昆虫型デジモンは、外見が昆虫に似てはいるものの、厳密には我々の世界の昆虫とは体の構造がかけ離れていることが多い。
昆虫の体は、頭・胸・腹の3つに分かれている。
しかしテントモンなどの甲虫型デジモンやスティングモンは、「腹」に相当する部位が存在しないのだ。
その体型は、我々人間の体にもよく似ている。
直立二足歩行が可能な脚部や股関節も、昆虫には見られない特徴だ。
また、我々の世界の昆虫の眼は複眼なのだが…
一部の昆虫型デジモンは、複眼でなく脊椎動物のようなカメラ眼を持っている。
バタフラモン、ワームモン、ゴキモンなどだ。
こういった違いから、昆虫型デジモンは我々の世界の昆虫に相当するものではなく、姿形が昆虫に似た全く別系統の生物と考えたほうが良さそうだ。
先入観は捨ててみるべきかもしれない。
また、顎の形も昆虫から大きく外れたものがいる。
昆虫というカテゴリーは、厳密には「節足動物門 六脚亜門 外顎綱」という。
外顎綱の名が指す通り、昆虫の口のはふたつの外顎が左右にくっついている。
中心には唇という器官や味覚器があり、脊椎動物のような形状の歯や舌はない…というのが基本構造だ。
ところが、クワガーモンやゴキモン、ヤンマモン等は、爬虫類や哺乳類と同じように、脊椎動物タイプの歯や舌がしっかりと生えているのである。
では、昆虫型デジモンの口は基本的に脊椎動物型デジモンと同じ構造なのか?というと…
実はそうでもない。
フライビーモンやフライモンのような羽虫型デジモン、コカブテリモン、クネモンのような幼虫型デジモンは、しっかりと昆虫らしい口の構造となっているのである。
あまりにも不可解だ。
複数の系統が、それぞれまばらに、昆虫らしい体組織を持っていたり持っていなかったりするのである。
私は、ここに法則性を全く見いだせずにいた。
我々の世界には、人間と同サイズの昆虫はいない。
なぜなら、昆虫は身体構造上、巨大化できないからだ。
理由は2つある。
1つ目…外骨格生物は、体を外側の外殻で支えている。体が巨大化すると、体に対する外殻の体積比はどんどん小さくなっていく。
そのため、巨大昆虫の手足はゴムタイヤのようになり、頑丈さが無くなっていくのだ。
2つ目…昆虫は、気門というシステムでガス交換している。これは、建物で喩えるならファンのないダクト(通風孔)のようなものだ。
気門から入ってきた空気は、身体中に張り巡らされた細い管を通じて、体組織へ混ざる。そして浸透圧によって酸素と二酸化炭素を交換するのである。
そのため昆虫は、我々人類と違って、横隔膜を使って能動的に息を吐いたり吸ったりすることがなく、ヘモグロビンで酸素を運搬することもない。
これは小型動物においては低燃費な呼吸システムとして有効に働くのだが…
大型動物になるのには不向きなのだ。
なにせ、大きく息を吸って吐くことができないのだ。しかも心臓の鼓動を速くしても、酸素運搬が早くなるわけでもない。
そのため、大型動物の激しい運動に必要なエネルギー量を供給する前提の構造にはなっていないのだ。
だが昆虫型デジモンは違う。
人間より大きなデジモンがいるのに、とても機敏に動くことができる。
成熟期最強クラスに君臨するスナイモンの戦闘力を見れば、先程述べたような「昆虫が巨大化できない理由」などぶっちぎっていることは明白だ。
昆虫デジモンを解剖して体内を詳細に観察できれば理解は深まるかもしれないが…
それができる戦力はうちには今のところ無い。
たとえスカモン大王を持ち出しても、スナイモンやスティングモンには瞬殺されるだろう。
…そういうわけで、昆虫デジモンの法則性を見出すには!体内の構造を調べるためのサンプルが欠けた状態で仮説を立てなければならないのである。
現時点で、あえて仮説を立てるなら…
大型の昆虫型デジモンは、脊椎動物のように、体の内側にも骨格を持っており、閉鎖系の血管やガス交換システムを兼ね備えている。
…と考えなくては、あの高い運動能力は説明がつかない。
昆虫型デジモンは、脊椎動物の特徴と節足動物の特徴を併せ持っており、種によって各部位にどちらの特徴が顕現するかが異なっている。
…というのが、ひとつの仮説として挙げられる。
だが、いやそんなバカな。
脊椎動物デジモンと昆虫デジモンのハイブリッドなんて、どうやって生まれたというのか…
…
…ん?
