デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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蜂と竜人

パイルドラモンは、空中へ飛び上がると、腰にぶらさがった銃のような器官から凄まじい勢いで弾丸を連射した。

 

ジャガモンの甲殻が、激しい金属音を立てている。

あの丈夫な装甲から、少しずつ破片が散っている。

 

あの丈夫な装甲を傷付けるとは…

まさか、あの合体デジモンもレベル5相当の実力を持っているのだろうか?

ただ蜂型デジモンを装甲として身に纏っているだけではないのだろうか。

 

ジャガモンは、空中のパイルドラモンへ向かって、隕石のような勢いで岩を打ち込んだ。

ジャガモンは、こう見えて飛び道具は得意な方である。

パイルドラモンには、ジャガモンの岩がいくらか当たっており、ダメージを与えることができているようだ。

 

パイルドラモンは、撃ち合いでは分が悪いと判断したのだろうか…

いったん合体を解除した。

 

パージされたバラバラのスティングモンの外装は、再びエクスブイモンの身を包んだ。

だが、今度の合体はパイルドラモンとは異なる姿だ。

竜人型デジモンよりも、蜂型デジモンの要素が強い姿となっている。背中から生えるハネは蜂のような昆虫らしい翅となっており、腕はエクスブイモンのものがそのまま露出している。

我々はこの形態をディノビーモンと呼称し、パイルドラモンと区別することにした。

 

 

 

ジャガモンは、それがどうしたと言わんばかりに、ディノビーモンへ岩を打ち込み続けた。

だが、ディノビーモンはパイルドラモンよりもはるかに素早かった。

空中を高速で飛び回るディノビーモンは、すべての岩をことごとく回避し続けた。

そうしてディノビーモンは、目にも止まらぬ速さで地上に降り立つと…

 

…ブロッサモンの首へ、深々と腕を突き刺した。

 

一瞬の早業であった。

鈍重なジャガモンには、止める術はなかった。

ブロッサモンは、弱々しくも蔓を使ってディノビーモンの腕を締め付け、腕を首から引き抜こうとする。

どうやらディノビーモンの形態は、スピードがある代わりにパワーはそれほど強くないらしい。

ディノビーモンの腕は、徐々にブロッサモンの首から引き抜かれていく。

 

だが、ディノビーモンはその場で装甲を瞬時に組み換え、シームレスに別の姿へ変形した。

我々が最初に見た、パイルドラモンである。

 

パイルドラモンは、恐ろしい怪力によって、一気に右腕をブロッサモンの首へ突き刺した。

ディノビーモンより遙かに凄まじい怪力を発揮したパイルドラモンは、ブロッサモンの蔓を難なく引き千切った。

ジャガモンはパイルドラモンのところへ駆け寄ろうとする。

 

何発も岩を飛ばす。

だが、パイルドラモンは空いた左手で岩を防御すると…

右腕でブロッサモンの頭を、首から引き千切った。

 

 

パイルドラモンは、ブロッサモンの頭を持ち上げて飛翔した。

ジャガモンは後先のことなど考えまいと言わんばかりに、ありったけの外殻をパイルドラモンへ乱射した。

 

だがパイルドラモンは、瞬時に装甲を組み替えてディノビーモンへ変形した。

ディノビーモンはブロッサモンの巨大な頭を抱え上げたまま、超スピードによって難なく弾幕を回避した。

 

そしてジャガモンの岩が届かない高さの上空まで瞬く間に飛んでいき、そのままブロッサモンの頭を奪い去って空の向こうへ飛んでいった。

 

 

 

ディノビーモンは、やがて遠く離れた地へ降り立つと、合体を解除した。

エクスブイモンとスティングモンの二体へ分離したのである。

 

二体は激しく疲労困憊しているらしく、その場に座り込んで休みをとっていた。

合体形態になることは、体力を著しく消耗するらしい。

 

エクスブイモンはブロッサモンの頭部のはしっこをつまみ食いしようとしたが…

スティングモンがそれを静止した。

 

スティングモンはしばらく周囲を見回すと、やがてヌメモンの群れを見つけた。

スティングモンはそちらへ飛んでいき、ヌメモン二体を腕から出る針で仕留め、エクスブイモンのもとへ持ってきた。

 

エクスブイモンは嫌そうな顔をしたが、スティングモンに促され、しぶしぶヌメモンを捕食した。

あまり美味しそうに食べてはいない。まずそうである。

エクスブイモンがウプっとなって食事の手が止まる度に、スティングモンはエクスブイモンをつっつき、早く食えと促す。

ネチャネチャしたヌメモンを、嫌そうにちびちびと食うエクスブイモン。

その様子にしびれを切らしたスティングモンは、エクスブイモンからヌメモンを奪い取って、自分で食った。

そして雑木林へ飛んでいった。

 

…やがてスティングモンは、レッドベジーモンの死骸を抱えて戻ってきて、エクスブイモンのところへ放り投げた。

エクスブイモンは、レッドベジーモンを大喜びで食べ始めた。

スティングモンはどこか呆れたような様子でそっぽを向いている。

 

そして体力を回復させた二体は、ブロッサモンの頭を引きずり、どこかへ去っていった。

 

 

 

パイルドラモンやスティングモンが先程ジャガモンと交戦した際の戦力は、間違いなくレベル5相当であった。

2体のレベル4デジモンがただ力を合わせただけでは、決して届かない戦闘力。

それを、この2体は、間違いなく戦闘中という一瞬だけ獲得していた。

 

 

信じ難い光景であった。

彼らは何故今、消耗したブロッサモンのところへ襲来し、その命を奪ったのであろうか…。

 

一体どこから来たのか。

目的は何なのか…。

 

全てはまだ不明である。

 

 

 

 

ジャガモンは、辺り一面焼け野原となった真っ黒な森の真ん中で、首のないブロッサモンの肉体を悲しそうな目で眺めていた。

 

だがしばらくすると、その場にうずくまり…

再び休眠に入った。

 

やがて、小さな草食デジモン達がやってきて、ブロッサモンの死骸を食い尽くした。

…ジャガモンは、今自分がやるべきことは…

とにかく体力を回復することだと考えたのだろうか…。

 

 

 

ボアモンは、木に引っかかっているトゲモグモンを見つけると、木に頭突きをした。

枝が揺れ、トゲモグモンは地面に落ちてきた。

やがて二匹は一緒に歩き始めた。

散歩でもしているのだろうか。

 

 

 

歩いている途中で、二匹は大きな骨を見つけた。

先程食われたグラウモンの骨だ。

幼年期デジモンやゴキモン、ヌメモンが群がっている。

 

二匹はそのうち、肉の切れ端が少し残った骨をいくらか口に咥えて持ち上げると、それぞれの巣へと持ち帰った。

 

自分達の子供に与えるのだろうか…?

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