…キンカクモンが、フレイドラモンに金棒を振りかざす。
「オオオォォッ!!」
フレイドラモンはそれを躱し、反撃を試みるが…
「う!?」
フレイドラモンの動きが止まった。
なんだ!?
フレイドラモンの手足を見ると…
固まった蝋によって拘束され、動きを封じられてた。
アイスデビモンだ!
アイスデビモンは、おそらくアイスモンの子孫。
物体を冷やして凍らせる力を引き継いでいる。
その力を使って、溶かした蝋を一瞬で『凍らせて』、フレイドラモンの手足を拘束したんだ!
「邪魔だ!」
フレイドラモンは蝋を燃やして溶かしたが…
「オソイ!」
その一瞬の隙を突いて、キンカクモンの金棒がフレイドラモンの頭部を殴りつけた!
「ぎゃあっ!くっ…このやろッ!」
金棒を介した電撃攻撃が、フレイドラモンを苦しめる。
キンカクモンやアイスデビモンとの一対一でなら勝てるかもしれないが、それら二体がいると、流石にフレイドラモン側が不利だ。
二体を相手にしても尚、殴り合いならフレイドラモンの方が強そうだが…
アイスデビモンが放ってきた蝋の拘束を溶かすために、どんどん火力を消耗させられるのだ。
尚、このアイスデビモンは先程、キャンドモン4体を吸収することで、蝋を補充していた。
このままでは、スタミナを削られて押し切られかねない…!
敵の手はとんでもなく陰湿だが、脅威だった。
格闘が苦手なオタマモンが、この場に割って入っても…
キンカクモンに叩き潰されてしまうだけだろう。
メガは、今まで蛮族デジモン達に破壊されまくったシステムを、必死に修復している。
先程の蛮族達の猛攻によって、システムの様々な部分が破壊され、動作不良を起こしている。
それでも尚、今までどうにか戦えているのは、メガやシステム管理チームがリアルタイムでシステムの修復をしてくれているからだ。
…デジタルゲートはまだ使えなさそう?メガ。
「数分かかると思っていたけど…。もうすぐ復調しそうだ」
おお!
凄いぞメガ!
「僕だけの力じゃない…見て、あれを」
メガが指した方を見ると…
そこにはクラフトモンがいた。
クラフトモンは、フーガモンに滅多打ちにされて、酷い大怪我を負っているにも関わらず…
工具を駆使して、ファイヤウォールやシステムの修復を、手伝ってくれている!
クラフトモンの工具は、どうやらシステムの概念的な修復も可能であるらしい。
…あの傷は相当深い。
全身に激痛が響いていることだろう。
本来なら、今すぐ絶対安静にして寝込まなくては命に関わる重症だ。
それでも、クラフトモンは痛みに耐え、傷付いた体でシステムの修復作業をしている。
フレイドラモンの勝利を信じて…!
「やった!デジタルゲートが復旧した!」
おお、やったか!
メガ…戦況は不利だ。
フレイドラモンは強いけども、敵は狡猾な手段でフレイドラモンの弱点であるスタミナを削っている。
遅延戦術をして、自分達が有利になるのを待っている。
この戦況を覆すために…
私に作戦を任せてくれないか。
「何か手があるんだね。…勿論いいよ、ケン」
メガ…
アプリモンスターズ達は、それぞれの力を組み合わせることができるの?
蟹鍋用のシャコモン貝殻探しで、ガッチモンとナビモンが連携したように。
「可能だよ。アプリンクシステムというんだ。アプリモンスターズ達の肩から生えているケーブルを相互に接続することで、システムをリンクさせて力を発揮できるんだ」
3体以上でもできる?
「うん。ナビモン、ガッチモン、ドーガモンの3体で、輪になるようにアプリンクすれば、全員のシステムを連携できる」
横からカリアゲが顔を出してきた。
「すげーな…じゃあさ、相性がいいアプモン同士でアプリンクしたら合体できたりしないのか?」
「そんな機能は無いよ」
「え、なんかできそうじゃん!デジクロスならぬアプ合体!みたいな」
「ふざけてるの!?しつこいな、合体できないって言ってるでしょ!」
「そ、そんなに怒るなよ…」
とりあえず…分かった。
3体でアプリンクして…作戦をやりたい。いいかなメガ。
「いいよ、ケン」
今回は、マッシュモンや、救援に来たオタマモン達にも協力してもらう。
「なあ、ケン…このオタマモン達どっから来たんだ?スポンサーさんとこじゃねえなら…マジで今伝送路はどこに繋がってんだ?」
気にするなカリアゲ!
味方であることは間違いない!
「そ、そっか…」
「うおお!だらぁ!」
フレイドラモンは、猛攻のラッシュを繰り出す。
「グアアァ!」
キンカクモンとアイスデビモンは、フレイドラモンの攻撃によって着実にダメージが蓄積しているが…
致命傷を回避している。
パワーでもスピードでも火力でも勝っているフレイドラモンが、勝負を決めきれない理由は2つある。
一つは、戦闘経験の差だ。
フレイドラモンは確かに強いが、突然手に入れた己の強大なパワーとスピードを振るい慣れていない。
そのため、攻撃の動きが単純になってしまう。
一方キンカクモンは、パワーやスピードで劣っていても、見たところ踏んできた戦闘経験の場数が違う。
おそらく今まで、凄まじい数の敵と戦って来たのだろう。全身の傷痕を見ればわかる。
それ故か、戦闘に慣れているキンカクモンに、スペックでゴリ押す戦術が効かなくなってきているのだ。
もう一つは、アイスデビモンの能力。
フレイドラモンの顔面を狙って、溶けた蝋やセメントを浴びせてくる。
これはアイスデビモンの意思次第で瞬時に硬化できるようだ。
顔面を固められたら呼吸ができなくなり視界が封じられるため、フレイドラモンはアイスデビモンの硬化攻撃を絶対に避ける行動を取らなくてはならない。
そうして、セメントや蝋を回避すると…
「回避されること」を計算に入れたキンカクモンの電撃棍棒が、フレイドラモンに襲いかかる。
この2体の連携は強力だった。
このままでは、スタミナを削りきられてしまう…
フレイドラモンが、2体から距離を取った。
息が荒くなっており、ツメから出る炎の火力も大分弱まってきている。
だが…
ここから反撃開始だ!
フレイドラモンに、長々と作戦を伝えていては、AAAにも聞かれてしまう。
だから…絶対にAAAにバレない言い回しで、フレイドラモンにだけ分かるように…作戦を伝えるんだ!
フレイドラモン…いや、ブイモン!
「!?」
敵から距離を取っているフレイドラモンが、私のデジドローンの方を向いた。
ブイモン、聞いてくれ!
君は、力を得たから戦う資格を得たんじゃない!
たとえ弱くたって、君は勇気を出して戦った…
偽業者事件で、クラッカーマッシュモン相手に!
その経験は、決して無駄じゃない!
今、その経験が活きる時だ!
「…!」
『くっくっく、なんだ、こんな局面で無意味な応援か!そんなことで戦況を覆せるというのならやってみろ!』
「クラッカーマッシュモンの…?お、おお…」
…ちゃんと伝わったかな。
ちょっと心配だが…
フレイドラモンの理解力に賭けるしかない。
言い回しが遠回しになってしまったが…
チャットで文書を送ったとしても、それを悠長に読んでられる余裕はないから仕方ない。
どうにか伝わってくれ…!