デジタマといえば…
大きな問題がある。
ワームモンとサラマンダモンがデジタマと融合してできた、大きなデジタマだ。
これはブイモンとデジクロスしてフレイドラモンとなり、強大なパワーを与えた。
その結果、ブイモンは餓死寸前までエネルギーを使い果たして飢餓状態となった。
しかしブイモンは食事ができるため、減ったエネルギーを補給可能だ。
その一方で、この大きなデジタマの方はどうか。
口がないからエネルギーの補給ができない。
…デジタルワールドにおいて、エネルギー保存則は絶対だ。
当然、この大きなデジタマもエネルギーを限界まで消耗しているはずだ。
…このままでは、ワームモンとサラマンダモンが融合したこのデジタマは、エネルギーが尽きて死んでしまうのではないだろうか。
「はらへった~…しにそうだぁ~」
ブイモン。
ボスマッシュモンが、前にパルモンが釣ったプカモンの干物をお湯で煮込んでくれたよ。
食べるといい。
「いただきまーす!ハムッハムッ!もぐもぐ…」
ブイモンはプカモンの干物を食べている。
「…ワームモン、おまえもはらへってねーか?おまえもサカナたべろよ、ワームモン…」
ブイモンは、大きなデジタマに煮魚を差し出しているが…。
まさかデジタマが口を開けて餌を食べることなんてできるわけが…。
「ウミョォ~~ン!」
ん!?
大きなデジタマがパカっと割れて、大きく口を開けた!
な、なんんん!?
「おお、口あるんだな!ほらくえ!」
ブイモンは煮魚をデジタマの口に放り込む。
「バクッ!モグモグムシャムシャ…。ウミョォ~ン!」
なんてこった…
デジタマが、デジタマのまま食事したぞ!
どうなってんだ!?
「クワアァ~!クワアァ~!」
デジタマは2~3回鳴くと…
下部がヒビ割れ始め、ズボっと脚が出てきた。
そのまま、正面の真ん中よりやや上あたりの卵殻も割れた。
あれは…目だろうか。うっすらと2つの光が、闇の奥に見える。
オ…
オーーーーマイゴッド!!!!!
デジタマというか…
そういうデジモンだったのか!?
レベルを計測したところ…
『4.3』といったところだ。
成熟期をやや超えている成長段階だが、レベル5には至らない、中途半端なところだ。
生命のシステムが少しバグっているのかもしれない。
あるいは、先ほど蛮族との戦いでサーバーのシステムをしこたま破壊されたため、その影響で計測がうまくいかなくなっている可能性もある。
「ウミョォ!」
歩くデジタマは、ビオトープから出たがっている。
とりあえず私はデジタルゲートを開いて、歩くデジタマを、先程まで戦いが繰り広げられれていたデジタル空間へ出してやった。
先程までデジタル空間にいた赤いオタマモン8体は、既にそこには居なかった。
カンナギ・エンタープライズ・ジャパンへ帰還したのだろう。
歩くデジタマは、蛮族デジモンの焼死体を貪り食っている。
…うーん、これならエネルギー補給は問題なさそうか。
少しこの歩くデジタマの姿をしたデジモンのバイタルデータを計測してみたが…
DPはかなり低い。成長期並だ。
しかし、『エネルギーの貯蔵限界量』はかなり凄まじい。
おそらくグレイモンが肝臓に貯蔵できるエネルギーと同等量のエネルギーを貯蔵することが可能とみえる。
DPとはデジモンの強さそのものを示す指標ではなく、「基礎代謝量の多さと、身体能力の高さ」を示す数値だ。
このデジタマはおそらく、平時はできるだけエネルギーを消耗せずにひたすら体内に蓄えておき、膨大な貯蔵エネルギーをデジクロスしたときに一気に使用する…という生態を持っているとみられる。
つまり、デジクロスすることに特化したデジモンといえるだろう。
『素晴らしいいいいいいいいいいいイィイイイイイイイーーーーーーーー!!』
うわっスポンサーさん!?
どうしたんですか!?
『君のデジタマ型デジモン君…成熟期になったということは、タマゴを産める!すなわち!彼のデジタマを育てれば、デジクロスが可能なセキュリティデジモンを大量生産できることになるぞ!これは素晴らしいィィイイーーーーー!』
それは…確かに。
『今はいろいろなことの後始末がてんやわんやで、ビジネスのことまで頭が回らないだろう。落ち着いてから話す。ひとつ言わせてもらうなら…今、君たちのチームの投資対象としての価値は、君たちの予想をはるかに上回るほど大きく上がった。それを自覚しておくことだ』
わ…分かりました。
ビジネスの話はまたあとで。