パルタス氏の記録映像が再生される。
キウイモン島のアクセスポイントにゲートが開き、スターモンとジオグレイモンが出てきた。
うお、ジオグレイモン… なんだかグレイモンとグラウモンの特徴を併せ持ったような感じだな。
これは強そうだ。親のグレイモンに匹敵する戦闘能力があるかもしれない。
スターモンは到着早々、両手を上にかざし…
流星群を呼び、たくさんの隕石を次々と島中に落下させた!
こっちもこっちですごい!
私が過去に見た野生のスターモンは、隕石を1個落とすのでもやっとだったのに…
それを何発もたくさん落とすなんて。
でもエネルギー消耗がすごそうだな。
そのまま2体は、次々とシャーマモンやコエモン、セピックモンやジャングルモジャモンを倒していった。
圧倒的な戦闘能力だった。
スターモンは、パンチやキックの破壊力がものすごい。
ジオグレイモンは、尻尾での薙ぎ払いや、火炎のブレスが武器のようだ。
やがて、二体は何か…家畜小屋のようなものを見つけた。
おおっ?
あそこにキウイモンがいるのだろうか。
もしキウイモンがいたら、生け捕りにしてくれるという約束だったはずだが…
果たして。
…と思ったら…
スターモンはなんと、家畜小屋を飛び蹴りで破壊した!
な、なんだ!?
なんでいきなり小屋を破壊したんだ!?
私が動揺していると、リーダーが口を開いた。
「敵が潜んでいることを感じ取ったのかもしれない」
なるほど、ゲリラ戦法を警戒したわけですね。
倒壊した小屋の中から、小さな鳥の雛型デジモンが何体か出てきた。
これは…!?
キウイモンの子孫だろうか?
しかしこの、幼年期の雛形デジモン、なんか見た目が…あれですね。
鶏のから揚げみたいに見えますね。
『そいつらにはとりからボールモンと名付けた』
…同じこと考えてたんですね。
さて、このとりからボールモン、一見無害な家畜に見えるが…
スターモン達はどうするんだろうか。
スターモンは、網を取り出した。
どうやら捕獲するつもりらしい。
キウイモンではないが、「家畜として役に立ちそうだから」という理由かな。
しかし一方、ジオグレイモンは…
なぜか、とりからボールモン達に、怯えたような目線を向けた。
そして…
とりからボールモン達を最大火力の火炎放射で焼き払った!
猛火に焼き尽くされたとりからボールモン達は、瞬く間に炭化した。
な、なんで!?
なんでジオグレイモンはとりからボールモン達を倒したんですか!?パルタスさん!
『わからん』
わからんって…あなたの指示じゃないんですか!?
『理由はわからんが…ジオグレイモンなりになにか考えがあったのかもしれんな』
リーダー、どう思います?
食べてしまうのならまだしも、食えなくなるほど焼き尽くすのは意味が分かりません。
「…もしかしたら、あいつらには毒があったのかもしれない」
ど、毒?
「そうだ。とりからボールモン達はひょっとしたら、蛮族の食糧ではなく、獲物を捕らえるための生きた毒餌なのかもしれない」
な、なるほど。
「いやいや、毒持ってる鳥なんていねえだろ」
カリアゲがツッコミを入れた。
…カリアゲ、実はいるんだよ、毒を持っている鳥。
パプアニューギニアに住むズグロモリモズという鳥は、筋肉や羽根にヤドクガエルに似た毒を持っていて、人間でも羽根一つ分食べると死んでしまうほど強いんだ。
「へ、へぇ~…。とりからボールモンがそうだったらおっかねえな」
その後、しばらくスターモンとジオグレイモンが大暴れすると…
別の家畜デジモンを発見した。
…バクに似た成長期デジモン、バクモンだ。
スターモンは、バクモンたちを捕獲した。
おお、これらは持ち帰るんですね、パルタスさん。
『おそらくシマユニモンの幼体だろう。持ち帰って育て繁殖させれば、優秀な馬デジモンになる』
馬…軍馬ですか。
『そうだ!馬は人類史上最も長く使われた武器の一つだからな。なにせ第一次世界大戦まで使われていたというほどだ。ならばデジモンの馬も、育て上げれば非常に優秀な兵器となるだろう』
間違いないですね。
シマユニモンの亜種であるユニモンの高い性能には、我々は手を焼きました。
あれが味方になると考えると心強いです。
…やがて、映像が終わった。
『この後、なんやかんやでキウイモン島にいる蛮族は全て撲滅した。報告は以上だ』
わかりました。ありがとうございます。
…カリアゲが眉をしかめている。
「…後の祭りだからいいんだけどさ。この島のやつらも、バブンガモンと共生できるチャンスは無かったのかな?」
『無いな』
「そんなあっさりと…」
『孤島へ流刑にされた蛮族たちがディノヒューモン農園と共存できたのは、数日に渡る餓えの苦しみから、自分たちを救わなかったAAAを見限り、信仰心を捨てたからだ。AAAへの信仰心が残ったままのキウイモン島の蛮族共を拉致して強制労働させたとて、いつか謀反を企てるだろう。そんなリスクは決して放置できん』
「…そりゃそうか…。そうだな…」
遠い目をしているカリアゲ。
頭では納得できていても、やはり殲滅したのはやりすぎだと思っているのだろう。
リーダーが不思議そうに考え込んでいる。
「で、この島は蛮族共の何だったんだ?」
『畜産場、兼、武器工場だな。この孤島で家畜を育てれば逃げることはないだろうからな。あとは青銅の武器もここで作っていたようだ』
しかし、この島これからどうするんですか?