なんか、聞いたことがあるぞ。そんな話をどこかで。
脊椎動物と脊椎動物の合体…?
それを実際にやったやつを、我々は見たことがある。
パイルドラモン、そしてディノビーモンだ。
竜人型のエクスブイモンが、スティングモンを装甲のように纏うことでデジクロスを行い、一時的に誕生するデジモンだ。
もしかしたら、あの素っ頓狂なトンデモ合体は…
昆虫型デジモンのルーツに深く関わっているのかもしれない。
そういえば、我々は今までハニービーモンを「昆虫型デジモン」と呼んでいた。
だがこいつ…
本当に昆虫型デジモンであろうか?
私には、昆虫のような外装を纏った脊椎動物デジモンのようにしか見えない。
モルフォモンも同じだ。
体の作りは明らかに脊椎動物タイプだ。
昆虫のパーツは、どことなく外付け感がある。
これらのデジモンを見て、あるひとつの特徴をもつデジモンを、我々は探した。
そして見つけた。
エビドラモンだ。
「脊椎動物の肉体を、節足動物の外殻が包んだような姿のデジモン」。
その水中種だ。
私は、昆虫型デジモンについての仮説をひとつ考えた。
それはすなわち…
「昆虫型デジモンとは、はるか昔、海の中で魚型デジモンと甲殻類型デジモンが合体して誕生したデジモンを祖先としているのではないか」という仮説だ。
我々が、脊椎動物デジモンの上陸を実際に目撃したのは、シーラモンの子供であるオタマモンやベタモンが初めてだった。
だが実際には、それよりもはるか前に…
魚型デジモンが甲殻類型デジモンと合体して、陸上に上陸した。
その末裔が現在繁栄している、いわゆる「昆虫型デジモン」と呼ばれる種なのではないか…
という仮説だ。
つまり、脊椎動物のような顎を持つエビドラモンは、昆虫型デジモンの祖先から枝分かれした存在…
もしくは昆虫型デジモンの祖先そのものである可能性がある。
そう考えると、各デジモンが持つ奇妙な形質についても説明がつく。
たとえばゴキモンは、手足や胴体は昆虫の特徴が多いが、目と口は脊椎動物タイプである。
我々の世界のゴキブリは、複眼を持っているため、常に全方位を見ることができる。しかし画素数というか解像度は複眼のセル数分しかないため、細かい像を捉えるのは苦手である。
だがゴキモンは、複眼でなく脊椎動物タイプのカメラ眼を採用している。これにより、視界は狭まるが、ピントを合わせて遠くのものを見たり、物体の細かい造形を認識できる。
ゴキモンには、鳥のような「空から来る天敵」があまりいない。せいぜいヤンマモン程度だ。
そのため、常に上空を警戒しなくてもいいので、カメラ眼を採用しても生存に不利でないといえる。
また、狭いところへ素早く逃げるのに適した身体構造として、節足動物タイプの手足や胴体を採用したと考えられる。
その一方で、肉食昆虫デジモンのクワガーモンは、手足や胴体は脊椎動物の特徴が強く、眼は複眼のようだ。
これは、激しい近接格闘をするために、外骨格だけでなく強い内骨格も必要だったためと考えられる。
また、肉食動物なので「とりあえず動くものを仕留めて食えばいい」ので、細かい物体を精細に視認する必要がないため、複眼を採用したと考えられる。
…このように、各昆虫型デジモンは、はるか昔節足動物と脊椎動物が合体したことで…
自身の生態に合わせて、脊椎動物タイプと節足動物タイプのうち優れた特徴のみを選り好みして、肉体各部の構造へ発現させることができるのではないだろうか。
進化系統の法則性については分からないが…
「各デジモンの姿の法則性」については、ひとまず仮説を立てることができた。
すなわち、スティングモンは…
はるか昔の祖先が持っていた「脊椎動物デジモンと合体する力」を、先祖返りで再び獲得したデジモンなのかもしれない。
season1で好きなエピソードはどのへんでしょうか?
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1話~ジャガモン編
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ベタモン分岐編
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マッシュモン事件編
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グレイモン・ブロッサモン編
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寒冷地帯編~コカトリモン編
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各種閑話休題(考証フェーズ)
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スカモン戦編