デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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ジョーカーを活かす戦術、ジョーカーを潰す戦術

ブイモンがついにデジクロスを成功させ、超強力な戦闘能力を手に入れた。

その力は、手負いとはいえ蛮族の王であるフーガモンを圧倒するほどだった。

 

しかし、我々は知っている。

デジクロスの弱点…

それは、エネルギーの消耗が激しく、形態を維持していられる時間が短いこと。

 

そして活動限界まで戦い続けてからデジクロスを解除した場合、餓死寸前までエネルギーを使い果たした状態となり、戦闘不能になることだ。

 

つまり…

エネルギーを使い果たすまでに、敵を全滅させれば我々の勝ち。

エネルギーを使い果たせば敵の勝ちだ。

 

已然、一切気が抜けない状況だ…

それでも、やるしかない!

 

フレイドラモン!

行け!

 

「うおおおおおお!」

フレイドラモンは、アイスデビモンへ一直線に突っ込んでいく…!

 

『セピックモン!アイスデビモンとキンカクモンを援護しろ!ジャングルモジャモンは引き続きマッシュモン共を潰せ!』

 

「キキー!」

セピックモン達が、フレイドラモンにブーメランを投げてきた。

 

「フレイドラモン!後ろからブーメランが来る!」

今まさにアイスデビモンと取っ組み合おうとしているフレイドラモンに、リーダーが注意喚起した。

 

「邪魔だ!」

フレイドラモンは、投げられたブーメランを炎の爪で破壊した。

よし、これで飛び道具は封じたか…?

と思いきや。

セピックモンは、倒れている蛮族デジモンが握っていた骨棍棒や青銅棍棒をしこたま投げてくる!

 

「うぜぇよ!」

フレイドラモンはそれらもはじき落とすが…

 

『背後ががら空きだ!やれ!』

AAAの号令と同時に、アイスデビモンがフレイドラモンに背後から襲い掛かる。

鋭い爪の一撃だ。

「くっ!?当たるかよ!」

フレイドラモンは後ろを向いてアイスデビモンの方へ向き直り、その一撃を回避する。

そして反撃に転じようとするが…

 

セピックモンが投げてきた青銅棍棒が、フレイドラモンの背中に当たった。

「いっ!!ってえなぁ!!うっとおしい!」

 

フレイドラモンは多少のダメージを無視して、アイスデビモンに赤熱化したツメで攻撃を仕掛けるが…

キンカクモンが金棒をふるい、その軌道を反らした。

 

そうしている隙に、背後から飛び道具が飛んでくる!

 

この状況は流石に不利だ。

アイスデビモンやキンカクモンと1対1で戦い、一体ずつ倒していけば負けることはないだろうが…

常に1対多数の戦いを強いられている。

そうである以上、全方位に気を配っていなければならず、必然的にアイスデビモンやキンカクモンだけに注視するよりも格闘戦が不利になる。

 

「AAAの奴…『格上の敵』への対処法もあらかじめ想定していたのか…!…まさか、我々がズバモンとルドモンを手懐けることに成功していたことを想定した戦法か?」

リーダーが眉間にしわを寄せながらつぶやく。

 

『くっくっく…ご明察!披露する機会が無いのかと正直ガッカリしていたぞ!』

 

「フレイドラモン!先にチビマッシュモン達を助けろ!」

リーダーがそう言うと、フレイドラモンは方向転換し、チビマッシュモン達を叩き潰しているジャングルモジャモン達の方へ向かった。

 

なるほど…確かにそうだ。

この状況でフレイドラモン単騎でクラッカーデジモン全員を排除できるとは限らない。

それなら、先にマッシュモン達を助けて、マルウェアを全て駆除してしまえば、デジモン伝送路の接続システムのコントロールを奪取できる。

そうすれば、ジャスティファイアからスターモンとジオグレイモンを呼べる…!

 

「ウ、ウホォ!」

ジャングルモジャモンの1体は棍棒を振りかざす。

 

「遅い!だりゃあ!」

フレイドラモンは、背後から飛んでくるセピックモンの投擲武器をするりと躱すと…

爪を突き出し、ジャングルモジャモンの喉へ突き刺した。

「ウホボォ!」

 

よし!

セピックモンの妨害があっても、ジャングルモジャモン程度のスペックの相手ならものともせずゴリ押せる!

やはりフレイドラモンは強い!

