デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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忘れず、許さず

『…我々ジャスティファイアは功利主義だ。貴様ら研究チーム共が何を思い煩おうが知ったことではない。市民にとって得かどうか。それですべてを決める』

 

パ、パルタスさん…。それはつまり…。

 

『おいバブンガモン!聞こえるか!私はパルタスだ!』

 

『ナ、ナンダ』

 

『私は貴様たちに情けなどかけん!貴様らが我々の役に立つかどうか、それですべてを決める!役に立たないならばこのまま殺してやる!』

 

『…ドウシロト、イウンダ』

 

『貴様ら蛮族共は、天使を名乗る犯罪者、AAAに操られていた!だがその一味は死んだ!お前らはどうする、AAAの部下になっていいように使われるのか!?』

 

『バ、バンゾク?ハンザイシャ?シラナイコトバダ』

 

…蛮族は信徒と同じ意味。犯罪者は、盗んだり殺したりする悪い奴らって意味だよ。

 

『オ、オレハ、ソンナコト、シタクナイ…シタクナインダ』

 

『ならば!罪滅ぼしをしろ!禊だ!これから貴様と生き残りたちは、我々セキュリティ側の軍門に下れ!そしてともにAAAが差し向けてくる刺客と戦うのだ!』

 

『ミソギ?グンモンニクダレ?サシムケル?シカク?ワ、ワカラナイ、コトバガ』

 

パルタスさん、あまり難しい言葉を使わないで…。

 

『難しくないだろう!AAAのヤツ、言語教育がなっとらんな。我々のデジモン達はこのくらい難なく理解できるぞ』

 

…パルタスさんに代わって私が言うよ、バブンガモン。

つまり、我々と共に天使の部下たちと戦ってくれるなら、天使が置き去りにした生き残りの信徒デジモンを解放できるよ、って言ったんだ。

 

『ソレハ… シスタモンヤ、ユニモント、タタカエトイウノカ』

 

あ…。

そ、そうなっちゃいますよ、パルタスさん。

 

『そうだ。…そうだと言っている!』

 

『デ、デキナイ、ソンナコト!シスタモン、キンカクモンガノコシタ コドモ! タタカエナイ!』

 

『ならば十数体の貴様の家族たちを見殺しにするのか!』

 

『ウゥ…!』

 

リーダーは、パルタス氏の問いかけを聞いて青ざめている。

「パルタス氏…トロッコ問題を仕掛けてきたか。シスタモンを見捨てて十数体のシャーマモンたちをとるか。十数体のシャーマモンたちを見捨ててシスタモンをとるか…!」

 

我々がそう話していると…

地面に倒れ伏しているスティングモンが口を開いた。

 

『貴様達、さっきから訳の分からない言葉でうだうだと言い争いをしおって…。そうやって、私が注入した麻痺毒がバブンガモンから抜けるまでだらだらと口論を続けるつもりか?』

 

グサグサ、無事だったのか。

 

『無事に見えるか?』

 

…大怪我ですね。ハイ。

 

『バブンガモンとその家族を何に利用するだのと…勝手に決めるな。天使の味方につかなければいいだけの話だろう』

 

それはそうだけど…

 

『バブンガモン。家族とともに、私の農園に来い。私の仲間たちは信徒デジモンをとても嫌っているが…、しっかり働けば受け入れるだろう』

 

『ウケイレテ…クレルノカ?』

 

『…私やブンブンも、最初はオサオサにとって敵だった。だがオサオサは、やがて我々を受け入れた。和解し、協力しあえた』

 

ブンブン…モスモンか。

 

『信徒デジモン達が働かずに盗み食いでもしようものなら容赦なく叩き伏せる。それでよければ、こちらに来い』

 

『…イイノカ、グサグサ』

 

『無意味な質問だ』

 

『…ヤッパリ、オレハ…オマエニデアエテ、ヨカッタ』

 

『同感だ』

 

どうやら話はまとまったようだ。

パルタス氏が慌てた声で通話してくる。

 

『お、おい!スティングモン!勝手に話を終わらせるんじゃない!バブンガモン達には、私が対クラッカー用のデジモンとして従軍するように言ってる最中だぞ!』

 

もういいじゃないですか。パルタスさん。

土台無理な話です。家族同士で殺しあえだなんて。

 

『く…。スティングモン!バブンガモン共がまたAAAに加担したら、貴様らの農園も容赦なく叩きつぶすからな!』

 

『私のことはグサグサと呼べと言っている。…信徒共がまた天使に加担したら、私が処刑するから安心しろ』

 

そうして話していると、バブンガモンが腕を動かし始めた。

 

『ン…ンン…。カラダノ痺レ、ナクナッテキタ…』

 

バブンガモン、結論は出たね。

AAA…天使を慕う信徒達は滅んだ。だけど、天使に裏切られた生き残りがまだ残っている。

君達は彼らとともに、これからグサグサの集落で働いて暮らすんだ。

 

