デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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ヌメモン超進化

ヌメモンはレベル4のデジモンであった。

かつてはワームモンなどの弱いデジモンを捕食していた時期もあったが、陸上のデジモン達のパワーインフレはどんどん加速していく。

ヌメモンのような弱いデジモンは、戦いではもうついていけなくなった。

 

そこで、ヌメモンたちは開き直ったのである。

「戦いに勝てないなら、戦闘能力など無くしてしまってもいい」と。

 

いつしかヌメモンは、ゴキモン同様に、レベル3のデジモンとなっていた。

レベルダウン進化である。

 

レベル4だった頃にわずかにあった戦闘能力を完全に捨て去り、代わりに強靭な胃腸と繁殖能力を発達させた。

その結果ヌメモンは、「だいたいなんでも食える」ようになり、レべル4になるのを待たずしてウジャウジャ殖えまくるようになったのである。

 

 

かつて、グレイモンやティラノモン達が森林を焼き払ったことがあったが…

木々の燃えカスは、ヌメモンたちによって食われ、きれいさっぱり片づけられた。

 

ヌメモンはとても嗅覚がよく、デジモンの死骸や排泄物を見つけると、すぐに寄ってきて食べてしまう。

嫌気性の細菌がウジャウジャ湧いていようがお構いなしだ。ヌメモンの胃はおそらくボツリヌス毒素ですらきれいさっぱり消化してしまうだろう。

 

そんなヌメモンにも弱点があった。

それは、身体が乾燥に弱いとう点である。

 

湿った皮膚を維持しなくてはならないため、カンカン照りの日には、日陰に避難するのが間に合わずに、熱射病になってそのまま干からびてしまうことがままあるようだ。

 

そんなある時、レベル3のヌメモンは、レベル4へ進化した。

カタツムリのような貝殻をもった、カラツキヌメモンである。

 

レベル4だけあって、この殻はとても硬い。

レベル3デジモン程度の攻撃では傷一つつかなかった。

 

そしてこの殻は、カラツキヌメモンを乾燥から護った。

強い日差しにさらされたときは、殻にこもることで水分の蒸発を防ぎ、日が暮れるのを待つのである。

 

そうして乾燥に強くなったカラツキヌメモンは、生息分布を広げ、サバンナ等への進出を試みた…。

 

 

 

しかし。

レベル4になるまで殻を獲得できず、レベル3まではヌメモンのような乾燥に弱い身体だ、という進化系統のままでは、真の意味でサバンナで「暮らす」ことはできないのである。

 

 

そこでカラツキヌメモンは、再びレベルダウン進化をした。

レベル3ですぐにカラツキヌメモンへ進化できるようにしたのだ。

 

幼年期レベル1は、泡型デジモンのバブモン。

ワックス質の泡を纏うことで、軟体の体を乾燥から護る。

 

幼年期レベル2は、餅?に似た姿のモチモン。

身体の外側は焼けた餅の表面のように乾いた皮膚で覆われており、体内を乾燥から護る。

 

そしてレベル3でカラツキヌメモンとなるのである。

このように、幼年期のうちから乾燥に強くなり、成長期ですぐにカラツキヌメモンになることで、サバンナや乾燥地帯へ進出することに成功した。

 

代わりに、殻の硬度はレベル4だった頃よりも脆くなった。

レベル3の哺乳類や爬虫類型デジモン… ギザモンやガジモンに爪や牙で攻撃されたら、破砕されてしまうこともある。

 

そういった捕食者に対して、カラツキヌメモンがとった対応は…

マッシュモンのように毒素を持つことや、個々の戦闘力を底上げすることではない。

 

『ボス』を作ることだった。

 

そうして出現したのが、カラツキヌメモン達の親玉、モリシェルモンである。

レベル3のカラツキヌメモン達の中で、もっとも優秀な個体がレベル4のモリシェルモンへ進化する。

 

モリシェルモンの体長は3mほどもある。貝殻はカラツキヌメモンのヤワな装甲とはうってかわって巨大で頑丈だ。軟体動物デジモンではあるが、体内には軟骨のような支えがあり、重い体重でありながら高い運動能力を発揮できる。

二本の強い腕で敵をうちのめすことができるし、トゲの生えた殻にこもって回転することで攻防一体の突進攻撃もできる。

 

弱いカラツキヌメモンを狙って狩りをしていると、カラツキヌメモン達のフェロモンを感じ取り、回転する巨大な貝殻が飛来して敵をぶっとばす…ということだ。

 

 

直近モリシェルモンを見たときは、コカトリモンに瞬殺されていたので、あまり強い印象がないかもしれないが…

ヌメモン系統としては珍しく、まっとうに強いデジモンなのだ。

 

 

そんなモリシェルモンの主食は、なんと野生のマッシュモンである。

身体を毒素で守ることで、外敵から捕食されなくなり、どんどん増えていたマッシュモンだが…

ヌメモン時代に獲得した強靭すぎる消化器官をそのまま受け継いでいるモリシェルモンは、その毒素を消化可能になっていた。

 

モリシェルモンにとって、マッシュモンなど、捕獲しやすい餌にすぎない。

 

 

 

 

そうして、ヌメモンがモリシェルモンになるまでに、2回のレベルダウン進化を遂げているのだ。

 

近年では蜘蛛型デジモンのドクグモンがレベル3にレベルダウンした、コドクグモンという種も発見されている。

 

 

 

レべル5にならずして、レベル4デジモンの先へ進めるこの現象は…

進化の袋小路を突破することができるのかもしれない。

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