 

「焼けろ!」

フレイドラモンの爪から炎が吹き出し、ジャングルモジャモンを内部から燃やした。

「ウッホォォァアアア!」

ジャングルモジャモンが倒れた。

 

「マシ~!」

チビマッシュモン達は、ジャングルモジャモンのせいでずいぶん数を減らされてしまったが、残った個体はまだいる。

ジャングルモジャモンに追い回され続けて逃げまどっていたチビマッシュモン達は、足を止めると、マルウェアを食べ、システム障害を緩和させていく。

 

『セピックモン!やれ!フォーメーションRだ!』

AAAが指示を出すと、セピックモン3体はフレイドラモンを囲い、円を描くようにぐるぐる回った。

 

フレイドラモンは、セピックモン一体へ近付こうとする。

すると、背後に回ったセピックモンがブーメランを飛ばしてきた。

予備があったのか!

 

「いて!」

ブーメランがフレイドラモンに命中する。

 

フレイドラモンが背後を振り返ると、再びセピックモンが後ろに回り込み、ブーメランを投げた。

「痛ってぇ!」

フレイドラモンの背中にブーメランが命中する。

 

『そのままダメージを与えてスタミナを削れ!』

 

くっ…!

早くも適応してきたか!

フレイドラモンは近接戦闘が得意なようであり、遠距離攻撃は苦手そうだ。

 

セピックモンはこのフォーメーションのまま、付かず離れず距離をとって攻撃し続け、フレイドラモンにちくちくダメージを与えて消耗させていくつもりだ…!

 

「うっぜえよ…てめーら!ワームモン!替わるぞ!」

フレイドラモンがそう言うと、フレイドラモンの体が突如光った。

 

光が消えると…

姿が変わっていた。

 

その姿は、ワームモンによく似た顔と、その親であるスティングモンに似た手足を持っていた。

頭部と手足には、フレイドラモンと同じ装甲を纏っており…

赤い翅を生やしている。

 

これは…!

パイルドラモンがディノビーモンに変形したのと同じだ!

フレイドラモンも、別の姿に変形できるのか!

 

な、なんて呼ぶ!?

 

私がそう言うと、カリアゲが口を開いた。

「フレイドラモンの影!シェイドラモンだ!」

 

わ、わかった。

あの形態はシェイドラモンだな!

 

『形態変化…だからどうした!』

「ウキー!」

 

再び、セピックモンの一体がシェイドラモンの背後からブーメランを投げた。

 

シェイドラモンは…

手から糸を出して、ブーメランを絡め取った。

 

『なに!?』

「ウキ!?」

 

二体目のセピックモンがブーメランを投げようとするが…

シェイドラモンは両手から糸を伸ばし、セピックモン二体を拘束した。

 

「う、ウキ!」

強力な粘着糸が、セピックモンの体を動きを鈍らせる。

 

シェイドラモンは、セピックモン達に小さな火を飛ばした。

 

すると、飛ばされた火は粘着糸に着火し、一瞬でセピックモン二体はごうごうと炎上した。

「ウッギャアアアアアアア!!!」

転げ回るセピックモン達。

 

どうやらシェイドラモンは、ワームモンの粘着糸と、サラマンダモンの燃料粘液の性質を併せ持った糸を操れるようだ。

 

『…形態が変わると、能力も変化するのか…』

AAAは、シェイドラモンを観察しているようだ。

 

残るセピックモンは一体。

「キ…キキー!」

セピックモンは背を向けて逃げようとした。

 

シェイドラモンはそれを追おうとする。

 

「後ろだ!シェイドラモン!」

リーダーの言葉を聞いて振り向いたシェイドラモン。

 

キンカクモンが、電撃バットを振りかざしていた。

シェイドラモンは、両腕でガードするが…

電撃バットは、防御態勢のシェイドラモンを弾き飛ばした。

 

空中で回転して着地するシェイドラモン。

キンカクモンの方を向き直る。

 

そして、キンカクモンに糸を伸ばそうとすると…

「後ろ!ブーメランだ!」

リーダーはシェイドラモンの背後から近づく危機を伝えた。

 

シェイドラモンは大きく横に飛び退く。

 

シェイドラモンの背後から飛んできたブーメランは、キンカクモンの目の前でぐるりと回り、セピックモンの手元へ戻った。

 

シェイドラモンは…

一瞬のうちにフレイドラモンへ変形した。

 

そして、背後からチクチク攻撃してくるセピックモンへ、一気に距離を詰めた。

 