そして、差別を受けて集落から逃げ出した類人猿型デジモンがいたら、村に勧誘してほしい。

また天使に騙されて利用されないように。

 

『…ワカッタ。デモオマエタチ、ナンデ、裏切ラレタ家族タチヲ生キ残ラセテクレタンダ?ナゼコロサナカッタ』

 

え、えと、それは…。

 

…私が答えあぐねていると、リーダーが代わりに答えた。

「我々は好き好んでデジモンを殺したいわけじゃない。害にならないから放っておいた」

 

それを聞いたバブンガモンは、頷いた。

『…ヤッパリソウダ。オマエタチ、シスタモンノコトモ、見逃シテクレタンダナ』

 

…え?

『オレノカゾク、ホトンド死ンダ。オレ、サビシイ、カナシイ。ダカラオマエタチ、シスタモンノコトハ、生キ残ラセテクレタンダ。ソウダロ?』

 

…そういうことにしておくか。

 

スティングモンは、それを聞いてため息をついた。

『…バブンガモン、私は戦いの傷が深くてまだ動けん。私をおぶって農園まで連れて行ってくれ』

 

『ワカッタ。イタイコトシテ、ゴメン。グサグサ』

 

バブンガモンは、グサグサを担いだ。

そして去り際に、こちらを振り向いた。

 

『…セキュリティチーム、オマエタチガ、オレノ家族ヲミンナ殺シタコト、オレハズット忘レナイ。ズット許サナイ』

 

…そりゃそうだよね。

 

『ダケド、グサグサト仲直リサセテクレテ、アリガトウ』

 

…。

 

『オマエタチガ、仲直リサセテクレナカッタラ…。オレハ、カタキウチニ、グサグサヲ、コロサナクチャイケナカッタ。デモ、ソウシナクテイイッテ、オマエタチガ、オシエテクレタ』

 

…そうだね。

殺しあうことだけが問題の解決方法じゃないよ。

 

『…カエロウ、グサグサ』

 

担がれているスティングモンがこちらを向いた。

『…私からも感謝する。お前たちが間に入ってくれなければ、バブンガモンの復讐を止めるために、私はバブンガモンを殺さなくてはならなかった』

 

…うん。

 

『私はすべてを水に流す。ブイブイとブンブンがお前たちのせいで死んだことは、もういい。タマゴを盗んだことも。…その代わり、シェイドラモンをうんと強く鍛え上げろ』

 

分かったよ、グサグサ。

許してくれてありがとう。

 

『…いや、だめだ、やはり許さん』

 

ええっ!?

 

『たまにシェイドラモンの顔を見せに来い』

 

は…はい。

で、たまに腕試しをしたいんですよね。さっきみたいに。

 

『分かっているじゃないか。ならばよし』

 

 

 

そうして戦いは終わった。

かつてのAAAとの戦いの最中にリーダーが島流しにしたシャーマモンやコエモンたちのいる孤島に、デジタルゲートを繋げてみた。

今どうなってるのかな…

 

孤島のシャーマモンやコエモン達は、まだ生き残っている個体もいたが、既に死んでいる個体や、危篤状態の個体もいた。

 

海に入って魚デジモンを捕えながら生き延びているようだが…

餌と飲料水が明らかに不足しているのは見て分かる。

 

海水を飲みすぎて体調を崩している個体が多いようだ。

 

なんだか、今にも共食いを始めそうな雰囲気だ。

 

…ケンタルモンの姿は見えないですね、リーダー。

「ケンタルモンは別の孤島に送った」

 

そうなんですね。

それじゃバブンガモン、この飲み水と食料を持ってゲートを潜って。

スティングモンとディノヒューモンから預かった野菜だ。

モリシェルモンの塩漬け肉もある。

 

『ワカッタ』

 

バブンガモンは、飲料水と食料を持って、孤島に出た。

 

『カゾクタチ!!天使ニウラギラレタ、カゾクタチ!タスケニキタゾ!!!』

 

『バ、バブンガモン!?ナンデ、ココニ!』

シャーマモンが驚いている。

 

『オマエタチハ、天使ニミステラレテ、オキザリニサレタ。コノママ見殺シニサレルトコロダッタ。ダガ、オサオサ農園ガ、オマエタチヲタスケタンダ』

 

『オサオサ農園…?』

 

『天使ガ「ブルースキン」ト呼ビ、オマエタチノ敵ダトフキコンダノガ、オサオサ農園ダ。オマエタチハダマサレテ戦ワサレテイタ!』

 

『ウ、ウソダ、ソンナ…!』

 

『嘘ナラナゼ天使ハ助ケニコナイ!』

 

『オ、オォ、ォオオォ…!』

 

『エラベ、オマエタチ!コノママ天使ノ言ッタコトヲ信ジツヅケルナラ、コノ島デ天使ヲ待チツヅケロ!ダガ!コレカラブルースキン達ト共ニ暮ラシテ働ク奴ハ、コレヲ食エ!』

 

だ、大丈夫かな…。

AAAの洗脳は大分強そうだけど。

 

『オ…』

 

シャーマモンたちの反応はいかに…!?

