デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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久々の寒冷地耐観察

我々は寒冷地帯にデジドローンを飛ばした。

かつてアイスモンやユキダルモン、トゲモグモンがシードラモン達と死闘を繰り広げた土地だ。

ここは今どうなっているのだろうか。

 

ツンドラ気候の土地には、真っ白な美しいヘラジカに似た偶蹄類型デジモンがいた。

命名ムースモンである。

 

ムースモンは小さな草をモリモリ食べている。

蹄があることから、おそらくボアモンの子孫だ。

 

そのボアモンの兄弟であるトゲモグモンは、寒冷地帯でシードラモン軍団と戦って死亡した。

その後、トゲモグモンの子孫はどうなっているのだろうか。

 

寒冷地を観察していると…

懐かしいデジモンがいた。アザラシに似た姿の成長期デジモン、ゴマモンたちだ。

 

海でプカモンを捕獲し、食べるゴマモン達。

そこへ、大きな水影が近づいてきた。

 

海から飛び出してきたのはシードラモンだ!

口を開け、ゴマモン達に向かって氷の槍を発射しようとしている…!

 

そこへ…

なにか2つの物体が飛んできた。

 

一つは、角のような尖った物体だ。

ロケット砲のようなジェット噴射により高速で打ち上げられたそれは、多数の細かいトゲに分裂してシードラモンへ降り注いだ!

 

トゲの雨に打たれるシードラモンは悲鳴を上げた。

 

もう一つの飛来物は…

両刃の斧だ!

 

斧はシードラモンの胴体へ深々と突き刺さり、血飛沫を上げた。

 

 

ゴマモン達を助けに来たのは…

白い体毛に覆われた、大きな一本角と鋭い牙を持つ、セイウチに似た?海獣型デジモン、命名イッカクモン。

 

そして鋭い両刃斧を持った、シロクマに似た?獣型デジモン、命名ブリザーモンだ。

 

現在はこの2体の獣型成熟期が、ゴマモン達の親玉らしい。

トゲモグモンの子孫であろう。

 

背を向けて逃げようとするシードラモンに、ブリザーモンがふたつめの両刃斧を投擲する!

シードラモンの後頭部に斧が突き刺さり…

シードラモンは体を横にして水面にぷかぁと浮いた。

 

どうやらあれから陸上のデジモン達は力を増し、シードラモンに打ち勝つ力を手に入れたようだ。

 

ブリザーモンはシードラモンを陸に引き上げ、斧で切り刻んだ。

 

そしてゴマモンや、群れの幼年期デジモン達に断片を与えた。

 

幼年期レベルⅠ、パフモン。

全身が深い体毛で覆われた哺乳類型デジモンだ。

体毛の断熱効果のおかげで寒冷地でも平気なようだ。

 

幼年期レベルⅡ、プスリモン。

以前はゴマモン進化前の幼年期はトコモンだったが、しばらく見ない間に幼年期の姿も寒冷地に適応したようだ。

トコモンよりも全身が毛深い。ところどころにトゲが見えるのは、雪に埋まった時にスパイクの役割をして何かに役立つのかもしれない。

 

そしてプスリモンが成長するとゴマモンになる…という進化系統を辿っているらしい。

 

ゴマモン達の巣は、雪や氷でできた構造物だ。

見ようによっては集団生活だ。デジタマを採取しておけば役に立つかも…

 

『おい』

 

ん?

ベーダモンから通信が入った。

 

『さっきから何を観察している たわけが 余はホエーモンの様子を見せろといったのだ 聞こえなかったのか』

 

うっ…そうだった。つい。

しばらくぶりに観るから夢中になっちゃって。

 

クルエさんがジトッとした目でこちらを見ている。

「なんか…前にもこういうことなかったっけ?」

 

リーダーは腕組みしている。

「サラマンダモンから元の主の情報を聞き出そうとしたときだな。本来の目的を忘れて体表の炎のオーラの解析に夢中になっていた」

 

ごめんて!

でもガッチモンの検索能力は水中には届かないから、大海原の中から地道にホエーモンを探すとなるとけっこう大変なんだよ。

なら陸上を見てホエーモンの痕跡を探すのは悪いアプローチじゃないでしょ?

 

『面倒だな 見つかった時にまた連絡しろ』

そう言い、ベーダモンは去ろうとした…。

 

「なあベーダモン。さっき見た中に、コロニーに加えたい奴はいたか?」

カリアゲがそう言うと、ベーダモンはピタっと止まった。

 

『先ほどの 名前はなんだったか そう イッカクモンか 優れた遠隔攻撃能力がある あれは欲しい』

 

「ツノのミサイル飛ばすやつか!強そうだなあれ!砦を守るのにいいんじゃないか?」

 

『移動は遅そうだが 拠点防衛には最適だ』

 

おお、ベーダモンが機嫌を直した。

ナイスだカリアゲ!

 

シンがこっそり耳打ちしてきた。

「やっぱカリアゲパイセンってベーダモン関連になると普段の50倍くらい頼りになるッスね」

 

まるで普段は今の50分の1しか頼りにならないみたいな言い方だ…

 

「ああすまんッス」

 

我々が研究に勤しんでる間、カリアゲはフローティア島の開拓計画を練ったり、デジモン達とのコミュニケーションや教育・トレーニングをやってくれてるんだよ。

 

我々のパートナーデジモン達が、指示がなくともうまく現場判断できるのは、カリアゲの教育の賜物だ。

 

「俺も見習わないといけないッスね。…ところでホエーモンの痕跡は陸上で見つかったッスか?」

 

あ、いけね。

まだ見つかってないや。

 

ベーダモンから通信が来た。

『まあいい 痕跡が見つかり ホエーモンが見つかったら その時教えろ』

 

アッハイ。そうします。

 

今度こそベーダモンは通信を切ろうとした…

その時。

 

「キュイーーー!!」

寒冷地を映しているデジクオリアから、聞いたことのない鳴き声が聞こえた。

な、なんだ?

 

画面を見ると…

海から陸上に、奇妙な姿のデジモンが大慌てで上がってきたところだった。

 

シャチに二足歩行の手足が生え、浮き輪とライフジャケットを着用したような姿のデジモンである。

 

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