『は、速い!』

AAAは驚いている。

 

フレイドラモンは、セピックモンを蹴り飛ばす。

「ウキー!」

地面を転がるセピックモン。

 

キンカクモンは、フレイドラモンを背後から攻撃しようとする。

だが、それよりも早く、フレイドラモンは鋭利な足のツメでセピックモンの腹部を突き刺した。

「ウギャアアアア!」

 

そして、ツメから噴出させた炎でセピックモンを内部から焼き…

キンカクモンへ蹴り飛ばした。

「グギャアアアア!」

 

腹部から炎を吹き出しながら、キンカクモンの方へ吹き飛んでいくセピックモン。

 

キンカクモンは、それを電撃バットで払い除けた。

 

キンカクモンとフレイドラモンは対峙する。

 

 

『セピックモンとジャングルモジャモンが全滅したか…』

 

残っているのは、キンカクモンとアイスデビモンだ…!

壁の腕でボケっとしているナニモンは相変わらず攻撃も破壊活動もしない。

 

『だが…これで手駒が尽きたと思うな!来い!信徒達よ!』

 

AAAが号令を出すと…

ネット回線のトンネルから、シャーマモンやコエモン、ジャングルモジャモンがわらわらと現れた。

しかもそれらの多くは弓矢を持っている。

 

「クソ!まだ来るのかよ!せっかく小せえ奴らを追っ払ったのに!ふざけんな!」

カリアゲが台パンする。

 

『くっくっく…!私にデジモン伝送路のコントロールを支配されているとはこういうことだ!デジタルワールドには、私の忠実な信徒がまだまだいるぞ!』

 

賽の河原の石積のような徒労感だ。

 

そうだ…

デジモン伝送路のコントロールを奪還できなければ、敵デジモンはまだまだ増えるし、スターモンは助けに来れない。

 

「ぜぇっ…ぜぇっ…」

フレイドラモンの息が荒くなっている。

 

シンが焦っている。

「ネット回線切断してしまえば敵の増援は来れないんじゃないッスか!?」

 

そうだ。

敵の増援は来れないが…

味方の増援も来れない。

 

それに、回線を切断すると、我々がこのデジタル空間を視認しているのに使っているソフトウェア、デジクオリアのオンライン認証が切れて、即座に映像と音声が消える。

すると我々は戦場の様子を把握できなくなってしまい、フレイドラモンに指示を出したり、何かしら手助けすることができなくなってしまう。

 

全てをフレイドラモンに任せてしまうというのも、無くはない手だが…

「…ブイモンはそれができるほど戦いの経験を積んでるわけじゃない、ってことスか…」

 

「ウガオーー!」

増援の蛮族デジモン達は、蜘蛛の子を散らすようにデジタル空間に散らばった。

 

ある個体はデジタル空間を直接叩き壊そうとする。

 

ある個体はチビマッシュモンを叩き潰して、我々がマルウェア排除と伝送路を奪還するのを妨害しようとしている。

 

ある個体はフレイドラモンへ弓矢を構える。

 

「うああああああ!邪魔だ!どけえええ!」

フレイドラモンは、増援の蛮族達に飛びかかろうとする。

 

「待てフレイドラモン!敵は弓矢を持っている!」

 

「弓矢ってなんだ!?」

 

「飛び道具だ!ファンビーモンの針みたいなもんだ!」

 

「な!?」

 

『射てぃ!』

成長期蛮族の群れは、一斉に弓矢を放ってきた。

フレイドラモンは、それらのいくつかを払い除けたが…

2発ほどが命中した。

 

「痛ッてええ!」

 

蛮族の飛び道具は、確実にフレイドラモンの体力を削っていく。

 

『くっくっく…!デジモンのチーム同士の戦いは…成熟期が最高戦力だ。だが実際は!成長期の使い方こそが!雌雄を決するのだ!』

もっともらしいことを言いやがって…!

