戦闘開始早々…
フローラモンは遠くへ走って逃げた。
スカモン「スカーッカッカッカ!臆病者めが!」
そしてフローラモンは、花粉をばら撒いた。
コマンドラモンはガスマスクを装着した。
どうやらフローラモンは、粘菌デジモン達を花粉の餌でひきつけて、スカモンの周囲から戦力を削ごうとしているらしい。
だが…
スカモン「バカが!さっきは自律行動させていたから誘き寄せられたが、今度はそうはいかんわ!」
粘菌デジモン達は、フローラモンの方には目もくれず、コマンドラモンの方へと大挙して押し寄せた。
スカモンは自らを粘菌の王と名乗った。
つまり粘菌コンピュータを構成するズルモンやゲレモン達を自在に操れるということだろう。
コマンドラモンは、ゲレモン達を銃撃したが…
撃たれたゲレモン達は細かく砕け散り、分離してズルモンになる。
まるで暖簾に腕押しだ。キリがない…!
床が粘菌デジモンで埋め尽くされていく。これを踏んづけたら足を地面に貼り付けられ、ドリルを投げられてしまう。
しかも粘菌デジモン達の体には毒がある。マッシュモン以外が粘菌デジモンにくっつかれたら危ない。
粘菌デジモンを避けるが、徐々に壁に追い詰められ始めるコマンドラモン。
コマンドラモンは、いちかばちか、スカモンへ直接銃撃を浴びせようと試みた。
スカモン「遅いわぁぁぁ!」
だが、スカモンは粘菌デジモン達の上を高速で移動して銃弾を躱す。
なんだあの動き!?さっきスカモンがやってきたときは、両腕でドッスンドッスンとゆっくり歩いてたはずだが…
現在は両腕を動かすことなく、滑るように移動している!
リーダー「あれは…床を埋め尽くしている粘菌達が、ベルトコンベアーのようにスカモンを運搬しているんだ!」
くっ…
あいつは床一面の粘菌の上を自在に高速移動できるのか。
バカみたいな見た目してて、案外隙がない…!
しかし、粘菌なんかにあんな猛スピードでの移動ができるのか?
ズルモンやゲレモンの移動スピードはのろかったはずだ。
リーダー「恐らくあれは『ローリング・スウォーム』を応用しているんだ」
ローリング・スウォーム?
リーダー「毛虫が集団で移動するとき、他の個体の上にのって前へ移動し、一番前まで来たら他の個体の踏み台になる…という移動手段をとることがある。一匹でのそのそ歩くよりも数倍のスピードが出る。それがローリング・スウォームだ。おそらく床を覆いつくしている粘菌共は、粘菌の層で同じことをやっているんだ。だからあんな凄いスピードを出せるんだろう」
くっ、器用な奴らだな…!
どうする、唯一の攻め手のコマンドラモンの攻撃が当たらないんじゃ、攻めようがない…!
するとマッシュモンは、コマンドラモンを肩車して担いだ。
そして、エッホエッホと粘菌の上を歩き始めた。
なるほど、これならコマンドラモンが毒の粘菌の上を歩かずに済むが…。
スカモン「バカが!!粘菌で包んで食ってやるわ!」
マッシュモンの足元へ、ズルモン達が押し寄せてくる。
マッシュモン「ミマシャー!」
マッシュモンがそう叫ぶと…
デジタルゲートの中から、チビマッシュモン軍団が一斉に飛び出してきた。
なんだあいつら!?いつの間に!?
リーダー「ボスマッシュモン…まさか…自分のような司令塔が相手側にもいることを予測して、あらかじめ手駒を殖やしていたのか!?」
なるほど、さっきフローラモンがデジタルゲートへおびき寄せたズルモンやゲレモン達を食べたおかげで、増殖のための餌を賄えたのか。
チビマッシュモン軍団は、床一面の粘菌の上に並んでスカモンまでの道を作った。
マッシュモンは、チビマッシュモン軍団の方へコマンドラモンを投げた。
コマンドラモンは、チビマッシュモンの上を駆けて、スカモンまで一直線に走っていく。
近接格闘戦に持ち込む気だ!