一度島を制圧したとしても、またアクセスポイントからいつでも敵は侵入してこれますよね。
『ならば我々のデジモンのトレーニング場にするのがいいだろうな!敵が侵入してこようとも、たまに戦闘訓練ができると考えれば一石二鳥だ!』
カリアゲは眉間にしわを寄せている。
「変なとこで機転が利くな~この人…」
こうして、我々が観測している範囲での蛮族デジモンは、デジタルワールドから消え去った。
バブンガモン率いる生き残りの類人猿型デジモン達は、ディノヒューモン達と共に、時にうまくやり、時に喧嘩しながら、まあどうにか生きていくだろう。
だが、シスタモンとトコモンを逃がしたのが気がかりだ。
こちらの戦力が整い、デジタルアソートのハックモンが完成したならば…
可及的速やかにこちらからAAAの本拠地に出向き、敵本部壊滅を目指すべきかもしれない。
それに…なんだかもやもやする。
何かを忘れているような気がする。
AAAの配下が、まだどこかに、デジタルワールドのどこかで見たことがるような気がするんだけど…どこだっけ…?
喉まで出かかっている感じがするが…
だめだ、思い出せない。
そうして私が悩んでいると…クルエが声を上げた。
「はい、とりあえず、これでデジタルワールドにいるAAAの配下はみんなやっつけたね!これで一安心。一件落着、めでたしめでたし!」
…そうだね。とりあえず今は良いか。
思い出せたらその時にどうにかすればいい。
めでたしめでたし。
「おつっしたー」
シンが拍手している。
「ふぅ…一安心か…。このままAAAのやつがおとなしくなってくれればいいな…」
メガは深呼吸をした。
「…全然めでたくないぞ、お前ら!」
リーダーが声を張り上げた。
ど、どうしたんですか?
「シスタモンとトコモンに逃げられたことを、結果オーライで済ますきではないだろうな?反省会だ!」
そうはいっても後の祭りじゃないですか…。
私がそう言うと、クルエもが頷いた。
「そうだよ!逃げられちゃったけど、そのおかげでバブンガモンはスティングモンと仲直りできたんだからいいじゃないですか。もしシスタモンをやっつけてたら、バブンガモンは自暴自棄になって死ぬまで仇討ちを続けてたと思いますよ」
「それはそうだが…もしもユニモンに乗って逃げたのがフーガモンやアイスデビモンだったとしても同じことが言えるか?」
「…だめですね」
「そうだ。結果オーライとはいえ、それはそれで話は別だ。作戦失敗は作戦失敗。反省をして、次に同じ局面になったときにどうすればユニモンを止めることができるか考えるぞ!」
そうして、我々は反省会をするのだった…。
結論だけ言うと、「ティンカーモンがデジタルゲートから出てきたときに、ドーガモンを連れてきて、AAAのデジドローンの幻影に『止まれ』と命じさせればよかった…という結論となった。
…ほんとに戦略兵器だなドーガモン!