 

「みみっちい!」

フレイドラモンは、シェイドラモンへ変形する。

「まとめて片付けてやる!」

シェイドラモンは大きな翼を羽ばたかせ、空中で巨大な蜘蛛の巣状の網を作り出し…

それを蛮族弓兵たちに頭上から浴びせた。

「ウホホ!?」

 

「これで…一網打尽だ!」

 

そう言い、シェイドラモンは火炎弾を飛ばした。

 

網に包まれた蛮族弓兵達は、炎に包まれる。

「ウッギャアアアアアアア!!」

業火に焼かれる蛮族弓兵達。

 

「やった…」

シェイドラモンは地面へ着地する。

 

「ぜーはー…ぜーはー…!」

シェイドラモンは、明らかに体力を消耗してきている。

 

当然だ。

燃料というのは、熱量(カロリー)という科学エネルギーを持たせた物質だ。

 

そのカロリーは、当然シェイドラモンの肉体から消費したもの。

 

これだけの炎を放ち続けたということは…

それだけシェイドラモンの体力をすり減らしているということだ。

 

…シェイドラモン!キンカクモンが来た!

 

シェイドラモンは空を飛びながら後方を振り返った。

キンカクモンが電撃バットを掲げてやってきる。

 

シェイドラモンは、近付くのはごめんだと言わんばかりに、空中から糸を飛ばしてキンカクモンを攻撃する。

 

キンカクモンは、糸を巧みに回避する。

 

「ぜぇっ…!ぜぇっ…!」

糸を飛ばすのにも、空を飛び続けるのにも、エネルギーを消耗する。

このままでは…シェイドラモンがもたない…!

 

『くっくっく!どんどんバテてきているな!ダメ押しだ…さらに来い!信徒達!』

 

くそっ…もうこれ以上の増員はやばい…!

こうなったら…回線を切断すべきか…!?

 

 

 

…しかし。

蛮族の増援は来ない。

 

『ん!?な、なんだ…?』

 

ネット回線トンネルから、蛮族の増援は来ない。

 

『私のところへ繋いでいたデジモン伝送路が…遮断されているだと…?』

 

お、おお?

これは…!

敵の伝送路を遮断できたのか!

 

め、メガ、これは!?

君がやったのか!?

「…違う」

 

え、違うの?

「僕は未だに伝送路のコントロールを奪還できていないし…マッシュモン達も伝送路ハッキングのマルウェアを駆除できていない。なのに、突然、AAAへの伝送路は遮断された!」

 

ど、どういうこと…?

有り難いけども、何がどうなってそうなったんだ!?

 

私が困惑していると…

席に戻ってきていたクルエが、私に向かってウインクした。

 

そして、口元に指を添えて、「しー」っとサインを送ってきた。

 

よくわからないが…

クルエの策のおかげで、AAAのところへのデジモン伝送路は断ったようだ!

 

『なん…だと…!まだ何か奥の手を隠していたのか…?』

 

とはいえ、先程敵が送り込んできた増援のうち、チビマッシュモンやデジタル空間を攻撃していた個体はまだ生き残っている。

 

どうする…?

そっちを片付けていては、キンカクモンやアイスデビモンと戦う体力がもたないかもしれない。

 

だが、そちらを放置していては、仮にキンカクモンとアイスデビモンを倒しても、体力を使い果たしてしまい、ボコられるかもしれない。

 

究極の選択だ…

どちらを先に…!

 

「キンカクモンに行って!」

クルエがそう叫んだ。

 

「あっちは大丈夫だから!」

大丈夫なの!?

いったいどうして…

 

…ん…?

 

よく見ると…

 

破壊活動をしている蛮族デジモン達の足元が、何かの液体で濡れている。

 

物陰から、何かがひょっこり現れた。

 

…赤いオタマモン。

それが8体だ。

 

オタマモン達は、蛮族の足元の液体に炎を放った。

 

すると蛮族デジモン達の足元の液体は、一瞬で着火し、ごうごうと蛮族デジモン達を焼いた。

「ギャアアアアアア!!!」

 

お、おお!

罠にかけたのか!

 

『何ィイーーーーッ!?貴様達…どこから味方を呼んだ!?』

 

赤いオタマモンということは…

スポンサーさんですか!?

 

『いや違う』

違うの?

 

『我々も諸君らに増援を送ろうとしているが…伝送路が繋がらない。どこからそのオタマモン達を呼んだんだ?』

 

スポンサーさんたちのオタマモンじゃない!?

どういうこと!?

 

…困惑している私を見て、クルエが再度ウインクした。

 

…あ。

ま、まさか…!

 

わ…わかったぞ!クルエさんが何をしたか!

どうやってAAAへの伝送路を遮断し…

どこからオタマモンを呼んだか!

 

そりゃ言えないわけだ!誰にも!!