フローラモンも、コマンドラモンの後ろについて、スカモンの方へ駆け寄っていく。
スカモン「バカめ!一直線の道を作って進むなど、ワガハイのドリル攻撃の的になりに来るようなもの!串刺しのみたらし団子にしてやるわぁーーーッ!!!」
スカモンは、ゲレモンをこね回して、黄金のドリルを作った。
うわ、あれはやばい!
スカモン「一網打尽ンンーーーーッ!!!まとめて貫通しろォー!」
スカモンは、黄金のドリルをコマンドラモン達に向かって投げ飛ばした。
ジャイロ回転するドリルが、一直線に並ぶコマンドラモンたちへ迫る…!
…させるか!!
俺達人間だって、ただ黙ってみているわけじゃないぞ!!!
私はデジタルゲートをコマンドラモンたちの前に展開した。
黄金のドリルはデジタルゲートの中にスポっと入った。
スカモン「何ィィーーーーーッ!!?」
コマンドラモンたちが一直線に並んでいるから、的が絞れてドリルを当てやすい?
それはつまり、ドリルが飛んでくる弾道があらかじめわかっているということだ。
ならばこちらだって、あらかじめ弾道上にゲートを仕込めば、飛び道具を飲み込むことなんて容易い。
そうしてコマンドラモン達は、スカモンへと接近した。
スカモン「フンッ、粘菌包囲網を突破してくるとはデキるな…!世界の半分をやるからワガハイの部下にならんか?」
命乞いなんて聞くか!
スカモン「命乞いではない、最後の慈悲だ!だがそれを蹴るというなら、もはや容赦せんわ!ワガハイはインファイトも強いぞ、来い!」
そう言い、スカモンは長い両腕で空手の構えをとった。
うげ…そりゃそうだよな。相手はレベル4デジモンだ。格闘戦でこちらのレベル3デジモン二体が優位に立ち回れる保証などない。
なら…まともに殴り合わなきゃいいだけだ!
いけフローラモン!花粉だ!
そう私が指示すると、フローラモンはスカモンの目に花粉を浴びせた。
小麦粉をぶちまけたかのように大量の花粉が、スカモンの眼球を覆う。
スカモン「ギャアア!!!何をする!!」
粘菌デジモンがフローラモンの花粉でアレルギーを起こさないのは先ほど検証済みだ。
だがアレルギー症状なんて関係ない。
スカモンは視覚センサーとして、レンズ眼の眼球を採用している。それなら、花粉を眼球表面の粘膜にびっしり貼りつかせて、視界を封じてやればいいのだ。
スカモン「目が!目がぁぁーー!!クソ!!目つぶしなんて卑怯だぞ!」
スカモンは長い両腕で自分の目をこすっている。
カリアゲの研究員「うぅっ…!花粉症持ちの俺には、あんな光景…見ただけでもう目から涙が…!」
それはお辛い。
スカモン「クソがあァァーーー!!粘菌共!トカゲと花を止めろおおお!」
粘菌達は、スカモンの方へ押し寄せてきた。コマンドラモン達を迎撃する気だ。
だが、それより一手早く、フローラモンがスカモンの口を掴んで無理矢理開かせた。
スカモン「ホゲ!?にゃ、にゃぎをふゆ!!」
フローラモンを長い腕で掴み、引き剥がそうとするスカモン。
コマンドラモンは、スカモンの口の中へ爆弾を放り込んだ。
スカモン「ほご!?」
そしてコマンドラモンは、スカモンの口の中へ銃撃を連射した。
スカモン「や、やめろぉぉ!モゴォ!」
スカモンは銃撃から口の中を護るために、口を閉じ、両腕で口をガードした。
…数秒後、スカモンの口の中で爆弾が爆発した。
スカモン「ブッゴオオオォオォォオォオオォォ!!!」
コマンドラモンはレベル3。スカモンはレベル4デジモンだが…
口の中で爆弾を炸裂させたとあれば、いくらレベル差があってもただでは済まないだろう。