ!』

 

『ふむ とても魅力的な話だ ワクワクする』

 

『最高だとは思わないか?ベーダモン!こちらにつくのだ!』

 

や…やばい!

この流れはまずい!

ど…どうする。割って入るべきか?

 

「いや…ちょっと待て」

カリアゲ!?

何言ってるんだ、ここで割って入らないと、ベーダモンのやつクラッカーについちゃうぞ!

 

「分かってる。でも…いいからちょっと待てって」

どういうつもりだカリアゲ!!!!!

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