トゲモグモンは海辺に沿って進みながら、寒冷な気候の土地へ向かって旅をした。
やがて、3個のデジタマを産み、幼年期デジモンが生まれた。
四足歩行の哺乳類型デジモン。トコモンと命名された。
その愛くるしい姿は、女性研究者達に大変人気である。
トゲモグモンは、海でプカモンなどの水棲小型デジモンを捕獲し、親子で分け合って食べた。
やがて、雪が降り積もる寒冷地帯へ移り住んだ頃に、トコモン達はレベル3へ進化した。
これまたアザラシのような姿。
ゴマモンと名付けられた。
その愛くるしい姿は、研究所の中で大人気であった。
ゴマモン親子は、その強い防寒能力によって、寒冷地帯で生息域を広げることに成功した。
しばらくの間、敵無しで暮らしていたのだが…
やがて、そんなオアシスに何者かが侵入してきた。
氷雪系のレベル4デジモン。
アイスモンとユキダルモンである。
おそらくゴツモン系統から進化したのだろう。
彼らは、ヒヤリモンと名付けられた幼年期デジモンの群れを連れていた。
アイスモン軍勢と、トゲモグモン軍勢は、出会ってしまった。
食糧がそう多くない、極寒地帯で。
どうやら、どちらの軍勢も争いは嫌いなようだ。
だからこそ、こんな局地へ適応する進化をしてまで、外敵のいない環境を選んだのだろう。
両軍勢は、できるだけ互いに関わらないようにしていた。
海で小魚デジモンを捕りながら、慎ましく暮らしていれば、争わずに済むだろうと…
その場の皆が信じていた。
…しかし、狩られる魚型デジモン達とて馬鹿ではない。
プカモンの数が減ったことで、彼らは「海の中から」発見されてしまったのである。
やがて、ヒヤリモン達は進化した。
金属の棘が生えたボール型の成長期デジモン、チクリモンである。
たくさんのヒヤリモン達が皆成長期になったのだから、さらに多くの食糧が必要になった。
チクリモン達も、海に飛び込んで、プカモンを狩るようになった。
ある日のこと。
ゴマモン一匹と、チクリモン数匹は、いつものように海岸でプカモンを獲ろうとしていた。
そこへ、突然…
水面から何かが飛び出してきた。
一瞬のことであった。
水中から出現したレベル4デジモン、シードラモンとトビウモン。
彼らは、ゴマモンとチクリモンを丸呑みにすると、そのまま水中へと潜っていった。
…その様を見ていたユキダルモンとトゲモグモンは、あ然としていた。
自分の子供が、一瞬で海に飲み込まれていったのだ。
それ以降も、群れがプカモン狩りをしていると、騒ぎを聞きつけてシードラモン達が飛び出してくるようになったのである。
…ふたつの群れは、完全にマークされていた。
このままではいけない。
協力して海の敵と戦おう。
そう決心した、ユキダルモン、アイスモン、トゲモグモン。
彼らは、大きな音を立ててシードラモンとトビウモンをわざとおびき出し、そして戦った。
戦いは熾烈を極めた。
戦いを避けてきたユキダルモン・アイスモン・トゲモグモンよりも、海の中で捕食者として暴れ回っていたシードラモン、トビウモンの方が、単独での戦闘力は高い。
それでも、陸上に陣取っているハリモグモン陣営は、地の利を活かして戦い、優勢に立ち回っていた。
もしかしたら、このまま押し切れば勝てるかもしれない!
アイスモンは氷の拳をトビウモンに叩きつけながら、そう思っていただろう。
…だが。
戦場に突如、ラッパのような音が鳴り響いた。
水中から顔を出した、タツノオトシゴのような姿をしたレベル4デジモン、シーホモンが雄叫びをあげたのである。
シーホモンは、口から生えたラッパを吹き終えると、海に潜っていった。
…その数秒後。
海の中から、シードラモンが追加で5匹出現した。
これはまずい、とビビったトゲモグモン陣営は、その場から一目散に逃げ出した。
6体のシードラモンから一斉に噴出された氷の矢によって、ユキダルモンは粉々に消し飛んだ。
…それ以来、海岸からはいつもシーホモンが顔を出していた。
ゴマモンがプカモンを狩るために海辺へ近づくと、シーホモンはすぐにラッパを吹いた。
シードラモンがやってくるのを恐れて、すぐに逃げた。
…そうして、局面は膠着した。
アイスモンやトゲモグモン、その子供達は、まともに餌がとれなくなってしまったのだ。
トゲモグモンは、それでも子供達のために餌をとろうとした。
シーホモンが見ていない隙を狙って、海に潜るトゲモグモン。
だが、海の中では…
既にトビウモン数匹に待ち伏せされていた。
トビウモンのタックルを全身に浴びるトゲモグモン。
背中を氷で防護しているトゲモグモンといえど、これを受け続けたらやばい。
氷で身を包み、防御を試みた。
だが、トビウモン達は、氷の鎧で身を包んだトゲモグモンを、水中へ引きずり込もうとした。
さすがに呼吸が続かないトゲモグモンは、氷を融かし、泳いで水中から脱出した。
陸に上がったトゲモグモンは、口を大きく開けて息を吸い込んだ。
その瞬間。
シーホモンのラッパが鳴った。
トゲモグモンが大きく開けた口の中に。
シードラモンが発射した氷の矢が、深々と突き刺さった。
トゲモグモンは口と後頭部から大量に出血し、倒れた。