デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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サラマンダモンについての推察

一同がドン引きしながら見ている中…

クルエが呟いた。

 

「…サラじゃないですか、あれ」

 

え?

サラって…

 

「ん?なんだ?サラって?」

 

うお!

カリアゲが反応した。

…クルエは、絶対他言無用だったはずの名前を口に出してしまった。

 

「知っているのか?あの個体について」

リーダーに問わてたクルエは口を押さえて慌てている。

 

あ、ああ…

実は前にですね、クルエさんと一緒に赤いオタマモンを見つけたんです。

それが育ってコレになったのかなーと思って…ね!

 

「ああ、はい、そ、そです」

 

「…なるほど。名前まで付けるとは、随分愛着があるんだな」

 

愛着というか…

他のオタマモンと区別して呼ぶためにですね。

レッドオタマモンとか勝手に名付けても良かったんですが、まあまだ保留ということで。

 

「…にしても、一体何をやってるんだこいつは」

 

画面の中のサラマンダモンは、デジドローンの方を向いた。

 

「気付かれた…!?攻撃されるかもしれん、離れるぞ」

 

デジドローンはサラマンダモンから遠ざかっていく。

 

『クワーァ!クワァ!クゥーーワァァ!』

 

サラマンダモンはペタペタと這ってデジドローンを追跡してくる。

 

「追ってくるぞ!農園のサラマンダモンから、デジドローンは敵だと聞いているのかもしれん。いちど撤収だ」

 

そう言いリーダーは、デジドローンを近隣のアクセスポイントまで移動すると…

デジタルゲートを開き、デジドローンを引っ込めた。

 

サラマンダモンの叫び声は、ずっとデジドローンに浴びせられていた。

 

一同は話し合っている。

 

「あの行動の理由は何だ?一体何があったら、あんな行動を取るようになるんだ?」

 

リーダーの問いかけに、頭を悩ませる研究員達。

私とクルエも悩んでるフリをする。

 

メガが何か思い浮かんだようだ。

「もしかして…子供にいちど殺されかけたことがあるんじゃ…?」

 

カリアゲは眉をしかめている。

「いや、子供デジモンが親を殺そうとするって…どういう状況だ?」

 

リーダーは腕組みしながら発言する。

「有り得なくはないが…生まれもしないうちからデジタマを破壊するようになるものだろうか。仮にそうだとして、次はもっとマシな子が産まれてほしいと望んで産まれてくるのを待つんじゃないか?」

 

メガは目をつぶる。

「うーーーん…。多分そうだよなぁ…デジモンが人間の言葉を理解できたら簡単だったのになぁ~…」

 

リーダーはクルエの方を向く。

「クルエはどうだ、何か考えはないか?」

 

「ひゅい!?」

慌てるクルエ。

 

「え、えーと、なんででしょうね…わかんないです」

知らない振りをするクルエ。

 

「お前はどうだシン?」

リーダーは、新人のシンに意見をたずねる。

 

「…現時点の情報では分からないッスけど…もし、調べるとしたら。あのサラマンダモンのデジタマを採取して育成すれば、答えが分かるんじゃないッスか?」

 

おお…!

確信に迫ろうとしている…!

 

「よし!サラマンダモンのデジタマを採取して育成してみよう。ケンとクルエはサラマンダモンを観察して、デジタマを破壊する理由を推理する情報を集めてくれ。我々は捕獲作戦を計画しておく」

 

わかりました。

そっちはよろしくお願いしますリーダー。

 

「もしかしたら、極めて凶暴なデジモンが産まれるかもしれない。サラマンダモンのデジタマは、第二ビオトープへ隔離して育成することにしよう」

 

そうですね…。

準備お願いします。

 

 

私とクルエは、なんとなく察しがついている。

あの個体が、カンナギエンタープライズで育てられ、放逐されたサラならば…

デジタマを破壊するようになってしまった理由には心当たりがある。

だが、それは今このまま観察を続けたところで、決して自然には導き出せないだろう。

どうしようかな…

 

リーダー達は採取作戦を考えている。

「サラマンダモンが警戒心が弱かったら、デジタマを簡単に採取できるんだが…ヤツは明確にデジドローンに反応し、追跡してきた。おそらくデジドローン自体を脅威として認識しているんだ」

 

メガは頷く。

「農園の初代サラマンダモンはすでに死んでるんだよね…あのサラマンダモンはその子供ってことかな。たしか、僕達がディノヒューモンのデジタマを採った後、スナリザモンと代わってデジタマ警備をしてたのが初代サラマンダモンだった」

 

よく覚えてるなそんなこと…。

メガの記憶力には驚かされる。

農園の言語を解析したときも驚いたけど、「あんなの日本語のオノマトペだけで構成されてるじゃないか。簡単だよ」と言ってたっけ。ぜんぜん簡単じゃないぞ。

 

リーダーは顎に手を当てる。

「では、サラマンダモンの子供も、デジドローン警備の任務を引き継いでいる可能性があるな。…だが、なぜあの仮称サラという個体は、農園から離れて暮らしているんだ?」

 

カリアゲはうーむと悩んでいる。

「そうだよな、なんでだろ…農園から追い出されたとか?デジタマを破壊するから?」

 

シンは、はっとした顔をした。

「なんか…分かったかもしれないッス」

 

「おお!?」

一同はシンへ期待の眼差しを向ける。

新人くん…まさか、サラの過去について気付いたのか!?

シンは静かに語り始める。

「きっと…過去に一度、農園ではこんな事件があったんスよ」

 

カリアゲはごくりと喉を鳴らす。

「事件…?」

「蛮族っていたじゃないですか…猿型デジモンの。あの蛮族が、自分達のデジタマと、農園にあるサラマンダモンのデジタマを…、一個こっそり入れ替えたんッス」

「入れ替えた…?」

「そうッス。農園に潜り込ませるスパイを育成するために…。デジタマをひとつ持ち帰り、数合わせのために一個置いて帰ったんス」

「な、なるほど…」

「そしてサラマンダモンの目の前で、デジタマが孵化した。そこからはなんと、敵である蛮族の子供が産まれた!…驚いたサラマンダモンは、その場で蛮族の子供デジモンを焼き殺したんスよ!」

「ゴクリ…」

「そうして、農園デジモンの子供を焼き殺したと誤解されたサラマンダモンは、農園を追放された…!サラマンダモンは喋れないから、誤解を解けなかったんス!」

「な、なるほど…!」

「そうして追放されたサラマンダモンは…、自分のデジタマを破壊するようになった。どうッスかこの推理!」

「すげえよシン!筋が通ってる!きっとそうじゃねえか!?お前頭いいな!」

「えっへへーwwまあ、こんなもんスよ」

 

…ちがーーーーう!

違うんだシン!カリアゲ!そうじゃないんだ!

だが、私がそう言って否定できるだけの材料があるわけでもない。

 

くぅぅ…もどかしい!

訂正できないのがもどかしい!

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