スティングモンが、フレイドラモンに飛び掛かる!
凄いスピードだ!
フレイドラモンは、スティングモンのパンチをいなす。
そして、スティングモンの顔にパンチを打ち込む!
スティングモンは素早い身のこなしで、フレイドラモンのパンチを躱し…
フレイドラモンの頭部へ右フックを決めようとした!
この軌道は回避できない…!
しかし、フレイドラモンはぴかっと光り、一瞬でシェイドラモンへ変形した。
シェイドラモンはフレイドラモンよりも身長差が低いため、スティングモンの右フックは空を切った。
態勢を崩したスティングモンに向かって、シェイドラモンは粘着糸を放った。
スティングモンの腕に粘着糸が絡まる!
スティングモンがもがいていると…
シェイドラモンは、フレイドラモンに変形し、スティングモンの顔面に蹴りを放つ!
…フレイドラモンは、スティングモンの顔に蹴りが当たる寸前で、脚を寸止めした。
『どうだ?オイラの実力は』
決着はついたようだ。
身体能力のスペックでは、フレイドラモンがスティングモンを上回っていただろう。
だがスティングモンは百戦錬磨の戦闘経験がある。
身体スペック頼りの経験不足なフレイドラモンの格闘攻撃をなんなく躱し、本来絶対に回避できないはずの軌道でカウンター攻撃を放った。
だがフレイドラモンは、シェイドラモンへの変形という奥の手を使ってその攻撃を躱し…
意表をついて粘着糸によってスティングモンを拘束。そして強烈なキックを頭部に放ち、戦闘終了となった。
フレイドラモンは、キンカクモンやアイスデビモンとの戦いの中で、戦闘経験が豊富な相手にはゴリ押しが効かないことを学んだのだろう。
だからこういう搦手を考え出して、自分以上の格闘の達人相手でも意表をついて勝つ術を身に着けたんだ。
これがブイモンの真の強さだ。
奢ることなく、常に新たな創意工夫を怠らないという強さ。
スティングモンは、ふぅと溜息をついた。
『中々やるな。だが、私とブイブイが合体した姿には及ばない』
『つえーもんな、パイルドラモン。オイラもあのくらい強くなりてーぜ!…で?まだやるのか、スティングモン?』
『グサグサと呼べ。…今のが全力か?シェイドラモン』
スティングモンは、フレイドラモンのことをシェイドラモンと呼んだ。
まあフレイドラモンという名前は教えてないから、仕方ないか。
『今はな』
『…私はもういい。貴様らはどうする?このまま私を殺せるチャンスだぞ?ん?』
スティングモンはまだ我々を疑っているようだ。まあ無理もないか…。
リーダーがマイクを握る。
「我々の社会には、『敵の敵は味方』という言葉がある。AAAを滅ぼそうとしている我々にとって、貴方たちは味方だ。グサグサ」
『…まあ今は信じてみようじゃないか』
「…デジタマを奪って悪かった、グサグサ。だが貴方の子供は、これほど強く育ったぞ」
スティングモンは、ふふっと笑った。
『安心した。私の子供は既に信徒たちに食われていると思っていた…諦めていた。だが、生きていたんだな。これほど強くなって…』
「ああ。我々の大切な仲間だ」
『信徒たちに奪われるより、貴様らに奪われた方が、いくらか私の子供は幸せになったようだ』
「間違いない」
『それで、我々にその子を返す気はあるのか?』
「シェイドラモン本人に聞いてくれ」
『…我が子よ、村でオサオサと共に暮らさないか。美味いヤサイがたくさんあるぞ。最近は果物も採れるようになった』
フレイドラモンは、シェイドラモンへ変形し、チャットで返事をした。
『くらさない ぼくのかぞくは セキュリティチームだから』
『…フフ、そうか』
スティングモンは苦笑した。
『でも ぼくをうんでくれて ありがとう グサグサ。きみが ぼくを うんでくれた おかげで ぼくは セキュリティチームの みんなと しあわせに くらせてる』
『…』
『いのちを ありがとう』
『…これから信徒たちと戦うのか?我が子よ』
『そうだよ!』
『必ず生きて帰れ。どのように勝ったか、どのように活躍したか。私に聞かせるんだぞ。シェイドラモン』
スティングモンは、シェイドラモンの頭を優しく撫でた。
『うん!グサグサ!』
スティングモンはリーダーのデジドローンの方を向いた。
『…我が子を粗末に扱うなよ』
「ああ、もちろんだ。大切な家族を、粗末になんかしない」
『ならばよい。罪滅ぼしとやらをするのだろう、さっさとやってこい』
「いや、まだ話は終わっていない。そちらから聞きたい事と、こっちから伝えたいことがある」
『なんだ、セキュリティチーム』
「まずは聞きたい事だが… グサグサ、なぜ貴方は我々の言葉が話せる?これは我々やAAAの社会で使われている言葉だ」
『…奴に教わった。バブンガモンに』
バブンガモン…!?
バブンガモンって、蛮族側のデジモンじゃないか!ヒヒ型の!
「バブンガモンは信徒ではないのか?」
『奴は信徒が信徒になる前からいた信徒だ。だから信徒であって信徒ではない』
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