デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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叩き割れ、未来の岩盤

壮絶な戦いだ。

炎のツメのパワーをすべて振り絞り、アイスデビモンを貫こうとするフレイドラモン。

どんどん溶かされていくセメントを、次々と充填して、炎のツメを受け止めるアイスデビモン。

ここでも消耗戦を仕掛けるてくるのか、アイスデビモンは…!

 

「プクゥ~~ッ…」

突如、アイスデビモンが頬を大きく膨らませた。

 

「避けろ!!!フレイドラモン!!!」

リーダーが叫んだ直後、フレイドラモンは反射的にアイスデビモンの顔の正面から、自分の頭部を横にどける。

 

「プゥゥッ!!」

それとほぼ同時に、アイスデビモンが何かを勢いよく吹いた。

フレイドラモンの背後5mくらいのところに倒れていたシャーマモンの死体に、長く鋭いガラス針が5~6本、深々と突き刺さった。

うわぁ、危ない…!

一瞬のスキが命取りだ。本当に手強い敵だ、アイスデビモン…!

フレイドラモンのスタミナが満タンであれば、これほど苦戦はしなかっただろうが…

ここまでスタミナを削られたのは、AAAの策略によるものだ。

 

『ここが最終局面か!もう出てきていいぞプラチナスカモン!アイスデビモンを援護しろ!』

 

AAAのデジドローンからそう発せられると…

 

「ギャハハッハハア!ついに来た!オレサマの出番だゾォォ!」

なんと、物陰からプラチナスカモンが出てきた。

ええ!?あいつ死んだんじゃなかったの!?

モリシェルモンに丸呑みにされて!

 

「オレサマが死んだと思ったかァ!?バカがァ!ドリモゲモンはモリシェルモンの土手っ腹に穴を空けてくれたんだゾ!そのままくせー胃袋に留まって溶かされるのを待つ理由ありゅぅ?ねぇェーーよなァ!」

 

そう言い、プラチナスカモンはフレイドラモンの背後側に回ると、腕を硬化させ、ドリルを作った。

 

「ギャーハハハ!くたばりゃがれェェーーーーッ!」

 

プラチナスカモンは、ドリルを回転させ、フレイドラモンに背後から襲いかかる…!

 

だが。

「タマーーーーー!!」

オタマモン8体の火炎放射が、プラチナスカモンを包んだ。

 

「ぎゃあああアッチイィィイャアアアアアア!!!」

 

燃えるプラチナスカモンは、攻撃どころではない。

地面を転げ回った。

『プッ…プラチナスカモン!!』

AAAが珍しく動揺している。

 

アイスデビモンの背後に、デジタルゲートが開いた。

「タマーーーーー!」

デジタルゲートから顔を出した、我々セキュリティチームのオタマモンは、アイスデビモンに背後から火炎放射を食らわす!

 

「ウギャアアアアアアアアア!」

火力特化した成長期の火炎放射だ、ただでは済まないはず!

 

「プスー…」

しかし、オタマモンは燃料が尽きたようだ。

火炎放射が止まった。

 

8体のオタマモン達も、先程蛮族デジモンたちの増援をまとめて燃やし尽くすためにだいぶ燃料を消耗したらしい。

 

そして、フレイドラモンの火力も弱まってきて…

ついにツメの火が消えた。

 

「ち…く…しょう…!」

 

『アイスデビモン!よく耐えた、お前の粘り勝ちだ!さあ、そいつらを処刑しろ!』

 

「ゼー…ゼー…!ガハハッハハハ!」

オタマモンの火炎放射で頭部を火傷したアイスデビモンは、笑みを浮かべた。

 

『セキュリティチーム共!最後に面白い余興を見せてもらったぞ!だが予告通りだ!たかが一度奇跡のパワーアップが起こった程度で!この私との戦いに勝てるわけがないんだよォッ!!!はーっはっはっはっは!』

 

AAAの高笑いが響く中で、アイスデビモンは鋭い爪の一撃をフレイドラモンに繰り出そうと、腕を振り上げた。

 

 

 

…お前の言うとおりだ、AAA。

たった一度、奇跡のようなパワーアップが起こった程度で、戦いに勝てるだなんて…

最初から思っていない。

 

ブイモンの強さは、土壇場で手にしたデジクロスの力だけじゃない。

何度だって言う。

弱さを克服するための創意工夫こそ…

皆のために役立とうとして、いろいろなことを手伝ってくれる、普段の行いの積み重ねこそが…

真のブイモンの強さなんだ。

 

 

アイスデビモンが、とどめを刺そうとした瞬間…

その頭上に空いたデジタルゲートから、あるデジモンが飛び出してきた。

 

「たあーーーーーーーー!!」

 

それは…

先程セピックモンのブーメランで両足を折られたパルモンだった。

 

両足の傷は全く癒えていないが…

負傷したまま、パルモンが援護に来たのだ。

 

パルモンが手に持っている武器は…

かつてブイモンが作った道具。

粗雑な鉄のツルハシだ。

 

パルモンは、ブイモンお手製のツルハシを、アイスデビモンの後頭部へ思い切り振りかざした!

