デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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粘菌の王

「グ…グフ…」

白目を剥いたスカモンの口から煙が立ち上り、吐血している。

 

コマンドラモンは、今の爆弾攻撃を使ったせいで、だいぶ体力を消耗したらしい。

 

コマンドラモンの銃弾や爆弾は、自身のエネルギーを消耗して生産するものだ。

こんだけ連発すれば、疲弊もするだろう。

 

私がデジドローンからキノコを投げると、コマンドラモンは敵を警戒しながら食べ始めた。枯渇しかけているエネルギーを補給しているのだ。

 

「ムッムー!ムマシュー!」

「ムマシャーー!」

マッシュモンはチビマッシュモンを引き連れて、スカモンの方へ突撃した。

とどめを刺す気か…!

 

すると、スカモンがカッと目を見開いた。

先程スカモン達の方へ押し寄せてきた粘菌達は、スカモンを覆い隠すように包み込んだ。

 

バリケードで時間稼ぎする気か…!?

 

しかし、スカモンを包み込んだ粘菌の繭は、壁を伝ってズルズルと天井まで上っていき、そのまま天井から吊り下がった。

 

くっ…

コマンドラモンの銃が弾切れである以上、天井には攻撃が届かない。

 

呆気にとられながら戦いを見守る一同。

私は、鉄鋼会社の社員の方を向いて叫んだ。

 

「粘菌達は今、あの繭に全て集まっている!今のうちにゴミ箱の中のゴミデータを処分してください!」

 

すると、社員達はコンピュータを操作し、ゴミ箱の中身の消去を実行した。

ゴミ箱にクレーンアームが伸びてきて、ゴミ箱を掴み上げると、焼却炉の上で中身をぶちまけた。

 

ゴミデータはめらめらと燃え尽きていった。

削除完了!

これで、粘菌共の餌はなくなった。

 

あとは、天井から吊り下がった繭をどうやって破壊するか…だ。

フローラモン、コマンドラモン、マッシュモン達は悩んでいるようだ。

 

そうして繭を観察していると…

 

突然繭が破れ、中から大きな物体が落下してきた。

 

…体長5mがあろうかという、巨大なスカモンだ。

王冠をかぶっている。

 

レベルは…4のままだが…

まずい!

逃げ…

 

 

そう言い切る前に…

巨大スカモンの剛腕が、フローラモンの腹部に裏拳を叩き込んだ。

 

 

コマンドラモンのすぐ横を、びゅんと通り過ぎて吹き飛んだフローラモンは、壁に叩きつけられた。

 

倒れたフローラモンはピクリとも動かない。

 

我々は数々のデジモンを観察し、データを計測していくうちに、「デジモンは強くなるにつれて代謝量が大きくなる」という法則を発見し、強さと代謝量を概算する「DP」という物理量を定義した。

 

今の巨大スカモンのDPは…

既存のデジモンでいうなら、クワガーモンと大体同じ数値だ。

これは「小細工抜きで強い、戦闘向きデジモン」を表している。

 

これまでのスカモン相手なら、立ち回りを工夫することでなんとか張り合えたが…

ここまで「シンプルに白兵戦が強い」デジモンには、もはや知恵比べでは埋められない実力差になるのだ。

 

スターモンやスナイモンのような強力なデジモンが味方にいれば、力で上回ることはできるだろうが…

そんなデジモンは今、味方にいない。

 

『きひゃまらあァァーーーッ!もう許ひひゃおかん!!ワガハイのキレイな歯をこんなにボロボロにひおって!このスカモン大王が!ブチ殺ひてやゆ!クソトカゲェェーーッ!』

 

スカモン大王を自称する巨大スカモンは、歯並びの良いキレイな歯が並んだ口を、一切動かさずにそう発声した。

 

くっ…さすがにこれは分が悪い…

 

「一時退却だみんな!ゴミ箱の中のゴミデータは捨てたんだ!あいつはほっておけばそのうち飢える!撤退だ!」

 

私がそう言うと、鉄鋼会社の社員が心配そうに口を開いた。

 

「で、でも、ここで撤退したら…あいつ、ゴミデータの代わりに会社の機密データを食べ始めるんじゃ…」

 

うぅっ…有り得るけど…

フローラモンがまずい!

態勢を建て直すぞ!

 

私はデジモンキャプチャーでデジタルゲートを開いた。

マッシュモンは、フローラモンを担いでデジタルゲートへ駆け込んできた。

 

「よし、マッシュモン収容完了!次、コマンドラモン!来い!」

私はコマンドラモンに指示を出す。

 

コマンドラモンも、デジタルゲートへ走ってくるが…

急に止まった。

 

コマンドラモンの目の前に、スカモン大王の右手のチョップが飛んできて、地面にめり込んだ。

 

凄まじい轟音だ。

コマンドラモンは、自分の直上にチョップが迫っていることに気付いたから止まったのだ。

 

『クッソ!もうちょっとで叩き潰せたものを!』

 

コマンドラモンはスカモン大王の手から遠ざかる。

 

『無駄だァーーーッ!ぶっとばしてくれるわ!』

 

スカモン大王は、左手を横に振り、コマンドラモンに思いっきりビンタした。

 

コマンドラモンは吹き飛び、地面をごろごろと転がる。

…あまりにも戦力差が大きすぎる…早くコマンドラモンをゲートに入れなければ!

私はデジモンキャプチャーをコマンドラモンへ近づけるが…

 

『させんわ!』

 

うぅっ、左手でデジモンキャプチャーのゲートを塞ぎやがった!

 

『ゲホッゴホッ…これで貴様は脱出(だっひゅつ)でひまい!ゴボッ…!』

 

相変わらずスカモン大王は口を一切動かさずに発声している。

 

や、やばいぞ…ゲートを塞がれるとは…!

このままではコマンドラモンを撤退させられない。嬲り殺しにされてしまう…!

 

その時。

 

「チビシュマーーー!!」

 

チビマッシュモン軍団が、スカモン大王の体を登り、眼球を攻撃し始めた。

目潰しをする気だ!

 

『うざいわあああ!』

 

スカモン大王はチビマッシュモン達を手で払い除けた。

ぼとぼとと地面に落ちるチビマッシュモン達。

 

 

『さて、まずはあのクソトカゲから…!ムム?あのクソトカゲはどこだ!消えたぞ!?』

 

なんと。

チビマッシュモンがスカモン大王に飛びついている間に、コマンドラモンが忽然と姿を消してしまった。

 

ゲートは未だにスカモン大王の手で塞がれているので、こちらへ逃げてきたわけではないようだ。

 

 

地面を見ると、コマンドラモンのガスマスクが落ちている。

だがコマンドラモン本体は見つからない。

 

どこへ行ったんだコマンドラモン…?

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