 

 

 

…我々がデジタルワールドやデジタル空間の可視化に使用しているソフトウェア…

デジクオリア及びデジドローン。

 

その開発元であるカンナギ・エンタープライズは、特定勢力に対して贔屓することはなく、冷遇することもないと明言している。

 

すなわち、クラッカーとセキュリティの戦いに対し、どちらかの味方につくことはなく、デジクオリアの販売規制やライセンスの剥奪をすることはない、ということだ。

 

何故なら、何が正義で何が悪かは相対的なものだからだ。

もしもカンナギが「セキュリティ側に加担する」と宣言した場合、仮に『武力攻撃をして多数の人々を苦しめている独裁国家に対して、革命家がデジモンを使ってサイバー攻撃する』というケースが生じた際に、カンナギは独裁国家のセキュリティを保護し、革命家を規制しなくてはならなくなる。

そういったジレンマに振り回されるのを防ぐために、最初から誰にも加担しない…と立場を表明している。

 

もっとも、立場上加担しないというだけで…

CEOの神木さんは、ギリギリ贔屓にならないラインで我々に協力してくれている。

 

そんなカンナギが、ただ一つだけ。

彼らが明確に敵視している存在がいる。

 

「デジクオリアを不正コピーして使用する者」だ。

 

その対策として、デジクオリアには特殊なコピープロテクトが仕込まれている。

 

不正にコピーされたデジクオリアがインストールされた場合、その端末のデジモン伝送路を乗っ取って強制的にカンナギ・エンタープライズ・ジャパンの極秘のサーバーに接続される。

 

そして、執行者こと赤いオタマモン達が送り込まれて、端末内部のデジタル空間に放火してシステムを攻撃するのだ。

 

尚、どこをどの程度燃やすのかは完全にCEO神木氏や、その秘書の岸部エリカ氏の匙加減次第だ。

 

完全に破壊し尽くすこともあれば、ちょっと灸を据える程度で済ますこともあるだろう。

 

…この仕様は極秘事項であり、知っているのはカンナギの極一部の上層部と、私とクルエだけだ。

 

 

…クルエはこの仕様を逆手に取ったのだ。

 

あらかじめ電話でカンナギへ事情を伝えた上で、スパコンの高速演算能力を使い、デジクオリアの不正コピー品を作成し…

我々のネットワークに接続された端末へインストールしたのだ。

 

それによって、AAAに掌握されていたデジモン伝送路を、さらに上から乗っ取った。

 

マルウェアに支配された伝送路のコントロールを、正規の方法で奪還できないなら…

別のトロイへ伝送路を奪わせてしまえばいい。

 

この裏技によって、クルエはAAAが繋げてきたデジモン伝送路を遮断したのだ。

 

なんてイリーガルな手だ…

私には絶対思いつかない発想だ。

 

そして神木CEOは我々のもとにオタマモン8体を送り込んできて…

灸を据える程度に、デジタル空間を燃やしてくれた。

 

尚、オタマモンが燃やした箇所には、AAAの配下である蛮族デジモン達がいたが…

それらはただ巻き込まれただけだ。

勝手に人の端末にデジモンを送り込んでくる方が悪い。

どっちの味方だとかそういう話ではない。

 

まあ、そういう建前で…

神木氏は、我々のもとへオタマモン8体の救援を送り込んでAAAの配下を始末し、これ以上フレイドラモンが体力を削られるのを防いでくれたのだ。

 

なぜ神木氏が我々に味方してくれたのか…

言われなくても分かる。

 

我々研究所の活動が、カンナギ・エンタープライズにも利益を齎すから。

 

そして何より、クルエは電話で…サラの訃報を伝えたのだろう。

そして、我々を今攻撃しているAAAこそが、サラことサラマンダモンの仇だと。

 

クルエが、リーダーやみんなに、何をするのか教えなかったのは…

カンナギの報復システムが秘匿されたものであり、それを利用した手だったからだ。

決して皆に無意味な嫌がらせをしていたわけではなく、必要だから黙っていたのだ。

 

私はお口にチャックし…

全てのトリックを理解したことを、誰にも悟られないようにした。

 

 

我々は、伝送路接続システムのコントロールを制御下に置けたわけではない。

だから、ジャスティファイアのところへつないでスターモンを呼べるわけじゃない。

だが、少なくとも「AAAのもとから接続を解除する」ことには成功し、ジャスティファイアではないが味方側の増援を呼ぶことには成功した!

 

これで…

最後の敵は、キンカクモンとアイスデビモンだけだ!

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