 

アイスデビモンの体の二重層のうち、ワックスの層は、オタマモンの火炎放射によって既に剝がれている。

パルモンが振りかざした鉄のツルハシは、ガラス層ごとアイスビモンの頭蓋を打ち砕いた。

 

「ガフッ…!」

ツルハシは、アイスデビモンの後頭部へ深々と突き刺さった。

ガラスのようにヒビが入り…

破片が砕け散った。

 

「ウ、グ…」

頚椎を破壊されたアイスデビモンは、ふらふらとよろめくと…

地面にばたりと倒れ、痙攣した。

打ち砕かれた頭部から、真っ赤な鮮血が噴き出し、溢れ出た。

 

「マシーーーー!」

地面の穴から出てきたボスマッシュモンが、落下したパルモンを受け止めた。

 

「ぜぇ、ぜぇ…やった…」

フレイドラモンは、その場に倒れた。

そしてデジクロスが解除され…

ブイモンとデジタマに戻った。

 

「はらへった… うごけねえ…」

ブイモンは疲労困憊のようだ…。

 

『…は?…バカな…。負けたのか?やられたのか!?アイスデビモンが…この私の最高傑作が!そんな陳腐な鉄の棒で?あり得ん…認めん!!ふざけるなァ!』

 

激昂するAAAに、パルモンが言い返す。

「ちんぷじゃない!これは、ブイモンがいどほりのために、がんばってつくったツルハシ!」

 

『ツルハシだと…?そんな不格好な、出来の悪いガラクタがか!ただの鉄屑だろうが!』

 

カリアゲがマイクを取った。

「それに負けたんだ!てめーは!!」

 

『負けた…?こ、この私が…。いいや、あり得ん…誰か!誰か戦える奴はまだいないのか!奴らを始末すれば!フーガモンの後釜に据えてやる。信徒の王…神官になれるぞ!』

AAAのデジドローンから発せられる声は明らかに動揺している。

 

「ガ…グ…ワタシハ…マダ…!」

地面に倒れ伏しているキンカクモンは、弱々しく声を上げているが、起き上がれず動けないようだ。

 

「あーちゃちゃちゃ!死ぬぅゥーーー!!」

燃え盛るプラチナスカモンは、体を柔らかくして、死んだドリモゲモンの口にズボっと潜り込んだ。

 

しばらくすると…

大分小さくなったプラチナスカモンが、ドリモゲモンのおしりからブリっと出てきた。

 

「火は消せましたァ…!マスター…!」

 

どうやらドリモゲモンの消化管を利用して、燃えてる部分を拭ったらしい。

だが。

プラチナスカモンはチビマッシュモン1体分くらいまで小さくなっていた。

 

これではボスマッシュモンに簡単に倒されるだろう。

 

『…あり得ん…あり得ん!こんな…こんなことが!バカな…!私の軍勢が!?』

 

少し音声が途切れた後…

AAAは不気味な笑い声をあげた。

 

『く、くく…プラチナスカモン!それだけ残っていれば、司令塔としての働きはできるな!?…ここのシステムはドリモゲモンがファイヤウォールを破壊して、セキュリティが丸裸だ!もう一度マルウェアを送りつけて、デジモン伝送路を繋いでやる…!』

 

ま、また増援を送り込んでくる気か…!?

 

『最終兵器を…レアモンを送り込んでやる!自分のやるべきことは分かるなプラチナスカモン!』

 

「…!?ま、まだ早くねーですか!?でもまあ…ヘヘ…やっちゃいますかァァァ!」

 

『そうだ!ここまでやって引き下がれるか!くっくっく、セキュリティチーム共、今見せてやる!究極最強の切り札の姿をなぁ!』

 

「ギャハハハハ!俺様の究極最強の姿を見せてやるぜェェーーーッ!」

 

なんだ…

まだ何かやってくるつもりか…!?

流石にもう戦えないぞ…!

 

『…ん!?こ、これは…!?』

 

「AAA様!?どうしたんですかい!?」

 

『ドリモゲモンが破壊したはずのファイヤウォールが…復活している!バカな…マルウェアを送り込めない…!』

 

ネット回線のトンネルを見ると…

ボロボロのクラフトモンが、ちょうどファイヤウォールを修復完了したところであった。

 

クラフトモンは、コマンドラモンが「建設」と「加工」に関する大量のデータを食べてパッチ進化したデジモンだ。

その姿は、戦闘に特化したのではなく、建設と加工に特化した進化をしたのだ。

故に、破壊されたシステムの修復作業も、クラフトモンなら可能だ!

 

ありがとう!クラフトモン!

「…」

クラフトモンは、少し笑った後…

地面にばたりと倒れた。

 

『ま、まだ…!新たに送り込めなくても、今までに送り込んだマルウェアが機能すれば…!』

AAAがそう言った直後。

 

「マシーーーー!」「マシシィーーー!」

ボスマッシュモンと、かなり数が減ってしまったチビマッシュモン達が、マルウェアを駆除し終えた。

 

『…ッ!これでは…追加の戦力が…送れん…!』

 

死屍累々の戦場の真ん中で…

自らの足でしっかりと立っているのは、ボスマッシュモンとチビマッシュモン達、そしてオタマモン達だけだった。

 

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