 

『…ォオオーーー!!天使ィーーー!クタバレェーーー!』

『オレタチヲミステタ天使ナンカ知ラネェーー!ブルースキント暮ラス!!』

『飯クレェェーーーー!!』

 

おお…。

意外なほどあっさりAAAを見限ったぞ。

 

「まあ、こうなるだろうな」

リーダー…

分かってたんですか?

 

「フーガモンや幹部たちは本気でAAAを信仰していたかもしれないが…こいつらは違う。周りがAAAを信仰していたからマネしていただけだ」

 

それじゃあ…

心から信仰してはいなかったと?

 

「結局、自分たちに飯を食わせてくれる者に従うだけだったんだ」

 

…そういうことだったんですね。

 

シャーマモンやコエモン達は、バブンガモンが差し出した野菜にかぶりついた。

『ウメエエエエエーーーー!!!』

『ヤッパリサイコーニウメエエ!!』

 

無中で野菜を食べるシャーマモン達を見るバブンガモン。

『コレカラハ、盗ミハダメダゾ。働イテ、一緒ニ野菜ヲツクルンダ』

 

『バブンガモンサマーーーー!!ブルースキン!!!バンザーーーイ!!!』

 

…このシャーマモン達も、かつてはバブンガモンを被差別階級として見下していたんだろうに…。

それを許して、家族として救いの手を差し伸べるバブンガモンは、器が大きいな…。

 

 

 

 

その後。

バブンガモンおよび孤島から救出された類人猿型デジモン達は、スティングモン及びバブンガモンに連れられてディノヒューモン農園にやってきた。

 

農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達を睨みつけ、殴り掛かろうとしたが…

土下座して謝る類人猿型デジモン達を見て、ひとまず振り上げた拳を下したようだ。

 

類人猿型デジモン達は当初、農作業に従事するように指示を受けていたが…

いきなり異文化の中に溶け込むのは難しいようだ。

 

農園のブイモンやカメモンたちは、農作業を楽しみながらやっているが…

類人猿型デジモン達は、この反復作業に飽きて、嫌気がさしてきているようだ。

 

無理もない。

デジモン達の脳や、そこに根付く本能は、自分の生活に適した特性に特化した進化をする。

狩猟と略奪を生存戦略としてずっと続け、それに特化した脳を獲得した類人猿型デジモン達には、農作業は土台向いていないのだった。

 

中には、収穫済みの農作物を盗み食いしたシャーマモンもいたが…

その個体には、バブンガモンが鉄拳制裁を下した。

 

…共生は無理なのかと思われていたが…

しばらくすると、類人猿型デジモン達は、畑を狙ってやってくる害獣デジモン達を狩ったり、あるいは農園の外へ狩りに出るようになった。

 

基本的に草食性だった農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達が狩猟によって仕留めたデジモンの肉という新たな栄養源を得て、生活様式が変化してきているようだ。

骨器や革製品などを生活に取り入れることで、今までになかった文化がもたらされたようだ。

 

そんなわけで…

当初の理想通りとはいかず、苦労しているようだが、それでも共生の道を模索し続けているようだ。

 

とりあえず、一件落着したようで何よりですねリーダー。

 

「ああ。シスタモンたちは取り逃がしたが…それでもAAAから蛮族という戦力は引きはがした。当分大規模な活動はできないだろう」

 

農園と類人猿型デジモン達の共生の様子は、メガが録画撮影を続けています。

ドキュメンタリー番組に使い、デジタルアソートのプロモーションに使うつもりなんだとか。

 

「俺も頼りになるチームの仲間を持ったものだな」

 

そういえば、何か忘れているような気がしますね。

 

「ん?なんだ?」

 

なんだっけ…

そう悩んでいると、パルタス氏から通話がかかってきた。

 

『貴様ら!我々にキウイモン島の蛮族掃討を任せておいて、その結果を聞こうともしないとは何事だ!』

 

ああ!それだ!

スターモンと…なんだっけ…なんかのデジモンを、キウイモン島の蛮族の掃討に出向いてもらってましたね。

どうなりましたか?

 

『ふむ。記録映像と共に伝えよう』

本作に登場した人間キャラで好きなのはどのキャラでしょうか

  • ケン
  • メガ
  • カリアゲ
  • クルエ
  • リーダー
  • スポンサーさん
  • 岸部エリカ
  • 神木
  • パルタス
  • バンモチ
  • 小学校の先生
  • AAA
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