それからの様子だが…。
今回の一連の戦い…詐欺事件からAAAの侵攻、そして蛮族壊滅までを、一部脚色しつつまとめた特別番組が放送された。
人々からの反応は様々だ。
我々を称賛する声もある。
バブンガモンとスティングモンの共生を応援する声もある。
無論ポジティブな声だけではない。
「蛮族をミサイルで壊滅させたのはやりすぎだ」「蛮族がかわいそう」という非難の声もあり、研究所の電話にクレームの電話が鳴り続けることもあった。
一件向かい風のようだが、これはメガの計算のうちだ。
蛮族に対して同情心を抱く者が現れるということは、それすなわち、デジモン全体に対するマイナスイメージが払拭されたということなのだから。
人々がデジモンに対してプラスのイメージを持つことは…
デジモンの平和利用を目指すデジタルアソートにとって、何よりもの追い風だ。
パートナーデジモン達は、みんな元気にしている。
クラフトモンはしばらく寝込んだ後、無事に復活した。
サビかけているケンキモンを必死に修復し、なんとかケンキモンも動くようになった。
フルパワーが復活したケンキモンをフル稼働して、フローティア島に建築物を次々と建てている。
コマンドラモンが選んだ進化形態の姿は、当初こそ透明化や爆弾を失ったデメリットが目立ったが、今では長所をいかんなく発揮している。
クラフトモンが産んだデジタマからは、無事にボタモンが産まれ、コロモンにまで成長した。
このままコマンドラモンになるのか?あるいは異なるデジモンに育つのか。
我々は見守るばかりだ。
能力を失ったコマンドラモンの役割を補いあまるほど埋めているのがシュリモンだ。
シュリモンは草陰に隠れて隠密行動をするのがとても得意だ。
時代のセキュリティデジモンを育成するために、デジタマ採集に奔走している。
そのおかげで、前々から目を付けていたデジタマをいくつか採取することができた。
オオカミ型デジモンのガルルモンのタマゴ、フクロウ型デジモンのアウルモンのタマゴ、翼人型デジモンのイビルモンのタマゴ等だ。
どれもきっと優秀なデジモンに育つだろう。
マッシュモンは…いい意味で変わらない。
成長期のまま進化しないが、別にそれでいいと思う。これはこれで完成された性能を持っているともいえる。
世間ではキャラクターとしての人気がどんどん高まっており、着ぐるみに人が入ってショーをやったりもしている。
…つくづく変な奴がデジタルモンスターの代表格になったものだ。
ブイモンは「もっと強くなりたい」と申し出て、ジャスティファイアに行って鍛えてもらった。
毎晩「もうだめだ」「しんどい」「死ぬ」「帰りたい」と弱音を吐いている。
「もう帰ってくれば?」と何度も言ったが、その度に「でも強くなりたい」と何とか立ち直った。
やがてブイモンは成熟期のエクスブイモンになって帰ってきた。
非情に高い戦闘力をもっていて頼りになる。
デジタマモンが「もうデジクロスしないの?」という目で見てくるが…
きっとエクスブイモンの子供が生まれたら、ブイモン二世がデジタマモンとデジクロスをすることだろう。
ファンビーモンとドリモゲモンが融合してできたデジタマは、そのまま黒いピーナッツ型の物体「友情のデジメンタル」となった。
デジタマモンがこれを飲み込み、ブイモンとデジクロスすることでライドラモンになれるアイテムだ。
しかし、いかんせんライドラモンは今の我々にとってあまり活躍の場を与えられないデジモンといえる。
正直、あのまま融合デジタマから幼年期デジモンが産まれてくれた方がよかったな…と思うこともあったが。
まあ、そう言っても始まらない。うまく活かす道を模索しよう。
ティンカーモンは、見た目によらずなかなか好戦的だ。さすがは蛮族デジモンの系譜。
フローティア島のパートナーデジモン達と模擬戦をするのが好きなようだが…
今現在、成長期は格闘戦が苦手なオタマモン(赤)くらいだ。
毎回ティンカーモンに敗れるオタマモンを見ているとちょっと可哀そうになるな。
デジタルアソートも好調なようだ。
ナビゲーションの能力をもつナビモンは無事に量産化に成功した。
マッシュモン由来の分裂増殖能力によって、クローンを生成し、レンタルサービスを試験的に行っている。
ナビモンがオペレーティングシステムを務める地図アプリは、スマートフォンのバッテリー消費が非常に少ないことがユーザーに大好評だ。
加えて、ござる口調の気の利いたナビゲーションも好評である。
メガが目指した「デジタルモンスターの平和利用」のビジョンは、確実に実現しつつある。
最近あまり報告を上げていなかったベーダモンだが…
我々にデジタマを預けてきた。
どうやら、海の軟体生物だったオクタモンが急激に進化してベーダモンになったせいで、産んだデジタマが陸上に適応できておらず、デジタマがぜんぜん孵化の兆候を見せないらしい。
このままベーダモンのデジタマを放置していたら、やがてタマゴが力尽きてしまうだろう。
そうなる前に、デジタマを孵化させることができればいいが…。
そうしてセキュリティデジモンを育成しながら…
今日も私は、デジタルワールドの観察を続ける。
やはり野生デジモンの観察はいい。
新しい知見を得られて、セキュリティデジモン育成のヒントを得られるし…
個人的な話だが、シンプルに生態観察は楽しいのだ。
今日はイビルモンの子孫が進化した新たな翼人型デジモン、デビドラモンの観察をするつもりだ。
最近の翼人型デジモンの隆盛はすさまじく、蛮族が消え去ったニッチを埋めるかのように、群れで行動し周囲を襲撃している。
ディノヒューモン集落も彼らの攻撃を受けたが…
待ってましたとばかりに類人猿型デジモン達が戦いに行くため、なんとか撃退できているようだ。
そのディノヒューモン農園だが、最近はバブンガモンの親であるプレーリードッグ型デジモン、プレイリモンが合流したそうだ。
鋭い爪を持ち、穴掘りが非常に得意が得意なプレイリモン。どことなくドリモゲモンとの血縁関係を彷彿とさせる。
この爪があれば、畑を耕すのは大得意だろう。農作業で大活躍するかと思われたが…
予想に反して、プレイリモンは全く農園に適応できていなかった。
勝手に畑の作物を食べてしまうなど、問題行動が目立っており…
ついに実子のバブンガモンから鉄拳制裁を食らい、農園から追放されてしまった。
プレイリモンは、子のバブンガモンほど文明生活への適性がなかったようだ。
肉体はとても農作業向きなのに、本能や知能はそれに適さないというのは、皮肉なものである。
そのプレイリモンは、農園を去るときにデジタマを一個、近くの木の茂みに産み落とした。
これは憶測だが、農園に適応できなかった自分の代わりに、ここで仲良くやっていってほしい、という気持ちを込めて産んだのだろう。
そうしてプレイリモンは、森林に自生しているイモ類をほじくり返して食べながら生きている。
さて、そのデジタマだが…
なんというか、その。
今は、我々のフローティア島にある。
分かっている。非難轟轟であろうことは。
そんなに想いがこもったデジタマならば、農園に合流させてやるべきだという気持ちは分かる。
…でもスポンサーさんが言うんだもん!
「ハッハッハ、それほど強い後悔が籠ったデジタマなら、非常に優秀なデジモンが産まれるだろう!是非回収したまえ!」って!
出資者には逆らえないもの!
…我々はとどのつまりビジネスマン。正義のヒーローではないし、慈善活動家でもないのだ。
それにまあ、スポンサーさんは別に私利私欲のためにデジタマを回収したわけではない。
我々は人々をクラッカーから守るための優秀なセキュリティデジモンを育てる必要がある。
かつて得たドリモゲモンのデジタマを失ったため、その穴埋めというわけだ。
まあ、なるようになれだ。
フローティア島は今、有機肥料を使った農業が盛んであり、食糧供給能力が高まっている。
たくさん優秀なデジモンを育てていこう。
森林エリアでは、どんどん木々が成熟期タイプのジュレイモンに置き換わっている。
恐ろしいことに、ジュレイモンは普段甘くて栄養満点な果実を実らせているのだが…
気分次第でそれをすぐに猛毒の果実に変えてしまうことができるようだ。
森へ侵入してきた邪魔なデジモンに、毒の果実を食わせて死に至らしめて、養分にしてしまう。
ジャガモンとは違った意味で、非常に恐ろしい「森の守護者」といえるだろう。
他にも、いろいろ報告したいことがある。
だが、それはまたの機会にしよう。
私は、溜まりに溜まった研究成果をこれから公聴会で発表しに行く。
腕に巻いたデジヴァイスに、ティンカーモンを入れて。
いつかまた、我々の活動の続きを聞かせることができるときが来るだろう。
願わくば、クラッカーとの戦いではなく、平和な報告ができることを祈る。
次回、season2 最終回!
本作に登場した人間キャラで好きなのはどのキャラでしょうか
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ケン
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メガ
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カリアゲ
-
クルエ
-
リーダー
-
スポンサーさん
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岸部エリカ
-
神木
-
パルタス
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バンモチ
-
小学校の先生
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AAA